オオクワガタ飼育法


 神戸市にお住まいの菅野氏から、オオクワガタの飼育に関する貴重な情報を戴きました。ご本人にホームページ上での公開をお願いしたところ、快く承諾していただけたため、ここで紹介したいと思います。

通常のマットを使用したビン飼育によるオオクワガタの効率的な飼育法


ペアリング

 4月に入ったら、暖かい室内でペアリングを開始する。その際、やや傷みかけたバナナを餌としてあたえること。1/2にカットしてあたえる。


 クワガタは切り口から内部に潜り込んでいるので、餌交換の時は間違って親虫を古い餌とともに捨ててしまわないように注意する。バナナを与えている限り共食いをすることはない。(44mm以上の大型♀をほかの♀と同じ容器に入れた場合はこの限りでない。)

 産卵木にはクヌギやエノキの朽ち木がよい。シーズンにスーパーなどで100円位で売っているものでもよいが、親が穴を掘るので、直径10cm以上、長さ20cmはほしい。また、あまり柔らかいものはバラバラに崩されるので避ける。

初齢幼虫

 6月になったら、産卵木を取り出し新しい木に替える。取り出した産卵木は、その年の気候にもよるが、6月15日から6月20日の間に分解して、初齢幼虫を取り出す。この期間は重要である。


 初齢幼虫はワンカップ酒の容器に7分目に詰めた餌の中にいれる。私はマルカン社製のクヌギジャンボマットをミキサーで細粉にして、薄力粉をわずかに混ぜ、握ったときばらばらにならない程度に水分を加えたものを餌として使用していた。当時は現在のように良質のマットを販売していなかったから、やむなくマルカン社製のマットを使ったが、現在は「ザ・オオクワ」等のクワガタショップが専用の粉砕済みのマットを販売しているので、それを使えばよい。ただし、できればナラ材でなくクヌギかブナ材がよいと思う。

 薄力粉の分量はカップ酒の容器2個に対してティースプーンすり切り1杯である。薄力粉の意義は、栄養補給ということよりも、木屑の分解を早めることにある。 この餌は、発酵等を考えて事前に準備する必要は全くない。幼虫を割り出すときに薄力粉を混ぜて作ればよい。いままでカビが発生したこともない。また、コーラン等を混ぜるなどということも聞くが、そんな話は一日も早く忘れること。

 餌はビンの中に堅く詰め、中央に箸かドライバーで穴を底まで穿ち、そこに幼虫を入れる。容器にはサランラップと輪ゴムで蓋をして、爪楊枝でラップに穴を1〜2個あける。

2齢幼虫

 初齢幼虫は7月10日〜20日までに2齢幼虫になる。2齢幼虫になっても、餌を替えたりしないこと。じっと我慢して観察するにとどめる。2齢幼虫になったら♂♀の区別が付くが、慣れていない場合は頭のでかいのが♂、小さいのが♀と思っていればよい。参考までに頭幅は♂で5.5mm〜6mm、♀は5mm程度である。


終齢幼虫

 2齢幼虫は8月5日〜10日前後に終齢幼虫になる。2齢幼虫の期間は約20日。脱皮して終齢幼虫になったことを確認したら、5日間ほどほっておく、この間に幼虫は2齢時の餌を体内に取り入れる。5日〜1週間たったら(あまり期間をおかないこと)、いよいよ大きな容器に移す。私はネスカフェエクセラ増量キャンペーンの容器(内容積約1L)を使用した。ネッスル日本(当時:今はネスレ 日本)のお客様係?に電話で理由を話し、ビンは無料、送料着払いで大量に手に入れたが、昨今の社会状況を考えると、現在ただでもらうことは無理だろう。


 話が横道にそれたが、終齢用容器に移すとき2齢幼虫時の餌を捨ててはいけない。必ず新しい餌に混ぜること。餌の作り方は初齢幼虫のときと同じであるが、薄力粉の割合は、容器2個に対してカレースプーン山盛り1杯。容器の蓋にはドリルで3mm程度の穴をひとつあける。蓋を閉めた後、なるべく涼しい暗所に保管する。私は西側室内の扉付き木製ロッカー(H:180 W:60 D:40)を2個用意して、その下半分に詰め込んだ。夏冬で保管場所を変えたりはしない。

