水道フッ素化は医療倫理に違反し、人権侵害である

著者・博士・ロバート・カールトン*、ダグラス・クロス**
翻訳・医学博士 村上 徹

原著初出誌・ International Journal of Occupational and Envilonmental Health 2003;9:24-29
(国際職業環境保健雑誌第9巻24-29頁、2003年)
発行所および住所・Abel Publication Services, Inc.
1611 Aquinas Court Burlington, NC 27215 USA

* 元合衆国環境保護庁本省専門家ユニオン委員長 博士
** 生態学者

翻訳初出  フッ素研究第22号52-60 平成15年11月


概要
水道のフッ素化に広く使用されているフッ化珪酸は、医薬としては未承認の物質であり、インフォームドコンセントや資格ある臨床医の監督なしに多数の住民に投与されている。水道フッ素化は、その信頼性や特性の試験に失敗しており、毒性試験を欠いたままこれが使用されているのは、医学研究としては違法であるとの要件を構成する。
フッ素化はヨーロッパの大部分の国では中止されており、EUの人権に関する法律はこれを非合法としている。フッ化珪酸は、いまだかつて一度も合衆国食品薬品局(FDA)に対して、薬品として承認申請がなされたことがない。フッ素化政策の妥当性は、ニュレンベルグ綱領や、1999年に結ばれたヨーロッパの医・生物学に関する協定を含む医療倫理の吟味には堪えることができない。
合衆国においては、健康への憂慮を蹂躙するために警察権力が使用されており、保健行政に屈従する法廷が、それを支持しているのである。

キーワード:水道フッ素化、フッ化物、フッ化珪酸、医療倫理、人権


水道フッ素化とは、飲料水中に自然に含有されているフッ素を、化学物質の添加でさらに1mg/L(1ppm)にまでひきあげようとする方法であり、そうすれば住民の虫歯の頻度が減らせるという信条で行われているものであるが、これについては現在なお論争がある。
この手段は、1944年に合衆国で開始されたが、これは国立歯学研究所の初代所長であるH・トレンドリー・ディーンらの不確実な観察にもとづいて実施されたものである。ディーンらはアメリカの南西部諸州の子どもたちに、飲料水中のフッ素濃度と虫歯との間に逆比例の関係があることを観察した。ここから、幾つかの給水施設は「フッ素が欠乏した」状態にあり、フッ素を添加して補正すれば、公衆衛生的手段として虫歯を減らせるという考えが生まれた。
  
フッ素化が開始された当初は、フッ化ナトリウムが添加されていたのであるが、現在では、主に燐酸肥料工場の廃液であるフッ化珪酸が使用されている。この粗雑な産物は、およそ25%のケイフッ化水素酸を含有する猛毒の有害廃棄物であり、その廃棄は企業にとっては非常に高額な費用を要する。このような訳で、この物質が、当初使用されていたフッ化ナトリウムの代替え品として使用できるという提案は、企業にとってじつに珍奇かつ絶妙な解決策を提供することとなり、給水を通じて公衆に「投薬」するという大儀名分のもとに、この施策の不幸な扉を開けることになってしまったのである。

一方、フッ素入り歯磨き材の成分は、名目上は「摂取してもよい」(原文のまま)薬品として登録されているが、フッ化ナトリウムであれ、ナマの廃棄物であるフッ化珪酸であれ、またはそれを精製した「塩」であれ、合衆国では一度も認可が与えられたことがない。イギリスではフッ化ナトリウムは摂取可能な薬品として認可されたことがあるが、それでもフッ化珪酸は認可されてはいないのである。すべての医薬品には公的な認可が必要であり、製造過程における品質管理および安全性の試験、ならびにその投与に際しては、患者保護を目的とする極めてきびしい医療倫理が要請されている。しかし政府、ことにアメリカ合衆国政府は、この極端に毒性がある物質を、このような安全性の試験や、製造過程における品質管理や投薬に際しての患者の特異性を医学的に監視することもなしに、無認可の医薬品として使用することを許しているのである。このような消費者保護の欠落が、倫理や法的な点で問題を起こすのは明らかであろう。

