トルネードがやってきた!(1999/4/9)

当日のこと

アパートに落ち着いて約1週間が過ぎ、ようやく生活のリズムが整ってきたと思ったところでとんでもないことが起きました。
4月9日(金)明け方、シンシナティにトルネードが襲ってきたのです!!

ニュースによると、4月10日の時点で、6人の方が亡くなり、200軒以上の建物が崩壊、更にそれ以上の数の建物の損傷があるという、かなり規模の大きいものだったようです。竜巻によって亡くなった方が出たのは10年ぶりくらいらしいです。そんな、地元の人でも「稀に見る」ようなものに遭遇してしまいました。

(ABCニュースのWEB画像より)


今思えば、この季節にしては妙に湿度の高いモワッとした風が前夜から吹いていました。しかしシンシナティの気候のことなどまったく知らない私は、「なんか蒸してるけど、こっちではこの時期こういうものかな・・・」なんて大して気にもとめずにいたのです。その夜はこのサイトのページ作りに熱中していて午前0時ごろベッドに入ったので、その後はグースカピーとよく眠っていました。
ところが、明け方、突然の大きな不気味なサイレンの音が響いたのです。寝ぼけまなこではありますが驚いて飛び起きると、外はものすごい強い風と窓に叩きつける激しい雨。雨音はサイレンすらかき消しそうな勢いです。まるで巨大な台風の時のようでした。繰り返される雷で遠くの空には稲妻が走り、その瞬間は昼間のような明るさです。
 枕元の時計を見ると、午前5時過ぎ。一瞬、「な、何事…?!」とは思いました。しかし、まだ時差ぼけも完全に抜けていない身、その眠気がぶっ飛ぶほどのことはなく、サイレンはこの風雨に対する警戒のサイン(ただの強い嵐だと思っている)または、雷のせいでどこかで火事でも起きたのだろうくらいにしか考えませんでした。そして自宅の近くに消防車などがくる気配もないので、とりあえずまた寝てしまいました。

目覚まし時計の音で再び起きたときには、風雨はすっかり治まっていました。私は「なーんだ、すごい嵐だったみたいだけどもう過ぎちゃったのね」と思い、お気楽なものでした。に至っては、何も知らずに爆睡していたそうです。
しかし、いつものようにキッチンとリビングの電気のスイッチを入れても点灯しないことから何かおかしいと思い、それから別の部屋やテレビなど家中を色々チェック。その間に聞こえてくる近所の人の声などから、結局アパート全体が停電しているらしいということがわかったのです。その途端に2人とも慌て始めました

外を見ると、どこから来たのか何だかいろんな物が落ちていました。板切れ、木の枝などはもちろん、どうやら、どこかの屋根が飛んだらしく、たくさんの建築用断熱材の切れ端(黄色い綿みたいなもの)や、発泡スチロール、大きな鋼鈑の屋根パーツまでありました。これを最初に見たときは屋根パーツだなんてわかるはずがありません。「何じゃ、こりゃ?」「何でこんなにいろんなものが散らばってるのかしらん?」と思いました…。イメージとしてはやはり“超大型台風上陸・直撃の後”という感じですが、こんなにすごい状態になる台風は、私はまだ経験したことがありません。


白い大きな物は屋根パーツらしい…。
回りに小さく点々に見えるゴミみたいなものは、家の断熱材の切れ端です。
(この写真じゃ、あんまりよくわかりませんが・・・。)

テレビがつかないし、ラジオは持っていないので、どこで何が起きたのかもわかりません。夫が会社に行けば何かわかるだろうという事で、状況が掴めたら電話してもらう事にしました。(幸いなことに電話は通じていた。)
電気は、日本の感覚で、この程度ならしばらくするうちにつくだろうと思っていましたが、一向に戻る気配がありません。ここではコンロも電気のためお湯も沸かせないのです。一杯のインスタントコーヒーすら飲めず、本当に何もできなくて困ってしまいました。
その時、ふと頭の中に浮かんだのはゲームの「シム・シティ」です。電気が供給されないと生活できない…まさにその世界ですが、今思うとちょっとのんきな発想ですね。

昼頃、会社にいる夫からの電話で、ようやく「トルネード」だったということがわかり、かなりびっくりしました。それもうちの近くを通りぬけていったらしく、彼も通勤途中で屋根が壊れている教会・倒れた電信柱や裂けた大木を見かけたというのです。そんな話を聞き、更に驚くと同時に急に恐くなってしまいました。明け方のサイレンも「トルネード」を知らせる種類のものだったそうです。そんな種類のサイレンがあるとは思ってもみませんでした。


