これは魔獣戦線に登場するキャラを元にした2次創作でありお遊びであり、ここだけの設定その他や一人称二人称他人称などは全てフィロスの妄想です。気になったら突っ込んでいただければ可能な限り修正しますので掲示板メールなどでビシバシ突っ込んでください。

魔獣学園

ここは魔獣学園。私立小中高一貫校であるためにのびのびとした校風。そして大きく門を開くがゆえに少々普通でないものたちが集まる。
そんな魔獣学園高等部でのある朝の風景…。

校門前で鍛え上げた肉体をほとんど隠さずランニングシャツ一枚の体育教師、剛人が大声をあげる。
「さーHRまであと10分だー。走れ!遅刻するぞー」
その声を聞いて数人の生徒が走りだす。
「窓からいけば早いな」
そんな声とともに一迅の風が校庭を吹き抜けた。剛人は苦笑しながら声をあげる。
「海萄ーちゃんと靴ぬげよー!」

そんな声が響く中をゆうゆうと歩く美しい女子学生がいた。長い黒髪を風に預け、ゆっくりと歩を進める姿にまわりの生徒たちも思わずため息がもれる。そんな近寄りがたくもある彼女にいかにも女子高生然とした女の子が駆け寄り・・・
「ごきげんよう、スヲンおねえさま」
抱きついた。スヲンは困ったように笑いながら飛び掛かってきた亜矢の手を解く。
「おはようこざいます。水野様」
礼儀正しく礼をするスヲンに亜矢がごねる。
「水野様なんてたにんぎょうぎー。あやって呼んでよー」
「んー」
スヲンが困った顔をしているとまた背後から声がかかる。
「おはよーっす。どしたのー?朝っぱらから困った顔してー。このナオピーに話してごらん?」
学ランを派手に着くずして登場したのは直樹だ。それを見て亜矢がぼそっともらす。
「出た超天然」
直樹がそれに反応する。
「ムキー、天然とはなんだー」
校門から昇降口までの短い距離で喧嘩を始めそうな二人を見てスヲンは困りながらも笑った。

そんな光景を校舎の窓から見下ろすものがいた。
「ふむふむ、たまには無邪気に飛び付いてみるのもいいかな?」
神々しいまでの気を放ちながら自然体な彼はこの学校の理事長である。
「薫君にそんなことすると状況は悪化するだけだと思うがね?マーリン君」
いつのまにかマーリンと並ぶように白衣を身にまとった青年が立っていた。
「しかしだね、好かれるためには何かきっかけが必要だと思わないか?」
マーリンはそれに驚くこともなく話を続ける。そこへドアをノックする音が聞こえる。
「入りたまえ」
マーリンの声にこたえて細身の青年が入ってくる。
「丹宮君か。何か用かい?」
「失礼します。理事長ではなく、あ、神無月先生やはりここにいましたか。ちょっとお話が」
神無月と呼ばれ白衣の青年がふりかえる。
「何かな?今マーリン君と娘との付き合い方について話していたところなのだが」
「麻生君のことですこし…」
「直樹君か。わかった。保健室にいこう。」
鏡也はマーリンに向き直る。
「すまないが話の続きはまた今度だ。」
「ああ、まあいつでもできるしな」
挨拶をして鏡也と流依は部屋を出た。

「あー流依君、また鏡也先生と一緒にいるー」
職員室に戻ると妙に子供っぽい言葉が二人に浴びせられる。
「ふふふ、そうだよ。わたしと流依君はナカヨシだからね」
「誤解をまねくようなことを言わないでください。嘘ですからね、凪先生。」
凪は「?」といった表情で二人を交互に見る。そこに真面目な顔に眼鏡をかけた男性が近付いてくる。
「凪先生、二人は急いでいるようですから行かせあげては?」
微笑んで凪は手を振る。
「いってらっしゃい」
流依は軽く息を吐いて鏡也を急かす。
「まあいい。行きましょう。」

