
一部の植物は、ムカゴといって葉脇に小さな塊を形成するものがあります。ヤマイモのムカゴなどは有名ですが、スイレンの場合は、熱帯種のN.micranthaという原種がムカゴを形成する特徴を持っており、この血統を引き継ぐドウベンやティナなどの改良品種もムカゴを形成します(温帯種にムカゴ種はありません)。
ムカゴは葉の老成とともに成長し、やがて小さな芽を出してきます。
ある程度大きくなったムカゴを植え付けて育てれば新しい株にできるので、ムカゴ種は他の品種に比べて増やしやすいのも魅力と言えましょう(ムカゴのできやすさは品種によって違いますが)。
この性質はとくに水槽栽培では重要で、たとえ親株の生育に失敗した場合でも、ムカゴを収穫しておけば、そこから育て直すこともできます。また、熱帯スイレンは加温状態ではほとんど繁殖しないので、その意味でも増えやすいムカゴ種はありがたい存在です。
ここでは、収穫したムカゴから株を育てる様子について、いろいろ書いていきたいと思います。

これはムカゴ種の一つ、ティナの若い葉です。葉の付け根にポツっと小さな点が見えますが、これが成長してムカゴになります。このような点があるかどうかで、ムカゴ種かどうかも区別できます。

こちらは同じくムカゴ種のバグダットの葉です。ムカゴが成長してくると、このように盛り上がってきます。このムカゴは時間とともに大きくなり、小さな葉が出てきます。葉が数枚開く程度まで成長すると根も伸び始めますので、切り取って植え込んでみましょう。
植え付けには2〜3号程度の小型の植木鉢を使用し、用土は赤玉土や荒木田土を練ったものを使います。育ちはじめのムカゴは根が十分に張っておらず、すぐに浮いてしまいがちですので、しっかりと土を固めておいたほうがいいでしょう。植え付けが終わったら水に沈めますが、泥が舞い上がるときは表面に赤玉土の小粒を敷いておくと防げます。
下の写真は水槽で育成中しているパトリシアのムカゴで、10/22〜12/6日までの様子です。




調子が良いと、かなり短期間で成長してくれるようです。
ある程度根が張ってきたら、4号程度の鉢に替えたほうがよいでしょう。このとき、土は崩さずそのまま新しい鉢に入れるようにします(これを鉢上げといいます)。