アイオマックペレット



 アイオマックサンドが微細な粒子であることから、粒を大きくして水処理用に使い勝手を高めたものがアイオマックペレットです。ポリエチレンの樹脂にアイオマックの粉体を練り込んでありますが、ヨーソイオンの飛び出しには何ら遜色はありません。比重は水よりも軽く、水面に浮かびます。活用例としては観賞魚の飼育水の循環経路に組み込み、魚病や寄生虫のダメージを予防する器具や、24時間風呂で問題となっているレジオネラ菌の増殖を抑える付加装置などがあります。また飲料水の殺菌にも有効です。
いろいろな使い方が予想されますが、皆さんのアイデアで、より効果的な活用方法を試行してください。
ここではいくつかの活用例をご紹介いたします。

1 観賞魚の病気予防
 かなり強力な殺菌力を有しますので、飼育生物を冒す各種の細菌群を抑制します。また海水魚の大敵である白点病の様な原虫類にも効果が認められます。ただし、すでに魚体に寄生したものには効果はありませんので、あくまでも飼育水の殺菌、殺虫の予防目的で使うのだという理解をしてください。アイオマックを用いたからといって、病気になった魚が治癒するわけではありません。
 また各種の病原性ウイルスに対しても不活性化の効果が実証されています。観賞魚の世界は人間に対してほど病気についての解明が進んでいるわけではありませんから、実際はウイルスが原因で、細菌性の二次感染が表面化し、あたかも細菌性疾患の様に分類されていることもない話ではありません。従来の魚病薬ではターゲットにし得なかったウイルス性の疾患が事前に抑制されることも期待されます。

 病気とは関連がありませんが、水槽の景観を台無しにするコケの抑制効果もあるようです。特に海水の無脊椎動物をお飼いになっている方が多く経験されるレッドアルジー(俗に藍藻というくくりをされているようですが、実はシアノバクテリアという細菌が原因)の抑制効果も高いと思われます。
コケも病気と同様、あくまでも予防という範疇です。コケだらけの水槽がきれいになるわけではありませんので、念のため。

 アイオマックの基本的な働きを説明させていただいたページを思い出してたいただきたいのですが、アイオマックの殺菌機序は一種のイオン交換にあります。すなわちマイナスに荷電した細菌細胞に対して、ヨウ素イオンが交換される形で飛び出すわけですから、細菌以外のマイナスイオンに対しても同様な働きをすることが予想されます。海水は淡水に比べて様々な塩類を溶かし込んでいますから、当然のことながらヨウ素の消耗も早いと思われます。従って、海水魚の水槽では淡水魚の水槽にお使いになるよりも短期間の内に効果が減少するのではないかと想像しています。残念ながらこのへんの比較データを持ち合わせませんので、どの程度の交換頻度になるかは明言しかねるところです。

 使い方は簡単です。要は適当な容器にペレットを充填し、飼育水を通過させればよいのです。アクリルや塩ビのパイプを加工して循環系に組み込むのも良し、安い密閉型フィルターに仕込むのもまた簡便な方法かと思います。できれば濾過槽を通過した懸濁物の少ない水を送るべきでしょう。ペレットの表面に付着物が溜まることは細菌との接触効率(0.6ミリ以内に接近すれば殺菌される)が妨げられることになるからです。飼育水何リットルに何グラムといった「適正量」は意味がありません。なぜならアイオマックからはヨウ素が溶け出すのではなく、あくまでもヨウ素イオンが飛び出すだけだからです。過剰に入れても、そこを通過する細菌の密度に従って内部のヨウ素イオンが消費され、決して無駄に飛び出すことはありません。長期間効果が維持されるだけの話です。


白点病対策への重要なヒント
 
以前沖縄の海洋博水族館を訪問した際、スタッフの方から「当館では水槽の底砂を毎日撹拌しています。そうすると白点病はほとんど出ません。」というお話しをうかがったことがあります。
海水の白点病治療に際しては硫酸銅を用いるのが定番ですが、魚体に取り付いた「親虫」に対してはなかなか効果を示しません。親虫はやがて繁殖のため魚体を離れ、シストと呼ばれる仔虫を増やすためのステージを形成し、そこから200匹前後の次の世代が飛び出し再び魚体に寄生します。つまり寄生と増殖を繰り返しながら仲間を増やして行くのですが、硫酸銅が効果を示すのは魚体を離れている世代に対してのみですから、水温を上げて魚体から離れるのを促す方便も合わせて重要と言うことになるわけです。
底砂を撹拌することで白点病を予防できるという理由は、魚体を離れたシストや仔虫を底砂の中に「埋めてしまう」という物理的なブロックをして魚体への寄生を妨害することにあるようです。砂に埋もれたシストや仔虫がどの程度の期間生き続けることができるのかはわかりませんが、白点病の発生に対してはアマチュア以上に神経をとがらせている「プロの知恵」としてうなずける話だと思います。

