トップ5つ星CD/砂原良徳: Take Off And Landing Surfin' On Sinewaves
ライン
 砂原良徳
 Take Off And Landing
 キューンソニー (KSC2 205)
 1998
 ???

色々な意味で初期の日本のテクノシーンに大きな影響を与えた(一応伝説的)バンド、電気グルーヴのメンバーであったまりんこと砂原良徳の、脱退前のアルバム。ソロとしては、2作目にあたります。前作「Cross Over」でラウンジな雰囲気を持った、変わったテクノを展開していた彼がこのアルバムでもたらしたのは、とんでもないアナザーワールド。
ある意味、彼が言うように、これはパンクです。

一応曲数は14まであるんですが、実際はこのCDひとつでひとつの曲、みたいなものです。内容なんですが、一聴すると、心地よいハウス、グラウンドビート、ラウンジ系を中心としたサウンドがピアノやストリングスなどを基に展開されていくんですが、曲間や曲中にさまざまなSEが登場したり、また、それらの要素が複雑に絡み合っており、展開はこれ以上なく複雑で、カオスティックでもあります(陳腐な響きですが、そうしたカオスな中にも秩序だったものが垣間見えます)。ちなみにAndrew Weatherallがその年のベストに挙げました。

一応コーナーの特性上全曲紹介をしますが、参考になるかどうか…。
とにかく、これはモンスター的作品です。

1.Infomation Of TUA

男が英語でなにかしゃべり、後ろのほうでテープの早回し音がチャカチャカ鳴っています。その後綺麗なパッドと共に、この長い旅の始まりが告げられます。ゆったりとしたグラウンドビートがいろんなSEと共に入ってきて、微妙に揺らぎながら展開していきます。

2.Cross Wind Take Off

複雑にいろんなSEがたくさん登場後、M1と同じリズムがまた始まったと思ったら、テープの逆回転音が出てきて、終了、かと思いきやまた始まり、と思ったらまた終わりそうになり、と思ったら……というように、もう既にものすごい内容となっています。この時点で、砂原良徳だけでなく、発売したソニーにも頭が下がる思い。

3.Magic Sunset ST.

女性のヴォイスサンプル、打ち寄せる波の音と共にハウスビートが入ってきます。かなりかっこよいです。その後ピアノやパッドとかも入ってきます。けっこうマトモ。

4.Sony Romantic Electro Wave

グラウンドビートと共に、今度はスティールドラム。ハワイな雰囲気なんですが、なぜかやかましくノイズが入ったりしています。で、そのあとに初のヴォーカルが入ってきます。ストリングスとかも入ってきて綺麗系なんですが、なんかどこか変です。その後突然ノイズが大きくなり歌がやみ、終了。また打ち寄せる波。

5.Sun Song '80

この後に出た、ヴォーカル曲を集めたCDにも収録された曲。お得意のグラウンドビートにまた女性ヴォーカル。結構マトモ。ギターやら、キーボードやら、いろいろ出てきます。とても明るい感じ。

6.2300 Hawai

タイトル通り、思いっきりハワイな内容です。かったるいリズムに男のヴォイスが複雑にループされたかと思いきや、ハワイの民族楽器(名前忘れました、あのビヨ〜ンってなるやつです)にハワイアンなヴォーカル。でも背後ではポコポコ水の泡がはじける音がなぜかずっと鳴ってます。

で、この作品のひとつめのターニングポイントがやってきます。ハワイアンなヴォーカルがだんだん崩れてきて(というか、遅くなっていって)、他の音ももどんどんおかしくなっていきます。どんどん、どんどん…。で、臨界点から急激に音が上昇していきます。SEもたくさん入ってきて、ヴォイスサンプルが早回しされて、リズムが入ってきたと思ったら、そこから曲全体がテープのはや回しボタンを押したようになります。早くなったり遅くなったり、やりたい放題です。もうここまで来ると、スピーカーの前で唖然とするしかないというか…。

7. Count Down

沈黙の後、SEがブインブイン入ってきます。舞台は変わって、スペースシャトルの発射場面のようです。そうこうしているうちにカウントダウンが始まります。カウントゼロで発射。

8. Journey Beyond The Stras

息つくまもなくハウスビートが鳴らされます。オルガンやエレピが特徴的なかなりアッパーなスタイルで、これまた激しくかっこよいです。ただやっぱり途中でテープの逆回し音が入ったりいろんなテレビ番組からの音のコラージュが速い速度で切り替えるように入ってきたりと、やっぱり普通ではないんですが(笑)。終わりは、聴いたこともないようなSEが飛び交って、終了。次へ。

9. Life & Space

まずパッドが鳴らされます。その後またかったるいシンセとリズムが入ってきて、背後では時報の「ただいまから十二時…」とか言ってます。そこにピアノのソロが入ってきたり。この辺から、クライマックスへと徐々に進んでいきます。

10. No Sun

またハウスです。また明るい雰囲気の曲なんですが、展開が相変わらず複雑です。そして途中から、だんだん変化が起きてきます。無限音階(ずっと音階が上がっていっているように聴こえる音のこと。実際は、何層も音を組み合わせてそう感じさせているだけ、というちょっと変わった音)が入ってきて、「いかにも」な雰囲気たっぷり。で、実際どうなのかというと、最後は無限音階だけになり、次の曲へ。

11. The Good Thing Of World Of Love Song

音程が安定したと思ったら、不思議な音が入ってきて(言うなら、天国のような)、その後聖歌隊が賛美歌を歌い始めます。完全にお彼岸の世界です。教会の鐘が鳴って、拍手され…と思ったら、いつのまにかまた打ち寄せる波。スティールドラム。そして次の曲へ。

12. Summer

マトモな曲。ゆったりと。前の曲までが「濃ゆい」内容だっただけに、あっさりとした感じです。SEがうねって、終了。感動のラストへ。

13. My Love Is Like A Red, Red, Rose

どうしようもなく琴線に触れるようにストリングスが響いて(背後では、また波が打ち寄せてます)、その後激シブの、何十年も前のレコードをかけたような(もしくは、昔のラジオ)質感(ノイズもバッチリ入ってます)で男性がピアノとストリングスのみをバック歌います。激シブです。ジェット音が入って終了。

14. Welcome To Japan

エンディング。マトモです。三味線が出てきます。

というか、ほとんど説明になってないですよね(笑)。むしろこんないいかげんな説明なら、無いほうがいいんじゃないかくらいで。この作品を説明するのは、不可能です。でもどうしても紹介したかったので、あえて文字で表現しました。実際の体験は、もっともっと、刺激に満ち溢れていますよ。

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(Last Modified: 2002.02)
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