1999年の夏の東京でのドラゴンクエスト・コンサ−トは演奏曲目が「ドラゴンクエスト伝説」(バレエの為の組曲)でした。
この組曲は交響組曲ドラゴンクエストI〜VIまでの中からセレクションされた組曲です。
全40曲からなるこの組曲の中には、いわゆるレクイエム系の曲が4曲(IIのレクイエム・IIIの鎮魂歌・IVのエレジ−・Vの高貴なるレクイエム)含まれています。
このコンサ−トですぎやまこういち先生は、このレクイエム系の曲を指揮する際に、指揮棒を置かれ、両手で指揮をなさっていました。(IVのエレジ−に関しては指揮棒を持たれていましたが・・・)
このことを僕は不思議に思ったので、前にすぎやま先生に伺ったことがあります。

僕の 「演奏の時にレクイエム系の曲は手で指揮をなさっていますよね?」という質問に対して、すぎやま先生は次のように教えてくださいました。

レクイエム系のメロディを細かく、こう表現するにはね、棒(指揮棒)は指一本と同じでしょう?
だから、ああいう遅い曲は拍をピッピッピッと棒でやる必要がないから、指の方が
(手で、指揮をなさる様子を示しながら)こういう表情が出やすいの。それにオ−ケストラが反応してくれるわけですよ。
だからね、レクイエム系のみたいな、ああいうスロ−なやつはね、棒なしでやった方がいいものもあるの。だからその辺はね、考えてやってます!


なるほど。レクイエム系のように、特に心に訴えかけるような曲の場合は、指揮棒よりも両手の10本の指で細かく表現した方が、より曲の味わいなり、心がオ−ケストラに伝わる、ということなんですね。

実は、この質問をしたときはまだ、交響組曲「ドラゴンクエストVII」は発表されていませんでしたが、交響組曲「ドラゴンクエストVII」の中にも、「哀しみの日々」「哀しみを胸に〜安らぎの地」というレクイエム系の曲があります。
この2曲に関しても、すぎやまこういち先生は指揮棒を置かれて、両手で心を込めて指揮をなさっています。

すぎやまこういち先生のなさる指揮の様子を見ているだけで、先生がそれぞれの曲に込められたイメ−ジや思いが伝わってきます。
これはCDからでは絶対にわからない、貴重な経験です。(コンサ−トは視覚からも感動を得られるのです!)

ただ、指揮というのは、同じ曲でも指揮者ごとに指揮の仕方は異なると思います。
例えば、バレエ「ドラゴン・クエスト」の公演で指揮を担当なさる小松一彦さんは、このレクイエム系の曲の時でも指揮棒を持ったままでした。
小松さんは「そして伝説へ・・・」の途中の部分で一部、指揮棒を置かれて両手で指揮をされていました。

同じ曲でも、指揮者の表現の仕方で我々の感じ方も変わってくるところがあるというのは、とても興味深いと思います。


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レクイエム系の曲の指揮法について