化学物質のリスクアセスメント
現在、日本では数万種類という化学物質が製造、販売され多くの産業でいろいろな製品に使用されています。このように化学物質は日常生活においても必要な ものになっています。しかし、化学物質の中には、人や他の生物に対してガンや奇形、免疫能力の低下や内臓機能の低下、生殖能力の異常、アレルギーなどの原 因になるものや、爆発の原因になるものが少なくありません。
我々の生活を取り巻く物質は人の体を含めて、全て化学物質でありますが、その全ての化学物質が毒にもなるし、薬にもなるかは、人が暴露される量及び環境中に存在する量によります。毒のリスクを回避して、薬として暮らしや産業に役立てるのはどうすればよいのでしょうか。
日本では化学物質のうち、農薬や毒劇物などの有害性の強い小数の化学物質を法令で製造や排出、及び使用を規制していますが、人の健康や環境を守るために は、有害性の強い少数の化学物質を規制するだけでは不十分です。有害性が低くても長期にわたり人が暴露されると何らかの影響するおそれがあります。有害性 がそれほど強くない化学物質でも、人が曝露されることを防ぐことで、影響の未然防止が可能となります。 つまり、化学物質の管理では、有害性と曝露量の双方の要素に着目する必要がある。この2つの要素から、化学物質が人の健康や環境に影響を及ぼす可能性(リ スク)が決まるからである。
PRTR法と影響調査
2001年4月から施 行したPRTR法では、354の化学物質がどれだけ環境に排出されているかを集計するようになりました。事業者がその排出量を翌年の6月末までに届け出る ことが義務付けられたからです。2001年度のデータは2003年3月に環境省から公表されました。その結果、我々の周囲の環境中の化学物質の量が推定で きるようになりました。 それらの排出された化学物質がどのくらい人の健康に影響しているかが、プログラムで解析することが可能になったのです。
リスクアセスメント
工場などから排出された 有害な化学物質の環境中の濃度を、排出量および、気候状態から算出し、その化学物質そのものが持っている有害性と比較することによって、人の健康や生態系 にどのくらい影響しているかが、プログラムで解析することが可能になりました。 リスクがあると判れば、工場は自主的に排出を削減させるように説得するこ とも可能です。 また、リスクもないのに削減の対策を取ることは社会的にも損失です。
左図は仮想的に作成したシュミレーション図です。中央の排出源から有害物が排出されている場合、赤い範囲が人への健康影響がある範囲で、青い範囲が生態 系への影響範囲と算出されます。青い範囲の外はリスクはありません。このようなシュミレーションを計算することで、工場からの排出量を減少すること、排出 源の位置を変更することなどの対策を取ることにより、赤い範囲や青い範囲を削除することが可能になります。
佐伯 徳和
環境カウンセラー(環境省認定)
労働安全コンサルタント(厚生労働省資格)
エコアクション21審査人(審査人番号040072)
メール;
saeki-adv@jcom.home.ne.jp
ホームへ戻る