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10ヶ月間のプレゼンの中で |
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2001年のプレゼンテーションは、2月の本社大会から始まって12月の広島支店までの10ヶ月間、社内、社外あわせて15ヶ所をまわり、聴講者数は約2000名となりました。その間にあった事です。 1. 指導して下さった上司 発表の指導をして下さった上司Sさんとの出会いは1998年のQCサークル富山大会に出場の時でした。当時、私は3人目の育児休職後に復帰して1年ほど、Sさんは癌の闘病生活を終え、職場復帰したばかりでした。現在は健康そのもので、「癌を克服した人」で関西のTV放送で紹介された方です。SさんのQCに関する知識は深く、過去、現場のQCサークルを数々の賞に輝かせ、石川馨賞を獲らせました。QC手法やストーリーだけでなく、人を引きつける話し方や言いまわしなどもよく心得ています。Sさんの指導のもと、富山大会では、「感動賞」を頂きました。この賞は聞き手が良かったと思う事例に投票し、一番得票数が多いものに与えられるものでした。今回のような自由形式の発表は、Sさんにとっても初めての指導でした。周囲は「Sさんの指導は厳しいのに杉井さん、よくついて来れたね。」といいます。Sさんは「杉井さんは言ってできなかったら、できるようになるまで努力するので指導していて楽しい。」と、負けず嫌いの私の性格もよくわかっています。おかげさまで、ずいぶん勉強させて頂きました。 2. こだわったストーリー 今回の発表は「個人の改善」なので、QCストーリーに沿ったものではなく、起承転結で決めたものでした。本社大会では、これが好評だったのに、上司のSさんはQC形式に未練があったらしく「全社大会では、全面的にQCストーリーにやり変える。この発表だと審査員が点をつけにくく、どう評価されるかわからない」と言いました。QCサークル10月大会の時も同じように言い、「QCストーリーに変えるなら出場しません!!」と断固、反対しました。形式や手法にこだわらなかったからこそ、個人改善のこの発表が生きてきたのに、やり変えたら内容が死んでしまいます。点数が落ちてもいいと自由形式のストーリーを貫き通しました。発表は、本社大会から全社大会へ出場の際にわかりやすいように内容をリニューアルし、QCサークル10月大会では、今後の活動を盛り込んでさらにレベルアップしたものになりました。 3. スライドのメインを飾ったIさんのイラスト この発表のスライドのメインを飾ってくれたのは、当社の美術班であるIさんです。一番重要なスライド、「取り組んだ背景」の4枚のイラストは、かなり時間をかけて考えて下さいました。Iさんのイラストの効果はすごく、ぱっと見ただけですべてがわかるというほど、とても説得力があります。すべてのイラストをIさんのものにすると、ポイントがぼけてしまうので重要な箇所だけお願いしました。この発表に花を添えて下さいました。 4. プレゼンテーション・スライド技術のレベルアップ パワーポイントで作成したプレゼンテーションのスライドは、自分ではわかっていても「相手を説得する」という目的を果たしているか疑問でした。そこで、モデル発表会が決定してから、説得できるスライド技術を勉強しました。参考にした本は「説得できるプレゼン図解200の法則」(日経BP社)と日経パソコン誌です。相手の立場になって表現を工夫し、理解してもらえるようにするには「ビジュアル化」すなわち「見せるプレゼン資料」にすることです。図解、配色、図形の活用によって視覚効果を狙ったスライドにすることが「見せるプレゼン資料」となり、相手の心を動かします。 5. 眼科で見た自動プレゼンテーション 他のQCサークルのパワーポイントの発表をみていると、スライドの中で矢印(⇒)がポイントとなる箇所を指して、チカチカと点滅するのがありました。これを使いたかったのですが、どうやったらできるのか調べても設定方法がわかりませんでした。ある日、眼科に行った時のこと、パワーポイントの自動プレゼンによる「レーザー治療」の説明がパソコンから映し出されていました。