背景と目的

フッ素論争は、現在では一般的に、医学、歯学、政府の行政と、これに反対する科学者個人、医療の専門家、関係する市民という二つの陣営に分れて闘わされている。本稿の目的は、この分極した陣営のどちらが正しいかを決定しようとすることではなく、惹起している問題に対して、何が問題なのかを完全に明らかにすることにある。我々はフッ素化を強制することの倫理的基盤の検討とともに、これに当然伴うところのフッ素化された飲料水の摂取の強制がひき起こす人権侵害について検討する。
現在の科学的医学的証拠は、フッ素化はその有効性がきわめて疑問であって信頼性がなく、潜在する危険性と、いまだに量的には未知な副作用とが、この手段が予防的処置としては不適当であることをあらわにしている。もし、これが医学的処置として登録されたものだとしても、様々な害作用のエビデンスの猛攻により多くの薬物が回収されたのと同様に、フッ素化もただちに無くされるべき性質のものである。

議論・アメリカ合衆国およびイギリス政府が、今なお、より多数の人間をこの物質に曝露させることを決定し、フッ素化を正当とするデータをより多く集めるのを希望しているのが明らかな以上、フッ素化は、事実上、「医学研究」として再度分類されるべきであり、その研究活動が不適切に行われるようなことがないかどうか、公衆保護を目的とする明白かつきびしい倫理的手続きで拘束されてしかるべきだ。我々は、公共部門が医学的干渉(訳注:強制的な医療処置を行うことと理解されたい)を行うことの倫理的基盤を検討したあと、本論文の後半において、このテーゼを考察する。

投薬と人権

フッ素化が倫理的に問題だという意見は、究極的にはニュレンベルグ綱領にもとづいている。この綱領は、人間を対象とする近代の医学的研究や治療のすべての基盤として制定された。これにひき続く医療倫理の諸規定は、その由来がすべてこの文書に根ざしている(1)。それらの様々な規定において、たとえ言葉づかいが異なっていようと、それらが具体化しようとする基礎的な要点はすべて同じである。すなわち、医学的研究や、日常的な医療処置においてさえも、それらは対象となる者の自発的な協力のもとに行われなければならず、さらに被験者は、それがもたらす危険性と利便とについて十分に告知されなければならない、ということである。

医療倫理は、疑いもなく明らかに、国家の行為より個人の意志を優先させることを要求しているのであり、それなくしては、公衆の健康への憂慮が広く起こるのも当然である。国家の利益が個人の意志を抑制しても、なお合法的でありえるのは、その個人が他者の人命を危うくする虞れがあり、かつ、麻疹やラッサ熱のような伝染性の疾患を有していながらその者が治療や隔離を拒否するような場合である。虫歯はあきらかにそのような疾患ではない。それにもかかわらず、国家は依然として新聞報道を通じて「国家の権力」を強調し、フッ素化は完全に無害だと主張しているのである。

フッ素化は医術か

医療倫理における討論の核心は、投与される物質の性質にある。フッ素化に使用される物質が薬物であることは、幾多の国家で挑戦されはしたものの、明白である。例えばイギリス政府の規制当局である薬物コントロール庁(MCA)は、フッ素化された飲料水は薬物ではないと主張する(2)。合衆国の戦略は、フッ素が薬物であることを否定することではなく、投薬を統治する法律をフッ素化に適用することを拒否するところにある。

大抵の国家は、医薬品の構成に関する定義を有している。EUにおいては医薬品の定義は、2002年2月以来、「製剤指針2001/83/EEC」によって定められてきた。その第1条では次のように定義している。

人間や動物の治療および予防のために供せられるすべての物質または物質の結合したもの。

それがどのような物質であれ、人間や動物に対して疾病の診断や回復、すなわち、人間や動物の生理機能の改善もしくは修正を意図して投与される物質もしくは物質の結合物は、すべて医用産物と見なされる。


