ソレノイドのメールマガジン
  


●発行周期

ほぼ毎週


●内容
新しい文学を創造する武村量・布井四朗のユニット「ソレノイド」が提供するメールマガジン。
ほぼ毎週、掌編小説をお届けします。
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2001.7.10
サスケの文学ワンダーランド 00サンプル号「にんじゅつはいいぞ」

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「2001年、夏、空前の忍者ブームがくる!!」

「みんな気づいていただろうか?
 今、忍者が巷で密かなブームになっていることに」

「それは今年の4月ころから続いているが、
 どうやらこの夏、とうとう忍者が
 爆発的な人気者になりそうだ」

「忍びのくせに人気者? などという痛いところを突いてはいけない。
 忍びの者でもときには目立ちたい。恋の予感を感じてみたい」

「街では、若者を中心に忍び歩き、煙幕、鎖かたびらなどが
 ファッションとして取り入れられている」

「たぶん裏原宿とかには忍者・くの一がいっぱいだ」

「破格の忍術『一本しめじ』ができるくらいではまだ足りない。
 モテたい男子は『四本しめじ』、『八本しめじ』くらいは
 マスターしなくてはならない
 (白土三平『忍者武芸帳』を参照のこと)」

□□□CM□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

『諸行無常の鼾』武村量著

ずいぶん眠ったような気がする。頭は起きているのに、布団の中、見た夢を反
芻している。小学校の集会でパカラというあだ名の先生に背後から竹刀で殴ら
れた。馬と顔が似ているパカラが先のほぐれた竹刀で頭を殴ってくる。ぼくは
蝿を追い払うようにして竹刀を払いながら、向かいの知らない女の子に話し続
ける。「葬式なんだけど、一緒に行かないか?」新しいナンパ。「でもお父さ
んの実家って福島でしょ?」「いや、青森だよ。あれ、群馬だったかな。それ
にしても暑いな。夏と冬、どっちが好き?」話している間、ぼくの頭は木魚の
ように、一定のリズムで殴られている。

起き上がると6時35分、部屋は蒸し暑く、暗い。寝過ぎたか? 夕方? 昨
日寝たのが夜中の2時30分。体がだるくなるほど眠ってしまった。アナログ
時計は今が朝か夕か教えてくれない。

窓を開ける。静かだ。人がこの世から消えてしまったような静寂。隣の家の窓
から長く響く鐘の音が聴こえてきた。すると世界は鐘の音とともに朝を迎える。
朝、鐘を打つ習慣だけはいつまでも消えないでほしい。たとえ意味が消えてし
まっても。蒸し暑い曇り空の、すがすがしい朝。これでラジオ体操にでも行け
ば完璧だろう。しかしラジオ体操の記憶は薄い。老人と子供のためのレクリエ
ーション。母親はみんなラジオ体操を憎んでいた。子供たちもむかついていた。
地区の、一度も遊んだことのない子供会。成長著しく顔が覚えられない。名前
は跡形もなく消失。

灰色の空。鐘の、慎ましやかに澄んだ音が世界を浄化する。

完璧な、朝らしい朝。

真夜中、自分のいびきで目を醒ました。顔が笑顔のまま、動かない。

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「そして流行に敏感なソレノイドのメンバーもまた『これは無視できない!』
 と街に飛び出した。ソレノイドの武村はさっそく東急ハンズに向かい、手裏
 剣と巻きびしを購入。予想外の出費にあとで少しだけ後悔した。布井も郊外
 のホームセンターで苗木を買ってきた。公園に植えて毎日飛び続けているが、
 まだまだ人目を気にしている」

「今年の『生まれた赤ん坊につけたい名前』のアンケートは参考になるだろう。
 渋谷を歩く若者100人に街頭調査したところ、以下のような結果となった」

 男の子につけたい名前ナンバー1……児雷也
 男の子につけたい名前ナンバー2……地来也
 男の子につけたい名前ナンバー3……ケムマキ

 女の子につけたい名前ナンバー1……魔雷也
 女の子につけたい名前ナンバー2……磨来也
 女の子につけたい名前ナンバー3……峰不二子

「これはもう疑いの余地がない」

□□□CM□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

『スパイ45』布井四朗著

スパイ45(ヨンゴ)の荷物の重さっていったら、「潜入」より「登頂」が任
務かと思っちまうほどだった。心配性で、あれもこれもって詰め込むんだ。

モナリザのレプリカが飾られた一室に侵入すると、45は腕に血管が浮き出る
くらい力を込めて慎重にリュックを床に降ろし、その奥の奥まで手を突っ込ん
だ。取り出したのは赤外線スコープだ。しかしリュックの重さで筋肉が硬直し
てたせいで、力みすぎてスコープのフレームを折っちまった。45は眉をしか
めたが、すぐに予備のスコープをリュックから取り出し、赤い光の糸を確認す
る。(なるほど、こいつはすげえ……)
防犯装置の厳重さが、ブツの重要さを物語ってた。
ブツはモナリザの下にある机の中だと調べはついていた。45はリュックを背
負い直すと、勝利の女神にウインクしようとして、思わず吹き出しそうになっ
て口をおさえた。なぜって、お上品なモナリザに、お上品な口髭がはえてたん
だ。そう、それはダヴィンチじゃなくてデュシャンのモナリザだったってわけ
さ。物音を立てたらアウトだからな。45は危ねえ危ねえと冷や汗を拭いなが
ら、赤外線の網をくぐり抜けて机に近づいていく。残り5メートルというとこ
ろまで近づいたとき、45はふと思った。(いや、たしかにダヴィンチのモナ
リザだった!)
そんなこと、気にしなきゃよかったのさ。でも心配性の45はそれが気になっ
て気になって、身動きできなくなった。まさか……と45は赤外線スコープを
はずす。消えたのは、光の蜘蛛の巣と、思った通り、モナリザの口髭だった。
もう一度スコープをかける。45の鼻先に光の線が通って、モナリザの顔には
やはり口髭が……。モナリザは優雅に微笑している。(野郎……何が狙いだ?)
45は再び難儀しながら荷物を降ろし、この窮地に対処できるアイテムを探し
た。(これじゃない……ちがう……何でこんなものまで!?) しかしマイボ
ウルより重いリュックの中には、役立つものが何一つ入っていない。

数時間後、憔悴した45は鼻の下に付け髭を貼って光のネットに突撃した。

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「……はずであった」

「ところが武村・布井の地道な活動にも関わらず、いぜん忍者ブームは訪れな
 い。そこでソレノイドではとうとう思い切った戦略に出た。それは、この夏
 ついにメルマガを始めるソレノイドが、メインMCにあの『サスケ』を召集
 したことである」

「サスケとはもちろん杉浦茂の『猿飛佐助』のことである。サスケのまったく
 どうでもいい話をだらだら流しながら、ソレノイドではCMの形を取って、
 武村・布井の掌編小説を提供していく」

「それでは! どうぞ!」

「せっしゃ、サスケでござるよ。ニンニン!」

「……おい、ありゃなんだ」
「サスケさんじゃ……」
「バカ。サスケは『ニンニン』なんて言わないだろ!
 ちっ、ハットリくんが来ちまった……。
 船を捨てるんだ、ちきしょう……各人みな勝手に退避せよ!」


*引用テキスト*
『デッド・ロード』ウィリアム・S・バロウズ(思潮社)

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『サイト最新情報』

SOLENOID:武村量著・布井四朗アレンジ「銀色インモラル白書」
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ブランドル実験室:布井四朗著「ユナイテッド・ライティング」のマニフェスト
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TRUESTORIES:布井四朗著「TS03」
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