ローディー Nakazawaのよもやま話

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第278話 2011年5月12日
ウェイラントが落車で死去

5月9日、ジロ・ディ・イタリア第3ステージで、ワウテル・ウェイラント(ベルギー、レオパード・トレック)が落車し、蘇生の甲斐もなく息を引き取った。享年26歳。

2006年12月、僕はスペシャライズドのマイク・シンヤード社長と2人で、イタリア・トスカーナ地方で行われたクイックステップのトレーニングキャンプ取材に行った。当時ウェイラントはクイックステップの一員で、彼とも一週間ほどずっといっしょに過ごした。

キャンプ終了後、同じ飛行機でベルギー・ブリュッセルへ移動し、コルトレイクで行われたチームプレゼンテーションの終了まで、ウェイラントらクイックステップのメンバーとずっと同じホテルで過ごし、いっしょに朝飯や夕飯を食べた。

ベッティーニらイタリアの選手で英語を話せる者はほとんどいなかったが、ボーネンらベルギーの選手はみんな英語も話せるので、ウェイラントとも何度が話をした。「チームでの役割は?」とか「今年の目標は?」とか「スペシャライズドの自転車はどう?」とか、たわいもない話ばかりだ。彼の印象は「マジメな大男」という感じで、見知らぬ東洋人の僕に対しても気さくに話をしてくれた。

彼との想い出はそれ以上ない。しかし、少しでも知っている選手が死ぬのはやはり悲しい。ご冥福をお祈りします。

第277話 2010年8月19日
『ロードバイク進化論』好評発売中!
著者:仲沢隆 エイ出版社 1,260円

 『バイシクルクラブ』に連載していた「博士の愛した自転車」を1冊の本にまとめてみました。ヨーロッパの文化とも言うべき自転車競技を、競技そのものではなく、自転車の構成部品や用品に焦点を絞り、その歴史と文化的な背景についてまとめた本です。ロードバイクのフレームやコンポーネンツ、ドライブトレイン、パーツといった構成部品に加え、サイクリングジャージやレーサーシューズといったウエア類やサイクルコンピュータなどのルーツと進化の流れを網羅的に解説しました。古い自転車に興味を持たれている方なら、楽しんで頂けるものと思いますので、ぜひご一読下さい。よろしくお願いいたします。

第276話 2010年3月20日
2010 チームバイク No.3
アスタナのスペシャライズド・ターマックSL3

ランス・アームストロングやリーヴァイ・ライプハイマー、アンドレアス・クレーデンといったメンバーが抜けたアスタナだが、2009年のツール・ド・フランスの覇者アルベルト・コンタドールは、結局チーム残留という道を選んだ。

この結果を見て、スペシャライズドはアスタナへのバイク供給を決定。コンタドールにすべてを賭けて、念願のツール制覇を目指す。

2009年までアスタナをスポンサードしていたコンポーネントのスラムとヘルメットのジロは、今年もアスタナをサポートする。ホイールはローバルではなくジップだ。

チームのメインバイクは、もちろんターマックSL3だ。シーズン始めにはアスタナカラーのフレームが間に合わなかったため、選手達は市販カラーのバイクに乗っていたが、やっとパリ〜ニースの前になってアスタナカラーのフレームが出来上がってきた。白を基調に、ブルーとイエローのアクセントが入っており、パインヒルズのジャージにも似合いそうだ。

写真はチームバイクをお披露目するコンタドール。さっそくパリ〜ニースを制覇し、ツール3勝目に向けて好発進をした。

第275話 2010年2月13日
2010 チームバイク No.2
レディオシャックのトレック・マドン6.9

レディオシャックはランス・アームストロングがリーヴァイ・ライプハイマーやアンドレアス・クレーデン、そしてヨハン・ブリュイネール監督といったアスタナの主要メンバーをごっそりと引き連れて立ち上げたチームだ。別府史之が加入したことでも話題になっている。

人材だけではない。ランスと関係の深いトレックもレディオシャックに供給チームを変更した。チームのメインバイクは、もちろんマドン6.9。ホイールはボントレガー、コンポーネントはアスタナ時代と同じスラムである。

マドン6.9は2010モデルで大きな変更が行われている。まずは、09モデルで不評だったフォーククラウンのカバーが廃された。ヘッドチューブとの面を合わせるために取り付けられていたカバーだが、これはいかにも不格好だったから、歓迎すべき改良点だと言えるだろう。また、エアロ形状だったシートマストが丸断面となった。エアロ形状だとサドルの左右の角度が調整できないので、丸断面にしたというワケだ。これも、実用上のメリットを重視した変更点である。

このバイク、12月に試乗してみたが、お世辞抜きでメチャクチャ素晴らしい乗り味だった。恐ろしく軽い踏み出しで、いっしょに試乗したサイクルハウスミカミの三上店長など「まだペダルに力を加えていないのに走り出してしまう」とビックリしていたくらいだ。

