利息制限法 もくじ ■

 金利のグレーゾーンとは?
 利息制限法に基づく引き直し計算
 みなし弁済規定とは?



多重債務者が抱えた莫大な借金の債務整理には欠かせない利息制限法の知識を習得して下さい。
 金利のグレーゾーンとは?


金銭消費貸借契約においては、原則として貸主、借主の間で自由に利率を定めることができます
(約定利息)が、「利息制限法」により上限が定められており、その上限を超える利息分につい
ては無効とされます。

つまり、支払う必要がないということです。

では、相手方が約束どうり支払わないのであれば訴えるぞ!と迫ってきた場合はどうか?

何も恐れることはありません。

「無効」とは、はじめから何ら効力を有しないという意味であり、たとえ相手が訴えたとしても法
的保護は受けられないのです。


10万円未満 20 %
10万円以上 〜 100万円未満 18 %
100万円以上 15 %


※注 … 相手が貸金業者である場合、一定の要件を満たした場合には(旧貸金業規制法第43条)利息制限法により無効と
なる利息の支払も例外的に有効とする「みなし弁済規定」と呼ばれるものがありましたが、貸金業法の改正(平成22年6
月18日より完全施行)により、現在はみなし弁済制度そのものが廃止されています。


しかし、これまでサラ金(消費者金融業者)と呼ばれるものの利率は、年利25%以上なんてのも
ざらでした。

法律で利息の上限を制限しているのに、なぜ守られていないのか?

その理由は、利息制限法により定められている上限を超える請求は無効であり、法的保護を受ける
ことはありませんが、たとえ違反したとしても罰則の対象になっていないからです。

つまり、違反しても処罰の対象にはならないので、ほとんど守られることがありませんでした。

では、どんな高金利でも許されるのかというとそうでもありません。

ここが利息に関して少し複雑にしている点ではありますが、利息制限法とは異なる「出資法」とい
う法律で処罰の対象となる上限金利を設けているのです。


個人間  年 109.5 %
貸金業者  年 29.2 %

※注 … 平成22年6月18日に施行された改正貸金業法により、利息制限法を上まわる金利での貸付は禁じられています。



 違反者は、5年以下懲役若しくは1,000万円以下※1罰金[併科あり]

※1 法人については3,000万円以下
※ 罰則の強化が図られ、H15年9月1日より施行。


そして、利息制限法が定める上限金利と出資法が定める上限金利との間が、いわゆる「グレー
ゾーン」と呼ばれ、貸金業者は罰則の対象にはならないことをいいことに、グレーゾーン間で
金利を自由に設定しているのが実情です。


※ 注意 ※

出資法改正により、現在、グレーゾーン問題は解消されています。


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 利息制限法に基づく引き直し計算


ここで、利息制限法により無効となる利息分も一緒に支払った場合と、利息制限法に従って計算を
し直した場合の事例をあげることにします。


【例】


貸付金額
1,200,000円
利率
29.0%
返済額
100,000円/月


貸付金額が100万円以上ですので、利息制限法の上限金利15%として計算します。

[円]    
利息制限法に基づく返済
@
A
B
C
D
E
回数
元 金
利 率
支払額
利息額
@×A÷12※1
元金充当
B−C
残 額
@−D
1,200,000
0.15
※2
100,000
15,000
85,000
1,115,000
1,115,000
100,000
13,937
86,063
1,028,937
1,028,937
100,000
12,861
87,139
941,798
941,798
100,000
11,772
88,228
853,570
853,570
100,000
10,669
89,331
764,239
764,239
100,000
9,552
90,448
673,791
673,791
100,000
8,422
91,578
582,213
582,213
100,000
7,277
92,723
489,490
489,490
100,000
6,118
93,882
395,608
10
395,608
100,000
4,945
95,055
300,553
11
300,553
100,000
3,756
96,244
204,309
12
204,309
100,000
2,553
97,447
106,862
13
106,862
100,000
1,355
98,645
8,217
14
8,217
8,299
102
0
0
合計
1,308,319
108,319
1,200,000
利息超過分を含む返済
1,200,000
0.29
100,000
29,000
71,000
1,129,000
1,129,000
100,000
27,284
72,716
1,056,284
1,056,284
100,000
25,526
74,474
981,810
981,810
100,000
23,727
76,273
905,537
905,537
100,000
21,883
78,117
827,420
827,420
100,000
19,995
80,005
747,415
747,415
100,000
18,062
81,938
665,477
665,477
100,000
16,082
83,918
581,559
581,559
100,000
14,054
85,946
495,613
10
495,613
100,000
11,977
88,023
407,590
11
407,590
100,000
9,850
90,150
317,440
12
317,440
100,000
7,671
92,328
225,112
13
225,112
100,000
5,440
94,560
130,552
14
130,552
100,000
3,155
96,845
33,707
15
33,707
34,521
815
33,707
0
合計
1,434,521
234,521
1,200,000



※1 金利は通常日割り計算(365日)で行いますが、例では月単位としています。
※2 ここでは、当初の借入額を基準にし、利率維持により計算しています。たとえば、80万円借入れ、返
   済を続けた結果、元本が10万円未満になっても利率は20%になるのではなく、18%を維持し続ける
   ということです。
※3 小数点以下は切り捨て。

234,521−108,319=126,202

以上のように、利息制限法の上限金利に基づいて計算しなおすと126,202円の金利差が生じるこ
とになります。


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 みなし弁済規定とは?