鏡也が保健室の扉を開けて中に入る。続けて入ろうとする流依だが鏡也が何を考えたかいきなり出てきたために正面衝突しそうになる。
「…ふむ、透子君が何かしているようだな」
真面目な顔をして言う鏡也を流依が笑う。
「そんなの近付くだけでわかるでしょう?」
「なに、君がいきなり向かってくるわたしにどう反応すらかを検証したくてね。」
「まったく」
二人が不穏な雰囲気で微笑みあっていると保健室の中から声がしてきた。
「鏡也も流依も悪いけど今保健室一杯やねん。他いってくれるか?」
「わかった」「そうするとしよう」
二人は保健室の前から離れていった。

「さ、邪魔者は追っ払ったから、続きしよか。確かお父さんが好きになれへんてことやったっけ?」
保健室の中では透子と薫が向き合っていた。薫は言いにくそうに俯きながら話しだす。
「・・はい、あの人はわたしのことを「娘」って呼ぶんですけど、それだけでもちょっと・・」
透子はちらっと理事長室の方向を見る。
「うーん、ちょっと一筋縄ではいかんかなぁ」
透子さんがどう答えようか悩んでいるとチャイムが鳴る。
「あー、時間やな。またいつでも来てな。」
「はい」
心なしか軽くなった笑顔を浮かべ薫は保健室をあとにする。

薫が席に座るとほぼ同時に担任教師が入ってくる。真面目な表情で和やかな笑みを浮かべて前髪の一部が青い。
「起立」「礼」
「皆さん、おはようございます。」
俊也は顔を上げると教室内に目を向ける。
「雨宮さん?いますか?」
俊也が目をとめた席には誰も座っていないが俊也はしばらくじっと見る。すると影の中から声が響く。
「あー、ごめん、ちょっと出れないんだー」
「せめてHR中ぐらい席に座っていられませんか?」
「仕事中ー」
ため息をつきつつ俊也は出席簿を閉じる。
「あとはみんないますね。さて、最近学校内で能力を行使する人が増えていますが、あまり力を使うと校舎が耐え切れない場合も少なくないので注意するようにしてくださいね?」
俊也は再び悠騎の席を見る。
「聞いていますか?雨宮君?」
「あー聞いてるー・・っておいこら、邪魔すんなー・・」
「・・まあ、気をつけてください」
俊也は今言ったことが書かれたプリントを配り始める。とそこへドアをこんこんと叩く音が。俊也がそちらを見るとガラスの向こうにうさぎのぬいぐるみが手を振っていた。
「・・・一時間目は古典の時間でしたか」
プリントを配り終えて教壇に戻る俊也。その間うさぐるみはずっと手を振り、ノックを続けている。
「では、少し早いですがHRは終わりにします。」
「起立」「礼」
「では、またあとで」

さっきからずっとノックが続いているドアを俊也が苦笑しながら開ける。
「何をしているんですか、悠仙寺先生」
案の定そこには羽織袴の紫京がかがんでうさぐるみを支えていた。クラスにどっと笑い声があふれる。
「なにってちょっと遊んでただけだよぅ」
「HR中に邪魔をしないでくれませんか?」
かがむ紫京を見下ろしながら俊也は少し眉をひそめる。
「・・・ごめんなさい」
「まあ、次の時間は古典ですし中に入って待っていてください」
紫京が道を譲って俊也が教室を出る。通り過ぎるときに俊也が囁く。
「悠仙寺先生は生徒達に人気あるんですから、先生たちの人気も損なわないようにしてくださいね」
「もっちろん!わかっているさ」
紫京はぐっと親指を立てて俊也の背中にスマイルを向ける。

「ってことでみんな大好き古典の授業の理解度を確かめるためにミニテストだー」
クラス中から巻き起こるブーイングにめげずに紫京はプリントを配りだす。
「大変だったんだぞう。昨日の晩にふとやろうと思いついて問題を考えるのに30分もかかったんだから・・じゃー始め」
静かになる教室を紫京がゆっくりと歩く。ふとある席の隣で止まる。そこでは背の高い体を窮屈そうにかがめて机につっぷしてる男子がいた。
「なんだっけなー、どっかで聞いた覚えがあるんだけどなー」
「リュー君、そこ先週やったとこだよぅちゃんと授業聞いてくれないと先生悲しいなぁ」
「ん〜」
そのとき教壇の上でうさぎが手を振った。
「はーい、時間だよー前に集めてー」

