日本の星座

目 次

日本の星座について
日本の天文学日本の星座

日本の星座の物語
七夕 

日本の星座解説
オリオン

日本の星座についてのメールはこちら  更新:2000年11月26日
←更新履歴


日本の星座について

日本の天文学 

 古代日本の天文学は、他国のそれと比べかなり遜色します。人類の歴史から考えても、何処にいても大概の場合空はあるのですから、それに対する興味を持っていなかったとするのは不自然ですが、まだ文字が発達していなかった頃、古代の日本にはそれ程の確立された天への思いはなかったとするしかありません。

 そして中国より文字がもたらされ、色々な技術や学問が流れ込みます。
 やがて「日本書紀」で記されている602年。それによれば、「百済の僧より、暦、天文、地理、遁甲(とんこう)、方術が伝えられた」といった事が書かれています。これが、初めて天文という考えが日本にもたらされた事を記す記録です。
 しかし、ここで示されるそれぞれの項目、地理以外は、現代のそれとは、だいぶ異なっている様です。
 どれもが当時の科学であり、地理については実在する土地の物理的面での記録という意味で現代の地理と通じる物がありますが、それ以外は、現代では占いと呼ばれる考えが大きく関与しています。

 暦とは、天体の動きなどから一年の暦を作成する技術ですが、この技術には各日付の吉凶を調べる術も大切な技術として入ります。遁甲とは、術数とも言える技術で、ある数字から吉凶を占う事から、様々な物事に対する戦略を立てる上での大切な一要素となります。方術とは、仙術、占験(せんげん)、錬金術などの総称で、現代の魔術と呼ばれる類の物です。

 そして天文ですが、これも同様、天体の様子を観測する事で、物事を占う術となります。これに利用される中国の星宿(星座)の理論が、当時の天文学なのです。
 中国の星座は、総数300近くにも及ぶ膨大な数があり、それらの星座が、宮廷組織、官僚制度になぞられて取り決められています。これは、この天文学に利用される為に取り決められた結果なのです。
 天を観測する事により得られた結果は、この細分化された星図に当てはめられます。その結果が、宮廷組織、官僚制度になぞられ、それが今後に起こる物事を表すのです。ある組織に属した天体に、通常にない事態が観測されれば、それは近い未来にその組織に何かが起こる事を表すのです。この占いが、当時の天文という学術となります。

 こうして、天文という技術が流れ込んできますが、現代の天文学を考える場合、それに相当するのは暦学と天文学という事になります。
 現代の天文学に当てはめると、暦学は天文現象の規則性を求め、法則を導こうとする物であった事に対し、天文は、予測できない突発的な現象を扱う部類となります。現代では、暦学に対する天体への考え方を、当時の天文に当たる現象にも適応させ、科学として確立している理論が天文学です。
 これら古代の占星術的な天文学は、現代ではとかく軽く見られがちですが、これらの記録は大いに役立つ者です。当時、天文学者すなわち天文官としての職に着きながら、その術に誤りがあったとなれば命に関わる大事にもなりかねません。であれば、導き出される未来の大元である天文観測もいい加減ではない筈です。理論を重視する西欧天文学では、当時では説明出来なかった突発的な天文現象は、ともすれば観測間違いやまやかしであったと一蹴され記録に残りません。ところが、この様な理論から成る中国の天文学には、重大な異変として記録されている事もしばしばあるのです。現代になって、これら突発的な天文現象にも科学的な説明が出来るようになると、過去の記録は非常に役に立ちます。その恩恵をもたらしてくれているのは、当時の中国天文学なのです。

 こうして日本にもたらされた天文学は、暦学、天文学とも、どちらも天そのものに純粋な興味の対象がある訳ではなく、政治に、そして行政の運行に応用出来る技術としてその有効性が認められた物にすぎなかったと言えます。しかし、この中国から得た天文学は、中国ではなかなか不変の学問でした。長い歴史の中で培われた中国の天文学、いわゆる自国の天文学故に、その後もたらされる地動説は、長い間彼らにとっては諸外国の理論、として扱われるのみでしかなかったのです。しかし、元が借り物でしかない日本は、西洋の天文学の影響も色濃く受ける事となります。日本にとって、他国の技術である中国の天文理論に、それ程執着するいわれはなかったのです。
 また、これに関しては地の利もありました。大陸である中国は、西欧天文学がもたらされたのは西欧諸国から流れてくる教会、宣教師等からが主でした。しかし、当時の教会は、まだ地動説を認めてはいません。ですから、彼らが中国に流す西欧天文学は天動説であったのです。しかし、当時の日本は東洋の小さな島国。しかも鎖国の状態で、西欧文明の流入は厳しく管理されていました。その西欧文明を学ぶには、まず言語から、自力でなんとか書物を手に入れ、訳さねばならないのです。この努力は成されていました。これが返って吉となり、西欧文明を記す書物を手に入れる障害は多大にありましたが、書物の内容に関しては、余計な選択をされる事はありません。そのまま最新の西欧天文学であった地動説を書物から学ぶ事が出来たのです。
 こうして、当時の西欧天文学、いわゆる地動説が都合がいいと感じ始めるが早いか、日本は中国の天文学から離れはじめてしまいます。

