園芸療法とは

                                               よくある質問



園芸療法とは、 「園芸を手段として心身の状態を改善すること」 です。

園芸療法の目的は、植物を上手に育てたり収穫を得ることではありません。
植物を育てることによって、身体的、精神的、社会的に良い状態を求めたり、そこなわれた機能を回復することです。

園芸療法の目的はさまざまです。
園芸療法士は、目的に適した作業のプログラムを作成して運営します。
以下の写真は、その一部にすぎません。


(目的)
高齢者施設にデイサービスで通う人たちのリハビリテーション

@適度な運動を伴う作業(運動不足の解消、筋力の低下の予防)
A仲間との会話を促す共同作業(社会性の維持)
B収穫の楽しみのある、将来を期待する作業(生きがい)
C収穫物の利用(販売、料理、他)を伴う作業(生活能力の維持、自己評価)

左の写真は、宇都宮市の老健「宇都宮アルトピア」での園芸療法活動です。
ポリ袋でダイコンを育てて収穫しました。
農業経験のあるお年寄りは、なつかしい作業に積極的に取り組み、
料理に腕を振るいます。
リハビリルームでの機器を使っての単調な作業では見られない笑顔です。

(月刊園芸療法2002年5月号の記事より 写真提供:同施設の松田まや支援相談員)
高齢者のための園芸療法を参照


(目的)
子供達のための園芸療法

@植物に触れて五感を刺激することで、感性を磨く(精神のバランスの回復)
A植物を通じて知識や生活習慣を会得する(教育として)
B共同作業を通じて仲間をつくる(社会性の修得)



左の写真は、ニューヨーク大学ラスク・リハビリテーションセンターで行われている
子供向けの園芸療法の様子です。

(月刊園芸療法2002年7月号の記事より 写真提供:同施設のインターン清水豪)
子供のための園芸療法を参照

(目的)
身体機能のリハビリテーション

左の写真は、鹿児島県の介護老人保健施設での園芸療法の様子です。
この方は、梗塞で倒れ、右手が不自由で握力がありません。
皆がフラワーアレンジメントに取り組んでいるのを黙って見ていました。
一緒に参加するように勧めたのですが、「できない、できない」と連呼していました。
でも、軽く手を添えてあげることで、なんとかしてみよう、という気持ちになりました。
高齢者の場合はリハビリの意欲をなくしてしまうことが多いので、楽しみながら行う
園芸療法が適している場合が多いのです。

(月刊園芸療法2002年7月号の記事より 写真提供:鹿児島園芸療法研究会馬場かおり)

(目的)
学習障害者の職業訓練・生活訓練

左の写真は、アメリカ・ワイオミング州シャイアン植物園での園芸療法の様子です。
この方は、IQが20〜40と低く、一つのことを学ぶのにひじょうに時間が掛かります。
キャスタービーンという植物の種子を飢えています。
この種子は直径が1mmあり、彼が播種に取り組むのには最適です。
園芸作業を通じて、数を数えたり、位置を測定するなど日常に必要な作業を修得します。


(月刊園芸療法2002年6月号の記事より 写真提供:同植物園のインターン信田朋子)

(目的)
言語障害のリハビリテーション

左の写真は、アメリカ・ペンシルベニア州ブリンモア・リハビリ病院での園芸療法の様子です。
白い服を着ている2人が患者(クライアント)です。
脳梗塞で半身麻酔がでて、それが言語障害として表れています。
右端の女性が、スピーチセラピスト(言語聴覚士)で、左側の2人が園芸療法士です。
園芸植物をカードにして、ビンゴゲームを楽しんでいます。
出たカードの植物を見ながら、それを話題に会話をつなげます。
実際に植物を育てるばかりでなく、さまざまな治療の場で園芸療法士の関わり方があります。


(月刊園芸療法2002年7〜8月号の記事より 写真提供:同病院のインターン後藤美佳子)

(目的)
グループホームの住民のQOL(生活の質)の向上

左の写真は、アメリカ・ワシントン州グレンヘルプ・グループホームでの園芸療法の様子です。
右が、グループホームで過ごすアルフレッド。左の女性は園芸療法士です。
アルフレッドは目が見えませんし、言葉が不鮮明です。
でも、とても園芸作業が好きで、花の香りをかいだり、感触を楽しんでいます。
作ったものを人にあげるのが大好きなようで、「いつもお世話になっている人に活けた花をあげたい」と言っていました。



(月刊園芸療法2002年4月号の記事より 写真提供:同施設の園芸療法士頭士智美)





よくある質問



●日本には、「園芸療法士」という国家資格制度があるのですか?

 ありません。
 企業(学校法人など)や団体(協会など)が独自の規定に基づいて認定書を発行する例はあります。

●園芸療法と園芸福祉の違いは何ですか?

 園芸福祉協会では、園芸福祉を「農耕・園芸の効用を活用して、人間の幸福を増進しすること」と定義づけています。
 したがって、園芸福祉の領域としては、園芸療法はもちろん、市民農園、花いっぱい運動、ガーデニングまでもが含まれます。
 専門知識がなくても、気軽に参加できる園芸や農耕活動です。

●園芸療法と園芸セラピーの違いは何ですか?

 英語にすれば、どちらも Horticultural Therapy ですが、日本語の「療法」と「セラピー」ではニュアンスの違いがあります。
 園芸療法が、独自の治療法としては国に認められていない(ただし、作業療法士の技法の一つとしては認められ、健康保健の対象になります)現状では、
 文部科学省は「園芸療法」を教育の中で使用することに躊躇しているようです。
 従って、専門学校の校名は「園芸セラピー」を使用するように指導し、農業高校の教科書では「園芸セラピー」が使われています。
 農林水産省系は「園芸福祉」、厚生省系は「園芸療法」、文部科学省系は「園芸セラピー」、ではバリアフリーの公園作りを推進する国土交通省や
 建設会社はどの名称を使うと良いのでしょうか?

●園芸療法を仕事にすることができますか?

 園芸療法を取り入れようとしている施設で、園芸療法を実践できる人を募集するケースがみられるようになってきました。
 ただし、施設に就職すると園芸療法ばかりしているわけにはいかないようです。
 園芸以外の時間は、一般職員と同じように入所者の世話をすることが当然考えられます。
 それとは別に、いくつかの施設を掛け持ちで、園芸療法だけを行って生活する方法もあります。
 ただし、まだまだ園芸療法の認知が低い現状では、このようにして園芸療法で生計を立てている人は、全国に数えるほどしかいないはずです。  


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