さあ、うたいましょう


上手に歌うのって難しいのですが、素人ながら、歌うとき自分なりにいつも気にしていることってあると思います。そんなことをつらつらとかいてみました。初心者の方には参考になるかもしれません。


初見で歌うには?

 我々素人がまず躓くのが音取り。集まって練習したけど、結局音をとるので精一杯というむなしい経験をしたことが何度もあります。MIDIや音源をきいて耳から覚えたり、鍵盤楽器を弾きながら歌ったりするのが基本でしょうが、階名読みをすると意外と簡単に音がとれます。日本では絶対音名としての「ドレミファソラシド」を使った音名読みばかりで、階名読みというのを小学校などでも習った記憶はありません。ハンガリーではコダーイという作曲家が推進したレターサインによる移動ド読み(階名読み)がポピュラーな方法として知られています。このおかげで子供たちは鍵盤楽器というものをいっさい使わず、ハ長調ならCの音ト長調ならGの音を鳴らせば、楽譜も見ず、レターサインだけ見ながら、初見の難しい曲でもすらすら歌うらしいです(聞いた話なのでどこまで本当かは知らない)。

レターサインというのは階名の略号のことです。

d r m f  s l t d

という記号がレターサインでこれらが階名の、

ド レ ミ ファ ソ ラ シ ド

を表します。シャープ、フラットが付いたときはそれぞれ、

シャープ:di ri mi fi si li ti di

フラット:da ra ma fa sa lo(またはla) ta do

となります。例えばシャープ1個の調であるト長調またはヘ短調だったらGがd(ド)、Aがr(レ)、Bがm(ミ)、Cがf(ファ)、、、となり、フラット2個の調である変ロ長調またはヘ短調だったらBbがd(ド)、Cがr(レ)、Dがm(ミ)、Ebがf(ファ)、、、となりフラットが6個付いた変ト長調または変ホ短調だったらGbがd(ド)、Abがr(レ)、Bbがm(ミ)、Cbがf(ファ)、、、などとなります。レターサインを使えば手軽に階名を書き込むことができるので、楽譜にレターサインをふって、あとはそのまま階名で歌えば簡単に歌えるようになるというものです。慣れてくれば書き込まなくても楽譜を見てそのまま階名で歌えるようになります。転調があまりにも頻繁な曲や調性のない曲には向きませんが、たいていのポピュラーソングやtake6のようなジャズを基調とした複雑なハーモニーの場合でも対応できます。これをやることで、私のような音楽的素養に乏しいものが、どんなに難しい調の曲でも初見で歌うことができるようになりました。

この方法の利点はまだあって、12平均率のなかでの絶対音感でなく、純正調の中のなかの12音でいつでも歌うことになるので、自然と音程感覚が良くなってハモりやすくなる。さらには音楽的知識があまりなくても、コードの中での自分の音の役割が簡単に判別できる、ということがあるでしょう。

ピアノなどを長くやっていた方や、日本の音楽教育に悪影響を受けた方のなかには、かえって、階名としての「ドレミファソレシド」と音名としての「ドレミファソレシド」を混同してしまい、階名読みが苦手な方がいますが、なれてしまえば便利なことこの上ありませんのでぜひおためしあれ。

いい声で歌うには?

 ボイストレーニングでブレスの練習をしているときはなんだか退屈ですが、ブレスが重要とはよくききます。この重要なブレスを実際に歌っているときにどう活かすかというのは、フレーズを意識して歌うことだと解釈すればいいとおもってます。1つのフレーズを歌っている間は、休符が入っても、強弱が付いても、アクセントが付いても、微妙な音量の調節があっても、息の流れだけはスムーズでなくてはいけなくて、絶対に、不自然に流れを止めたり、切ったりしてはいけないとおもいます。そのためには、まず楽譜をよく読んで「1つのフレーズ」がどこからどこまでか、をよく把握しないと歌えない。だからフレーズを把握するためによく楽譜を読むことが大事だと思います。いかに自然に、おなかで息の流れをコントロールするかを考えて、またその理想的な息の流れを崩さないように音程、母音、子音をいかにしてのせていくかをボイストレーニングでじっくり訓練すればもっとよく歌えるような気がしてます。

ハモるためには?

 ハモっている、というのはプロの音楽家だったら当たり前のことです。高い金を払って変なハーモニーをきかされたら怒るを通り越してあきれかえるでしょう。まあノリがよければごまかせるんでしょうが。なのに、アマチュアの合唱団やアマチュアのアカペラコーラス、へたくそなアマチュアオーケストラ、へたくそなアイドル歌手、まずハモルのが大変。逆によくハモっていると言うことだけで実力派、とか高い技術と言うことになってしまうくだらない現状。でもまあ、ハモらなかったら音楽以前の問題ではあるので、音楽性もなにもないんでしょう。そういう意味では、音楽やるうえで、ハモルことは最低限必要なことなんですが、これがわれわれ「へたくそなアカペラコーラス」には結構大変です。どうすればいいんでしょう。わたしの経験では、耳を鍛えること、発声技術、現状の把握、ベースの人ががんばること、が大事かなと思っています。
 耳を鍛える、というのは、まずハモっているのかハモっていないのか判別できなければお話にならないということです。これにはいい演奏、音楽をたくさん聴くことが大事でしょう。
 発声技術ですが、発声、ブレスの技術不足に起因する音程の不安定さは、ハモらない原因のほぼ全部といってもいいような気がします。たとえば歌詞をつけていたらハモらないが、ハミングやmaなどで歌うとハモル様になることがある。これはつまり、特定の母音や子音を歌うときに、理想的な発声から遠ざかってしまい、その結果として、不安定な音程、ハモりにくい声となってしまうからであるとよく言われました。どんな母音、子音でも変わらぬ安定した発声ができるような、基礎技術を身につけるのが重要でしょう。でもそれができりゃ苦労はしません。いろんな母音、子音の組み合わせでいろんな範囲の音を歌えるようにボイストレーニングに励むしかないんでしょう。
 ブレスに関して言えば例えば長いフレーズを歌うときに、後半で息がなくなり発声が崩れることがある。また浅いブレスで歌い始めて発声を崩すことがある。長いフレーズを歌いきれるような基礎技術もさることながら、練習前に曲をよく分析して、歌いきれるような息継ぎの場所を決めて調節して歌うのも大事でしょう。
 現状の把握とは、自分がどれだけ変な音を出しているかを把握することです。録音して自分の出している音程を客観的に把握する。とんでもない音を出していても、そのときは自分で気づかないもんです。私もびっくりしたことがあって、それからよく録音して、変な音になっていないか、なっているときはどんなときか、と考えるようになって、だんだん変な音は出さなくなってきてるつもりです。
 さいごに音程のしっかりした、倍音をよく含んだ太い声のひとにベースを歌ってもらうということです。「他のパートをよくきいて」、ということをよく言われますが、どこをきくかって言ったらやっぱりベースでしょう。これは当然で、アカペラの純正調でハモろうとすると、ベース音からの相対的な音程で他のパートが歌わなくてはならない。となると、ベースがしっかりしていれば他のパートがベースに合わせて歌えばよいからハモりやすいかな、と思うのでした。
 というわけで、こんな様な基本事項が自然にできるようになれば、いつでもきれいにハモれる「実力派」になれるんではないですかね。私のようなレベルではいろいろ考えながら基礎技術を磨いていかないと「スタート地点」にも立てないので大変です。