(31)『洞爺湖よ 君の伝説を語れ』(集英社より1981年12月15日刊)
 これは『小説ジュニア』に連載されたものを文庫に収録した。
 UFOの絡むSFに、新選組に関わる伝説を絡ませたもので、ぜひ新選組ファンの人にも読んでもらいたい作品。
 けっこう良くできた物語だから、どっかの版元さん、加筆の上、文庫に再録させてもらえませんかね。
 この連載の最中に『宇宙戦艦ヤマト』のノベライズの仕事も引き受けていて、岡本賢一氏のホームページ「インタビュー」でも触れているように、1冊5日で吹っ飛ばして書いている最中だったから、編集さんが同情してくれて「締切、少しぐらい遅れても良いですよ」と言ってくれた。
 その時、「いえ、もう連載分は完成してます」と言って渡したもんだから、いよいよ呆れられ、若桜木の速筆の評判が広まった、なんぞという思い出があります。

(32)『開戦前夜・パラレルワールド大戦』(松文館より1983年8月10日刊)
 SFで、パラレルワールドをテーマとする作品は多い。
 しかしながら、どういう科学的な原理でパラレルワールドが有り得るのか、という点まで踏み込んだ小説は、あんまりないんじゃなかろうか。
 この作品では、物理学の重要概念である「不確定性原理」を詳述して、きちんと「平行世界」の存在理由を説明した。
 そういう点で、画期的な傑作SFになっていると自負している。
 ところが、あろうことか、版元の松文館という“インチキ会社”のために、刊行直前になって執筆着手時の口約束の10分の1に発行部数を削られるという悲惨を極めた事態に遭遇した。
 このことは、岡本賢一氏のホームページ「インタビュー」に詳述した。(岡本氏は、ビビって仮名にしたが)
 そんなわけで、この作品は、ほとんど大衆の目に触れていないと思う。
 もし、古書ででも見つけたら、是非とも(特に理系の人は)購入して読んで欲しいなぁ……と思います。
 そして、タイトルを見れば分かるように、現在の霧島那智の戦記シミュレーション、戦国シミュレーションを発想する時の根本概念にも結び付いています。
 それは、文中には現れていませんがね。
 とにかく、いくら弱小出版社だからって、もっと弱い立場の小説家をトリックに引っかけるのは許される仕儀じゃありませんよ。
 どこか良心的な版元さん、これは傑作ですから、是非どっかに再録してくださいまし(タイトルなんぞは変えて新作みたいにするとか、SFらしくないタイトルにするとか、手は色々とあるでしょう!)。

(33)『パラレルワールド大混線』(集英社より1983年5月15日刊)
(34)『パラレルワールド大脱走』(集英社より1984年4月15日刊)
 この2作は姉妹編で、同じ主人公が活躍するアドベンチャーSF。
 上の(32)が、そういう事情であんまり広まらなかったので、仕方なく、この2作でも「平行世界存在原理」を展開したが、ジュニア相手の小説なので、ほんの触りしか述べられなかった。
 残念無念。
 霧島那智名義の『北朝鮮・日本侵略』(コスミック・インターナショナル)も相当に出鱈目というか、破天荒なストーリーだが、そういう型の話の原点と言っても良い。
 行き当たりばったりに話を展開させられるので、作者としては執筆が楽な作品である。
 結末の閉じ方さえ間違えなければ、読者の予想もつかない波瀾万丈の話になる。
 これも絶版になっているので、古書店で見つけた人は読んでみてくださーい。面白いですよ。但し、話は完結していません。

(35)『アポロンの剣闘士』(集英社より1979年6月15日刊)
(36)『アポロンの剣闘士2――ブラックホールの彼方で』(集英社より1984年8月15日刊)
 これまた完結していない話だけれど、波瀾万丈の面白さって点では、まあ、こっちのほうが上だろうな。
 通俗的なスペース・オペラだけれど、(36)では相対性理論に基づいて、光速に近づいた時には宇宙船外の景色はどう見えるか、きちんと描写している。
 これも、どっかの版元さんの協力を得て再録の上、続編を書きたい話。なんか、そーんな中途半端な話ばっかりですけど。
 某テレビ局のクイズ番組で、「相対性理論」が正解って問題があって、某有名SF作家が正解したんだけど、「私はSF作家ですから、相対性理論ぐらい分かります」って胸を張って答えたところまでは良かった。
 ところが、司会者に「で、相対性理論って、どんな理論なんで?」って突っ込まれて絶句。
 理科系の人間としちゃ、相対性理論も不確定性原理も分からないで、SFを書いて欲しくないよなー。

