げんでん科学技術振興事業(げんでん茨城財団)
普段に行っている製作や研究の成果から、研究期間にあうものを応募、助成を受けています。
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研究 |
受賞 |
| 1999 「風の利用の研究」 | 科学技術振興大賞 |
| 2001 「スターリングエンジンの研究」 | |
| 2002 「容器振動型フリーピストンスターリングエンジンの開発と応用」 | 科学技術奨励賞 |
| 2003 「釜鳴り現象の解明と応用」
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科学技術奨励賞 |


2002「容器振動型フリーピストンスターリングエンジンの開発と応用」
1.研究成果の概要
「 独自に開発したフリーピストン型スターリングエンジンについて研究し、動作原理と特徴を明らかにした。実施例としてポリエチレンスポイトを使う方法で様々な方式の動く模型を製作し、様々な応用が可能なことを実証し、未来技術に関する楽しいユニークな実施例を提供した。また、小中学生が取り組みやすい製作法を開発し、生徒自ら公開講座のかたちで「ものづくり教育」を実践した。」
2.研究の目的
私達は98年より模型スターリングエンジンの製作を行い、その中で独自のエンジン形式を開発し、さまざまな成果を得ている。今回は2001年〜2002年に私達が考案したフリーピストン型スターリングエンジンについてのつぎの点が研究目的である。
(1)このエンジンの動作の出力特性を測定する方法を模索し、このエンジンを最適化するエンジン各部の条件を明らかにする。
(2)知り得た条件をふまえて、新たな形式のスターリングエンジンや応用例を開発する。
(3)幅広い層の人々が取り組むことのできる「ものづくり教材」の実施例を提供する。
3.調査・研究の方法
(1)新しいフリーピストン形式
1998年に私達はディスプレーサ材料としてスチールウールとガラス試験管を発見した。その特徴を生かしたエンジンとして2001年に新しい形式を提案したのが、新しいタイプのフリーピストン形スターリングエンジンである。
今までのフリーピストン形スターリングエンジン(図1)は、ピストンの固有振動数の一致のために精密正確な設計が必要であり、利用方法にあわせた専門的な計算・設計が必要であった。
私達のエンジンは極めて単純な構造である。(図2) 出力ピストン(ベローズ)の一端を固定し、試験管の底部を加熱する。つりあいの位置から上下いづれかにズラしてから手をはなすと、エンジン全体が上下に振動を始め、温度勾配がある間は持続して振動を続ける。
![]() 図1.従来のフリーピストンエンジン |
![]() 図2.私達のフリーピストンエンジン |
動作については次の図3、表1の通りである。

図3.私達のフリーピストンスターリングエンジンの動作
| 過程 |
説明 |
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| @→A | 膨張 |
ベローズの膨張で容器全体が上方に持ち上げられる。 |
| A→B | 冷却 |
容器の運動が止まるが、内部のディスプレーサピストンが慣性のため容器の下方に移動、その際、内部気体が冷却される。 |
| B→C | 収縮 |
ベローズの膨張で容器全体が下方へ下げられる |
| C→D=@ | 加熱 |
容器の運動が止まるが、内部のディスプレーサピストンが慣性のため容器の上方へ移動、その際、内部気体が加熱される。 |
表1.動作の説明
(2)出力測定のための開発・研究
@回転運動への変換による方法
クランクなどの機械リンクを使った出力測定については、中高校生でも容易に測定できる方法を開発しており、前回の研究で報告した通りである。
単純さを若干欠いてしまうことになるが、フリーピストンの振動出力によってクランク機構を用いてフライホィールを回転させることは可能である。この場合、出力測定は開発済みの方法を用いることができる。
フライホィールにつなく方式のフリーピストンエンジンは現在、それによって走行する模型自動車として生徒が試作中であり、今後そのエンジンを用いた出力測定が期待される。 (報告の後、走行に成功し、大会にも出場させた。くわしくはスターリングのページ)
Aリニア発電機を用いる方法
フリーピストン型エンジンの場合、振動出力のため、そのままモーター発電機に出力することは出来ない.そこで振動式の発電機、リニア発電機を製作して振動カーに取り付けたのが図4である。リニア発電機は図5のようにエンジンの振動によってフェライト磁石を振動させ、コイルに誘導電流を生じさせるもので、負荷として発光ダイオードを取り付けた。