これはアメリカの食品医薬品局(FDA)の定義と殆ど同じである。

フッ化物は、それが人間や動物の疾患の診断や治療、処置や予防に使用される場合には、FDAの規制にかかわるところの薬物になるのである(3)。

従って、合衆国においてもヨーロッパにおいても、フッ素化された飲料水は、国自身の規定によって、医薬品として考えられなければならないのは明らかである。その安全性や有効性に関する科学的医学的論争の一切を顧慮することなしにである。
しかし、イギリスやアイルランドのフッ素化の推進者にとっては、 EUの指針にある「供せられる」というわずか1語の含意がはなはだ重要である。もし、ある製品が、ある医学的状況において有益な効果をもたらすかのように世間に対して言われるのであれば、この指針で使われている用語のもとでは、その有効性に関して科学的医学的にどんな論争があろうと、それとは一切無関係に、その物質は医薬品となるのである。.

医薬品の安全性試験

医薬品はその安全性が試験されなければならず、製薬の使用に対して適用される規制の基準には従わなければならない(4)。その「法律および指導」には、「有資格者のための実施要項」と「有責任者」に対する指導とが包含されている。そして、企業でこの仕事に従事する者には、厳密な専門的なガイドラインと免許とが規定されているのであるが、多くの場合、フッ素化に使用する化学物質の製造企業の従事者には、そのような有資格者はいないのである。我々が知るかぎり、MCA
(訳者による脚注:1)は このような医用物質には欠陥があるというクレームに対処してきていない。そして「フッ素化飲料水は医薬品ではない」と主張して質問をはぐらかすのが普通であり、どんな場合でも、苦情を受理しようとはしないのである。同様な規則はアメリカでも適用されている。

合衆国では、いまだかつて一度たりともフッ化珪酸の安全性試験はされたことがない。合衆国のフッ素化で90%以上も使用されているフッ化珪酸およびケイフッ化水素酸の科学に関する上院の委員会でのカルバート議員への回答のなかで、環境保護庁は次のように述べている。


事実関係に即して収集したデータの中からは、環境保護庁は、この化学物質に関する慢性研究を見つけることができなかった(5)。

FDAはこう述べている。「フッ素を摂取させるための新薬の申請に対しては、承認もしくは拒否が行われたことは一度もない」(6)。

合衆国の民間団体であり、飲料水を処理する化学物質の承認に当たっている全国衛生財団は、カルバート議員にあてた書簡の中で、「ケイフッ化水素酸塩やフッ化珪酸を用いることの是非に関して、参考となるような研究を提出してきた企業はひとつもない」と述べている(7)。

しかし、フッ化珪酸は、これまでにヨーロッパでは試験されてきており、それも安全性の基準に合格しないため、殆ど全世界的にその使用が拒否されてきたのである。従って、殆どのEU諸国ではこの使用が中止されている。フッ化珪酸溶液には汚染物質としてヒ素も含有されており、ヒ素汚染なしにこれを水道水に添加することは不可能である。そしてヒ素は、よく知られているように発ガン物質なのである。

かくして、フッ化珪酸を製造しこれを医薬として使用することは、すべてのヨーロッパ諸国や合衆国では違法なのであり、これはおそらく、如何なる国家でも同様であるのに違いない。

国家による医学的干渉

1999年に締結された生物学および医学を人類に応用する際の人権保護を目的とするヨーロッパ協議会協定書の第2条(以後、便宜上これを生物・医学協定書とよぶ)は、純粋な科学上や社会上の興味より個人の優先を断言しており、これは医学的状況への対処のために化学物質を曝露させるに場合には、国家の目的より個人の希望の優先を確立したものである。ある個人が虫歯の処置(どのような形式の処置であれ)を希望しないことを選んでも、そのために国家の公衆衛生に対しては危害を及ぼすことはなく、そうである以上、フッ素化を課することは第2条の対象となり、個人の同意に従うべき事となるのである。

