室町時代〜織豊時代の打刀拵



完成品 (上)指表 (下)指裏


 中世後期に当たる室町時代から織豊時代にかけての打刀を再現してみた。この時期の打刀は中世前期までの形状と、近世以降の形状との過渡期に当たり、様々な形状が存在する。そこで法隆寺「峯の薬師」に奉納されたこの時期の打刀拵の資料を参考に、前代に近い腰刀の様な打刀や、近世の形状に近い鍔刀の様なタイプではない、平均的な形状かつ寸法の物を再現の対象とした。
(打刀拵の移り変わりや、特徴に付いては「中世歩兵研究所」の記事を参照の事)

 なお当初の目的は破損した模造刀を修復し再生させる事にあり、典型的な拵(即ち近世の鍔刀)を施された模造刀をベースにした為、どうしても再現に限りが在った事を言い訳しておきたい。



再現のポイント
 この時代の拵を再現する際に考慮したポイントを列記してみたい。

・鍔は用いない。
・返角を必ず付ける。
・栗型と返角との間隔を狭めに取る。
・金具は極力、角(牛の角)製を使用する。
・鞘は革包黒漆にする。
・柄巻は平巻にする。


 逆に再現出来なかったポイントを列記してみたい。

・櫃の再現。
・鞘の薄さ。
・柄の形状。

 まず初めに櫃に付いてである。この時期の刀(太刀拵以外)の鞘には必ず小柄・笄を入れる櫃が施されている。指裏にある物と、指表・裏両面に施されている物とがあり、両面に施されている例が多いが、技術的な問題や等もあり断念した。最も悔いが残る妥協である。
 次に鞘の薄さである。この時期の鞘は近世以降の物と比べると鞘が薄い。元の状態よりも削りこんだが、研ぎ破ってしまうのが怖くて妥協した。
 柄の形状であるが、この時期の打刀は片手使用の為、柄が大変短い。現在の打刀(大刀)と変わらない長さの物でも、柄が片手分しか無かったりもする。今回はベースとなる模造刀の樹脂製柄を流用した為、極端に短くは出来なかった。とは言え、両手でも持つ様な太刀と変わらない長さの物もあり、こういう例が無かったわけではない。

 他にも模造刀の修復という事からスタートした為、随分と不十分な点がある。例えば一から柄を作るのは大変であるし、鮫革を巻くのが困難であるから、鮫革のモールドを再現した樹脂製柄部品をそのまま利用した。また本漆は高価で手間が掛かり過ぎるし、かぶれが怖いので、毎度の事ながらカシュー塗料を利用した。



分解


 まずは模造刀を分解した。良く売られている廉価版の模造刀。
 これが今回のベースとなる。
 この写真では分かり難いが、模造刀の状況はかなり酷い物だった。鞘の塗装はあちこちが剥げ、鯉口はゆるみ、柄頭は樹脂製柄が割れて柄糸でかろうじてくっついており、刀身も刃こぼれでノコギリ状に成っていた。
 なお、この時点で既に鞘の塗装は剥離液とヘラでこそぎ落とし、鯉口外周部も削ってある(後述)。
 分解は目釘を抜いてしまえば簡単に行える。プラスティックの栗型は接着剤で留められているが、水に浸けておくと剥がせる様になる。ただ余り浸けすぎると鞘の接着剤も剥がれてしまうかも知れないので注意が必要かと思う(またくっつければ良いだけだが)。


 では各工程ごとに紹介したい



鞘の改造


柄の改造


総括


戻る