定格20mA程度の発光ダイオードを2個明るく発光させることから見て、60mW程度の発電量と判断できる。しかし、以前に測定した同じ程度の行程容積をもつ機械リンク式の測定例から類推すると、写真のエンジンは少なくとも100mW以上の出力が期待できることから、製作したリニア発電機の発電効率が小さいことがわかった。したがって、リニア発電機の発電効率を正確に知らないと、エンジンの出力を測定することが出来ない。リニア発電機の発電特性の測定については今後の課題となった。
図4
図5
(3)最適化の条件
@シリンダの直線運動について
エンジンの実際の運動では、ディスプレーサピストンの運動は内部空気の流動抵抗や重力、試験管の内壁との摩擦力などが様々な力がはたらく。この中で最も大きな要素は摩擦力である。ディスプレーサピストンは振動方向に自由に動く必要があるからである。
以上のような理由から、図4のように振動アームを使用してシリンダの直線運動を支持する方式の場合、はじめは、シリンダの長さに比べて、なるべく長い振動アームが必要と考えていた。しかし、生徒や公開講座での自由な製作の結果、比較的短い振動アームの場合も支障なくエンジンが作動することがわかってきた。
これはディスプレーサピストンが衝突によって運動が励起される方式のためと考えられる。確実に強引に衝突によって励起されるということである。
Aシリンダの大きさについて
同じ試験管とスチールウールピストンの組み合わせの機械リンク式のスターリングエンジンでは、経験的にディスプレーサ側と出力側の行程容積(=断面積×ストローク)が2:1程度というのが最適な値であった。
しかし、やはり自由な試作での結果、シリンダの大きさはかなり幅広い範囲でも動作させられることがわかった。これは、機械リンク式の場合にはクランク半径によってストロークが完全に固定されてしまうのに対して、フリーピストン式では出力ピストン(ベローズ)のストロークが固定されておらず、温度差や加熱冷却の程度に応じて自動的に適度な量に調節されているからと考えられる。
Bディスプレーサピストンの長さについて
ディスプレーサピストンが短かすぎる場合、重力のためにディスプレサピストンが試験管の底まで届かず作動しないことが予想される。
これについては予想通り出力ピストンのストロークに比べて、試験管内のディスプレーサピストンの最大ストローク長が長い場合は作動しなかった。
実は、ディスプレーサピストンの最大ストローク長と出力ピストンのストローク長との比は両者の周期運動のタイミングをきめる唯一のパラメータであることが、その後、顧問の簡単な解析的な考察によってわかっている。この値は機械リンク式の場合の位相角に相当する値である。
C固定部の重量について
このエンジンは原理的に固定部がないと作動しない。図6のように比較的軽いシャシに固定部がある場合、ブラシ部分を通して床との相互作用することで代替している。その場合、ブラシの毛の硬さや角度などでエンジンの動作(振動数やシリンダの振動振幅)が大きく影響を受けることがわかった。
また、図7の船のように水中や空中に船体があるような場合、必要量の重りを配置することで、固定部とすることが出来ることがわかった。
![]() 図6.長いシリンダのエンジン |
図7.スターリング振動翼ボート |
D設計の自由度の大きいエンジン
以上のように各部の条件は全体にゆるやかで幅広い自由な設計が許されること、しかし、試験管内のすきまの大きさと固定部の確保など留意すべき点もあることがわかった。
(4)夏休み講座のための生徒製作
部活動の夏休みの活動として小中学生向けの「スターリングエンジン製作講座」を1999年から行っており、今年で3回目となった。今までは機械リンク式であったが、今回は新しいフリーピストンスターリングエンジンを製作題として行った。
ジャンプしながら進む車(図8)と振動カー(図9)の2種類のタイプの車を部員生徒が見本として製作しておき、部員生徒自身が小中学生20名の製作を指導した。
この講座では部員生徒だけで運営、講習したが、午前中2日間で参加者は車を完成させ、走行会を実施することが出来た。(図10)
図8.ジャンピングカー |
図9.振動カー |
図10.記録会スナップ |
4.調査・研究によって得られた成果等
(1)新方式のフリーピストンエンジンの動作が明らかにし、動作にかかわる各部の条件を具体的に示すことができた。
(2)色々な応用例を製作することで、小中学生をはじめ誰でも自作することが可能で、自分なりの工夫ができ、かつ模型の動力として使える性能のスターリングエンジンの新しい魅力を実証できた。
(3)「スターリングエンジン製作講座」の実施、そのための製作を通じて創意工夫することで、部員生徒はスターリングエンジンへの理解、関連する物理現象への理解を深めた。ものづくりの能力に自信がつき、向上心が増した。また、部員は自身の工作技術等に自信を深め、指導者としての意識が生まれた。かつ、分担や協力の必要から集団としての問題解決力が向上した。
5.他機関への発表
「スターリングテクノラリー」(主催:スターリング技術会、日本工学教育協会 他)
第5回(2001年)アイデア賞金賞 第5回優秀車図面集(2002年)
第6回(2002年)アイデア賞金賞 第6回優秀者図面集(2003予定)同