明治・大正・昭和 軍隊マニュアル 一ノ瀬俊也 光文社
兵隊にとられ戦地へ赴くということは死ということと直結する。誰もが嫌がるそんなことを、国はどのように人々を言いくるめ、又、人々はどのような思いで徴兵に応じていったのか。
徴兵をめぐる人々の迷いや本音、国の「騙しのテクニック」は、明治から昭和にかけて多数出版された、入営の心得、出征兵士への送辞、あるいは戦死者への弔辞などの文例を集めた「軍隊マニュアル」を読み解くことによって浮かび上がってくると著者はいう。
未だ、国家という強い概念が浸透していない日清戦争以前の農村で、文盲にちかい農民を兵隊にとるには、国を上げて彼等をなだめすかす仕組みが必要であった。それがどのように作り上げられていったのか、又、死ぬかもしれない軍隊に行くに当っては、兵隊たち一人一人がどのようなモチベーションを持っていたのかは、実に興味深い。
「捕虜になるぐらいなら自決しろ」といったあの悪名高い日本軍の捕虜禁忌の考え方がどのように醸成されていったのかも、これらの軍隊マニュアルから浮かび上がってくる。
その他、あの太平洋戦争においてその勝算は兵たちにはどのように伝えられ、又、兵たちは実際のところ戦争の勝算についてどう思っていたのかなど、中々、興味深いものがある。
(04年7月発行)