シリア旅行記

5日目 クラック・デ・シュバリエを経てアレッポへ

 連日食べ過ぎているので肥るのを防ごうと朝食前にウォーキングをする。時速9kmくらいでクォリティインの前の道を左に向かって20分ほど歩き、さあ引き返そうと思ったらなんと左手前方に先ほど出てきたクォリティインが見えるではないか。道が少しずつ曲がっていて環状道路になっていたのだ。こういうことがあるから私のような方向音痴は怖い。一応ホテルの前まで歩き、まだ足りないので来た道を引き返して合計8kmほど歩いて切り上げる。これぐらいでは焼け石に水みたいなものだがやらないよりましだ。

 8時45分クォリティインを出発、北へ向かって走る。だんだんと畑や木が増えてくる。9時35分シリアとの国境に到着した。ここでクリスティーヌさんと別れ、まずレバノン側の出国検査を受けたあと、緩衝地帯を通ってシリア側に入り入国検査を受ける。1時間ほどで国境を通過でき、ガイドのニダルさんに迎えられてシリアの最初の目的地クラック・デ・シュバリエへ向かう。
 クラック・デ・シュバリエとはフランス語の騎士の城という意味をもつ言葉である。1917年アラビアのロレンスが学生時代にここを訪れシリアにある十字軍の城の中で一番美しいと絶賛した。750mの丘の上にある難攻不落の城で、サラディーンは一目見て攻略を諦めてほかに回ったという。
 しかし1271年にイスラム軍によって落城した。イスラム軍はこの城の唯一の弱点である南側を攻め、外側の砦を崩したあと伝書鳩に「明け渡せ」と書かれたトリポリの領主からの贋の手紙を運ばせて城門を開かせ一気に攻め落とした。

 11時20分クラック・デ・シュバリエに到着、早速城壁の中に入る。

クラック・デ・シュバリア
クラック・デ・シュバリエ

 中の通路は2重になっていて迷いそうだ。


2重の通路

 通路の出口には十字軍のシンボル2頭のライオンの像が飾られていた台が残っている。別の出口にはこの城を落とせたことを記念してコーランの1節が刻まれている。

 
2頭のライオンの像             コーランの1節

 城壁は2重になっていて見張りの塔は全部で30もある。弱点の南側の城壁の前には堀が掘られ、その先にはさらに砦が造られている。

 
城壁             外側の城壁

 外側の城壁の上を北に向かって歩いていくと、北西の角に王女の塔があった。この塔は見張りの塔に負けないよう高く造ってあるのでアーチが3重になっている。


王女の塔

 城壁の北側へ回ると足下に町が見える。この町の建物には城と同じように白と黒の石を組み合わせて造った建物が残っている。かってこの町には兵士が住んでいて、いざとなると秘密の地下道から城の中に入った。城の中には地下道の出口が今でも残っている。

 
兵士が住んでいた町          地下道出口

 城の内に入ると兵士の寝床、食糧貯蔵庫、パン焼き釜、兵士のテーブルや椅子の跡、ゴシック様式のダイニングルーム、水洗便所、礼拝堂があった。ダイニングルームの前の廊下の壁には「富、知、美をもったとしても奢ると無になる」とラテン語で書かれている。

 
食料庫
 
ダイニングルーム           水洗便所

 ちょうど城を使って映画のロケをしていた。昔の服装をした俳優がいたので写真を撮らせてもらう。

 
ロケの俳優

 礼拝堂の跡があり、壁にはフレスコ画が残っていた。この礼拝堂はイスラムに陥落後モスクに改修されたので説教台が残っていた。

 
礼拝堂のフレスコ画             説教台

 見張り塔に登ると西側の50km先にある砦まで見渡すことができ、近くには6世紀に建てられた修道院が見える。また西の丘の上にはホテル群が見える。この地は海抜が1700mあるので夏でも気温が28度から30度くらいにしかならないのでサイジアラビアの人々が避暑にやってくる。

 
  城の屋上            修道院

 13時から城の近くにあるカラ・レストランでシリアで最初の食事をとる。初めにたくさんの種類のペーストが出てくるのはレバノンと同じだが、食べきれないほど出てきた生野菜がまったくなくなりナンだけになってしまった。レストランの窓からはクラック・デ・シュバリエの美しい姿が眺められる。

 
カラ・レストラン           クラック・デ・シュバリエ

 13時50分アレッポへ向かって出発し、16時10分230kmを走ってアレッポに到着した。アレッポはシリア第2の都市で人口300万人、昔から交易の地として栄え、マムルーク朝時代には商店が10kmにわたって並んでいた。また、オスマントルコ時代には27の隊商宿があり、合わせて334もの部屋があった。水不足を解消するため80km離れたユーフラテス川からパイプで水を運んでいる。この町にあるスークはシリア1の大きさで1600もの店があり、人が代わっても店は変わらず中には800年続いている店もあるという。

 
スーク入り口            スークの通り

 まず、シリアの名物オリーブ石鹸を売っている店に行く。値段を聞くと3年乾燥させたものが1個1ドルであった。日本では2年乾燥させただけのもので500円以上するからかなり安い。たくさん買いたかったが重くなるので10個にしておいた。
 このあと金細工の通りに行くと黒いベールで顔を隠している女性が熱心にショーウインドウー覗き込んでいる。尼さんのような格好をしていても女性の心は同じだ。


金細工の通り

 銀細工の通りに体格の良い男がいたので見ていると話し掛けてきた。ボディービルのチャンピオンだという。写真を撮らせてもらったら私の作った銀製品を買わないかと持ちかけられた。初め10ドルだったのが値切ったら6ドルになった。
 チャンチャンチャンという音が聞こえてきたので見ると背中にカンを背負った男がコップを叩き合わせている。水屋だ。この商売も何百年も続いているのだろう。

 
ボディービルダー         水屋

 17時55分スークを出発、15分ほどでホテルシャームパレスに到着した。夕食はホテルのレストランでとった。ビュッフェ式だったが30種類以上のサラダの皿があった。スープもあり、カレーライスもあったので大食いしてしまった。


ホテル・シャーム・パレス

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