<隠れた名曲>
非常に個人的なコラムなんだけど・・ちょっと面白いかもよ・・。特に中高年の方には・・・
隠れた名曲〜昭和のフォーク偏〜

「ささやかなこの人生〜風〜」
かぐや姫のメンバーの一人、伊勢正三ことしょーやんのグループ、「風」の曲。風(しょーやんの曲)にはもちろん「22歳の別れ」
「なごり雪」「海岸通」「雨の物語」「あの頃の僕は」など名曲がたくさんあるのだけど、この曲がとにかく大好きだった。
サウンドはかなりPOPSでウエストコースト風、メロディ自体は明るくさわやかで、サビでマイナーになる憎い構成(笑)。
正直、南こうせつが仕切るかぐや姫の4畳半フォークと呼ばれる湿った曲世界よりも目立たないけどしょーやんの作る世界の方が
好きだった。もちろん、おいちゃん(こうせつ氏のこと)も天才的に素晴らしいのは言うまでも無いが。歌もしょーやんの100倍は
うまいしね(すまん)。
で、この曲。中学のとき、新入生歓迎の催しの際に体育館のステージで先輩がアコギ&パーカッション編成で歌って、(エレキ
ギター禁止だからね、当然)衝撃を受けた(マジ)。オリジナルを手に入れて聞いてまたしびれた・・(マジ)。イルカの
「なごり雪」の前か・・あとだったかな。
楽曲そのものの良さはもちろん、題名、歌詞にも凄いなあと思ったものである。まずタイトル「ささやかなこの人生」なんと達観した
仙人のような、悟りを開いたような題名である。いい若者がこれである。昔の人はみんな大人だなあ・・と思う。
歌詞はAメロで「♪花びらが散った後の桜がとても冷たくされるように誰にも心の片隅に見せたくはないものがあるよね・・」
俳句の世界のようだ・・。その後の歌詞は、かいつまむと、「人を愛したら心の鍵を閉め忘れて傷つく・・引き返すことの出来ない
人生に気がつく・・」と続く。深い。そしてサビだ。「♪やさしかった恋人たちよ、振り返るのはやめよう、時の流れを背中で感じで
夕暮れに涙すればいい」かっこいい・・。しかし、かっこいいのはまだこれから。2番と続き、2回目のサビに突入。「♪やさしかった
恋人たちよ、ささやかなこの人生を・・」キター!!ここでやっと題名が歌われる。2番のサビでタイトルを言うという技法(?)は
まあなくもないけど、このインパクトのあるタイトルだからね、かっこいいと思ったものである。

「ただおまえがいい〜中村雅俊〜」
中村雅俊と言えば、この曲より「ふれあい」「俺たちの旅」、80年代は「恋人も濡れる街角」・・あるいは歌より俳優の印象の方が
強いか。この曲は70年代のTVドラマ「俺たちの旅」の挿入歌で、必ずドラマの最後に流れる曲である。作詞作曲は小椋 佳。
メロはAメロから繰り返しがなく、どんどん進んでいく、それでいて流れるような旋律の素晴らしい曲である。
歌詞は、小椋 佳らしくまったくわけがわからない(笑)。一応、男が親友に向けた内容の歌である。
「♪ただおまえがいい、わずらわしさに投げた小石の放物線の軌跡の上に通り過ぎてきた青春のかけらが飛び跳ねて見えた・・」。
誰か説明して欲しい。これが本当なら完全に幻覚を見ている(笑)。
その後もふるっていて「♪その照り返しをその頬に映していたおまえ・・」まったく意味不明。ただ最後はとてもかっこよく、
「♪また会う約束などすることもなく、それじゃあまたなと別れるときのおまえがいい・・」と、グッとくるセリフが最後に
歌われる。これが当時の中村雅俊のイメージ、ドラマの内容にぴったりで凄く好きだったのだ。2番はこれまた時代を
映していて、かいつまむと「落とす物など何にもないのに伝言板に今日もまたひとつ、忘れ物をしたと書く・・」など、今では
消滅してしまった駅の伝言板など風流な世界が登場する。
この時代の小椋 佳の歌詞は凄く前衛的だったと言える・・かな(今もそうかもしれないけど)。例えば「俺たちの旅」のAメロ、
「♪夢の坂道は木の葉模様の石畳、まばゆく白い長い壁・・・」松尾芭蕉(?)。サビにいたっては「♪背中の夢に浮かぶ小船に、
今でもあなたが手を振るようだ」ちょっとした心霊現象である。

