駒場スタジアム
熱狂的<浦和レッズコール>の中、対ガンバ大阪戦―右サイドを突破する岡野。
サポーター1「スゲエ…風だ!」
同2「野人だ!」
同3「岡野だ!」
同4「頼むぞ、6連敗をとめろ!」
(T)「'94年4月2日―岡野雅行、Jリーグ初先発」
柱谷のロングパスをトラップしてそのままゴール!大歓声、紙吹雪のスタンド。
少林寺拳法でガッツポーズの岡野。
スタンドから「浦和の救世主!」「韋駄 天、色男!」の大声援。
なおも駈け回る岡野。
(T) 「2試合連続ゴールの鮮烈デビュー」
サポーター婆さん1「野人は、どこでサッカー習ったのかね?」
婆2「さァ、ヒマラヤ辺りじゃろ」
淞南学園・校門あたり
(T)「そんな訳はない-」
門に『淞南学園松江日大付属高校』。
雅行がドドドッと奇日の坂を駈け上る。
雅行「やべっ、理事長の約束に遅れる!」
学園校舎が見えてくる。
同・全景
(T) 「1988年、岡野雅行16才の春-島根県松江市郊外にサッカー留学」
同・理事長室
理事長と対座する雅行。
理事長「ブラジル行きを考えるほど、サッカーが好きかね?」
雅行「他にとりえはありません!」
理事長「フフ、本気でプロに?」
雅行「はいっ」
理事長「サッカー部は、今はあるよなないよな有様じゃが、『心も高く身も健やかに』―お祖父様から頂戴した校訓じゃ。奮起したまえ」
雅行「(?)」
青雲寮・全景(早朝)
(T) 「サッカー部員の寮―青雲寮」
同・雅行の部屋(3人部屋)
雅行、黒木、三井が寝ている。と黒木、
スックと起き、表へ。雅行、目をこすり、
雅行「な、なんだ、脱走か!?」
三井、眼を閉じたまま、
三井「朝練で5kmコース行きよった」
雅行「ヘ、カッコつけるじゃん」
三井「もう10日目だぜ」
雅行「…」
田園地帯(早朝)
ひとり黙々と走る黒木。後方から猛然と追走してきた雅行、黒木と併走する。
黒木「起こしちまったか、ワリ」
雅行「田舎は、遠くが見えるよなァ」
黒木「プロへの道も見えるか?」
雅行「そっちは視界最悪、ハハ」
黒木「岡野、悪いな、俺たちが足ひっぱってるようでさ」
雅行「…バッカ、何いってんだよ」
朝日をバックに走る二人。
淞南学園・教室
歴史の授業中―雅行、懸命にノートをとっている。隣の生徒「字ィ見ると頭が痛くなるくせに、何書いてる?」。
「基本メニューの練習…いや、基本練習のメニュー…」と小声で答える。
教師「岡野!『復活』を書いたロシアの文豪はだれだ?」
雅行「エ〜、トルストイコビッチです」
と、クラスはシラ〜。雅行、したり顔。
市民総合運動場・サブグランド(夕方)
スケッチ:雅行、部員の先頭にたってダッシュ&ターン等で汗をかく―「基本、基本、本気で基本!」
「ヘディングは目エ開けて、体そらす!」
「シュートは打ち上げ花火じゃダメ!ゴールに届け物をする心で蹴る」
等々の場面重ねるうち、すっかり日が暮れる。
奇日の坂のてっぺん(現・新校舎)辺り
(T) 「そして、晴れて遠征試合」
空に入道雲。威風堂々と坂を降りて行く部員たち。口々に「付属校大会で負けられっか!」「日大山形が何だ!」「淞南の意地を見せるぞ!」と意気軒昂。
試合のイメージ
トップスピードで4人抜きの雅行の雄姿。
(T) 「岡野、得意のドリブルで、八面六臂の活躍」
奇日の坂のてっぺん(現・新校舎)辺り
(T) 「が…」
ガックリうなだれ、坂を上って来る部員たち。烏が「カ〜」と鳴く。
(T) 「17対0―日大山形に記録的大敗」
青雲寮・食堂
部員たち、ガツガツ食べ始めるや口々に、
「小気味よい負けかただったな」「相手は超名門校だしな」「やっぱ、うちみたいな雑草チームとはちがうぜ」。
と、黙っていた黒木、
黒木「いくら雑草でもプライドは持とうぜ!同じ高校生なんだからな!」
と席を蹴る。
全員、沈黙―雅行、思案顔。
同・風呂場
洗い場で、甲と乙が体を洗っている。
甲「黒木はここ卒業したら酒屋つがなあかんのや。ホントは大学行きたいんやろけどな」
乙「もったいない、頭良いのに…」
湯煙の中で聞いていた雅行、ザバッと湯から出ると「♪マラドナ、ドーナ、ド〜ナ〜♪」と鼻歌で脱衣所へ。
驚吃した甲、石鹸を隣の股間に滑らし、取ろうとすると、乙「それ俺のチンポ!」
青雲寮・雅行の部屋(夜)
机に向かって勉強する黒木。三井が入ってくる。
黒木「岡野は?」
三井「外で練習初めおった」
青雲寮・前(夜)
星月夜…一人リフティングをする雅行。
玄関口から、黒木等チームメイトが顔をのぞかせ、三々五々、岡野の周囲に集まって、黙々とリフティング練習を開始する。
雅行(N)「雑草の 意地をみておれ 花咲かそ」
市民総合運動場・サブグランド
ぬかるみの中、ミニゲームの練習。
雅行、DFの位置からボールを奪って上がり、味方MFとのワンツーで、あっという間のゴール!「テクニシャン!」「淞南マ ラドーナ!」とかけ声が飛ぶ。
彼らに熱い視線を送る男。
(T)「時に審判免許をもつ父がコーチに来た」
―<ドラム缶のたき火を囲みつつ>―
父「全国大会に出られるチームを作れ。これが淞南だという戦法を考えるんだ」
火を見つめる雅行。
道(朝)
登校中の雅行、思いだし笑い。周囲の生徒、ギクッとなる。
雅行(N)「中学ん時、家庭教師に断られた」
回想・中学時代の自宅
テーブルにつく大学生と雅行、対座する母。
学生「お母さん、雅行君はあまりに自由でのびのびしてます。家庭教師なんかつけずに、彼の個性をのばしてあげて下さい」
くったくない笑顔の雅行、苦笑する母。
淞南学園・屋上
松江市街、宍道湖方面を並んで遠望する雅行、黒木、三井。
黒木「いつかこの学校も、全国大会に出られる日が来るだろうか?」
雅行「まずオレたちが出よう・・・」
三井「エ?」
雅行「チーム全員の個性と長所をのばせば、勝利につながる。それが、淞南サッカーだ!」
陸上競技場
(躍進する淞南サッカー部のイメージ)
相手FWに激しくチャージする選手。
(T) 「ラグビー部出身、ガチガチに当たるDF」
ジャンプに競り勝つDF。
(T) 「バスケ出身、ジャンプに強い最後の砦」
どこまでもくらいついて行くDF。
(T) 「長距離出身、持久力で敵を逃さない」
ダッシュからヘディングの黒木。
(T) 「バスケ出身、俊足いかしてゴールを狙う」」
高速ドリブルで駈けて来る岡野。
(T) 「抜群のテクニック。ボールを持ったら放さない岡野―」
岡野、ピッチ狭しと全力疾走!
(T) 「天下の弱小チーム、松南サッカー部が、岡野と共に進撃
を開始した」