| 8 1/2 R.TAKEMURA |
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「この突然の幸福感 わきだす力は何だ 許してくれ 私には分からなかった君らを受け入れ愛すればいいんだ なんて開放感だすべてが真実で輝いて見える これを説明したい だがどう言うすべては混乱したまま この混乱が私なのだ望む姿ではないが もう怖くない 求めるものはまだ見つからないが今なら君の目をまっすぐ見られる 人生は祭りだ 共に生きよう」
この台詞は映画「8 1/2」のラストの場面です。 映画の撮影に失敗したグイド(マルチェロ・マストロヤンニ)との会話を以下に挙 げると □プロデューサーの台詞 「これでいい 君にはめでたい日だ 高い代償を払いはしたが 最後まで理性に従うのが インテリの義務だ これ以上 世の混乱を招くことはない 損も制作者の仕事のうちだ おめでとう これでいい 軽々しい冒険の報い 自業自得だ 後悔することはない つまらん物を作るより破壊しろ それに残すほどの物がこの世にあるか 駄作は制作者には損害だが 君には命取りだ ぶち壊して塩をまくさ 古代人が戦場を清めたように 実際 人間に必要なのは浄化の努力だよ 無用な言葉や映像 音に窒息しかけている 無から生じた物は無へだ 真の芸術家なら当然沈黙への忠誠を心得ているはずだ マラルメの白いページさ」 □道化の台詞 「グイド 用意はいいよ おめでとう」 □プロデューサーの台詞 「完全を期すかそれとも無か 我々 批評家もできることはしている 我々の真の使命は日々誕生する無用の長物を一掃することだ 君も後世にまた一つ残すとこだった 醜い足跡を 君の誤りの集大成を人が喜ぶなど思い上がり 人生の断片を集めて何になる あいまいな記憶 愛せなかった人々など」 引用した箇所はこのあとにグイドが言う台詞です。 そして次のように続きます。 □グイドの台詞 「私にはそれしか言えない あるがままの私を受け入れてくれ」 □ルイザ(奥さん)の台詞 「それでいいのか… でもやってみるわ」 この映画は映画監督であるグイド=フェリーニ本人の、映画監督として、人間としての苦悩と幻想のコラージュ作品です。プロデューサーの台詞はそのままフェリーニ自身の自戒の言葉でしょう。自分を問いつめた上で出てきたグイドの台詞には大した根拠はありません。なんで立ち直れたのか分からないといえば分からないのですが、フェリーニの根本にあるオプティミズムはひじょうに魅力的に感じます。これらの台詞のあとにくる大団円もお気楽でおちゃらけているように感じるかもしれませんが、本気でお気楽でおちゃらけることは難しいことです。ラストは大いに笑えます。ぼくはこういう大胆な嘘を描いてくれる作品はとても好きです。また、ハーレムの場面も秀逸です。 Jan.31st.2001 TAKEMURA |