| トップ/5つ星CD/V.A: Frogman presents Spunky Chorus | |
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Various Artists | |
| Frogman presents Spunky Chorus | ||
| ソニー (SRCS7743) | ||
| 1995 | ||
| Old German Trance, Happy |
90年代初期にベルギーで生まれ、ドイツで隆盛を誇ったトランス。そのスタイルは、名前こそ現在まで残っていますが、内容は当時とはかなり異なったものです。「ジャーマントランス」と一口に言っても、もはや現在のジャーマントランスが喚起させる音のイメージと、当時のジャーマントランスのそれは、完全に異質のものとなってしまっています。
前置きが無駄に長くなってしまいましたが、このアルバムは国内盤では唯一のジャーマントランス(しかもMFSを中心とした)コンピレーションです。ほぼ全編、きれいな哀愁系ジャーマントランスです。曲の順番も考えられていて、感動のラストが待っています。
曲紹介に移る前に、ちょっとMFSについて。
MFSは当時良質のジャーマントランスを多く輩出していたまさに伝説的レーベルで、Supersutition、Sven
VathのHarthouseとEye-Qなど有名どころよりもさらに一歩抜きん出た存在でした。在籍アーティストも豪華で、Mijk
van Dijk、Paul van Dyk、Cosmic Babyなどを中心として、多くのアーティストがいました。トランスブームの波にがっつり乗ることができ、まさしく「時代のレーベル」となったわけです。
しかし93、94年を境に急速にトランスへの倦怠感がヨーロッパを覆い尽くすと、MFSもトランスと同じ運命をたどることになります。アーティストも次々と他へ移籍、もしくは自分のレーベルを立ち上げたりなどしてリリース量も減っていきます。さらに悪いことに、「My World」をきっかけのひとつとして超大物となったPaul van Dykとアルバムの音源の権利をめぐって裁判沙汰となり、決別してしまいます(この幻のアルバムは、未だにリリースされていません)。
MijkもPaulもCosmic Babyもいなくなり、完全に人々の間から「ああそんなレーベルあったねぇ」くらいの印象でしかなくなったMFSでしたが、細々とリリースを続け、現在も存在はしています。
かなり前置きが長くなってしまいました。さっそく、曲を見ていきましょう!
最初の曲は、Mijk van DijkのMFSでの最も有名な名義での有名な作品。「これでもか」というくらい、分厚いシンセのアルペジオが鳴りつづける。展開もかなり大きくあり、彼の当時のスタイルを象徴する曲。
そのMijkのアルバム「Team Work」でもコラボレートした盟友Johane TarlizのMFS時代の貴重な音源。やはりマイクと音も共通する部分があり、明るさと悲しさを両方持ち合わせた曲です。女性のヴォイスサンプルがいい感じにループされています。綺麗な曲。
前の2曲とはうって変わって思いっきりアシッドなトランス。303なベースをひたすらビキビキ言わせています。BPMもかなり早め。ハード。アシッドトランスレーベル、Noomの音源。
Mijk van DijkのSuperstitionでの有名なプロジェクトでの、最も有名な曲。オールドスクールジャーマントランスの中でも、5本の指に間違いなく入る曲。Marcos Lopezとのコンビであるが、ここではよりフロア寄りのセルフリミックスを収録。10年近く経っても未だに聴ける曲。少しずつ少しずつ音が重ねられていって、ブレイクで待ってましたとばかりに響き渡るMijk節のシンセ&メロディに、平伏。
解説によると、この音源元のLe Petit Princeは「下世話なほどハッピーなアレンジ+ガバのりの歪んだキック」というスタイルだったそうです。で、この曲は、「下世話なほどハッピーなピアノ+ガバのりの歪んだキック」というスタイルで、そのままです。ちょっと恥ずかしい系。
ドイツテクノアーティストの大物、ハードフロアの片割れ、Ramon Zengerによるソロプロジェクト。Fragmaよりも素敵なストレートな哀愁トランス。
典型的ハードコアテクノ。レイヴなかけ声ヴォイスのループ、レイヴな歪んだキック、アグレッシヴなシンセ…。アルバム中でちょっとこの曲だけ浮いてます。
今ではドラムンベースをやっているJonny Lの昔の音源。四つ打ちとブレイクビーツを上手く使い分けてます。トランシーな哀愁もの。ピッチを上げたヴォイスループが時代を感じさせる。
メルマガでも取り上げたDJ、Sven Vathの初期の音源を、ベルギーのレーベルRising High主宰のCasper Poundがよりトランス色を強くリミックスしたもの。10分にもわたる、壮大な哀愁への旅。
MijkのSupersutitionでも名義のひとつ。タイトルも、曲の内容も、ゲームオタクの彼ならでは。ゲームからのサンプルがあちこちで使われています。マイクによると、展開を「ゲームのようにした」そうです。つまり徐々に難易度が高くなって、がんばった後にボーナスステージに行けるが、その後突如大ボスが登場そしてゲームオーヴァー、というもの。これを実際にやっちゃったんだから、脱帽。リリースは95年と言うこともあり、既に昔のトランス色は大きく後退しています。まあそれでも強烈なオリジナリティは相変わらずなんですが。
前曲がやたらアゲアゲだったので、ここからの2曲はアンコールみたいなもの。で、次の曲に今すぐ触れたい気持ちを抑えて、まずはこの曲から。アーティスト名にはありませんが、Paul van Dykがリミックスしたものです。他にも「Voices In Harmony」という曲もリミックスしてるんですが、どちらも哀愁度満点のジャーマントランスで、この曲はより琴線に触れる歌声とトランシーなシンセ、まったりとしたリズム、以上の3つが最高のトランスを形作っています。激しさは全くなく、どこまでものどかなのに、どこまでも悲しい。一聴して地味、でも何度もよく聴いたら最高だった、というパターン。ディープ。
ラストは当然、というかこの人以外いないでしょう、ということで、前曲に続いてPaul van Dykの音源を、やっぱり最後はここ、MFSから。セルフリミックスです。完全インストです。6分16秒の至福の時。昔からの彼のファンの多くが「昔のほうがかっこよかった」と言っているのは、この曲があるから(もちろんそれだけではないんですが)。昔からのトランスファンの多くが「昔のトランスの方がよかった、今のトランスはちょっと…」と言っているのは、この曲があるから(もちろんそれだけではないんですが)。
展開もしっかりしており、ちょっぴりディープで、とびっきりの哀愁トランス度。
聴いた後はメインメロディがずっとずっと耳から離れることはありません。
打ち寄せる波の音が感動と共に、ラストを告げて終わります。
この曲のために、このアルバムは5つ星をつける価値があります。
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