1980年 NHK(全4話)
原作:松本清張「空の城」
 脚本:大野靖子 
音楽:林 光 
演出:和田勉




【主な出演者】

上杉二郎 (山崎 努)
アルバート・サッシン(ケン・フランケル)
松山真紀 (夏目雅子)
江坂要蔵 (片岡仁左衛門)
梶井ムラ (中村玉緒)
八代かおる(水沢アキ)
上杉節子 (加藤治子)
安田茂  (佐藤 慶)


第1話 「愛する時と死する時」
第2話 「江坂ファミリー」
第3話 「セント・ジョーンズの神話」
第4話 「日本の中の異邦人」




【 私のピンポイント・大まかなストーリー紹介 】

時は1970年代、
総合商社、江坂アメリカ社長・上杉二郎は20年前、妻子を日本に残し、捨てたも同然で渡米。
出生にも複雑ないきさつがある。
そして会社でのワンマンぶりは多くの敵を作っている。
江坂産業の社主、江坂要蔵は芸術愛好家。
江坂は常に芸術家の卵を見つけてはパトロンをしている。
ある日、江坂の愛人となったピアニスト、松山真紀がNYへピアノ留学をすることになり、そこで上杉と真紀は出会う。真紀は次第に上杉への愛を募らせていく。
その後、上杉の親友、八代がNYで消息不明になり、八代の娘かおるが父を捜しにNYへ。
上杉は右も左も分からない若い娘を不憫に思い、かおるの父親代わりを務める。
しかし、かおるも上杉に父親以上の気持ちを寄せていくのであった…。
大会社の崩落をワールドワイドに描いたヒューマニズム溢れる作品。

【 感想(少々ネタバレ失礼します)】
物凄い顔ぶれですよね。
リリア−ナ・カヴァーニ監督「愛の嵐」の劇判のような、不安感漂う音楽、ドドーンという雷の効果音?
がド迫力、そして今では「熱すぎる!」と思われそうなダイナミックな和田勉氏の演出。

和田さんの演出のこのドラマについては何度かTVで紹介された記憶があるほど和田氏の出世作となった本作品、いつか観たいと切願していたのですが、思いがけず日本映画専門chにて拝見することができました。

ココでも何本か紹介させて頂いております、松本清張氏原作を映像した世界は、女子にとって、
女のオソロシイ面や、裏に隠れたドロドロ感を、原作の世界から飛び出し、美しい女優陣が表現してくれるところにとても魅力を感じ、そこが病みつきになる理由でもあります。

実話に基づいた、アメリカ(NY)駐在の日本人商社マンを描いた人間ドラマ色が濃厚なドラマですが、
私のような「経済」なんて文字が出てくるだけで敬遠してしまうような(苦笑)、
ムズカシイのが苦手な人間でも、第一線で活躍している人間もいつ墜ちるかわからないすれすれの所に立たされている、という常に緊張感のある展開に惹きこまれ、27年という時代を超え、月並みですが、
人が生きていくという事について考え、私自身の活力源になり、このドラマに出会えたことを嬉しく思いました。

ファンであると常々書いている山崎努さんの演技は特筆に価します。
山崎さんの著書、「俳優のノート」(今や私のバイブル的な一冊です!)
も読ませて頂きましたが、役作りが完璧で、本当に役柄の人格に乗り移っているような気にさせられ、
氷のように冷たい鎧を着た孤高の存在(と私は感じた)、上杉二郎という人物そのものになりきっていたように感じました。
女性が有無を言わさず寄ってくる(笑)という部分にも非常に説得力が!!
80年代の作品は「道頓堀川」のハスラーをはじめ、かっこいいとかそんなのを超越して激烈です。
私の周囲では男性ファンが多い所も頷けます。私も男性だったら憧れるでしょう。
日本を代表する役者さんだと改めて再確認し、山崎さんの作品の数々をリアルタイムで観続けられる事をとても嬉しく思い、一人高揚しました〜。

そしてNYにピアノ留学してきた真紀を演じる夏目雅子さん、私が幼少の頃亡くなってしまいリアルタイムの記憶は「三蔵法師」のイメージ、清楚で無垢・・・なんですが、(凄いのは「鬼龍院華子〜」位しか観ていないもんで)この作品でのアフロ寸前の爆発ヘアを振り乱して(しかもスリップ一枚!)ピアノを弾く魔性系に
女優根性を見せつけられました。
次第に上杉に惹かれ、彼を独り占めしようとのめりこんでゆく執拗さは女を敵に廻す、大嫌いな女の雰囲気満々です。(大嫌いと思わせたら女優冥利ですよね?)
美しい女優さんだからこそこの役が演じられたのだと思えます。

第4話(最終話)は胸を打つ作品でした。
上杉に捨てられたも同然の妻、節子を演じる加藤治子さん、江坂要蔵の秘書(愛人)である
梶井ムラを演じる中村玉緒さんの耐え忍ぶ愛に女性の理屈ではない女心を感じます。
そして上杉にあっさりと(とは言っても上杉さん流の愛情の表し方だったように感じましたが)
捨てられる真紀・・・弱さを垣間見せる演技に三人三様の女心が女子のハートにグッと突き刺さります。

何度もココで呟き、しつこいんですが70〜80年代のドラマは今のドラマとは比べ物にならない作り方をしていますよね。
実験的な試みや作り手の開拓精神がとてもエネルギッシュです。
そして若い女優さんがとにかく大人っぽい。この時代のドラマや映画を観るといつもそう思います。
またしても活力を頂きました・・・!

【 余談ですが… 】
・私の中では眠(狂四郎)様こと、片岡孝夫さん(現・十五代目片岡仁左衛門)のお父様である
十三代目片岡仁左衛門さんが、言ってみればエロおやじ的な役所で正直ショックでしたが、貫禄そのものでした。
・水沢アキさんの役どころは、私の持つ水沢さんのイメージとは正反対の清純派な演技が可愛いらしく、
夏目さんと対照的な役柄が残りました。
・加藤治子さんは、どの作品でも本当にお綺麗ですが、20年帰らぬ夫を待つ妻の心情が、
少しの出演でも凄くリアルでラストの方では思わず涙が出ました。
・森本レオさんが中村玉緒さんに恋心を…(!)という設定にはビックリでした。玉緒さんのシャキッとした演技も見どころです。




*(数年振りのドラマ更新で熱が入りすぎ(笑)長文で失礼しました。。。)

DVDについて

2007-06-02



・和田勉さんのご冥福をお祈りi致します。
山崎努さんが文書で出されたコメントをTVで拝見し、70年代に和田さんが演出した「価格破壊」
のお話をされていてとても興味深かったです。
まだまだ未見のドラマがあるのでNHKで追悼番組してほしいです。
「天城越え」をもう一度みたいですね。。。

2011/01/19



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