<隠れた名曲〜昭和の歌謡曲偏〜>

「ジョニイへの伝言〜ペドロ&カプリシャス〜」
これは有名な曲名なので知ってる人も多いだろう。作詞作曲は阿久悠、都倉俊一と言う黄金コンビの曲である。
同グループの次の曲に「五番街のマリーへ」とこれまた名曲があるのだが、2曲とも当然ものすご〜くメロがいい。
「ジョニィ」のAメロ3小節目からの「♪2時間待ってたと・・」の部分の下から上がってくる旋律。非常にドラマチック。
そしてやはり歌詞。いきなり「ジョニイが来たなら伝えてよ・・」1973年の歌謡曲なのにいきなり海外と言うか、
ニューヨーク?ソーホー?そこまで行かなくても裕福な郊外の方じゃなくて、安アパートが連なってる街に一気に
飛んでいってしまうね。「2時間待ってた」ってセリフもまたいいね。しかし決めては「♪友達ならそこのところ、
うまく伝えて」の部分だろう。自分が相手に向かって言うのは誰でも考え付くが、友達に伝言を頼むのである。
やはりプロは違うなあと思う。「そこのところうまく伝えて」の部分に非常に大人っぽい、わけありの女の事情を、子供心に
思ったものである。「もとの踊り子でまた稼げるわ」って部分もまたドラマチック。2番に「サイは投げられた、
もう出かけるわ」って歌詞もあってまるで映画の一幕のような歌である。

「喝采〜ちあきなおみ〜」
「♪いつものように幕が開き・・」これまた超有名な曲なので、内容を説明するまでもないかもしれないが、
一応説明すると、有名な歌い手になった女性歌手の下に報せ(しらせ)が来る・・そこには故郷で別れた元彼の
名があり「黒い縁取り」があった・・。「♪あれは3年前、止めるあなた、駅に残し、動き始めた汽車に一人飛び乗った・・」
のである。その彼が亡くなったとの報せなのだ。これまたドラマチック。ここまでは知ってる方も多いだろう。
なんせ大ヒット曲だけあってTVで相当見て聞いた覚えがある。しかし大抵1番しか流れなかったと思う。それだけでも
素晴らしいのだが、2番のサビがまたふるっているのだ。(どうやら教会での葬儀の後の話である)「♪暗い待合室、
話す人もない私の耳に、私の歌が通り過ぎてゆく」とても悲しい残酷な偶然である。そしてまた現実は戻ってくる。
「♪いつものように幕が開く、降り注ぐライトのその中、それでも私は今日も恋の歌、うたってる・・」

さて、最近の歌でどうも気になる・・ま、わざとって部分もあるだろうけど、単語が符割にあってない・・
または小節をまたぐ・・など昔ならNGだなって歌が多いと思う。前述したようにそのほうがかっこいいから・・って
理由もあると思うけど、どうもおかしい場合もあるね。古い曲で恐縮だがglobeのDEPARTURES、
Bメロあたりの「♪やさしさも わがままも 温もりも」出だしの音符は3つなのだが単語は「やさしさ」と4文字である。
「温もりも」も同じ。2番の「前髪が伸びたね」も同じで「まえがーみが・・」と4文字なので間延びしてしまって
どうもかっこ悪く聞こえるのは俺だけだろうか?また、My Little LoverのHello,Again〜昔からある場所〜の
2番Aメロ「♪自分の限界がどこまでかを知るために僕は生きてるわけじゃない」の途中「僕は生きてる」で
一旦小節が変わるので、ここで文章が終わりのような錯覚をおこしてしまう。その後「わけじゃない」と
正反対の言葉が来るのでちょっと驚く(笑)ま、この曲はglobeと違って素晴らしい楽曲に違いないけどね。
倉木麻衣のSecret of my heart「♪あれからいくつもの季節が通り過ぎたけれど」文章としては一気に行きたい
ところだ。しかし実際の歌は「季節が」でAメロが完全に終わる。意味的には不明である。その後、1小節丸々休み、
「通り過ぎたけれど」と唐突に2回目のAメロが始まる。かなり無理がある乗せ方のように思う。歌詞が先にあったか、
倉木麻衣本人の歌詞なので、直さずそのままいったようだ。いわゆるプロの作詞家だったら多分、このような
乗せ方はしないだろうなと思う。
ま、そんなこと言ってたら宇多田ヒカルの歌はどうなんだって気もするが、あれは完全に次元が違う気もするなあ。
変なのもあるけど、もう完全にメロディ先行って感じで妙に納得してしまう作品が多いように思う。