(37)『あどけない悪魔』(光文社より1986年9月20日刊)
(38)『妖精の罠』(光文社より1987年3月20日刊)
(39)『美貌の悪魔』(光文社より1987年7月20日刊)
 この3作はシリーズ作品で、警視庁捜査一課の倉岡正明刑事と、立花美穂、黒川百合という2人の女子高校生が活躍するミステリー。
 サブ・タイトルが「ロリコン刑事と野次馬探偵団」と付いているように、この倉岡が猛烈なロリコンで、つい、この女子高生の1人・百合に手を出してしまう。(今なら当然、懲戒免職だ)
 そういう話はサブの設定で、ユーモア・ミステリーの体裁を採っているけれども、かなりトリックに凝った本格物のミステリーにもなっているのだ。
 現在は3作とも絶版になっているが、光文社電子書店でダウンロードして読めるし、面白さは折り紙付きなので、是非とも一読を!

(40)『対決! 怪盗ルパンソン』(ポプラ社より1993年3月20日刊)
 これは小学生が対象の作品なので、平仮名表記の“わかさき・けん”名義。
 ちょうど自分の子供が小学生だったので、ポプラ社に企画を持ち込んで書いた、児童物だけれども、本格ミステリー。
 身代金誘拐事件なんだけれど、誘拐されたのは、1匹1000万円の錦鯉が3匹で、犯人はタイトルどおり“怪盗ルパン”の子孫だと称する、怪盗ルパンソン、という物語の設定。
 それを、地元所轄警察署の署長の娘や孫が中心となって結成した“子供探偵団”が見事に解決するのだ。
 これは絶対に面白い話。
 そのことは、このホームページに続きの第2話を載せたので、それを読んでもらえば体験できるはず。
 読み終えたら、ぜひ掲示版に感想を!

(41)『誘拐犯はエイリアン?』(ポプラ社より1993年6月20日刊)
 これは、小説ではなくてゲームブック。
 主人公は、血を吸うことを止めて、トマト・ジュースの代用品で辛抱するようにしたので何とか昼間も生活できるようになった吸血鬼の親娘。
 小学生には面白いはずだけれど、大人が読んだら、ちょっと食い足りない感想を持つかも。

(42)『コバルトブルー誘拐事件』(秋元書房より1977年11月31日刊)
(43)『ダークブラウン強奪事件』(秋元書房より1977年12月25日刊)
(44)『グリーン予告殺人事件』(秋元書房より1978年4月30日刊)
(45)『スカイブルー失踪事件』(秋元書房より1978年7月10日刊)
(46)『ワインレッド殺人事件』(秋元書房より1978年10月10日刊)
 ジュニア・ミステリーだけれども、紛れもない本格推理小説。
 主人公を少年にして、なおかつ事件捜査の権限を持たせるために、超天才でアメリカで飛び級に次ぐ飛び級で大学を卒業、司法試験も合格して検事になった、という苦肉の設定をした。
 それでも、取り上げた事件は、いずれも奇々怪々で、絶対に読者の満足を得られる出来になっている。
 編集さんから、けっこう「子供の時に、あのシリーズ、読みましたよ!」と嬉しそうに言われて、歳を感じることも非常に多い。
 そりゃそうだよなあ、20年以上も前の作品だもの。
 古書店でも滅多にお目にかからないかれど、もし見つけたら、ぜひ読んでみて。
 シリーズ物だけれど、1話完結になっているから、どの巻から読んでも、それほど困ることはありませんぞ。

(47)『盗まれた結婚式』(集英社より1978年11月20日刊)
(48)『盗まれた超高層ホテル』(集英社より1979年3月20日刊)
 上記の秋元文庫のシリーズよりも、やや年齢を高く設定し、早乙女薫・都筑史朗という若い男女コンビで難事件を解決するミステリー。
 トリックも相当に高度な本格物なので、古書店ででも発見したら、ぜひ読んでみて下さい。
 あんまりヒットしなかったので、2作で打ち切りになったけれど、今の出版不況から見ればヒットと言える程度の部数は出た。
 先輩作家からは「ジュニア物で、あんな本格トリックを使っちゃ勿体ないよ。ジュニアの頭の程度じゃ、あんな難解なトリックは解けないよ」とも言われた作品。
 まあ、当時は、トリックなど、いくらでも考え出せる自信があったので、ジュニア物といえども手を抜かなかったんだけれど、それが先輩作家の言うように、結果的には間違いだったのかも知れない。
 世の中というのは、とにかく皮肉にできているもの。