伊藤若冲 「果蔬涅槃図」
(紙本墨画 181.7X96.1cm 京都国立博物館)
    
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道益筆 涅槃図 江戸時代初期 寛永頃
伊藤若冲(いとうじゃくちゅう/1716〜1800))は江戸中期に京都で活躍した日本画家です。

若冲の作品は、伝統的な手法の継承を目的とした狩野派や、徹底してリアリズムを追求した円山応挙などの同時代の画家の作品と比較すると非常に異彩を放っていると言えるでしょう。

この作品はタイトルから分かる通り、釈尊入滅を描いた「涅槃図」です。涅槃図は数多く描かれていますが、なんと若冲は絵の中の登場人物をすべて野菜に置き換えて描いています。
(一般的な涅槃図を下に表示してあります)

若冲が元は青物商であったことから、登場人物を身近な野菜に見立てたパロディ作品とも受け取れます。
しかし作品が母の死後すぐに描かれていることや、釈尊に見立てている大根は禅画の世界では仏のイメージを示す物であったこと、また若冲自身が非常に信心深い人物であったことを考え合わせると、鎮魂の意を込めた真摯な作品であるという説もあります。

このように若冲の作品には、ユーモアなのか生真面目すぎての結果なのか簡単には計り知れない面白さがあります。

若冲は他にもモザイク画のような「枡目描き」と呼ばれる技法や墨の滲みを利用した「筋目描き」、はては点描風の表現など、ユニークな技法を次々と駆使した作品を残しています。

そこには従来の技法に拘らずに思いついたらやってみるという姿勢が見てとれます。
絵画の表現方法を自由に追求するその姿は、絵師というよりも芸術家と呼ぶのがふさわしいと思えます。

2000年には若冲の没後200年を記念した大規模な展覧会が京都国立博物館で開催されました。
私も行って来ましたが、その作品の質・量・ユニークさに圧倒されました。

伊藤若冲については、このスペースでは語りきれない魅力を感じています。
またいずれ他の作品も取り上げたいと思っています。

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