「干渉」という用語には、予防目的の行為を含むあらゆる医療行為が包含される。そして全ての干渉は、一般的に、専門的な指導管理のもとに法律と整合して実行されなければならないのである。

第3条は、個人の医療上の必要性と整合した保健ケアが、公正になされるべきことを目的としている。そして「保健ケア」には、人間の健康状態や苦しみの軽減が維持もしくは改善されるように計画された予防的干渉までが包含されているのである。このケアは科学の進歩に照らした基準に合致していなければならず、持続的に施行される質の評価にも従わなければならない。

フッ素化の場合は、個人の医学的な状況を無視して住民全てに〔フッ素の摂取が〕強制されるのであり、一例をあげれば、住民のうちの特に高齢者に普通に見られる歯のない人たちにも強制される。また、フッ素化は、高濃度のフッ素を含有する歯磨き剤や、フッ素添加水で調理された加工食品などの水道水以外からのフッ素の摂取について、少しも顧慮するところがない。

そして、これが決定的なのであるが、フッ素化は、フッ素の毒性に過敏な人たちが、曝露をさけるためにこの摂取を制限しようとするのも許さない。アメリカ環境保護庁は、フッ素に過敏な者をリストにしているが、その中には、高齢者:5千2百万人、心・血管病患者:2千2百万人、腎疾患患者:2百万人、ビタミンC欠乏者:〔総人口の〕27%、マグネシウム欠乏者:37%、カルシウム欠乏者:44%などが含まれている(8)。

さらにフッ素化は、この医薬を無規制に摂取することによって惹起する患者の反応を、これらの患者の主治医が監視することも許さない。かくして、フッ素化は、医療のうえで、予防措置と患者保護のために、有資格の臨床医師らに明確に要請されている基本的倫理を欠いた投薬の乱用となるのである。であるからこそ、生物・医学協定書の条文に説得力があるのであり、欧州議会
(訳者による脚注3)のアイルランドのパトリシア・マッケナ議員が、最近とくにこの第5条に言及して、アイルランド政府にこの協定書の批准を求めたのも、これが国家に対して、フッ素化という非倫理的な政策の廃止を強く迫るために使用できるからである(9)。

しかし、医療倫理の蹂躪はこれだけでは終わらない。公衆に対するフッ素化の行政に関与する者は、この協定の定義によれば、すべてが「保健ケアの専門家」なのである。一般に、医師や保健ケアの専門家に対して適用される第4条は次のように述べている。

医師および一般的な医療行為に加わるすべての専門家は、絶対的に合法かつ倫理的であらねばならない。これらの者は注意と適性を以て行為しなければならず、各患者が求めていることには、注意を傾注しなければならない。

適性は、第一に、その専門家としての、もしくはその時限での専門性に従って決定されなければならない。その基準は 必ずしも、規定された一連の行為だけが唯一の可能性ではないことを受容する。正当と認められる医療は、もちろん、幾つかの形の介入を許容するものであり、従って手法や技術のうえで、ある程度の選択の自由を残すものである。

さらに、特定の一連の行為は、その患者によって惹起される保健問題の特殊性の光りのもとで判断されなければならない。特に介入は、採用される医療の目的と手段との間の関連性と調和との基準に合致しなければならない。


フッ素化水を公衆に供給することに関して様々な責任を負っている部署は、それが民間であれ公共のものであれ、その取り扱いは、医療や臨床の上で何の資格も経験もない技術者やその共同作業者によってなされている。そうした彼らは、その飲料水を消費する各個人(もしくは、各患者と分類すべきであろうが)の医療の記録にアクセスせず、法律上そうする権利もなく、公衆に対する投薬の提供を命令できないのは、それを許可する国家自身その埒外ではない。