「あーあ、もうさいてーミニテストなんて卑怯だよなー」
昼休み、リューは俊と一緒に歩きながら購買に向かっていた。
「まあ、普段からきちっとやっとけば問題ねえだろう」
俊は涼しい顔で言ってのける。
「でもなぁ、あと2分あれば思い出せたはずなんだけどなぁ」
悔しそうにうなるリューに俊が思い出したように問いかける。
「ところでお前購買に急がなくて良いのか?売り切れちまうぞ?」
「ん?お前は?」
「ああ、俺は瞳に頼んであるから余裕。」
「・・・」
リューの表情が一瞬止まる。
「卑怯者ー」
そう叫びながらリューは廊下を駆け出した。

リューが購買についたとき、すでにパンはほとんど売り切れていた。あとはおまけというか誰が買うんだという食パンと青汁のみ。
「お、オレンジジュースは・・?」
「ごめんなさいね。あちらの二人で売り切れちゃったのよ」
穏やかな物腰の和服の美しいおねえさんが指したところには制服の上に黒コートを着た男子と一見一般人風に見える女子がいた。
「オレンジジュース二つとパン諸々。確かに確保した。合計640円だ」
「ありがとう夜真君。」
「気にするな神琴。報酬はもらっている。」
リューはがくっと購買の前で崩れ落ちる。
「っく、オレンジジュース・・・」
「なんなら明日はとっておきましょうか?」
静香が優しく声をかけるとリューは涙目で起き上がる。
「うっうっ、ありがとうっ」
そこへモデルのような芝居がかった歩き方で一人の男子が近付く。
「おやおや、食パンと青汁か。でもくださいな」
「毎度ありがとうございます」
彼は青汁をもらうときに思わず取り落とす。青汁はリューの足元へと転がる。リューは自然にそれを拾い上げる。
「すいません、ありがとうございます」
「!!!」
リューは絶句していた。なぜならその手で拾ったのはまごうことなきオレンジジュースのパックなのだ。静香も驚いている。
「これは不思議。僕は青汁が飲みたかったのにオレンジジュースになってしまうとは・・・よければもらってくれませんか?」
「え・・い、いいのか?」
「もちろん」
「ありがとう・・よっしゃー!」
リューがガッツポーズをとるのを見て光一は笑いながらその場をあとにした。

「よかったですね」
静香は笑顔で「完売」の札を出す。そこにタイミングを見計らったかのようにがたいのいいブラウンヘアーの男が来る。
「ん?今日は売れ残りの片付けはしなくていいのかな?」
「完売」の札を見て霧亥はにこにこ笑う。
「ええ、おかげさまで今日は完売です。いつもありがとうございます」
静香もにっこりと笑う。
「じゃあ、僕は帰るとするかな」
二人が購買スペースの片づけを始めると、どこからかピアノの音と歌声が聞こえてきた。
「あら、また」
「うん、とってもいい曲だ・・この曲が終わるまでいようかな、その間片付け手伝うよ。」
「ありがとうございます」

音楽室から素晴らしいピアノの音が学校中に流れていた。それが一曲奏で終え、一瞬の静寂が音楽室に訪れる。
「とてもいい声ですね」
グッドマンは見えない目でピアノの前に立つ少女を見る。
「えへへ、ありがとうございますっ」
大きな瞳の少女が照れたような仕草で俯く。二人が一息ついたのを見て拍手が起こる。
「わわ、みんないたの?」
音楽室の扉が半開きになって観客が何人も覗いていた。
「やっぱすごいよなあ蕾ちゃん」
「あたりまえだ。うちのボーカルやってんだからな」
真一の素直な感想に翔が答える。
「はあ・・わたしもあんな特技があれば・・・」
その二人の下で十分美人の範疇の少女が大きなため息をつく。
「お前だって、もっと笑えば」
ぼそっと真一がつぶやく。しかしその声は小さすぎて哀には届いていないようだった。
「アンコール、アンコール」
誰ともなしに言い出した言葉が合唱となって二人を包む。
「蕾さん、何かリクエストはありますか?」
「・・ええと、先生の弾く曲ならなんでもいいです」
「わかりました。」
グッドマンは笑顔で再び指を動かし始めた。