それは、ナレーションが入っていました。そのスライドを見てると、ありました!矢印(⇒)のチカチカが!そこで、すぐにそのスライドを作った眼科医のところへ飛んでいって、「この矢印の設定、教えて下さい!」と尋ねました。その眼科医は、パソコンを立ち上げて、裏画面を出して設定を教えて下さいました。矢印のチカチカは、3重に重ねた矢印を微妙に秒をずらして点滅させていました。こうなると眼の治療どころではありません。早速、家に帰ってスライドの矢印をチカチカさせてみました。この眼科のプレゼンのナレーションは作成した眼科医の声で、すべて自前です。自分で資料を作ればタダで経費削減にもなります。発表の中でもこの時のエピソードを使いました。 6. 「話し方」の通信教育 人前で話すのは苦手な方です。自分から進んで話すことができないし、いつも後で「こう言えば良かった」と反省しています。モデル発表会は、一人舞台なので、質問や意見がなくても自分で喋って場を盛り上げることも大事だと感じました。また、上司から「発表が下手」と言われていたので、「話し方」の通信教育を受けました。それによると、プロのように流暢に喋れば良いわけではなく、聞き手が共感し、感動するのは、ありのままの自分を素直に出すことです。「アナウンサーみたいに」と言われていましたが、そのままの自分でいこうと確信しました。 7. 15分間は真剣勝負 発表会でプレゼンをやる時は毎回、緊張しました。こちらは何回やってても、聞く人は初めてです。みなさん、何かを得たいためにわざわざ時間を作って話を聞きにきています。モデル発表会では、私一人のために事務局が動き、会場準備をし、みなさんが仕事を中断して集まって下さいます。だからこそ失礼にならないように・・・と発表会の前日と朝には、必ずプレゼンの練習をします。そして発表の15分は心をこめて、誠意を込めての真剣勝負です。聞き手と自分の時間を無駄にしないためです。
8.5才の娘が発表を覚えた 仕事に育児に家事と、落ち着いて座って原稿を覚える時間がとれません。もっぱら、通勤電車の中や(乗り過ごしたこともあります)、夕食の準備をしながらブツブツ原稿を言ってました。そこで、5才の娘が内容を覚えてしまって「みなさん、こんにちは。このテーマは個人的な改善です。自動プレゼンです」とある時、保育園の先生に言ったそうです。先生も「えっ?若菜ちゃん、それ何?」と驚いた様子。5才の子が言うには、ちょっと意外な内容でした。 9.プレゼンやらせて下さい 工場・支店のモデル発表会はCS推進本部事務局が各工場・支店へプレゼンのニーズがあるかどうか、打診して決定しましたが、1箇所の工場だけ「大会のビデオ回覧で済ませるから必要ない」ということでした。その工場は、女性が動かしているといってもいいくらい女性従業員の数が多いところです。ぜひとも、女性に聞いてもらいたい。優秀な女性を発掘するチャンスだと思ったので、がっかりしました。事務局も「ニーズがないなら、押し付けるわけにはいかない」とのことでした。しかし、どうしても諦めきれず、業務で関係のある方に相談しました。「仕事でそちらに行く機会があるので、発表を聞きたい女性がいたら4、5人でもいいから集めて頂いて、会議室でプレゼンやらせてもらえませんか」。その方が総務課に発表会の開催を勧めて下さり、この工場で実現しました。多くの女性が集まり、50名の方が聞いて下さいました。 10.遠くにいる支店の女性達に 指導して下さったSさんとイラストを書いて下さったIさんとで、受賞の祝賀会をした時のこと、Iさんが「杉井さんの発表は、支店の女性にこそ聞かせるべきでは」と言いました。そうか、大阪や名古屋の支店の多くの女性は九州での大会に出張してまで参加できないし、こんな発表を聞く機会もないだろうな。私一人が行って、プレゼン聞かせてあげたいな・・と、遠くにいる女性達のことを考えました。それに一度は、支店にも行ってみたい。この機会を逃したら行くことはないだろうな。待っていても何も進展しない。よしっ、自分で動いてみよう。次の日、CS推進本部事務局に相談したところ、各支店ともOKの返事。東京、大阪、名古屋、福岡、広島の5つの支店で発表会が実現しました。 