シリア旅行記
7日目 パルミラ遺跡観光
今日は終日パルミラ遺跡の観光である。日の出を見ようと5時45分にホテルを出て近くの丘に登る。まだ空は暗いが意外と霞んでいて星はあまり見えない。30分ほど待っつと東の空の雲が赤く染まってきたが、雲に邪魔されて日の出は拝めなかった。そばに高い塔があった。この塔は墓だと言われても信じられなかった。
墓
出発前にホテルの周りをぶらつく。ホテルの近くに泉の跡があった。エフカの泉と呼ばれているが6年前に枯れてしまった。長い間湧き続けてきた泉が急に枯れてしまったということは地球に異変が起きていることの現れであろうか。
エフカの泉
9時ホテル発、まずベル神殿に行く。パルミラにはBC19世紀から集落があり、その集落の上にAD34年にベル神殿が築かれた。ベル神は世界を支配する神でバビロニアのベール神と同一視されており、毎年4月6日にお祭がありイケニエが捧げられた。
神殿は外壁で囲まれた縦、横200mの正方形をしており、中庭の中央後部には至聖所があり、その正面には人が通る門、100mくらい左にはイケニエの動物を通す小さな門があった。
ベル神殿復元模型
中に入ると7本の高い列柱がまず目に付いた。柱の中間には台がついているがここに神の像を載せていた。かってはこの列柱が広場を取り囲んでいて、外壁との間に屋根が葺かれていたことを想像するとその壮大さに度肝を抜かれる思いがする。残念ながら度重なる地震でほとんどが倒れてしまっている。外壁の左手には門の跡が残っている。
列柱 門
外壁にはたくさんの穴が開いているが、これはオスマントルコ人が石を接続する金具をとった跡である。
外壁の穴
広場の中央には生贄を捧げた祭壇があり、その横には殺した動物の肉を食べた小屋の跡があった。
生贄の祭壇
生贄の祭壇の前に至聖所があり、入り口にはラクダが通れるように段差が10cmくらいの緩やかな階段がある。階段の上に門があるが上部の飾りが地震で脱落してのッペらぼうになっている。
至聖所 至聖所の門
門のそばには門から落ちた大きな石が置いてある。ラクダに乗った人や、宮殿に立つ人の精巧な彫刻が施されていた。
門の飾りの石
至聖所の中の南北の壁には祭壇がある。南側の祭壇にはバール、土着の太陽の神アルヒボール、月の神アグリボールの小さな像が祀られていたという。天井には太陽あるいは生命をデザインした円が彫られている。18世紀にこのデザインがヨーロッパに伝わり大流行した。
南側 天井
北側の祭壇にはベル神の像が祀られていたという。天井には7つの惑星の神と12星座の神が描かれている。
北側の祭壇 天井
梁には悪魔と戦う神や豊穣を意味するブドウと卵が描かれている。
悪魔と戦う神 ブドウ
次に墳墓の見学をする。墳墓には塔式、地下式、塔式と地下式の組み合わせ、家型、ただの穴の5種類がある。まずエラベール家塔墓に行く。この塔墓は4階建てで、壁の窪みに石棺を重ねてあり、エラベール家の156の石棺が収められていた。石棺の蓋には故人の像が載せられ、手には永遠の命を得て勝利したことを示すオリーブの葉や月桂樹を持っている。ここからはミイラ化した遺体も発掘された。
エラベール家塔墓
次に3人兄弟の地下墳墓を見学する。この墳墓はT型の構造をしていて正面の壁には3人兄弟の肖像が描かれている。
地下墳墓の天井付近
石棺の蓋には寝台から身体を起こした故人の像が載せられている。この墓には3人兄弟の身内のほかに他人の棺も納められている。この墳墓の石棺は小さく身体を縦において収めたと考えられている。棺の表側には故人のレリーフが描かれている。
石棺の蓋の彫刻 石棺のレリーフ
次にパルミラ博物館に行く。館中には旧石器時代の洞窟、ベル神殿とゼノビア女王の神殿の復元模型やパルミラの神々の像、石棺、土器、モザイクなどが展示されている。写真は禁止のはずだが係員が撮れ撮れというので撮らせてもらったら帰りがけにチップを出せといってきたので1ドル渡してすませた。
パルミラ博物館
石棺 土器
モザイク
次にAD1世紀のローマの市街跡へ行く。ベール神殿の近くに記念門があり、ここから長さ1.3kmの列柱道路が続いている。列柱の高さは9.5mで直径95cmの柱が750本並んでいたという。柱の上部につけられた台には英雄の像が置かれ、列柱の外側には商店が立ち並んでいたと考えられている。
記念門 列柱道路
列柱道路の脇に元老院の跡がある。ここで4つの地域から選出された長老が統治するための会議を行った。近くにはアゴラと呼ばれる広場がある。ここでは隊商がセリをして運んできた荷物を売りさばいていた。4隅にはラクダの水飲み場がついている。ここから関税を納めたことを示す印が見つかっている。
元老院 アゴラ
アゴラのそばにローマ劇場があり、かなり完全に近い形で残っている。収容人数は3000人で、当時の人口が50万人あったと考えられているので人口の割に小さすぎる。ほかにも劇場があったのか、ギリシャ語がわかる人専用の劇場だったと考えられている。
劇場
列柱道路の中央付近に四面門があり、ここが交差点になっている。この周りには裕福な人の家が建っていた。
四面門 四面門とアラブ城
四面門で北北東の道に曲がるとバールジャミン神殿がある。この神殿は雨の神の神殿で柱の中間の台には神の像と文字が刻まれている。
バールジャミン神殿
バールジャミン神殿の近くに出口があり、その前には1924年にフランスによって造られたゼノビアホテルがある。
13時30分発、遺跡近くにあるカジソレストランへ行き昼食をとる。前菜のみがビュッフェで、メインディッシュにはマンサクというベトウィン料理が出た。大きな皿に盛られたチキンライスで、これを小分けして食べる。
カジソレストラン マンサク
ホテルの前にはナツメヤシの実を売る店が並んでいる。ここには14種類のナツメヤシがあり今が収穫の時期なのだ。1房持ってみようとしたら重くて持てない。試食すると干し柿そっくりの味で黄色い実より黒い実の方が甘い。カロリーとビタミンが豊富で半年保存できるのでベドウィンは食べ物が不足する時期は牛乳とナツメヤシで過ごすという。1kg6ドルだというのでお土産に買って帰る。
ナツメヤシの実
食後ホテルまで戻って休み、夕方アラブ城へ登って夕日を眺める。この砦は12世紀に十字軍に対抗するために建てられた。ベル神殿や都市跡は大きすぎて近くでは全体の姿が分からないが、砦からは模型を見ているように良く分かる。
アラブ城
アラブ城から眺めたベル神殿と列柱道路
屋上で写真を撮っていると日本人の青年から声をかけられた。新婚旅行でシリアに来ているのだという。シリアまで来るとはなかなかしぶい。若いときは感受性が強い。きっと良い思い出になることだろう。やがて太陽が沈んできたが、地平線近くで雲の中に隠れてしまった。ここで日の出や日の入りを見るのは難しい。
屋上 夕日