その音は職員室にも当然届いていた。たまたま授業の打ち合わせをしている二人にも聞こえていた。
クールな瞳をもつ男性がふと手をとめて目を閉じる。
「・・さすがだね。彼の弾くピアノは素晴らしい」
並んで座っていた中性的な顔立ちの青年も同じように耳をすます。
「本当に・・。これだけの腕だと有名なんですか?」
「まあ、ね。ここでは『グッドマン』と名乗っているけれど、本当の名前のほうはかなり有名さ」
那智はにこりと笑い開いてあった教科書に目を戻す。
「この積分公式はかなり覚えにくいから重点的にやっておいてくれるかな。」
「あ、はいわかりました。ここですね」
教育実習生でもある洸は教科書に書き込む。
「しかし、その教科書も書き込みで一杯だね」
「はい、皆さんや生徒達に教わることはたくさんありますから」
そこへ鳶色の髪のハンサムな男が近付いてくる。
「なあに男二人でにらめっこしてんだ?それで楽しいか若人?」
那智は苦笑するが洸は困ったように見上げる。
「シュウ、あまり若い人をからかっちゃ悪いだろう」
「若いときこそ冒険しなきゃ・・ほれ、メモっとけ」
形だけでも教科書の隅っこにメモる洸。
「・・・役に立つのかなぁ」
「僕はあまりそうとは思わないけれど」
「何いってるかな那智センセ。」
「ははは」と笑うシュウのところにサボテンを抱えた男性がくる。
「シュウ先生、なんか女子生徒が呼んでますよ?職員室前の廊下で待つって言ってますけど」
「ん?誰かな俺を呼ぶ子猫ちゃんは〜」
シュウは軽い足取りで三人から離れていった。それを見て鏡二郎が洸に囁く。
「ああいうのを見習うのかい?」
洸は少し考え答えた。
「いえ、僕は仰木先生や霧上先生のようになりたいと思います。」

シュウは職員室を出ると廊下に躍り出た。職員室前には数人の女子がいてすぐにどれかはわからなかった。
「誰だい?俺を呼ぶのは?」
シュウの声に応えて一人の女子生徒が近寄ってきた。
「センセ、呼んだのアタシよん(はあと)」
普通に見たらかわいい少女にしか見えない女の子に近寄られてシュウは一歩退いた。
「・・あ、あゆみちゃんか。」
「(にっこり)そーよ。ちょっと相談にのってほしい子がいるのよ〜」
あゆみに引っ張られて少し離れた廊下に行くとそこに赤髪の女の子が俯いて立っていた。
「Iちゃんよん。こちらシュウセンセ。あなたの相談ごとならシュウセンセが一番よん」
「初めまして」
ぺこっと頭を下げるI。それに対してシュウはばつが悪そうに頭をかく。
「ん〜どうすっかなぁ。とーこさんみたいに保健室行くわけにもいかねえし。相談事を廊下でするわけにもいかねーしなぁ」
「あの、お困りならいいです」
駆け出そうとするIの襟をあゆみががっしりつかむ。
「いいじゃない、生徒指導室でも借りましょ。」
そこに日に焼けた黒髪を揺らして奏が通りかかる。
「お、いいところに。奏先生、この子の相談聞いてあげてくれません?」
「え?相談事ですか?」
「そうなんですよ。やっぱ女のことは女のほうがよくわかるじゃないですか。俺なんかより奏先生のほうがいいですよ」
Iはきょとんとした顔で二人を見比べる。
「じゃあ、お願いしました。ホラ、男はさっさと退散するぞ」
「まってよー、アタシは残る〜」
シュウはあゆみの首根っこをつかんでその場から離れていった。
「え、えーと、よくわからないけど、とりあえずお話しましょうか?」
花のような笑顔をIに向けて奏は話しかける。
「はい。お願いします」
歩き出した奏にIはとことことついていった。

その頃中学部。
ゆうひとかのかは図書館で並んで本を読んでいた。
「なぜわたしたちの出番がここだけなのでしょう?」
「いいじゃないですか。別にそれほど関わりたくもないですし。」
「そうですか?楽しいじゃないですか。あとでお兄様に頼んで次はもう少し出番を増やしてもらうとしましょう」
「じゃあ、わたしの出番はなくしてもらえるよう言っておいてください。」
「はい、わかりました」
「うふふふふ」と笑うゆうひの笑い声だけが図書館に響いていった。

こんな少し普通でない学校生活は続いていく・・・かもしれない。


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