11.支えてくれたメールや手紙 CS−KAIZEN成果発表会の後、発表を聞いて下さった方々から感想のメールを頂き、自信がつきました。その後の工場・支店のモデル発表会では、初回の工場が好調だったに対し、2回目の工場では会場の雰囲気が盛り上がらず、自信喪失になりました。そんな時、仕事でやりとりのあったYさんがメールで励まして下さいました。「質問や意見が多く飛び交うことと、発表の品質は別だと思います。杉井さんは2つの工場では、ご自身としては同じような発表だったと思ってるんじゃないですか。なのに、一方では活発な意見質問が出た。しかし、一方では出なかった。これは、聴く方の資質の問題だと思うんです。とにかく、モデル発表会のホームページの写真を見る限りは、みんな一生懸命に聞いていたのですから、杉井さんの発表が素晴らしかったということですよ。」それからというもの、Yさんは工場・支店のモデル発表会のホームページを見る度に、必ず感想、意見をメールで送信して下さり、ずいぶん励まされました。また、日本品質管理功労賞を受賞された横山清氏から度々、お手紙を頂き、こちらも大きな励みとなりました。 →横山清氏からの手紙 12.誰でもできる改善 発表を聞いて、誰もが良かったと言って下さるわけではなく、中には「あんな改善、できて当然、やって当たり前だ」という意見がありました。確かに私の改善は、目の前にある身近なことです。決して難しいことではありません。だからこそ、共感を得た方も多かったのでしょう。もしも、「VBを駆使してすごいソフトを作りました」といった普段できないような改善だったら、「ふ〜ん」で終わりで、おもしろくないのでは。この改善の「誰でもできる」「自分にもできそうだ」という点が大いに受けたのだと思います。自動プレゼンにしても、設定を教えてもらえば、誰でもすぐにできます。だからこそ、実際に見て「やってみよう」という気になるのだと思います。 13.一人が良いと言ってくれれば、それは成功 娘の保育園の園長先生に出張やプレゼンのこと、人前での話し方について、度々相談していました。保育園の行事などで人前で話すことも多い園長先生は、興味を持って聞いて下さいました。モデル発表会を聞きに来て、不満があった方もいたことでしょう。「これでいいのだろうか」と思う時がありました。そんな時、園長先生は「行事をやって、アンケートをとると必ず、不満が出て耳の痛い意見が出てくる。それでも、たった一人「良かった」と言ってくれる人がいれば、そのイベントは成功したと思っています」とアドバイスして下さいました。たった一人でも精一杯やったことが伝われば、それでいいんです。悪かった点は、改善すればいいのです。 14. 影の力〜家族の協力 モデル発表会の成功も家族の協力があってこそです。一番大変だったのは主人です。4月の全社大会が近づくと、毎晩のように発表練習につきあわされて「耳にたこができた」と言ってました。全社大会の日は、「行かないで子守りする」と言ってたのに私の出番の時は、こっそりビデオで撮影していました。発表後の感想で「家庭円満というのがわかりました」とおっしゃった方がいました。モデル発表会で出張中は、家事と子守りは主人や私達の両親が協力してやってくれました。息子達もお母さんがいない間、お父さんに協力して家の中のことをやってたし、発表の練習にも夜遅くまでつきあってくれました。 15.これからの展開 「発表しました」だけで終わりにせず、これからの展開が大事です。その後の改善効果はどうでしょうか。発表で触れたマニュアルについては4人目の育児休職前に、すべての業務をマニュアル化し、後継者へ渡しました。休職中にその効果が現れていることでしょう。また、アンケートにより、展開したテーマのシステム構築についても効果が期待できそうです。 16. 素晴らしい体験 2001年のプレゼン体験は、多くのことを勉強させて頂き、大きく成長することができました。これからは、素晴らしい体験をさせて下さった会社と周りの方々に恩返しをしたい。この発表を聞いた方々が自分の業務に取り入れて効率化し、HAPPYになって頂ければ幸いです。また、個人改善の事例として、この発表スタイルを普及させていきたいと思います。 |