また、彼らには、公衆の各者に対しての処置の選択肢が適切かどうかを決定する資格もない。医学的処置に対する権利には、衛生の公共的利益の蹂躙がない時にはその処置を拒否する権利も包含されているのであるから、このことは、個人が適切な医療処置に関して有している権利への重大なる侵害になる。たとえ各個人が、それに同意していてさえもである。

かくして、生物・医学協定書の同意のもとでは、フッ素化という施策は、明らかに非倫理的になる。それは認可されてもいず、住民の大半が臨床的にはまったく必要としてもいない物質を用いながら、特定の患者個人は放置されっぱなしになる。投薬そのものも医学的資格を有しない人たちによって管理され、医療倫理や実地医療の職業的規約にも従わない。また、投薬される物質も、世界的に製薬産品に要求されているGMP
(訳者による脚注:2)基準に合格しておらず、今日繁用されておりながら、そのじつ安全性に関する臨床試験は一度もなされたことがないのである。

投薬に関するインフォームドコンセントの問題

このコンセント
(訳注・同意)に関する問題は、飲料水フッ素化に関する倫理的論議の中核をなしている。協定書の第5条は次のように述べている。

〔インフォームドコンセント〕は、国際レベルにおいてすでに十分確立されたルールであり、個人の同意なしには、誰も原理的に干渉を強制されることがない、という事を断言するものである。人間は、その人個人への干渉に対しては、それが何であれ、同意することも拒否することも自由であらねばならない。

第5条における「干渉」という言葉は、最も広い意味で理解され、すべての医療行為をさし、そのなかには予防ケアを目的とする如何なる行為をも包含するのである。すべての干渉は、指導の専門的なルールで補正または拡大される際には、一般的に法律と整合して実行されねばならない。フッ素を飲料水に添加することは万人に適切だとはいえず、この除去を希望する障害ある人たちは、特に他の住民よりこのために著しい不利を被る。このような場合に倫理的に是非ともなさねばならないことは、医学の介入を積極的に要求することであり、それなしで済ませることではないのだ。

この協定書の「同意」の定義は、先に言及したアメリカ医師会のそれと極めて近い対応をなしている。

患者は、彼らが理解できるように使われる用語を通じて、それがもたらす危険性や不快や痛みなどに対する術式の目的や方法の必要性や有用性等を品評できる立場におかれなければならない。そしてその同意は、フッ素化やその代替えとなる選択肢がどんな性質のものであり、かつ又それがどのような結果になる可能性があるかについての受け手の理解に基づかねばならないのである。そして、フッ素化の受け手は、保健の専門家から、それに関連するすべての事実を、リスク(それにはまた各患者の個人的特性、たとえば年齢や他の病気の有無などといったこと等に関連するリスクの十分なアセスメントも含まれる)を含めて告知されなければならない。

フッ素化の場合、このような行為は、これまでなされたことも計画されたこともなかったのは明らかであり、そうである以上、インフォームドコンセントなどは到底不可能である。国家は、各個人の代表者に、このような決定を押しつける権限それ自体を有していないのである。

インフォームドコンセントを欠いた医学的悪策による干渉

国家が医学的干渉を行う場合は、曝露を受ける者はすべて患者とみなされ、それが彼または彼女の完全な権利と調和しなくてはならない。それがない場合は、その施策は、医学的には悪策となる。しかし、公共上水道のフッ素化にあたっては、いまだかつてその目標地域に住んでいる人たちやそこを訪問しようとする人たちに対して、直接的にであれ個人的にであれ、国家や様々なレベルの医学的機関から、フッ素化によるものとして知られている副作用に直面するおそれがあるリスクについて知らされたことは一度もない。

このような情報の完全な開示の必要性は、フッ素化の提唱に著しい困難をきたすであろう。それは保健行政の代表者らに、その目標とする地域の住民すべてに対して、リスクの説明を要求する。ある干渉に同意する自由は、また、その同意が如何なる時でも取り消せることも要求する。しかし、フッ素化の場合は、一度この物質の曝露を受けたが最後、これを除去することはうまくできない。飲料水中のフッ素の約半分は、体内、とくに骨組織に、永久に貯留するのである。

