私は子供のころの……
R.TAKEMURA



ウイリアム・バロウズ『シティーズ・オブ・ザ・レッド・ナイト』
(飯田隆昭訳・思潮社)より
[引用]

「私は子供の頃の夢を覚えている。美しい庭園の中。手を伸ばして花に触れようとすると花は手の下で萎む。巨大なキノコ状の雲が地球を翳らすと寂寥感と凶事をはらんだ悪夢のような予感が私の心をよぎる。時間の門をくぐれるのは数人かも知れない。私は過去に縛り付けられている。あのスペインのように」

ウィリアム・S・バロウズの『シティーズ・オブ・ザ・レッドナイト』最後の部分からの引用です。バロウズの文章の中でも、最も美しく、極めて感傷的な箇所ですが、最後の最後にこの箇所に出くわしたとき、(よく読み通したな)と自分を盛大に褒めつつ、泣きそうになったのを覚えています。その数カ月後にバロウズが死んだのは感慨深いものがあります。

Jan.31st.2001 TAKEMURA



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