演奏会・後半



15分の休憩の後、最後のプログラム「交響曲 第41番 ジュピター」です。

この曲は後期三大交響曲の最後の作品です。
昨年のアマデウス・アンサンブル東京の演奏会では「交響曲 第40番」を、そして先日サントリーホールでN響演奏の「交響曲 第39番」を聴いたので、今回で後期三大交響曲を全て聴いたことになりました。

朝枝さんがコンサートマスターの席に着かれてから、一瞬の静寂の後に始まった第1楽章。
予想したよりもやや遅めのテンポで始まりましたが、音楽が進むに連れ、内面から湧き上がる力のようなものを感じました。

そして続く第2楽章。

ここには、事前に朝枝信彦さんが譜面を実際に書いて教えてくださった「聴き所」がありました。
プログラムに書かれた朝枝さんの解説の中ではこう書かれています。

この第2楽章の冒頭で聴いたメロディが、もう一度だけ終わりで登場する。初めに弾かれる時は自然に美しいものと感ずるのであるが、楽章の終わりで再び現れる時、私達はそれが強い望郷の念に満ちていることを悟る。それはあたかも旅人が懐かしさのあまり、ふと振り返る様である

ここで朝枝さんが強調されているのは、「もう一度だけ」という部分。
つまり、初めと終わりの2回しか出てこない点です。これがモーツァルトのアイデアだそうです。

この部分は、具体的には1回目は 7小節〜11小節
                2回目は 95小節〜99小節 です。

朝枝さんが教えてくださった内容を書きますと・・・
両方ともスビト・フォルテで出るのですが、一回目は前に2小節の弦楽器群があるためにこのスビト・フォルテはそれ程ドラマチックになりませんし、その2小節の「つづき」という感じを受けます。

しかし、2回目はその2小節は、これから何が起こるかわからない不穏な雰囲気があります。
そして全く同じメロディが前からの「つづき」というのではなく、新たな決意をもって出てくるのです。すばらしいです。

ということです。(注:スビト・フォルテ=「急に強く」の意味)

僕はこの説明を聞いた時に、すごく驚きました。
今まで何気なく聴き過ごしていた部分でも、朝枝さんのように楽譜を正しく読むことで、そこにモーツァルトが込めた意味や必然性がわかるということに、いい意味でショックを受けました。本当に驚きました。

実際にこのコンサートでも、朝枝さんがこの部分を2度目に差し掛かったときは目を閉じて非常に思いを込めて弾かれていました。
その瞬間、ジーンとくるものがありました!

続く第3楽章。
とても美しく、きびきびとした演奏で、時を忘れそうでした。

そして最終第4楽章。
ここは圧巻でした。
最初から最後まで、聴いている僕の体が宙に浮いているような錯覚を覚えたほどです。
1st.ヴァイオリン、2nd.ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロが同じメロディを時間差で追いかけていく部分は、本当にスカッ!としました。
目まぐるしいほどのスピードで、しかも完璧に全部の楽器がピッタリ合った演奏は本当に素晴らしかったです!
ステージの上のメンバー全員の心が一つなった瞬間のようでした!

特に328小節目!ここは本当に言葉では表せないほど、むしろ言葉にしてしまうと逆に真意が伝わらないくらいすごいところです。
あたかも宇宙に飛び出したかのようで、僕はこの部分に未来のようなものを感じました。

これが今から約200年前に作られた作品とは到底信じられないほどの素晴らしさです。

最後、全体でビシッっと決まった瞬間は本当に声が出ないくらい素晴らしかったです!
きっと満員の聴衆もみな、心が一つになったと思いました。

朝枝信彦さんが、この「アマデウス・アンサンブル東京」で目指しているものの中に、「奇跡を起こしたい」ということがあるそうです。
つまり、最高のメンバーが最高の演奏をして聴衆も演奏側もが一体となって、言葉が出ないくらいの感動を得るような瞬間を求めていらっしゃるとのことです。

