【私なりのストーリー解説】 横浜郊外に暮らす望月家の母・都(岩下志麻)、父・省一(河原崎長一郎)は、それぞれ高校三年生でj受験を控える長男・和彦(鶴見辰吾)、中学一年生の妹・良子(二階堂千寿)と共に連れ子同士で再婚、平凡だが幸せな日々を送っている。 ある日、母・都の元恋人、そして和彦の実の父親である、カメラマンで今は人との接触を断ち、孤独に暮らしている沢田竜彦(山崎努)という男が突如あらわれることにより、静かな家庭に異変が訪れる・・・。ドラマの域を越えた傑作! 【私なりのドラマの見どころ・感想】 以前、こちらのお客様、私の父親(山田太一さんの大ファン)に聞かされていたこのドラマ、ようやく観ることが出来ました。 このドラマの放映当時、私は小6ぐらいでして、二階堂千寿さん扮する妹・良子と同じ年恰好だったので服装などから当時を思い出しそれだけでも懐かしい気持ちになりました。 舞台となった相鉄線の希望ヶ丘駅も、先日ライブでたまたま天王町に行く機会がありまして、(私の住まいに近い場所でもあります)余計に懐かしい気持ちになり、再度この辺をブラブラ散策したい気持ちになっています。 もう30半ばを過ぎた私自身が観ると、密室劇の様なこのドラマの少ない登場人物一人一人の気持ちに感情移入しまくってしまい、あらゆる場面で何故だか嗚咽をもらすほど泣けて泣けて・・・。 泣けばいいってもんじゃないんですが、こんなに涙が止まらないドラマは久々でした。(観終えた日は目が腫れ&頭痛で疲労困憊) 勿論、ユーモア、微笑ましい場面も沢山あります。でもそこも悲しくなる程切ないんです。 少しづつ観ないと体力を消耗してしまうのでゆっくりと思いつつ、先日6話〜12話までを一気観してしまったのがいけなかった!! −しかし観ずにはいられなくなり、誰かに話したくなってしまうドラマでした。 「昔は良かった」的に懐古趣味で終わるテーマではなく、普遍的な家族の物語で、タイトルのイメージと反した一筋縄ではいかないディープすぎる内容ではありますが、この時代にこそ!何か足りない、餓えた心の隙間を埋めてくれるような作品でした。 台詞に重点を置き、観る者に色々な想像力を持たせるように作っている所が飽きさせず、第1話から勢いよく惹き込まれます。 私の最初の印象は、ヴィスコンティの「家族の肖像」みたいな(邸宅と若者と中年の対峙)ヨーロッパ映画の趣があり、少々大袈裟とも取れる演劇的なお説教臭を感じてしまいがちな台詞の数々も(大映ドラマ的な?)私には素直に響いてしまい、自分にぶつけられたような気がしてガツーーンと来てしまいました。 それが爽快だったり、辛らつだったり、容赦なくグサグサ刺さるので今の自分の心境、とりまく環境に否が応でも何処かを重ねてしまい、張り詰めていた、隠していた自分の内面がホロッと崩れる瞬間がありすぎて辛かったです。 でも、全部見終え浄化された気分になりました。 名作ドラマと多くの人に愛されているこのドラマを観る事が出来た嬉しさで一杯です。 平凡な主婦と言っても連れ子同士の結婚をした難しい立場にある岩下志麻さん扮する都が素晴らしかったです。 志麻さんが美しいのは勿論ですが、表情だけで演じるシーンが沢山あり、大変な役だったと思いますがとても自然で流石だと思いましたし、こんな色っぽい志麻さんが主婦じゃ浮いちゃうよ〜、と思ってしまうのも山田さんの狙ったキャスティングであった事が(映像特典のインタビュー参照)しっくりきていて適役でした。 私自身は鶴見辰吾さん扮する真面目でいい子の受験生、和彦に一番共感を覚えました。熱演で拍手したくなる程でした。 私事で恐縮ですが、高校時代、親のすすめるまま大学を受験し、結局中退してしまった苦い思い出があります。 遅い反抗期だったのでしょうか、和彦の義父への気の使い方とはまた違った、親へのいい子ちゃん的なものを初めて振り払った時でした。(全く自慢にもなりませんが。) その後、美術の学校で写真等を学び、幸い楽しい学校生活を送ることが出来、初めて自分の意思で軌道修正したという嬉しさで学校を辞めた事などすっかり吹っ飛んでしまいました。 