上りの軽快感も抜群で、特に激坂を上るのが他のバイクより圧倒的に楽だった。硬い踏み味なのに、振動吸収性もまずまず。オーベストの西谷店長もいっしょに試乗したのだが、あの辛口の西谷店長をして「あらゆる点で最高のレーシングバイク」と評していた。このバイクに乗って文句を言う人は、恐らくいないだろう。それほどまでに、素晴らしいバイクである。

ただ値段も恐ろしく高い。ボントレガー・XXXライトカーボンホイールが付いたデュラエース完成車で1,050,000円である。経済的に許せば是非とも買いたいバイクの最右翼であるが、ビンボー人の僕には絶対に買えない。

写真のレディオシャックカラーのチームモデルもプロジェクトワンの1カラーとして発売されるが、こちらはベース価格+180,000円」だそうだ(うち200ドルがガン撲滅のためにランス・アームストロング基金に寄付される)。ということは123万円! うーん、いくら素晴らしいバイクでも、買えないよなぁ。

第274話 2010年1月17日
バイシクルナビ休刊決定

月刊自動車誌「NAVI」が2010年2月26日発売の4月号を最後に休刊することが決まった。発行元の二玄社は「売り上げと広告収入の減少で発行が立ちゆかなくなった」としている。同誌は1984年2月創刊。かつては硬派な自動車雑誌として、実売10万部を誇っていた。


また、隔月刊のバイク誌「MOTO NAVI」と自転車誌「BICYCLE NAVI」も、それぞれ2月26日発売号と3月26日発売号で休刊することが決まった。

私はBICYCLE NAVIで仕事をしたことはほとんどないのだが、やはり自転車雑誌が消えてしまうのはさみしいものだ。インターネットの普及により、もはや出版不況は二度と回復しないだろうとも言われている。自転車雑誌が生き残っていくためには、インターネットでは手に入れられない「+アルファ」が必要なのは間違いなさそうだ。

それにしても、雑誌の発行を止めてしまうことを「廃刊」と言わずに「休刊」というのは、いかがなものだろうか? どうも私は太平洋戦争中に「退却」を「転進」と呼んだ日本軍を思い出してしまう……。

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http://www.jiji.com/jc/zc?k=201001/2010010600311

第273話 2010年1月10日
2010 チームバイク No.1
チームスカイのピナレロ・ドグマ60.1

イギリス初のプロツアーチームとして注目を集めているチームスカイ。ブラッドレー・ウィギンス(イギリス)を始めとして、ファンアントニオ・フレチャ(スペイン)、エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー)といった強豪揃いのチームスカイ御用達のバイクは、ピナレロの新作フルカーボンフレーム“ドグマ60.1”だ。昨日、チームスカイの広報から写真が届いたのでご紹介しよう。

ピナレロ・ドグマ60.1に採用されるカーボン素材は、東レ・トレカの中でも最も高弾性な60HM(60tグレードのハイモジュラスカーボン)だ。三菱レイヨンのようなピッチ系繊維の場合には80tなどという超高弾性も可能だが、東レ・トレカのようなPAN系繊維の場合には60tグレードというのは、現在のところ限界とも言える超高弾性繊維だ。

最外層には目の細かい1Kカーボン織物が採用され、見た目の高級感も高い。最近は12Kという目の粗いカーボンが流行っているが、当然のことながら1Kの方が素材としては高価なモノ。12Kが流行っているというのは、要するに12Kだと原価が安くできるという理由だけなのだ。

組み合わされるコンポはシマノ・デュラエース。どうやら、電動メカをメインに使っていくようだ。カンパニョーロの本社があるヴィチェンツァとピナレロの本社があるトレヴィーゾはごく近く、それゆえピナレロはカンパニョーロとの関係が深い。これまでシマノを使ったのはファッサボルトロで2年間のみ。久しぶりにピナレロ+シマノの組み合わせが復活したワケだ。

ファッサがシマノを使った時、ファスウト・ピナレロに「なぜシマノを採用したのか?」と聞いたことがある。ファスウトの答えは、「マーケティングのため」ということだった。「ピナレロ+カンパニョーロのイメージが強くなりすぎると、シマノユーザーがピナレロを選んでくれなくなるからね」というワケだ。いかにもやり手ビジネスマンのファウストらしい考え方だ。

ホイールもシマノ。最近はカンパニョーロ、シマノ、スラム(ジップを買収した)とも契約条項の中に「ホイールも当社製品を使うこと」というのを盛り込む傾向があり、マヴィック、アンブローズィオ、スピナジーいったホイール専門メーカーの活躍できる場が本当に少なくなっている。渋いイタリアンブランド“フィール”などはウェブサイトもなくなってしまい、会社が存続しているのかどうかさえわからない状況だ。

例外はスペシャライズドのブランドである“ローヴァル”とトレックのブランドである“ボントレガー”。フレーム供給メーカーの特権で、アスタナとレディオシャックに使わせる。