現在の技術では、この物質が吸収され、一旦、組織内に組み込まれると、除去することができない。従って、反対者が同意を取り消してもその効果は不十分であり、一度たっぷりとフッ素の曝露を受けてしまえば、各個人は、後はその曝露を受けた期間の祟りに堪え続けねばならないことになる。体内に残るフッ素の作用を改善する見込みが全くないままにである。

第6条は、干渉に対して十分かつ明確な同意を与えることができない者、特に子どもと知的能力に問題がある者の場合について述べられている。この部分は次のようである。

未成年や知的に問題があって干渉に同意ができない時には、その未成年者の保護に当たっている両親や法的な代理人、また法律が認める団体もしくは個人の同意のもとに行われることもある。

実際上このカテゴリーにあてはまる人たちのケアに義務がある者(この中には子どもも含まれているのであるから、住民の大部分ということになるが)は、干渉を拒否する法的な権利がある。そしてこの権利は、また、国連の「児童の権利に関する協定」第12条によって保証されてもいるのである。国家による医学的干渉による曝露に対して法的な同意を提出できない者の権利の保護は、どこにおいても、現存する国際的な協定によって支援されている。「国連児童の権利に関する協定」は、特に次のように述べている。

(この協定に加わる)国家は、すべての形の・・・怠慢な処置、(または)悪質な処置〔第19条〕から児童を保護するための適切な処置のすべてを講じ、病気や、清浄な飲料水の支給を含む、栄養の悪化と闘うための適切な手段をすべて講じる〔第24条〕。

公共水道水を、子どもの将来を破壊しかねない〔フッ素という〕蓄積性の毒物で汚染させて供給することは、明らかに、この若い人たちの基本的な権利と全面的に背反する。また、国家が、「公衆衛生の基盤からフッ素の供給は絶対的であり、変更できない」としてフッ素化を施行しようとする逃げ口上に根拠を与える条項は何一つない。

かくしてインフォームドコンセントの問題は、法的な同意(すべての医学的定義における)を全住民から得ることができないために、またその全住民の中には、法的な保護者をとおさなければ同意を表することができない者が常に多数いるために、国家のフッ素化政策に対して重大な妨げとなる。

フッ素化と医学研究の倫理

フッ化珪酸の多数の住民のうえに及ぼす作用の研究は、その健康に対する合併作用の解明が不十分で、かつ、当初の目的である有効性に関してすら疑問が山積しつつある以上、あくまで医学研究とみなされなければならない。

このことは、医学研究の管理に関して包括的な問題を提起し、不当もしくは危険な研究から如何にして公衆が保護されるべきかという問題を提起する。人間を被験者とする全ての医学研究は、医学倫理委員会の監視と吟味のもとに、極度なまでに厳重な倫理綱領に従ってコントロールされるものである。生物・医学協定書の第15条は、すべての研究の科学的利益と研究計画の法的社会的倫理が独立して吟味され、それが独立した多くの学際領域の倫理委員会で遂行されることを要求している。その研究目的や方法、その結果の統計的解析などの細部にわたった詳細な記述は、吟味に先立って提出されねばらず、それらには、その研究の目的や方法の倫理的正当性が含まれていなければならないのである。

研究計画の倫理的正当性は、被験者に関してある科学的見解を有する実験者の独占的特権ではない。その研究の許可に際しては、その〔研究〕グループによる仮説とは逆の事実があることも考慮されなければならず、被験者に与えるかもしれない利益と危険性のバランスが考慮されねばならない。そして、実験者の主張とは逆の結果を示すような信頼性あるデータでその実施が疑問を受ける場合は、特にこれらが禁忌、つまり、その研究が当初の目的を超えて被験者の福利に著しい脅威を与えるような深刻な性質のものであることが明らかな場合には、これは医学的倫理の深刻な侵害となるのである。

