無縁坂 〜森鴎外『雁』〜

講安寺から無縁坂を下る。
無縁坂

『御府内備考』に、「称仰院(しょうこういん)門前通りより本郷筋へ往来の坂にて、往古坂上に無縁寺有之候に付右様相唱候(あいとなえそうろう)旨申伝……」とある。
団子坂(汐見坂とも)に住んだ森鴎外の作品『雁』の主人公岡田青年の散歩道ということで、多くの人びとに親しまれる坂となった。その『雁』に次のような一節がある。
「岡田の日々(にちにち)の散歩は大抵道筋が極まっていた。寂しい無縁坂を降りて、藍染川(あいそめがわ)のお歯黒のような水の流れ込む不忍の池の北側を廻って、上野の山をぶらつく。……」
坂の南側は、江戸時代四天王の一人・康政を祖とする榊原式部大不輔の中屋敷であった。
坂を下ると不忍の池である。
不忍の池の面にふる春雨に湯島の台は今日も見えぬかも
岡麓(本名三郎・旧本郷金助町生まれ1877〜1951・墓は向丘2丁目高林寺)
不忍の池の夕景

大正4年12月6日、竹久夢二は笠井彦乃と池の端から無縁坂を上る。
12月6日
池の端へ出て
岩崎のうら道からまた大学の裏門へ出た。
しづかにさようならをした。
ほんとに何気なく。
Sheは門のうちへheは左へ折れた。
そこにお家騒動でもありさうな門がある。
またあつたのだ。
『夢二日記』(大正4年)
無縁坂といえば、さだまさしの「無縁坂」。
「無縁坂」がTVドラマ「ひまわりの詩」の主題歌とは知らなかった。
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