フォックスヴィル・ジャーナル・T

(〜2003. 6. 8)


例外 The New York Times(ニューヨークタイムス)

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1999.12 
Fox-year (1998)


<1999年フォックスヴィル・ジャーナル十二月第一週号>
【キツネ年(フォックス・イヤ―)】

1998年、フォックスヴィル近辺の山野にキツネが大量に増加した。
ヘアーズ記念病院のインターンが、町の住民検診で6人のエキノコックス(キツネから人に感染する寄生虫(サナダムシの仲間))の感染者を発見し、大騒ぎとなる。
以前から警告されていたことなので、いまさら騒ぐことではなかったが、マスコミが殺到し全国的関心をひきつけた。
何しろ、その年のキツネの数は尋常のものではなかった。

町の男たちの大半が銃を持って山に入り、キツネを大量に狩った。
狩りの中心人的存在であったサム・ダークホウクとウォルター・ホワイトが車の事故で亡くなったのも、その狩りの最中であった。彼らの妻(マーサとキーリーン)はそれぞれヘアーズ一族の出身である。

同じ年にピーター・ヴェリー(現町長)の妻タビタも不幸な事故で亡くなった。
ヘアーズ(野ウサギ)一族には散々の年であった。
町の口さがない連中は、キツネのリベンジ(復讐)だと噂しあった。

その年を境にキツネはめっきり減った。
1998年が“fox-year”と呼ばれるのはそのためである。
2000.12
New Mayor P.Velie


<2000年フォックスヴィル・ジャーナル十二月第三週号>
【新市長にピーター・ヴェリー】

 前町長ラトクリフ・スランバー(Ratcliff Slumber)氏の任期満了に伴って行われた町長選挙は、21日投票、翌日開票の結果、新人で元銀行役員のピーター・ヴェリー氏(47)が、前助役のクラウン・ハッター氏(55)を僅差で破り初当選した。

 まれに見る混戦となった今回の町長選では、法定得票数に達した候補がいなかったため、異例の再選挙となった。
 焦点の抜本的な景気対策については、住民税減税を公約に掲げて浮動票の一部を取り込んだヴェリー氏が、前回票が伸びず途中で立候補を断念した元消防署長アロー・マウント氏(52)の支援も取り付けるなど、支持層を広げた。ハッター氏はスランバー町政での実績と経験を武器に、前町長路線の継続こそ景気回復の唯一の解決策であり安易な減税は却って反動を招くと訴えて猛追したが、主張に新鮮味がなく、具体的な政策についても焦点を絞り切れないまま終わり、結果的に票を掘り起こせなかった。

 最終投票率は72.93%で、4年前の前回66.25%を大きく上回り過去最高となった。

 ピーター・ヴェリー氏は47歳。故タビタ・ジョーキング・ヴェリー夫人との間に1男1女。2年前に不慮の事故で夫人を亡くす悲劇に見舞われたが、家庭人としての面をアピールし、女性や中小企業有権者の幅広い支持を集めた。また同氏はフォックスヴィル随一の富豪であるバックス・ヘアーズ氏の甥にあたるが、今回の選挙に当たっては伯父の援助は一切受けないと断言、その姿勢を貫き通して多くの共感を呼び、勝利に輝いた。

ピーター・ヴェリー氏のキャッチフレーズ『亡き妻が、私とフォックスヴィルの町を祝福する』は、女性層の涙を誘っていた。
2003.5
The heir Y.Lobster


<2003年フォックスヴィル・ジャーナル五月特別号>
【相続人はヨッシュ・ロブスター氏

フォックスヴィル一の資産家、亡きバックス・ヘアーズ氏(享年90)の遺産(推定総額三億ドル)は、一族のヨッシュ・ロブスター氏(48)が相続することが決まった。
ロブスター氏は流行らない骨董店を経営していたが、相続後はヘアーズ邸に移り住むことが決まっている。
ロブスター氏の喜びの声。
「のんびり田園生活を楽しむのも悪くないだろう。ギボンの“Decline and Fall of the Roman Empire”でも読んで暮らすかな。」
ロブスター氏の一人娘リヨ嬢(11)は、母方もヘアーズ一族の血を引いている。
彼女の家庭教師であるリサ・グレイ嬢(22)はロブスター邸に住み込んでおり、彼女もヘアーズ一族の出身で、推定相続人の一人であったが、早くもロブスター氏との婚約の噂が流れている。

相続人の筆頭と目されていた町長のピーター・ヴェリー氏はコメントを拒否した。
2003.6
Murder in the engagement party


<2003年フォックスヴィル・ジャーナル6月8日号外>

『婚約パーティで殺人』 “殺された幸運な婚約者”

バックス・ヘアーズの遺産相続人ヨッシュ・ロブスター氏(48)との婚約を発表したばかりのリサ・グレイ嬢(22)が、6月7日に開かれたその婚約パーティ席上で死体となって発見された。

リサ・グレイ嬢は、昨年のメイ・クイーンに優勝した、『フォックスヴィルの百合』と称えられる美人で、ロブスター氏の令嬢リヨ嬢(11)の家庭教師として住み込んでいた折、ロブスター氏に見初められ、遺産相続直後に婚約が発表されていた。

リサ嬢の死体の傍らに、フォックスヴィル高校教師クロード・シュトラウス氏が手首を切って絶命していた。警察では、シュトラウス氏の犯行・自殺との見解を強め、二人の関係を調査中の模様である。

さらに、殺人が行われる数日前に、謎の手紙がリサ嬢の許に配達されていたと、デス警察署長の発表があった。“マザー・グース”の一編で、こちらも事件との関連を調査中である。




2001.9
New York Times


『本能に抗う良心!!』
 本紙の契約カメラマン、J・D・タートルが、撮影した写真によると、
 あの悲劇の直後、本能に従い逃げ惑う群集の中、独り勇敢に、献身的な行動を起こした若者がいた。
 その若者は、なんと、群衆という荒波に逆らい、逃げ遅れ転倒した老婦人を身を挺してかばい、その窮地を救ったのだった。
 なおかつ、安全な場所まで彼女を送り届けると、応急処置を施し、名も告げず、立ち去ったというのだ。
 なお、その老婦人は、当社の調査で、アナベル・R・レーヴェンさんと判明。
 彼女は、元州知事A・K・レーヴェン氏の妻であり、またJ・O・レーヴェン上院議員の母親でもある。
 上院議員は、
  『母を救ってくれて感謝してもたりない。まさに彼こそアメリカの勇敢な良心だ』とのコメントを当社に送った。


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