合衆国における警察権力の行使

合衆国においては、フッ素化に法律的な疑問を呈することは、現在ヨーロッパで進展しつつある事態とはちがったアプローチをとることが多い。最近のバロッグ(10)や、グラハムとモリン(11)による包括的な報告は、合衆国で試みられてきたフッ素化に対する異議の様々な形の詳細な分析を示しており、言及された文献で読者はその詳細のすべてを知ることができる。バロッグの結論は、フッ素化を強行する際に警察権力を適用することに広範な異議がとなえられても、その法制化に際しては、「合理的な基盤」にもとづくという法廷の見解のため、異議を実行しえなくなってしまうことである。この場合、全ての立法は合法的であり、フッ素化は、要求される合理的な目的にかなっているという仮定がある。

しかしながら、この「合理的な基盤」なるものは、もし国家が個人の権利や自由を行使する市民の権利を侵害するときには適用はしないものである。虫歯は生命を脅かすものでも伝染性のものでもない以上、警察権力の行使は不適当であり、法廷の見解には、「厳重な吟味」と呼ばれるところの高度の基準が適用されてしかるべきである。

強制的な医療処置は、最高裁によって、「それは市民の自由の侵害を構成し、その場合には『厳重な吟味』のテストがより一層厳密に適用されねばならない」という見解が示されてきた。もし、法廷がこの基準を適用してきていたなら、合衆国のフッ素化法案は、「欲してもいない医療処置は免れることができるという憲法で保護された権利」を認めていないために、憲法違反だとされたであろう。

グラハムとモリンは、「フッ素化は有害であり、またその有効性は証拠によって支持されていない」という決定を下したアメリカの3件の重要な判例を論評している。その第三の判例は特に手厳しいものであって、裁判所は、

・・・フッ素化は、ガンやその他の人間の疾病を惹起するものの、虫歯を減少させる能力には明らかな疑いがあるという訴えを明瞭に支持している優勢な証拠にもとづく包括的な所見を記載した。

のである。〔強調著者〕

カールトンとハーッイは、ワシントンDCにある合衆国環境保護庁本省内の専門家のユニオンを代表して、1985年の飲料水中のフッ素の規制に際して政府が行った科学的虚偽について、これを問題とした(12)。グラハムとモリンも、フッ素化の発ガン性について政府がついた嘘を明らかにした。もし、独立した研究が、議会のしかるべき支持のもとにこれらの陳述を確認するなら、裁判所も、この政府の政策の再検討に、より一層柔軟となるにちがいない。

結論

我々は、インフォームドコンセントなしに医学的干渉から保護されるための基本的人権は、ニュレンベルグ綱領から本質的には何も変わっていないことを提議した。医学的措置にかけられる個人を保護するための全ての倫理綱領は、それが研究のためであろうと、日常的な医療行為であるとにかかわらず、基本的に自発的なインフームドコンセントを必要とするのである。

フッ素化が実施されている国々では、行政は、フッ化珪酸について、それを実用しても安全かどうかのアセスメントをかつて一度も行わず、これを医薬品または薬物として認可したこともなく、医薬品の生産、配達、投薬に際する厳重な品質管理の下においたこともない。これらのことは国法を著しく侵害し、医学的干渉が実施において従うことを要求される医学倫理を蹂躙する。

十分なインフォームドコンセントなしにフッ素化を予防的医学干渉として用いることは、国家が行う医学干渉、保健ケアに関して人権保護を目的とする国際協定の多数の条項の違反であり、医療として悪質なのは疑いがない。

最近のEUの広範な人権に関する立法は、明らかにフッ素化を非合法としており、イギリスやアイルランドのような国家がこれに従わなければならなくなるのも、これがヨーロッパ裁判所を通じての救済が求められている以上、時間の問題である。

