職場のリスクアセスメント
労働安全衛生について国際標準(0SHMS)が発展し、職場におけるリスクアセスメントが安全性確保のために義務付けられています。リスクアセスメントは
災害防止対策のための予防的手段であり、従来の災害後の事後対策と異なります。KYTやヒヤリハットも予防的手段ですが、リスクアセスメントはリスクを網
羅的に抽出し、優先度を付けて対策を実施することで、安全管理の質の向上を図ることを目的としています。
リスクとは
リスクとはハザードと暴露との論理積である。ハザードはそのものの持つ危険源のことを言い。暴露とはハザードと接触する可能性を言います。論理積とは、ハ
ザードがあり、かつ暴露があるときはリスクがあるが、ハザードと暴露のどちらかが無いときはリスクは存在しないことを言います。

リスクアセスメントの手順
リスクアセスメントには設備のメーカーが実施するリスクアセスメントと、使用者側が実施するリスクアセスメントがあるが、使用者側が実施するリスクアセスメントの一般的な手順は次に示す。個々の項目について概略を説明します。
1.作業工程の調査
2.危険源のリストアップ
3.リスクのレベルの算定
4.リスクの評価
5.対策案の検討と対策後のリスクの想定
6.対策の実施と対策後のリスクアセスメント
作業工程の調査
リスクアセスメントの対象とする作業工程を決め、その作業について日常作業、非定常作業、異常時の作業ごとに実体を詳細に調査分析する。安全面のリスク
アセスメントと健康衛生面のリスクアセスメントを別々に実施するほうが判り易い。また、善意の行動などの作業者の本音を導き出すことが重要です。キーポイ
ントは作業者と評価者の信頼関係です。
危険源のリストアップ
リスクアセスメントの最大のポイントです。ISO/14121(機械類の安全性ーリスクアセスメントの原則)では次の観点から特定することを標準化しています。これらを参考にして事業所特有のチェックリストを作られることを推奨します。
1.機械的危険源 衝突・せん断・切断など
2.電気的危険源
3.熱的危険源
4.騒音による危険源
5.振動による危険源
6.放射線による危険源
7.機械で処理、使用又は排出する材料及び物質による危険 有害物質・火災など
8.機械設計における人間工学原則の見落としによる危険
9.組み合わせ危険
10.電源の喪失、機械部品の破損、その他の機能故障に起因する危険
11.安全関連対策/手段の(一時的)不在及び/又は設置ミスに起因する危険
リスクレベルの算定
算定方法にはいくつかの方法がありますが、その方法を選択することは前者に比較したらそれほど重要ではありません。なるべく簡素な方法で事業所の作業に合う方法を選んだらよいでしょう。なお、被害の可能性、大きさ、暴露の頻度は前もって定義しておくことが必要です。
リスクの評価
個々のリスクレベルに対して許容リスクレベルかどうかを評価する。許容リスクレベルは社会環境や、企業の安全文化によって異なるものです。その企業が置
かれている社会環境や社内風土で受け入れられるかどうかという意味です。そのような意味で、企業の経営理念として許容レベルの明確な設定が必要になりま
す。
リスクレベルが許容リスクレベル以下であれば、そのリスクは残留リスクとして受入れ、リスクアセスメントは終了する。許容リスクレベル以上であれば対策
案の検討へ進む。
対策案の検討と対策後のリスクの想定
対策には次に述べる優先順で実施する。まず、安全確認型システムの導入で、許容リスクレベル以下までリスクレベルを低下すべく検討する。安全確認型シス
テムが最適であるが、技術的にも経済的にも不可能な場合に、安全確認型以外の安全装置を設置した場合は、定期的な機能チェックが必要になります。安全装置
の設置が不可能な場合は3及び4を実施してください。
1.安全確認型システムの導入
2.安全確認型以外の安全装置の導入
3.警告レベルの貼付
4.作業標準書とトレーニング
対策の実施と対策後のリスクアセスメント
対策を実施後に、再度リスクアセスメントを実施してください。その対策が許容レベル以下であるかを検証してください。
佐伯 徳和
環境カウンセラー(環境省認定)
労働安全コンサルタント(厚生労働省資格)
エコアクション21審査人(審査人番号040072)
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