「逃避行〜麻生ようこ〜」
最近誰かがカバーしてたように思う、名曲である。男から一緒に違う街に行ってやり直そうと言われ、
キップを買うが、いつまで待っても来ない・・と言う歌である。作詞:千家和也、作曲:都倉俊一。
とにかくメロディが良い。歌詞は「友達にも打ち明けるな」とか「昨日の酒に酔いつぶれているのだわ、おそらく
あの人のことよ」など大人っぽい詞がならぶ。サビの転調など非常にかっこいい曲である。当時、歌っていた
麻生ようこもどこか暗い影があり、(のように見えた)ヒットはしたものの、いつの間にか忘れ去られたようで
あまり知っている人はいないかも知れないけど、当時からずっと好きで覚えていた曲である。

「夜明けのスキャット〜由紀さおり〜」
個人的に名曲としての一番古い記憶の曲である。小学校に上がるか、その前かな・・。
1番はほとんどルルルとラララ、パパヤ・・で終始し、リバーブ全開、幻想的な夜明を
イメージする一種荘厳なイメージさえ漂う曲なのだ。まるで夜明け前のようなマイナーで始まり、
サビで太陽が出てきたかのごとくメジャーに移行する。2番でやっと歌詞が出てくるのだが、これも
幻想的で「愛し合うそのときに、この世はとまるの」とか「夜は流れず、星も見えない」など、
ゆっくり浮遊するようなメロディにぴったりの歌詞が並ぶ。最後の転調も非常にかっこよく、
子供心に凄く印象に残っていた曲である。

「終着駅〜奥村チヨ〜」
8分音符のままシンコペもせず上下に流れるようなメロディ、息継ぎもあまりなく
サビまで突入する、なかなか個性的な曲である。とにかく暗い、どん底の歌でもある。
なんせ題名が「終着駅」だ。メロもさることながら、歌詞がもう凄い!凄すぎる。「悲しい女のふきだまり」
「なのに今日も一人、明日も一人、過去から逃げてくる」「よく似た女が降りてくる」・・・等々、昭和の匂いが
プンプンだが、まあ当然だわな、1972年だもん。そしてもっとも凄みがある歌詞がこれだ。
「真冬に素足は冷たかろう、大きな荷物は重たかろう」この「〜かろう」の言い回しが子供心に
ちょっと不気味で、暗い歌、だけど凄くいい曲だなあ・・と思っていたものだ。

「木綿のハンカチーフ〜太田裕美〜」
松本隆、筒美京平と言うこれまた最強コンビの超名曲。初めて聞いたのは多分中学校から帰って来て、
AMラジオを聴いていた午後・・だから多分土曜日だったかと思う。まだ全然ヒットする前なので、
特に大騒ぎすることも無くサラっと流れたのだけど、身体に電流が走ったように感動した記憶がある。
「僕は旅立つ」のいきなり高音へぶっ飛ぶ、まるでポールマッカートニー並のメロディセンス。故郷へ
残した恋人に宛てた手紙と、その彼を気遣う彼女の詩と言う構成の歌詞。出だしはメジャーコードで始まり、
サビはちょっとせつなくマイナー進行である。そして素晴らしいメロディとともにこの曲を名曲にした
もうひとつのポイントとして、ずっと「欲しいものはない」と言っていた彼女だが、最後の最後で、初めて
わがままを言い「贈り物」をねだるところにあるのではないか。「ねえ、涙ふく木綿のハンカチーフ下さい」と
くる。最後の最後で別れを覚悟し、今までダイヤの指輪もいらないと言っていた彼女が、涙を拭く為のハンカチを
ねだる。けなげな歌詞がおとなしそうな太田裕美にぴったりだった。そして、ここまで来てやっと初めて曲の題名が
出てくると言う心憎い見事な構成。このセリフが1番で出てきてたらこれほど感動的にはならなかったのではないかと思う。