 白点病に対するアイオマックの殺虫効果は硫酸銅と同様に、すでに魚体に寄生している親虫には期待できません。病原菌でも寄生虫でもアイオマックの直近0.6mm以内に接近しなければ殺菌(虫)効果のあるヨウ素イオンは飛び出さないからです。つまりアイオマックが殺せるターゲットは魚体から離れたシストやシストから飛び出した仔虫の世代の様に水中を浮遊するものだけなのです。従ってアイオマックを白点病対策として用いる場合には、いかにしてそれらの世代を水中に舞い上がらせ、水流とともにアイオマックの周辺を通過させることができるかが効果を高めるポイントとなります。

 隔離水槽のように検疫や病気治療専用に設けられた水槽では底砂を敷かない方が彼らを舞い上がらせる可能性は大きいと思われます。またその効果を高めるためには吹き出し流量の大きいポンプを用いたり、吹き出し水流を意図的に水底に当てるなど積極的に「浮き上がらせる」方策が求められることになります。
 逆の言い方をしますと、ライブロックや底砂で景観を作り上げた観賞用の水槽では、白点虫が増殖のために必要とする水流のおとなしいエリアが必然的に作り出されることになり、効果が半減する事態も起こりうると言わざるを得ません。いずれにせよ、白点虫をゼロの状態に駆逐することは通常の水槽では不可能なのではないかと想像します。

 自然界においても魚類が自然死する時には体表が白点虫に覆われ白っぽい状態になっている場合が多く、魚体の抵抗力が衰えてくると成り行きとして白点症状が表面化してくるのではないかと考えられます。白点虫はそれほど普遍的な存在で、魚類の死体が崩壊する過程においては分解の初期に働く解体屋としての役割を担っているのではないかなどと想像しています。

 白点病に冒されないための大切な条件は、飼育魚類がよりベターな(白点虫が寄生する余地のない)体調を維持できるように適切な管理を行うことと、少なくとも浮遊世代の白点虫を恒常的に殺虫し続ける術を併用することだと思います。アイオマックは他の無脊椎動物や甲殻類などには全く害のない殺菌メカニズムですから、費用の安さも含めて転ばぬ先の杖として循環系に組み込まれることをお勧めします。


こんな効果もあるようです。

 無脊椎動物を飼育する水槽では、生物が必要とする水中の微量元素の残存量が意外と大きなファクターとして生物の活性を左右するようです。カルシウムやマグネシウムはもとより、鉄分やストロンチウムなど様々な添加剤が店頭を賑わしています。実はヨウ素も無脊椎動物には必須の存在なのですが。比較的不足しがちな成分として知られています。

 アイオマックの殺菌メカニズムの項目ですでに説明しましたが、マイナス電荷を帯びた細菌群などがアイオマックの周辺0.6mm以内に接近するとイオン交換に似た形で強力な殺菌作用を持ったI(ヨウ素)が放出されます。その際同時にI(ヨウ素イオン)も飛び出します。このヨウ素イオンは海藻や無脊椎動物にとって必須の成分ですが、生物に有害な作用は及ぼしません。つまりアイオマックは殺菌剤としての位置づけの他にヨウ素イオンの供給剤としての意義も併せ持っていることになります。
 鈴木さんのようなベテランホビーストが取り組んでおられる無脊椎水槽ではヨウ素は常に不足がちになります。そこでヨウ素を補うような添加剤も売られているわけですが、アイオマックを用いていると、殺菌効果とともに水中に供給されるヨウ素イオンが不足分を補うことになり、程良いヨウ素供給剤として活用できそうだというわけです。
逆に考えると、飼育水中のヨウ素イオン量を測定すればアイオマックからのヨウ素の飛び出しが継続しているかどうか(アイオマックの寿命が尽きたかどうか)がわかることになるのではないでしょうか。

2 飲料水の殺菌
 アイオマックペレットと同様の原理を用いた抗菌剤にトリオシン(商品名)があります。トリオシンはカナダ陸軍に緊急時に使用する水の
消毒剤として用いられています。貯蔵してある雨水を緊急時に飲料水として使用する場合等には大変便利な殺菌剤と考えられます。 各種の実験でアイオマックはトリオシンと同等以上の殺菌力を持っていることが明らかになっていますので、災害時や海外旅行などで飲料水の殺菌状態が不安な場合には重宝すると思われます。

 海外旅行に出かける機会が増えた昨今、「水に当たった」経験をお持ちの方も多いと思います。入院するほどではないにしても帰国後何日も下痢が止まらないといった症状が多いようです。ミネラルウオーターが切れていたので水道水をつい一口飲んでしまったようなケースが考えられますが、日本と違って海外では生水が飲める状況は少ないと考えておいた方が無難です。
 東南アジアにビジネスに出かけることの多い私の知人はペットボトルにアイオマックペレットを若干量入れて持参し、現地の水を満たして「シャカシャカ」振って飲むのだそうです。おかげで水に当たったことはないよと自慢しています。



