| 2001年10月号「bS83」QCサークル誌 特集「挫折とうまくつきあう」家作り体験記事 「手造りでマイホームの夢を実現」 |
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活タ川電機 杉井 隆造 |
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「妻に贈ったスイートテンホーム」 私は会社に勤めるかたわら、休日を利用して自分でマイホームを建てました。ツーバイフォー工法という、素人にも理解しやすく、施工にも特殊な技能を必要としない工法を選び、輸入住宅会社や役所への確認申請・資材調達をはじめ、基礎・電気・水道工事以外の全工程を自力で進めました。1997年3月から、土台から上の大工作業を始め、1年で棟上げ、2年で外溝完成、1999年秋に1階の内装を終えた段階で引越しました。今、2階で完成しているのは私の書斎とトイレだけです。しかもトイレのドアはまだついていません。2階のほかの部屋は洗濯干し場、大工作業場、物置、資材置場となっていますが、一家5人(現在は6人)で暮らすには十分です。何より大事なことは、この家は結婚10年を記念して私が妻に贈った「スイートテンホーム」であるということです。 「手造りマイホームに至るまで」 ’95年の春、子供も3人になり、住宅を検討し始めましたが、ローン地獄はいやでした。そこで、単純に「自分で建てれば人件費はいらない」と思い、妻に相談したところ「そんなに安くできるなら大賛成」と、簡単に賛同してくれました。その後、「日曜大工で我家を建てた」という本を読み、手造りマイホームを決心したのです。 「良き協力者」 プロでも家造りは大人数でやります。ましてや私のような素人なら、なおさらです。建築や不動産に詳しい建築局の友人、鉄製の足場を3年間無料で貸してくれた土建屋の友人、施工の要領を教えてくれた住宅会社の方、日常的な作業を手伝ってくれた私の父、妻の父、会社の後輩。また、子供達も床の釘打ちや土運びを手伝いました。彼らの協力がなければ、2年半での引越しは無理だったでしょう。 「手造りマイホームの効果」 経費削減を目的に始めた手造りマイホームでしたが、次のような予期せぬ効果もありました。@住宅コストが約半額まで下がると、住宅ローンに縛られることがないので、人生の自由度が大きく感じられ、心にゆとりができます。Aお父さんが家族ために頑張っているということで団結は強くなり、父親の存在は絶大なものとなります。アメリカの開拓時代や遊牧民にとって、家造りは主人の大事な仕事なのです。B子供の幼い頃の貴重な思い出は、大工作業の実体験です。テレビゲームでは絶対に味わえない喜びが得られます。C建築途中や完成後でもいろいろと手が加えられます。「大工さんが目の前にいて大助かり」という妻を含め、家族と家への愛着があればこそ、変更にも応じることができるのです。 「心配事との戦い」 しかし、そうそう調子のいいことばかりではありません。@屋根を造る前の段階で、春先の強烈な季節風が吹いたある日のこと、ブルーシートを固定していたロープがほどけ、風にあおられて大きくはためいたことがありました。このままでは、配電線に引っかかってお隣に迷惑をかけるので、援護を呼ぶ暇もなく、急いで足場へ上がりました。すると私自身も風に吹きつけられ、しばらくその場で足場にしがみついていました・・。一人でブルーシートをたたみ終った後は、しばらく体の震えが止まらず床に座りこんだままでした。足場の上で風に吹きつけられた恐怖は今でも体が覚えており、風の強い日は今も心が落ち着かず夜も眠れません。一種のトラウマ状態です。A40歳を超えるにつれ、体力が衰えてきました。会社の責任も重くなり、また子供達の学校行事やクラブ活動などへの父兄として参加も多くなってきました。したがって家造りに使える休日が少なくなり、造りかけの2階の内装がいつ完成するかわからない状況です。Bわが家は3年以上休日の度に騒音を出し続けてきました。ご近所の目も気になります。「口ではすごいですね。よく頑張りますね?」・・。口に出さない反応をいかに緩和するかが今後のわが家の近所付き合いの課題だと感じています。C友人や会社の人たちも「普通ではなかなかできないことだ」という賞賛と「そんなことする暇があったら仕事や勉強をしたらどうだ」というさげすみの心とを併せ持っているかもしれません。このように手造りマイホームは雨と風との戦い、自分自身との戦い、そして周りの目との戦いであるといえます。 「自分らしさを忘れない」 それでも、ここまで続けられたのは、そして今後も続ける気持ちでいられるのは、これがいろいろな意味で「自分らしい」やり方だと信じるからです。わざわざ貴重な時間を割いて自分の手と体を動かし、住宅会社に任せればいいような余計なことまで一人で悩み、仕事と家族の両立に苦労し、多くの人にあつかましく協力を求め、何年も根気を持続してきました。そんな一見馬鹿なことに、一番自分らしいアイデンティティを感じるのです。そんな自分を子供達にみていてほしいのです。「僕らのお父さんは、効率よりももっと大事なことを知って実践した。しかもそれは僕らのためだった」と大きくなって思い返して、生きていく指針にしてほしいのです。それがたとえ反面教師になったとしても、ぐうたらなのよりはるかにましです。金も地位も名誉もない一人の男がこの世に何かを価値のあるもとといえば、筋の通った人間を次の世代に送り出すことぐらいではないでしょうか。こうして考えると、私がやっているマイホームの手造りは家庭づくりであり、人間づくりであって、決して家という建物を造ることだけではなかったような気がします。 |
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| 【足場がある時】 | 【門柱作成中】 |
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