読書録
2005年1月 ALS−不動の身体と息する機械  立岩真也 ややまわりくどい語り口に戸惑いを感じながら、読み進んだ。ALSの医療・介護をめぐる、一見この社会でもっともだと納得させられる考え方や態度に対して、著者は徹底して懐疑的な態度で重層的な考察を展開する。
社会通念のその公正・中立・正当・の欺瞞の表皮をめくって、何者かの作為の存在を明らかにする著者の手際に、目からうろこが剥れる思いがした。
2005年1月 眠らない水  原田麗子 詩人の厳しく研ぎ澄まされた心と言葉の世界。『眠れない水』の詩篇が主題とする水。自然のそして人間の命の歴史を貫きながら、日常にさり気なく滲んでいる水のきらめきとほの暗い存在感。いのちの源の水のその存在感が、詩のなかから読む人間の意識のなかに、水が沁みるようにひたひたと沁みてきた。
10月21日(月) 「ローマ人の物語」
1〜7 塩野 七生著
戦史・戦記を能くする著者の面目躍如。古代ローマの戦史を通じて当時のローマ市民の政治意識・政治体制が生き生きと描かれて引き込まれるように読んでしまった。女性と思えない硬質で簡潔な文体はいつ読んでも気持ちいい。おすすめです。
9月19日(木) 「航海者」上下
白石 一郎著
ウイリアム・アダムス(三浦安針)の物語。上巻の、オランダを出航して大西洋を横断し、南米大陸南端のマゼラン海峡を越えてさらに太平洋を横断、日本にたどり着くまでの航海記はけっこう興味深く面白く読めたが、下巻の関が原の戦いあたりから急速につまらなくなって、途中で投げ出してしまった。
9月10日(火) 「見沼の竜と小さな神さまたち」宮田 正治著さきたま出版 著者は私の文章の師。小学校低学年向けの童話で、埼玉県に残る見沼の自然と、その自然への愛情にあふれた物語。懐かしい情景の中に織り込まれた自然保護の想いと伝説の竜の物語が、少年の日常に生き生きと描かれている。ほのぼのとした作品。
8月20日(火) 外山了一氏の闘病記
「どっこい生きてゆける」
ALS協会熊本支部事務局長の笠氏からメールでいただいた。私が外山氏と同病のせいか手記の内容は身につまされる。闘病記からは外山氏の奥さんの存在が、一際輝いて浮かび上がった。淡々と綴られた手記で、著者の人柄が文章に表れていた。ALSという病気を、私もこんな風に自然に受け入れて生きることができるだろうか。