3 24時間風呂への応用
 風呂好きな国民性の我が国では何と百数十万台の24時間風呂が売られてしまった?とのことです。レジオネラ菌騒動以降、通産省が安全確認の基礎データの提出を各メーカーに求めたところ製造を取りやめてしまったメーカーが続出したようです.結構やばいものも売られていたのでしょうか?。かろうじて殺菌装置を組み込んだニューモデルが息を吹き返している様にも思えますが、これまでのメーカーの姿勢を考えると、実際のところどの程度の効果があるのか少々不安でもあります。幸いにも生活力に乏しい我が家では購入の話題は一度たりとも持ち上がったことがありません。それにしても24時間風呂をすでにお持ちの百数十万世帯の家庭ではどうしているのでしょうか。他人事ながら気になります。
 24時間風呂の水質浄化は、水槽の濾過槽と同じように物理濾過と生物濾過を併用したものではないかと想像しますが、その環境内に抗菌素材や殺菌灯、オゾンなどを隣接させることには若干の矛盾を感じます。メーカーサイドでも必死の研究をされているのでしょうが、ハードルはかなり高い様に思います。
 風呂水の浄化も基本的には水槽への応用と同様に考えればよいと思います。アイオマックを適当な容器に充填し、風呂水を循環させることで、相当な殺菌効果が期待できるはずです。レジオネラ菌は塩素への耐性が強いとされていますが、アイオマックは他の細菌同様瞬時に殺菌する効果を示します。

24時間風呂のページhttp://www.jah.ne.jp/~t-iwt/bath.htmというサイトを見つけました。レジオネラ菌に対するメーカーの対応などが載せられています。興味のある方は覗いてみてください。


4 加湿器等への応用
 レジオネラ菌の話が出たついでにレジオネラ症の発症原因について触れてみましょう。レジオネラ菌が繁殖している水を飲んでもレジオネラ症にはなりません。レジオネラ症は呼吸とともに肺にレジオネラ菌が侵入することで引き起こされる病気だからです。従ってクーリングタワーや噴水などの様に水の飛沫を飛ばす可能性のある設備ではお風呂以上に厳密な対策が求められるところですが、直接的に被害を被る立場にない管理者には予防意識が希薄なようです。私たちの家庭環境の中にも意図的に水の飛沫を飛ばす装置があります。そうです加湿器がそれにあたります。健康に良かれと購入した器具が、お年寄りや乳幼児に思いもよらない危険性をもたらすとしたら大変です。スチーム式の高温処理をするもの以外はレジオネラ菌をまき散らす可能性が否定できません。こまめに水を交換するなどして、レジオネラ菌を繁殖させない用水管理が肝要です。アイオマックはそれらの煩わしさをほぼパーフェクトにカバーしてくれます。

参考までにレジオネラ菌の殺菌定量試験の結果を示します。(資料提供 松井産業(株))

試  験  名:浴槽内浄化材用ペレットの殺菌定量試験
試験機関名:北里大学医療衛生学部臨床微生物学研究室
試 験 方 法:アイオマックペレット25gを50mlの密閉チューブ(容積率約90%)に入れ、滅菌蒸留水で105CFU/mlに調整した4菌種(大腸菌、黄色ブドウ球菌、緑膿菌、レジオネラ菌)混合菌液25ml(試験品25gが浸かる量)を加え、37℃の恒温槽中で振とうしながら反応させた。反応終了後、各菌種の選択培地で生残菌を定量した。ポリエチレンL705(対照)での生残菌量を殺菌率0%として、ペレットの殺菌率を求めた。

レジオネラ菌

作用時間 対照区生残菌数
CFU/ml
試験区生存菌数
CFU/ml
生存率
  %
殺菌率
  %
1分以下 3.8×10 <10 不検出 <0.01 >99.99
10分間 3.4×10 <10 不検出 <0.01 >99.99
30分間 4.0×10 <10 不検出 <0.01 >99.99
60分間 3.6×10 <10 不検出 <0.01 99.99

他の3菌種についても同等の殺菌効果を示しましたが、ここでは省略します。


5 ペレットを使うか、サンドを使うか
 アイオマックにはペレットとサンドがあります。ペレットはアイオマックを100ミクロン程度の粉体にしてポリエチレンに練り込んで成形したものとご理解下さい。比重は0.5、粒径が7〜8mmと大きいため、容器に封じ込めるには使い勝手が良いのではないかと思います。一方サンドは比重1.2〜1.4、粒径が1mm前後と微細なため、水流によって簡単に押し流される可能性があります。用途によって使い分けが必要ですが、処理水との接触効率を維持できる方法であれば、どちらをお使いになるかは自由です。皆さんの創意と工夫で、より効果的な使い方を模索してください。