 しかし、ここで言う都合とは、暦学に関してと言えます。
 暦学の目標は、いかに正確な暦を作るかという事を目指しています。これは、当時の天文学では大変に難しい事だったのです。地球を中心に、星々がその周りを回っているとする天動説では、なかなか上手くいかないのです。特に、月や惑星の位置等を考えるのは至難の業で、複雑極まる計算を行っては、実際の観測と比べ、公式の定数を修正しては再び計算するという果てしない作業を繰り返します。しかし、この問題を解決する糸口が西洋天文学にあると嗅いだ日本の学者は、中国の暦学、天文学から次第に離れ、学ぶ目標を切り替えていくのです。

 こうして、きっかけは中国から学び、後に西洋から天文学を学んだ日本には、ついぞ日本固有の天文学は確立されませんでした。こういった文化形成が日本固有と言ってしまう事も出来ます。それが良い事なのか悪い事なのか、私にはよく解りませんけれどね。

筆者注:
 説明を簡潔にしている為、中国の天文学を天動説、西欧の天文学を地動説という表現にしましたが、これは正しいとは言い切れない表現です。天動説及び地動説に関しては別項に解説を譲りますが、ここでは、当時の中国の天文学は、天動説のような理論であり、当時の西洋天文学では、地動説が騒がれ始めていた、と考えて下さい。

目次へ

日本の星座 

 日本の天文学と称して説明した通り、日本に固有の天文学はありません。
 しかし、では古来より、日本人の誰もがまったく空に輝く星々を見ていなかった、とするのは不自然です。

 元々の気候に恵まれた国土から、農業国として発展した日本で、方位、時刻、そして農業の適期を見極める為に星が読まれたとするのは自然の考えですが、その反面、湿度と降雨率が共に高く、四季の気温差が激しい日本は、天体観測に適している土地とは言えないのです。
 これは余談ですが、日本ご自慢の最新天文台「すばる」は、計画当初、国内に作るか、国外に作るかで問題になっていたそうです。結果は、ハワイ・マウナケア山に建設されましたね。ハワイは、太平洋という大海原に孤立した島で、大気が安定している事、湿度が低い事、自然環境に恵まれている事に加え、空気の透明度が高い事、条例により屋外照明による光害が抑えられているといった配慮もされているそうです。こういった理由では、大金をかけて建造するのに国内では勿体ないというのは、正しい判断ですね。国内に無いというのが寂しい気もしますが。

 この為、日本でも農村漁村、それぞれの場所でそれぞれの星に名前が付き、実用されていた様ですが、これが体系化する事はなく、伝説や民話に繋がるような動きは少なかったとされています。また、日本の古い文献の大概は、国家体制の確立に資料とされる目的としている場合が多く、当時の官僚によって記録・編纂がされていく段階で、その目的にそぐわないと判断された資料については削除されていったとする説もあります。この説によれば、ただでさえ余り発展しなかった日本の天文学は、より一層後生に伝わる事は無くなってしまった、とされています。
 この為、日本における天文は、中国、そして後の西洋天文学によってもたらされた物が殆どで、古くから残る日本特有の天文知識は、極僅かとなっています。

目次へ


日本の星座解説

オリオン座

 現在の我々から見ても分かる通り、冬に輝く非常に目立つ星座です。この為、日本でもこの星座は色々な名前で呼ばれていました。
 その代表的な名として、オリオン座の四角を作る4つ星とその中央に並ぶ3つ星をさして、「鼓星(つづみぼし)」という呼び名がありました。この呼び名は、徳川幕府の時代からあるとされていますが、正確な時期は分かっていません。
 また、同様にこの形から、「竹の節」「竹次ぎ星」「算木星」「かせ星(糸を紡いだときに巻き取っておく道具)」とも地方では呼ばれていたそうです。

 また三つ星については、「三光」等、また同様に3という数字にちなんだ名が連なります。

 「稲架(はぎま)星」とは、稲を刈り取った時に干す架台で、これが利用されるのがオリオン座が見え始める時期に当たります。

 オリオン座の1等星であるベテルギウスとリゲルを指して、「平家(赤旗)星」「源氏(白旗)星」という呼び名も古くから伝わっています。

目次へ