水道フッ素化の真の狙い
フッ素公害隠し、アメリカ産官学癒着の実体

フィリップ・ヘーゲン(1999年4月)    
翻訳・解説・脚注 村上 徹(医学博士)

訳者まえがき

 本編は、アメリカのフッ素問題研究家フィリップ・ヘーゲン氏の評論"How We Got Fluoridated"の全訳である。原著はインターネットサイト“http://www.rvi.net/fluoride/howplain.htm”に掲載されており、この翻訳は氏の承諾の下に行ったものである。

 私は、この3、4年来、努めて世界中のウェブ・サイトから発信されるフッ素問題に関する情報を時間が許すかぎり丹念に見てきているが、最近の充実ぶりは目を見張るばかりで、まるでこの問題だけの月刊誌が2、3新規に発刊されたかのような感がある。それだけこの問題について人類的な立場から危機感を抱き、自ら情報発信している人が多いわけだが、残念ながら、これは全て英語圏の話であって、わが国となると状況は全く異なる。環境ホルモン等を別にすれば、私が知るかぎり、フッ素を含めて有害化学物質の毒性について情報をもたらすインターネットの大規模なサイトなどは極めて少ない。その癖、サリン事件(サリンはフッ化物である)やヒ素中毒事件などが起こると、ヒ素やフッ素という毒物に関する基本的な情報の提供もないまま、ヒステリックな騒ぎだけがマスコミを覆い尽くす。まことにわが国の報道の世界は底が浅い。

 しかし、フッ素の毒性を隠蔽してひそかに巨悪を企んでいるのは、別にカルト教団だけではない。むし歯予防の名の下に、水道フッ素化やフッ素洗口を推進する(予防に熱心として賞賛されがちな)一部の歯科医師らも、ひょっとするとその片棒担ぎの一人かも知れないのである。オウムの教祖の命令に盲従した医師や化学者を非難するのは、急性中毒が殺人という明確な犯罪となって現れているだけにたやすいが、アメリカ公衆衛生当局の戦略的ドグマを盲信してフッ素によるむし歯予防を推進する行政や歯科医師らを批判するのは、慢性中毒が他の病気(例えば、ガンや関節炎など)に紛れ込むだけに、因果関係が複雑で容易ではない。

 そう言うと、直ぐさま次のような反論が来そうだ。その一つは、オウムは私的ドグマに支配された宗教集団であるが、アメリカの公衆衛生局はれっきとした国家の大機関である云々。しかし、ことフッ素の安全性に関しては、大企業の利益にのみ奉仕するこの連邦機関は国民として少しも信用できないというのがアメリカのフッ素批判者共通の確信であって、過去50年にわたる論争の過程で次第に顕わになりつつある事態の輪郭は、薬害エイズをひたすら隠蔽しようとしたわが国の厚生省より、はるかに悪質で異常である。本編も勿論こうしたスタンスから書かれているのは言うまでもない。

 特に最近の海外の動きで強く目をひくことは、この機関が強引に推進する「フッ素化信任委託法」(フッ素化の安全性については、自治体が一々リスクアセスメントなどすることなく、連邦政府に全部を信任委託することを州法で定めるという法律)に対する市民らの強い反感であり、これをきっかけに、多数のアメリカ国民が、なぜそんなことまでして政府はフッ素化を推進するのかという、この運動の背後に潜む不条理について何事かを知り始めてきた機運である。

 この動きは端的に、マサチュセッツ州ネイティックタウンやオーストラリア、ブリスベーン市の自治体当局が公表した水道フッ素化を拒否する詳細なレポートにも表れているが、この機運はイギリスでも強くなり、メジャー政権以来政府が推進してきた全国の水道をフッ素化する計画を一時凍結し、フッ素の毒性について何年かかけて詳細な評価を行おうとする所まできた。

 私は欧米の友人たちとこの問題の話をする時には、当局のフッ素政策をよく「ベルリンの壁」に譬えるものだが、これらの動きは、壁の存在を嫌悪する市民がやっとその周囲に集まり出したというところであって、まだ多数の者が攀じ登って鶴嘴を振るうところにまでは至っていない。

 このままゆけばアメリカやカナダでは、おそらく今後数年の間に、政府や行政当局、さらにフッ素入り歯磨剤メーカーなどに対する集団訴訟が続出するだろうが、その過程でフッ素行政の背後に潜む権力者の巨悪に気がつけば、市民の怒りはおそらくタダではすむまい。
 その巨悪とは何か。それをここで簡単に言うわけにはゆかないが、本論に出てくるメロン財閥の統帥であったアンドリュー・メロンやオスカー・ユーイングのような、アメリカのエスタブリッシュメントたちが利益追求の過程で行った諸々の背徳的行為と、それと結託した衛生官僚の腐敗によるものとだけ言っておこう。日本の田中金脈などは、これに比べれば児戯に等しい。

 ここでそのエスタブリッシュメントたちが深く関与するアメリカの大企業という存在について若干の解説をしておこう。

 この大企業こそ、ミリタリー・インダストリアル・コンプレックス(産軍複合体)と言われる軍需産業に他ならない。こうした企業は、枝葉のものまで入れると全米に約2万社あると言われているが、こうした企業群がアメリカの経済を支え、パックスアメリカーナの力の核心をなしているのも言うまでもない。だからこそ、これらの業態を発展させるのがアメリカの「体制」なのであり、これに歯向かう人間は、誰もが「反体制」とされるのだ。
 国際ジャーナリストの落合信彦氏は、これについて次のように書いている。

