谷津干潟自然観察センター
〒275−0025
千葉県習志野市秋津5丁目1−1
TEL 047-454―8416
開館時間 9:00〜17:00
(入館は16:30まで)
定休日 毎週月曜日と祝日の翌日
(月曜が祝日の場合は次の平日)
入館料 高校生以上300円
公式ホームページ
YATSU.pdf へのリンク
東京湾に残された、数少ない干潟のひとつ。ラムサール条約登録湿地で広さは約40ヘクタール。ラムサール条約とは、1975年に発効した、水鳥の生息地として国際的に重要な湿地の保存に関する条約で、日本では2004年現在13の湿地が登録されていますが、谷津干潟は関東地方で唯一の登録湿地です。1993年6月に正式に登録されました。
地図を見ていただければわかるとおり、京葉道路と東関東自動車道にはさまれ、住宅地や工場が密集する場所にぽっかりと開けた野鳥の楽園です。東西約1100m、南北約450mのほぼ長方形の干潟で、南西の一角を東関東自動車道と国道357号線、JR京葉線の線路が貫通しています。
谷津干潟は、春秋の渡りのシーズンには、キョウジョシギ、ダイシャクシギ、キアシシギ、ソリハシシギなど多くのシギ・チドリ類が観察できるほか、シロチドリ、ハマシギ、ダイゼン、トウネンなど一部のシギ・チドリ類が越冬します。冬はカモの仲間も数多く見られ、1年を通じて楽しめる探鳥地といえるでしょう。また、昔は非常にまれにしか見られなかったセイタカシギが(戦前は全国でわずか5回!)ここでは通年観察できます。ユリカモメによく似たズグロカモメがカニをさがして飛び回る様子や、ハマシギの大群による一斉飛行がバードウォッチャーの目を楽しませてくれます。ヒヨドリやスズメ、ハクセキレイなどごく普通の鳥達も、あまり人を恐れないので、初心者にも格好の観察地であるといえます。1年間に観察できる鳥の種類は約100種。干潟の南側には自然観察センターがあって、ビデオの上映もあり、指導員の方も親切に案内してくれます。
ここのホームページは非常に充実していて、開園日ごとにフィールドノートを更新している上、年間の観察記録をPDFで閲覧できるので非常に便利です。とかく識別が難しく、敬遠されがちなシギ・チドリ類の勉強にはもってこいの場所だと思います。この自然観察センターは有料(高校生以上300円)ですが、頻繁に訪れる方には1500円の年間パスポートがお勧めです。
ところで、関東近県に住む40代以上の人には、ここは昔谷津遊園があった場所として覚えている方も多いでしょう。谷津遊園は1982年に閉鎖され、その一角にあったバラ園だけが現在でも残されています。干潟の北側にある谷津バラ園がそれです。近くにあった船橋ヘルスセンターを知っている人も少なくなりました。今で言う温泉保養施設のはしりですね。1955年に開業、1977年に閉園しました。1981年にはその跡地に巨大なショッピングセンター、「ららぽーと」が建設されました。「ららぽーと」は現在に至るも、関東で最大級の規模を誇るショッピングセンターです。「ららぽーと」と谷津干潟の間には競馬場とオートレース場。人が集まる場所が集中しています。
昔の谷津干潟では潮干狩りが盛んで、干潟の中には今でも海の家の柱が残っていて、当時の面影を残しています。1960年代に子供時代を過ごした私は、潮干狩りは専ら幕張や姉崎あたりした。現在、幕張メッセが建っているあたりであさりを取っていたのでしょうか。姉崎は石油タンクで埋め尽くされて、当時の面影はどこにもありません。
東京湾には、もはや木更津まで行かないと自然の海岸は見られません。稲毛の浜も幕張の浜も人工の浜辺です。こういう事実からも、谷津干潟の存在は奇異なことのように思えますが、実際奇跡的なことだったのです。
どうしてここに干潟が残ったのでしょうか。その背景にはある人のことを語る必要があります。その人の名は森田三郎氏。谷津干潟は、谷津遊園の閉園後、当然のように埋め立て計画が持ち上がりました。当時、干潟にはゴミは捨て放題、悪臭にまみれたゴミ溜めのような場所で、習志野の恥とまで言われた土地だったのです。まだ20代だった森田氏は、たった一人で周囲3.5kmの干潟の清掃を続け、自然保護を訴えました。当時は彼の行為は全く理解されず、清掃を続ける森田氏の目の前で、これ見よがしにゴミを捨てていく人もあったそうです。それでも黙々と清掃を続ける森田氏の姿に、住民や行政も動かされ、ついに現在の谷津干潟は残されました。ここの地図を見るときに、この一個人の努力がいかに大きかったかを思い知らされます。黒澤明監督の名作<生きる>を地でいったような話ですね。森田氏は今でも干潟の清掃を続けています。
日本中がバブルに浮かれた1990年代初め、この谷津干潟に隣接する場所に巨大な人工のスキー場<ザウス>がつくられました。谷津干潟にいくときの目印にもなっていたこの巨大施設は、完成後わずか10年ほどで2004年、解体の憂き目にあっています。今や東京湾に残された数少ない野鳥のサンクチュアリである谷津干潟から<ザウス>の無残な現状を見るとき、ひとしおの感慨があります。
谷津干潟は、東京湾とは2本の水路でつながっているだけなので、干満の時間は、東京湾よりも1時間半ほど遅れます。干潟の鳥たちは満潮になると少なくなってしまうので、潮の状態を知った上で出かけられた方がいいと思います。
駐車場は十分ありますので大丈夫でしょう。干潟周辺は住宅地なので、くれぐれも迷惑をかけないようにお願いします。
谷津干潟への交通案内
※車で
□ 千葉方面から
東関東自動車道に平行して走る国道357号線の若松交差点でUターン。約1kmで駐車場入り口。注意するところは、若松交差点手前で一旦右折専用車線に入り、前方の信号に従ってUターンします。もし、幕張方面から県道15号線(幕張メッセと千葉マリンスタジアムの間の道路)を走ってきた場合、若松交差点では左折(東京方面)しかできませんので注意。
□ 東京方面から
首都高速中央環状線または湾岸線から葛西JCTを千葉方面に向かい、千鳥町で下りて国道357号線で約8.4km(湾岸市川ICでは出られないので)。または京葉道路の花輪ICから千葉方面に向かって約500m、若松交差点を左折してください。