合衆国でフッ素化を正当化する国家的政治権力の行使に反対する市民らの訴えの審査においては、すべての立法が当然合憲であると仮定する「合理的基盤」という劣位の基準を使用しているという異常を排除するため、違憲かどうかを決定する法廷では、「厳重な吟味」という基準の採用がテストされるべきである。政府の政策が故意の偏見と虚偽で支持されているという陳述は、〔国の権力からは〕独立して評価・究明されるべきであり、もしこれらが確認されるなら、法廷でのフッ素化に対する異議申し立てへの強力な支持となるであろう。

文献

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Institutional Review Board Guidebook. NIH, 1993.
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訳者による脚注1・MCA: Medicines Control Agency(医薬管理庁)。これは医薬品の登録等の管理に責任を有するイギリス政府の一官庁である.

訳者による脚注:2・GMP: Good Manufacturing Practice (高品質製造業務とでも訳すことができようか)。これは、化学物質の製造過程において、その製造物が、ある目的のために使用される場合には、その目的に合致した基準の一定の品質を保つためのシステムをいう。本文に即していうと、虫歯予防に使用されるフッ化物は、ある疾病の予防に使用される以上薬剤であるのは当然であり、そうである以上、品質のうえにおいて製薬業が従うことを要求される高水準の純度を保っていなければならなくなる。ところが、フッ化珪酸は、いうまでもなく、もともとがリン酸肥料製造工場の廃棄物であり、ヒ素や様々な重金属等の夥しい不純物を含有しているのは周知のとおりである。こんなものが薬剤として扱えないことはいうまでもない。従って、イギリス政府は、フッ素化に使用するフッ素が薬物であるという論理は絶対に認めようとせず、ただウソと強弁を重ねて全国のフッ素化を実施しようとしているのである。その姿は、崩壊前のソ連または現在の北朝鮮と全く同じで、としても自由主義思想にもとづく民主主義国家の保健政策とはいえないものがある。アメリカ、カナダ、イギリス等でフッ素問題が民主主義の問題となりつつなるのは、ここにもその一因がある。

訳者による脚注:3・欧州議会(European Parliament)については、我々アジアの人間は普段耳にすることが少ないが、これについて、在ストラスブール日本国総領事館が「欧州議会の概要」として、平成14年1月付けのインターネットで極めて適切な情報を提供しているので、以下にその一部を引用しておく。
URL http://www.strasbourg.fr.emb-japan.go.jp/japonais/institEurope/eu.html#TOP

1.沿革
欧州議会(European Parliament)は、欧州連合(European Union − EU)の議会であり、欧州理事会(各国首脳会議)、閣僚理事会(分野別に各国大臣から構成される決定機関)、欧州委員会(各国から独立した1名の委員長と19名の委員から構成される執行機関)、欧州司法裁判所等と並ぶEUの主要機関である。完全な立法機関ではなく、諮問機関的な性格が強いが、徐々に発言権を増してきている。
 1952年に設立された欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC)の活動の民主的コントロールを図る機関として共同総会(Common Assembly)が設立されたが、1958年の欧州共同体(EEC)及び欧州原子力共同体(EURATOM)の設立に伴って3共同体共通の機関となり、1962年からは欧州議会の名称を使用している。
 当初は、各国議会の議員が欧州議会議員を兼ねていたが、1979年からは、各加盟国別の直接選挙によって選出されることになった。議員の任期は5年で、選挙は各加盟国の選挙法に基づき行われ、直近では1999年6月10日から13日まで各国選挙法による第5回選挙が行われた。
 議員数は加盟国数の増加とともに増え、現在加盟15カ国で626名である。国別の割当は人口比を基本に決められており、現在の国別議席数は以下のとおり。ドイツ99、フランス、イタリア、英国各87、スペイン64、オランダ31、ベルギー、ギリシャ、ポルトガル各25、スウェーデン22、オーストリア21、デンマーク、フィンランド各16、アイルランド15、ルクセンブルグ6。


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