 時々様子を見るが、あまりいじらない方がよい。幼虫を取り出したりするのはもってのほかである。終齢幼虫の頭幅は、♂で10mm〜12mm、♀が9mm〜9.5mmであるが♂はほとんどが10.5mm〜11mmである。

体重測定

 12月も半ばを過ぎると体重測定をしよう。デジタル式の電子計量器が1万円程度で販売されている。これを使うとよい。この時期、♂の体重は14g〜16gとなっている。♀で8.5g〜9.5g前後である。(いづれも、測定時に脱糞した後の体重)


 体重測定後、半分だけ餌を交換したビンに再び幼虫を入れる。容器の下半分に新しい餌、上部になるべく糞を除いた古い餌を詰める。新しい餌に古い餌を若干混ぜてもよい。

 そのままにしておくと、♀は6月、♂は7月には蛹となり、やがて羽化する。蛹の期間は♀で20日、♂は25日である。羽化後2週間もすれば取り出してもよいが、しばらくは1頭づつ飼育すること。種親にするのはその次の年からとなる。

成虫のサイズ

 以上のようにして飼育した新成虫の大きさは、♂が63mm〜69mmである。65mm〜66mmが多く、大歯型以外は出現しない。♀は42mm〜45mmとなる。1年1化で通常のマットを使用したことを考えると満足すべきものと思うがいかがであろう。


2年1化

 これ以上の大きさのものを、ビン飼育で、かつ通常の餌を使って作り出すには2年1化タイプでないと無理である。この場合は、6月に交換した2回目の産卵木を利用するのである。この産卵木から9月15日以降に幼虫を取り出す。このとき初齢幼虫か2齢幼虫初期のものを(2齢末期のものは必ず年内に終齢幼虫となるので望み薄である)、いきなり大型容器に移すのである。このときの餌も前述のものを使うが、餌を作成する際加える水に、その夏に羽化した成虫の飼育容器の中 の糞を溶かして混ぜた方がよい。


 この方法で飼育した幼虫は翌年の春に終齢幼虫となり、♂はそのまま2度目の冬を迎えるが、♀は夏場20゚C以下の低温飼育をしない限り、すべて年内に38mm前後で羽化してしまう。♀に関しては前述の1年1化のほうが大型となる確率が高い。

 さて、♂は足かけ3年目の5月〜6月頃に蛹化し7月中には成虫となる。サイズは63mm〜72mmである。すべてが最大級にはなるわけではないが、70mm級もでてくる。

親の大きさと子供の大きさとの関係

 よく、大きな親でないと大きな子はできないといわれるが、私の飼育した71mm♂の場合母親は31mmである。小さな親虫からも大型の子供はできるが、平均すると大型♀のほうが産卵数も多いし、初齢幼虫も大きいような気はする。また近親交配による影響については、小島啓史氏のように 10年以上も飼育したわけではないので確定的なことはいえないが、今のところあまり影響はでていない。


最後に

 ビン飼育のポイントはなるべく早い時期に終齢幼虫にさせるということにつきる。盛夏に幼虫を産卵木から割り出すようでは遅いということである。以上、飼育の参考までに記してみた。


 私は、利殖のために虫を飼育することには疑問を抱いている。前述の方法で増やしたオオクワガタも、標本や種親にするもの以外は、知人や子供の友達などに、また新設の博物館の所蔵品や神戸市立森林植物園の生体展示品として無料で提供してきた。

 趣味とは金を使うものであって、金を稼ぐものではないと信じている。
  

神戸市 菅野公一郎
e-mail mr8k-sgn@asahi-net.or.jp

注・・・e-mailで問い合わせされても、あまりにも初歩的な質問や個人的な質問には答えない場合があること、返信に時間を要することがあるそうです。ご了承ください。

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