「伝統的に言ってアメリカには常にひとつの“力”が支配的であった。歴代大統領といえどもこの“力”に歯向かうことは不可能だった。そして、その“力”は第二次大戦後、特に顕著に台頭してきた。これが俗に言われる“産軍複合体”(ミリタリー・インダストリアル・コンプレックス)である。(略)この“力”の手足として情報、諜報活動をになったのがCIAである。1950年代後半になるとこの“力”は一種の独裁的要素を発揮し“見えない政府”として君臨し始めた。アイゼンハゥワーはその大統領職を去るにあたり、その最後のメッセージの中で、“産軍複合体”の危険性についてアメリカ国民に警告を発した。彼はその影響力は「あらゆる町、あらゆる州政府、そしてあらゆる連邦政府の機関にまで達している」とさえ言いきっている。(二人の首領・集英社文庫・20-21頁)

 落合氏によれば、ジョン・F・ケネディ大統領も、その弟の司法長官ロバート・ケネディも、軍縮政策に本腰をいれ、この牙城を脅かしたからこそ暗殺されたという。この体制は、自らに刃向かう者は自国の大統領すら暗殺するのだ。
 この体制を守るためには、アメリカはどうしても、十年に一度位は世界の何処かに爆弾の雨を降らせ、武器を消費しなければならない。しかし、軍需品や人工肥料の製造とともに激増するフッ素性廃棄物は、どこかに安全に投棄しなければ、企業そのものの存在が危うくなる。そこで比較的安全な濃度にうすめて全世界の水道水に混ぜて消費するほか、様々の薬品にして歯科医師らに使用させるのがよい。その名目は、「フッ素はむし歯を予防する必須元素だ」ということにする。

 しかし、科学者や市民のなかには自由な魂をもつ厄介な人種がいて、真実を述べることに命懸けになる奴がいる。この人種は、アメリカが自由主義国家を標榜する以上、そう簡単に暗殺するわけにはゆかない。このためには、政治や諜報活動の常套手段たるディスインフォメーション(攪乱情報、偽情報)作戦をとり、彼らを封殺してゆくのが得策だ、ということになる。
 前記の落合氏によれば、こうしたディスインフォメーションとは、

「普通虚偽の情報や煽動的デマで敵を攪乱することを言うが、諜報界においてはその意味合いがはるかに複雑かつ深いものとなってくる。ニセの手紙、ニセの写真、ニセの書類など、敵を攪乱するためならあらゆる偽造テクニックが使われる」(21 世紀の演出者たち、CIA vs KGB。集英社文庫、15頁)。

 フッ素問題の混乱とは、まさにこの攪乱情報が、一見、学術的な論文の衣をまとって科学の世界を跋扈する事によって起こっているのだ。フッ素毒の被害を受けた患者について次々と論文を発表していた当時最高のアレルギーの専門医、内科医ジョージ・ウォルドボット博士の家に入り込んで数日間彼と起居を共にし、その事実を作ってから、ウォルドボットの研究方法について露骨なデマ文書をアメリカ歯科医師会雑誌で全世界に流したドイツ人保健官僚のホルヌング(ウォルドボット博士はドイツの移民だった)などは、まさに彼を人格的に抹殺(キャラクター・アッサシネション)するため当局が植えこんだディスインフォメーション作戦のスパイであったのは疑えない。そして、この目でみると、アメリカ政府から研究資金を貰って、「虫歯予防に使用するフッ素は安全である」と軒並み同じような結論を下している一部の口腔衛生学者らのいい気な論文の類は、みなその疑いを免れないのだ。
 最近日本でも話題になったアメリカ厚生省の"フッ素の効用とリスクに関するアド・ホック委員会報告"なども、その一つの典型であろう。さすがに露骨なデマが通用しなくなった現在、その手口も非常に巧妙になってきているので、これなどはどこから見ても、立派な学術的レポートとしか思えない体裁になっていて、フッ素の毒性についても最近の情報に言及したりしているももの、よく読めば論旨が矛盾撞着し、とても論文といえるような著作ではない。
 このように考えると、フッ素研究とは、こうしたディスインフォメーションと、真実の科学との対決の場であるとすら思われてくる。これらについては、今後機会を見て逐次紹介して行くつもりである。

 世界でも指折りのナイーブな国民性の日本人には、以上のようなことはとても理解できにくいかも知れない。しかし、これが世界で現在進行中の出来事なのだ。科学をとんでもないことに利用するのは、何もナチやオウムばかりではない。

 本論の中で解説があった方がよいと思われる箇所には、訳者である私の手で、出来るだけ詳しい注釈をつけてみた。読者の参考になれば幸いである。更に詳しい情報を得たい方はそれぞれの箇所に記した文献やインターネットのURLにアクセスして頂きたい。

 最後になったが、ここで原著者であるフリップ・ヘーゲン氏について紹介しておきたい。私の要請に応じて氏が送って下さった自己紹介の一文は下記の通りである。氏の真意を直接伝えたいため、これは敢えて翻訳せず、これはそのまま掲載させて頂くことにした。翻訳を許可して下さったご好意と共に、ここに改めてお礼を申し上げる次第であある。

Biographical self-introduction

In the 1960s and early 1970s Philip Heggen worked at the University of Washington and in public school districts in four states with a special interest in intellectually gifted and talented children. In the late 1960s he became president of the Northwest Gifted Child Association. Research and observations had indicated that the higher mental processes are most easily damaged by high body temperatures, poor nutrition and by neurotoxins.
It became recognized that fluorides used for treating water are neurotoxins and, as such, pose a special threat to our higher mental capacities. This led to further research and writing on this important subject.

Philip Heggen
http://move.to/stopfluoride][http://www.rvi.net/~fluoride/

 それでは、このフッ素問題という異常な論争の一局面を、あなた自身の目で直接お確かめあらんことを。
(村上 徹)

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