結果的に沢山の個性的な友人と出会う事が出来たのが今となっては得難い財産になったので、この辺は山崎努さん扮するカメラマン、沢田竜彦の撮るアウトローな人々の写真の数々や生き方、岩下さん扮する都の「無軌道な若い頃を過ごした」という設定には自然と共感できました。 配役に関しては本当に誰もが素晴らしく奇跡的といっても過言では無いと思います。 和彦の妹、良子役、二階堂千寿さん。愛嬌があり、明るく気が強くて、それでいて健気で・・・あんなに勘の良い中学生なんているのかしら?!と思わなかったわけではありませんが、ドラマを通して観て行くうちに違和感がなくなり、いとおしい存在になりました。 良子と竜彦がデートする微笑ましいシーンは景色と相まって美しく、忘れがたい名場面でした。 故・河原崎長一郎さんの、人が良すぎるお父さん像、これも凄くリアリティがありうまいなぁ、としみじみ思いました。 樋口可南子さん扮する明美は一話での登場シーンがハッとする程の美しさでした。当時は綺麗な人だなーと思った記憶がありますが、今観ると桃井かおりさんの若い頃 (役どころが「男たちの旅路」の悦子役とかぶってしまい観ていて辛かった) と雰囲気が似ていて女っぽさが強調されていました。 山崎努さんは言うまでも無く。一人の人間の中に多重人格者のようにさまざまな顔を見せ、病理に蝕まれる様子は圧巻どころか言葉になりません。やっぱり反骨だよなぁ・・・自分の飢餓感みたいなのものを埋めてくれる数少ない俳優さんです。 こういう役者さんは若手に居るんだろうか?!どうしても年配の役者さんばかりに注目してしまいますが。 最近、「役作りなんてしない」 とか若めの俳優が言ってたのをTVで目にすることがありましたが、そういうのカッコイイ事なんだろうか?違うんじゃないか?などと何故だか一人、頑固じいさんのように怒りモードになってしまった事が・・・。 というわけで、ファンには実に満足感で一杯になるドラマだと思います。ご本人もこのドラマに関しては演技に満足していると言うお話でしたし、忘れられない作品だとも仰ってました。(インタビュー映像参照) キャスティングは最初から山崎さんと決まっていたらしく、(山田さんのインタビュー映像参照)成るほど納得します。当時、寺山修司さんがこのドラマにはまり、竜彦は自分だと語ったそうですがそのエピソードにも興味深かったです。 一話の登場シーンから物凄い威圧感で押していきますが、何故か餃子を作りながら台詞を言うシーンやフォークダンスみたいなのを踊るシーン等、コミカルだったり、子供達を前にした和やかで何処か寂しそうな演技がとても印象に残りました。 息子・和彦と出会ったばかりの序盤の会話シーンも(3話)圧巻で、もう発作的に泣けてきて・・・。 勿論、鶴見さんの素晴らしい演技あってのことでしたが。(止まらないのでこのへんで) 岩下さんとの戻りそうで絶対に戻らない「距離」も官能性を帯び、二の線で観客を魅了します。 このドラマを拝見し、山崎さんがホームレスを演じているという、故・相米慎二監督の「あ、春」も益々見たくなった次第です。 『ありきたりの感想』 になってしまいますが(笑)、最終的に平穏な生活や自分を育てた両親のありがたさがどんなに凄い事なのかが、静かに知らされることとなります。 そして竜彦の書き留めておきたくなるような多くの台詞の中で、特に印象に残った、「何かに夢中になることは素晴らしい」等・・・、 イイ歳だぁなんだと気にせず、何かに夢中になっていいんだ!などと妙に勇気づけられてしまいました(笑)。 私が熱くダラダラと語るよりも、このDVDを観て、山田さんの優れた脚本、ドラマを作ったスタッフの方々、役者さんの総合的な素晴らしさ、醍醐味を実感されることを是非おすすめします。 またまた私の活力源+我が家の家宝に加わりました。。。 BOXの映像特典では、山田太一さん、山崎努さん、岩下志麻さん、鶴見辰吾さん、「ちゅらさん」などの脚本家、岡田惠和さんの貴重なお話が(対談形式)聞けるので(1H位)当時観ていた方もこれは買う価値があると思います ! 長文失礼しました。 (2008/01/22) *現在の希望ヶ丘へ行ってみました。 ![]() |