ドラゴンクエストの音楽の魅力の一つに、「戦闘の曲のかっこよさ」が挙げられると想います。
交響組曲ドラゴンクエストIII以降、戦闘の曲は、次の3つのパターンがあります。
@「通常の敵」との戦闘の曲
A「ストーリー進行上、戦わなければならない敵」との戦闘の曲
B「ラストボス」との戦闘の曲
ドラゴンクエストIIIの中では、大魔王ゾーマと戦うシーンで流れる「勇者の挑戦」という曲があります。
この曲は、他のラストボスの曲とは少し赴きの異なる面があります。
その他のラストボスの曲( I の「竜王」、IIの「死を賭して」、IVの「邪悪なるもの」「悪の化身」、Vの「大魔王」、VIの「魔王との対決」、VIIの「オルゴ・デミーラ」)は、どちらかというと、「魔王の力強さ!」というものを象徴しているような感じを受けます。
しかし、IIIの「勇者の挑戦」は、そのタイトルからもわかるように、「大魔王・ゾーマと戦う時の勇者たちの気持ち」を表した曲なのです。
すぎやまこういち先生は
「
縦横に飛び交う呪文や、つるぎの火花をイメージしています」
とのコメントを寄せていらっしゃります。
ドラゴンクエストIIIでは、ゾーマと戦う直前に、ゾーマの城内で勇者達は信じられない光景を目にします。
火山の火口に落ちて死んだとされていた勇者の父親・オルテガが、ゾーマの手下の「キングヒドラ」と戦い、力尽きてしまいます。
息子の前で、壮絶な最期を遂げた父・オルテガの遺志をかなえる為にも、勇者たちがゾーマと死力を尽くして戦う気持ちが、この「勇者の挑戦」という曲には込められているのです。
大魔王・ゾーマが唱える「マヒャド」や、「いてつく波動」などの効果も再現されています。
この曲をオーケストラ演奏で聴いていると、途中にすごい仕掛けがしてあることがわかります。
「勇者の挑戦」の終盤近くで、「アレフガルドにて」のメロディと、「ロトのテーマ」のファンファーレが流れてくる部分があります。(詳しい場所は下をどうぞ)
僕は昔は「なんでこんなところに、こんなメロディが入っているんだろう?」とずっと疑問に思っていました。
しかし、CDシアター・ドラゴンクエストIIIの中で、ゾーマとの戦いのシーンを聴いていて、ある時ふと、ひらめいたのです。
これはきっと、ゾーマと戦っている勇者があまりのゾーマの強さに半分意識を無くしかけているとき、懐かしいアレフガルドの大地を思い出し、それを「アレフガルドにて」のメロディーで表している。
そして、意識の遠のく中、アレフガルドを思い出している勇者に、精霊神ルビスの力によって、勇者の心の中に不思議な熱い血が流れ出します。
それを「ロトのテーマ」のファンファーレで表しているのだ、と・・・
つまり、ロトのファンファーレは「ロトの力の象徴」なのだ、ということがわかりました。
そして勇者は目覚め、最後の力を振り絞ってゾーマへ立ち向かう、という自分なりの仮説を立てました。
この仮説をすぎやま先生にお話したところ、先生は僕が延々と説明するのを「
うん、うん」と聴いてくださり、「
そう、そういうことを表してるの。あたりです!」と嬉しそうにおっしゃってくださったことがあります。
すぎやまこういち先生は、単に音楽的に美しい曲だけではなく、プレイヤーとしての気持ちを曲の中にたくさん組み込まれていらっしゃいます。
このようなことを意識しながら聴いていくと、また違った味わい方ができるかもしれませんね!
N響版のCDをお持ちの方は、トラック9を聴いて、プレイタイム4:46の部分で「アレフガルドにて」のメロディが、同じく4:55の部分で「ロトのテーマ」のファンファーレが流れます。
ロンドンフィル版のCDをお持ちの方は、トラック13を聴いて、プレイタイム4:49の部分で「アレフガルドにて」のメロディが、同じく4:59の部分で「ロトのテーマ」のファンファーレが流れます。
ぜひお楽しみください!
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