度重なる法改正により、現在、みなし弁済制度は廃止されていますが、参考までに、どのような制
度であったのか説明しておきましょう。


@ 貸金業者が業として行う金銭を目的とする消費貸借上の利息(利息制限法(昭和29年法律第
100号)第3条の規定により利息とみなされるものを含む。)の契約に基づき、債務者が利息とし
任意に支払つた金銭の額が、同法第1条第1項に定める利息の制限額を超える場合において、そ
の支払が次の各号に該当するときは、当該超過部分の支払は、同項の規定にかかわらず、有効な利
息の債務の弁済とみなす。

【旧 貸金業規正法 第43条1項】

相手が貸金業者である場合、利息制限法による上限金利を超えていたとしても、一定の条件のもと
では有効な利息の弁済とみなされます。

たとえば、あなたがサラ金から120万円を借入れたとします。

この借入金額に利息制限法を適用すると、年利15%を超える金利部分は無効となります。

したがって、上限金利を超える金銭を支払う必要はありません。

これが原則です。

がしかし、原則あるところに例外あり!

つまり、利息制限法では無効とされる金利であっても、一定の条件を満たしていれば、その弁済は
有効ですよ、としたのが、貸金業規正法第43条にあるみなし弁済規定≠ナす。

この制度のおかけで、貸金業者は利息制限法を越える金利を堂々と消費者に主張しているのです。

年利29.2%までは罰則規定もありませんので、やりたい放題です。

だからといって、何でもかんでも業者の主張が通るとは限りません。

いや、むしろその逆です。

本来、利息制限法で無効とされる弁済を、有効な弁済とするからには、当然厳しい条件が課せられ
ています。

したがって、以下の条件をすべてクリアしていない貸金業者に、みなし弁済を主張されるいわれな
どないということです。


債権者が、貸金業者として登録を受けていること※1
債務者が、利息と「認識」して支払ったこと※2
債務者が、利息として「任意」に支払ったこと※3
貸金業規正法第17条規定による法定書面の交付があること※4
貸金業規正法第18条規定による受取証書の交付があること※5


※1 登録について

貸金業者には登録が義務付けられています。

→ 違反者は5年以下の懲役、若しくは1,000万円以下の罰金(法人は1億円)。みなし弁済規定
は、無登録業者、個人間による金銭消費貸借契約には適用されません。


※2認識して≠ニは?

利息と認識して・・・とは、例えばあなたが借金返済として100円支払ったとします。その内訳
が元本返済に80円、残り20円は利息分であるということを、支払う本人が自覚している必要があ
るということです。


※3任意≠ニは?

任意に支払う・・・とは、債務者が自らの意思で支払うことです。つまり、「支払わなければどう
なるかわかっているな・・・・」といった、強迫まがいに支払を強制された場合、任意とはいえま
せん。

その他、次のようなものは任意に支払ったとはいえないものです。


 利息制限法の上限金利を知らずに支払った場合
 詐欺、強迫、錯誤により支払った場合
 強制執行による場合
 天引きにより利息を支払う場合 など


※4 書面記載事項

貸金業者は、契約者に単に契約書を渡せばいいというものではありません。

法律により記載しなければならない事項が定められているため、この中のどれかひとつでも欠いた
書面であれば交付したことにはなりません。

 貸金業者の商号・名称、氏名、住所
 契約年月日
 貸付金額
 貸付利率
 返済方法
 返済期間・回数
 賠償額の予定
 日賦貸金業者である場合その旨、業務方法等
 その他、内閣府令で定める事項


※5 受取証書

こちらも※4と同様に、法律によって記載しなければならない事項が定められています。

 貸金業者商号・名称、氏名、住所
 契約年月日
 貸付金額
 受領金額及びその利息、賠償額の予定に基づく賠償金、元本への充当額
 受領年月日
 その他、内閣府令で定める事項


これらの条件をすべて満たしている貸金業者は少数であり、訴訟にもつれこんだ場合、みなし弁済
規定が認められない業者は多いため、借金を減らせる可能性は高いといえます。


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