トップ5つ星CD/Chicane: Behind The Sun Surfin' On Sinewaves
ライン
 Chicane
 Behind The Sun
 Xtravaganza Recordings
 2000
 Balearic, Euro Trance, Chill Out

2000年にリリースされた、Chicaneの2枚目のアルバム。
Chicaneについては、アーティスト紹介のページで紹介しているので、ご参考に。

で内容のほうなんですが、ユーロトランスを基本としつつも、前作でよく使われていたブレイクビーツは若干時代の流れもあり後退し、フロア寄りの曲も多く収録されています。その一方で、クラブシーンとは一歩離れたヒーリングミュージックにもつながる「癒し系(この言葉は一歩間違うと誤解されそうですが…)」の歌ものも収録されており、一歩進化したシケインサウンドを聴かせてくれます。もちろん、バレアリックなムードは前作同様アルバム前編に渡っており、幅広いそうにアピールできる大変クオリティの高い作品に仕上がっています。「静」と「動」、この緩急のつけ方が絶妙です。

1. Overture

前作同様、ノンビートのチルアウトから始まります。透明感のあるシンセサイザーのパッドの広がりが聴く者に自然と頭の中に朝焼けの風景を思い起こさせるような、そんな楽曲です。どこまでも重厚な音の重なりは、大きな期待をこの作品に持たせてくれます。

2. Low Sun

雰囲気的には「Overture」と一緒ですが、ここではフルートとコンガ系のパーカッション、そしてギターを使っており、バレアリックここに極り、といった感じです。延々とループされるギターのフレーズ、時折入るクリアなピアノの響き、裏に入る鈴のリズム。Chicaneお得意のバレアリックなチルアウトサウンドです。

ライヴ映像を観たことがあるんですが、この曲を演奏している時が強く印象に残っています。どのパートもそれぞれ演奏者がいて、エレクトロニックな部分はシンセぐらいでした。これも、シケインならでは。

3. No Ordinary Morning

シングルカットもされた曲です。ヴォーカルにTracy Ackermanという女性を起用しているんですが、控えめなリズムはほとんど生に近いもので、もはやフロアからは遠い作品になっています。しかし後ろで鳴っているシンセパッドと、哀愁漂う悲しいメロディはあくまでChicaneのそれであり、聴いていてとても心地よいです。アルバムの中でとても好きな曲のひとつです。

4. Saltwater Original

10分以上ある「壮大な」という言葉この上なくピッタリ当てはまるユーロトランス風の曲で、ここで初めて4つ打ちものが出てきます。ヴォーカルにエンヤの姉であるMaire Brennanを起用しているんですが、この神秘的というか、神々しさまで感じられる歌声はこの曲の欠かせない要素となっています。シケインお得意の暖かみのあるアナログシンセ系のフレーズとハウスビートで3分ほどじらした後、ブレイクでこの特徴的すぎる祈るようなヴォーカルが出てくるんですが、この時の高揚感は言葉では言い表せません。

かなり独特な作品であるため、ミックスCDとかに収録されることはあまりありませんでしたが、これはこれで完成された曲です。同じ路線で誰がリミックスしても、このオリジナルには勝てないと思うくらい。後半はリズムがブレイクスに換わって、徐々にトーンダウンしていきます。名曲。

5. Halcyon

これまたChicane節さく裂のインストのトランスで、よりこちらの方がフロア寄りです。穏やかなブレイクで突如入ってくるイビサ系のギターソロが絶妙で、そこにChicaneシンセのアルペジオが絡んできてスネアロール、というユーロトランスの醍醐味をたっぷりと味あわせてくれ、かつ下品さ、チープさは全く無いというとても完成度の高い曲です。それはやはりギターのメロディとシンセの音色のセンスが良いからだとは思います。2度目のブレイクでは少し変化もつけていたりして、飽きの来ない名曲。

6. Autumn Tactics

いったんこの曲で落ち着きます。Justine Suissaという女性をヴォーカルに迎え、チルアウトなハウス(というか、ここまで来るとポップス)をやっています。遠くで鳴っているカッティングギターが印象的。歌謡曲としても完全に成立していて、上手くポップさを出しているところはさすがだなと思います。

7. Overlap

インタールード的なブレイクビーツもの。もちろん広がりのある内容で、聴いていてとても心地よいです。

8. Don't Give Up

アルバムのハイライト。なんとロック畑のBryan Adamsがヴォーカリストとして参加してしまったという話題性も抜群な曲で(男性がヴォーカルのトランスというだけでも当時としては珍しかったのですが)、UKでは、ダンスチャートだけでなく、ナショナルチャートでトップの座を獲得してしまいました。クラブ寄りの曲が1位を取ってしまうあたりは、さすがUKといったところ。

もちろん話題性だけではなく、曲の内容も素晴らしいです。かすれた感じのヴォーカルにChicane風のトラックが絶妙に合っていて、なおかつ普通にポップであり、歌謡曲として十分成り立っています。「Saltwater」がどこまでも哀愁が漂っていたのに比べ、こちらの曲はタイトル通り明るめな雰囲気です。

ちなみにライヴでは、よりフロア寄りのセルフリミックスを披露していたりもしていました。ただ、やはりオリジナルの完成度の方が高いです。名曲。

9. Saltwater (The Thrillseekers Remix)

「Saltwater」のノンビートなりミックスです。リミキサーのTrillseekersも、同じトランス路線ではオリジナルを超えられないと思ったのか、リズムをほとんど取っ払っちゃいました。ただそれでもなにかすごい雰囲気が漂っているのは、間違いなくこのヴォーカルのせいでしょう。

10. Andromeda

ラストはちょっと明るめでバレアリックなインストハウス。最初から最後まで気を抜かず聴いてきた人も、この曲できっとリラックスできます。自然とポジティヴになれる、エンディングにはぴったりの曲。

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(Last Modified: 2002.02)
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