我が家から数百メートルほどの距離の交差点。通常は4way-stopの信号です。
その先の電柱が折れています。我が家も含めて付近一帯停電だったので、信号機も作動していません。
朝の7時半頃なのに、東の空(この画像では正面)の色がちょっと不気味。

(4/10/1999・夫が通勤途中に車の中から撮影)

午後4時ごろ、やっと家の電気が復旧したので、もちろんすぐにテレビをつけました。すると、映像は凄まじい状況を映し出しています。ローカルの2局は特別番組になっていて、LIVEで現場からの映像やインタビューを送っていました。それほどの災害だったということが私にわかったのは、ようやくこの時になってです。
被害の大きかった地区の名前に私の居住区も入っていました。トルネードの進路は我が家からほんの数キロほどずれたところだったようです。
私はテレビで言っている内容がほとんど理解できないので、映像と地名のみで何となくの状況を掴むしかありませんでした。…でも、そもそも当地に来たばかりでまだ地名だって漠然としかわからないので、はっきり言って何がなんだか、細かいことは全然わからなかったです。それでもトルネードのパワーとその爪痕の凄さだけは充分すぎるほどに伝わってきました。


竜巻の進路と被害地区
(ABCニュースのweb画像より)

X印が我が家のあるあたり

それにしても、今までの人生経験上、台風や地震の災害については浮かんでも、竜巻なんてものがくるとは私には想像もできませんでした。まして、自分の身近に起こるなんて!

そういうものは、テレビの特番(「衝撃のナントカ」etc.)でしか見たことがないし、もっと中部寄り(「オズの魔法使い」のカンザスなど)で起こるというイメージだったので…。いやいやオハイオも充分そういう地域だったというわけです。知らないということは恐ろしいことです。
幸い今回は自分のところには何も被害が出ませんでしたが、こういった災害は他人事ではない!そして忘れた頃にやってくる!としっかりと感じさせられました。被害にあった方には恐縮ですが、とりあえず滞在1週間にして家なき子にならずにすんだことには安堵しています。
また、災害時に備えて懐中電灯を買いに走り、乾電池で使えるラジオを用意しようと決めたのはもちろんのことです。

(4/10/1999・記)


(4/10/1999撮影)
I-71を通行中に車窓から。被害の大きかったBlue Ash辺りです。
これだとなんだか普通の工事の写真みたいですけど…壊れた建物の取り壊し作業をしていたようです。
(注:助手席にいた私がシャッターを押したんですよ。でも、通る車がみんな徐行して現場を眺めてました。)

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数日後

(4/19/1999)
被害が大きかった場所の近くをたまたま車で通りました。
同じ敷地内の建物でも、屋根も壁も飛ばされてすごい状態になっているものがあると思えば、数メートル離れただけでほとんど壊れていないものもありました。もちろん建物の強度の差もあるとは思いますが、それにしても、竜巻の被害というものは局所的なところがあるという事がよくわかります。
運、不運と言っていいかわかりませんが、ちょっとそんなものを感じてしまいました。


(4/19/1999撮影)
Montgomery Rd. と E. KemperRd. の交差点にて(E. KemperRd.から)。

Harper's Corner(画像右手)のお店は全滅。
Don Pablo's(画像左奥)は屋根が大きな被害を受けていて、その前には地元TVの中継車が来ていました。
このあたり(Harper's Station、Harper's Point)も被害が大きかったところの一つです。Montgomery Rd.を隔てた向かい側のスーパー(Thliftway)とガソリンスタンド(BP)は建物が半壊状態でしばらく営業できそうにない感じです。deSha'sも屋根と煙突の一部が壊れていました。
Montgomery Rd.のここE. Kemper Rd.より、南はMontgomery Innの前あたりまで、現在のところ居住者や関係者以外の一般人の立ち入りが禁止されています。

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Tips

翌日のメディア

豆知識

地震でいう「震度5」とか「震度6」などというような感じで、トルネードにもその大きさを表す基準(フジタスケール)があります。
F0〜F6までの7段階で、数字が大きいほど規模が大きいものされるそうです。
それぞれのクラスの基準は、下記のサイトなどに詳しく出ています。

ちなみにこの時のトルネードの規模は「F4」という大きさだったそうです。
これは「フジタスケール」によれば

『住家がバラバラになってあたりに飛散し、弱い非住家は跡形なく吹き飛ばされてしまう。鉄骨づくりでもペシャンコ。列車が吹き飛ばされ、自動車は何十メートルも空中飛行する。一トン以上もある物体が降ってきて、危険この上ない。あちこちにミステリーが起こる。』

というクラスのものだそうです。

トルネードに関する知識のページ

(10/22/2002・追加)

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