ファウスト
R.TAKEMURA



ゲーテ『ファウスト』
(森鴎外訳・森鴎外全集IIちくま文庫)より
[引用]

□ファウスト
「己は『刹那』に向かって『止まれ お前はいかにも美しいから』と呼びたい 己のこの世に残す痕は 劫を歴ても滅びはすまい そう云う大きい幸福を予想して 今己は最高の刹那を味うのだ」

□メフィストフェレス
「時計は止まった」

□合唱の群
「止まった そして真夜中のように 黙っている 針は落ちる」

□メフィストフェレス
「落ちる 用は済んだ」

□合唱の群
「過ぎ去った」


ファウストが悪魔メフィストフェレスとの契約により力つきる場面。「ファウスト」の森鴎外訳はなぜかべらんめい調で、メフィストフェレスの口調が江戸っ子のようで楽しいです。ファウストの台詞のあとのメフィストフェレスの台詞は

「この男はなんの楽(たのしみ)にも飽かず なんの福(さいわい)にも安んぜず 移り変る姿を追うて 挑んで歩いた そしてこの気の毒な奴は 最後の 悪い 空洞(うつろ)な刹那を取り留めて置こうと思った 己に随分手痛く逆ったものだが 時は功を奏して 親爺奴 今ここの沙(すな)の上に身を委ねた 時計は止まった」

となるのですが、スペースの都合で割愛。

Jan.31st.2001 TAKEMURA



pagetop
line
copyright:solenoid