僕はまだ20数年しか生きてなくて聴く側としても全然未熟なのですが、若いうちにここまでの素晴らしい演奏を体験できて非常に幸せだなぁと思います。

ふと気がつくと、館内が大拍手をしているので僕も遅れながらも手が痛くなるくらい拍手しました。

そこでちょっとしたハプニングが。。。
朝枝さんの燕尾服の尾っぽの部分が、イスの隙間に挟まってしまい、朝枝さんが立ち上がろうとしたらイスまで一緒に動いてしまい、後ろに座っていた1st.ヴァイオリンの大林修子さんが慌ててはずしてくれていました(^^)。
朝枝さんも大林さんも思わず苦笑い、館内も拍手の中から自然と笑い声が響きました。

こんなに素敵な演奏を生で体験することができるなんて、本当に幸せでした。
いつもは「ふんっ!どうだ!」という風に澄ました顔をなさっているマチアさんも、今日は終始ニコやかでした。
マチアさんもすっごく演奏中に夢中で弾いていらっしゃったので、きっとマチアさんご自身も満足できる演奏が出来たんだと思います。


アンコールはなんだろう。。。とワクワクしていると、朝枝さんが微笑みながら一言。

アイネ・クライネ・ナハトムジーク

館内は再び大拍手です!
この演奏が、言葉にならないくらいの素晴らしさ!
弦奏者総勢23名の奏でる音が全部綺麗にそろっていて、迫力はもちろん、その透き通るような本物の音に心が洗われる思いでした。
まさに神秘的な演奏でした。

終演後、楽屋でマチアさん、朝枝さん、そしてすぎやまこういち先生とお話をしました。

本当に素晴らしい演奏だったのですが、それをどうしても表現する言葉が見つからなくて自分の語彙力のなさを嘆きましたが、それ以上に言葉ではもはや表せないほどの感動だったのです。

楽屋で着替えを終えて出てこられたマチアさん。
今月5日にサントリーホールでお会いしてから2週間ぶりにお会いして、色々なお話をしました。

みぎー:「最近、『N響アワー』でマチアさん特に輝いて見えますよ!」

マチア:「いやー、ちょっと目立つようにね、髪を少し茶髪にしたんだよ!(^^)」

などなど、楽しいお話をさせてもらいました!

僕が手に持っているのは、数日後に開かれるマチアさんのリサイタルの案内。
マチアさんから頂いたものです。

演奏中はクールなマチアさんですが、燕尾服を脱ぐと途端にすごく明るくて楽しい方です!

そんなマチアさんとのお話を・・・。

みぎー:「この写真、HPに載せていいですか?」
マチア:「おぅ!バンバン載せちゃってください!」
みぎー:「はーい」
マチア:「あっ、ちゃんといい事書いといてね!」

みぎー工房では、マチアさんをいつも大賞賛していますよ〜(^^)。
     
もっとも尊敬する演奏家!朝枝信彦さん!
今日は目が合うと同時に「みぎぃーくん!」と仰ってくださいました。(^^)

僕は「今日はありがとうございました!」といって花束を渡しました!

この後、朝枝さんは「アマデウス・アンサンブル東京」の目指している思いをじっくりと語ってくださいました。

本当に優しさあふれる世界的ヴァイオリニスト・朝枝信彦さんを人間的にも尊敬しています!
すぎやまこういち先生も今日の演奏の素晴らしさに少し興奮されていました。

ゲネプロの様子を伺ったときにも、信じられないくらいすごい!と仰っていましたが、僕は本番を体験して先生の仰る気持ちが十分すぎるくらいわかりました!

昨年、「アマデウス・アンサンブル東京」の事を教えて下さったのはすぎやまこういち先生ご夫妻ですので、本当に感謝しています!



本当に素晴らしい演奏会でした。
終演後に、外国のお客さん達も非常に称えていましたし、全ての観客が満足したような顔をしていたのが印象的です。

今日は、久々に本当の意味での音楽の感動を味わうことが出来た素晴らしい一日でした。





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