進化論と創造論

〜科学と疑似科学の違い〜

SINCE 2000 2.9
NEW最終更新 2014 6.4

はじめに

アメリカ合衆国、特に南部では公立学校で進化論を教えるべきかどうかについて対立があることをご存知でしょうか。ダーウィンの進化論に反対して、聖書にあるように全生物は創造主が個別に創った、ノアの洪水は実際にあった、地球の年齢は一万年以下という主張を行う創造科学(科学的創造論)というものがあります。一般的な日本人の感覚から見ると異様な感じがします。しかし、日本人でも進化論を正しく理解している人はどのくらいいるのでしょうか。掲示板で議論を行った私の経験からは、日本人の間でも進化論についての誤解は広くいきわたっているようです。

インターネット上で検索してみると創造論を主張する日本語ページはいくつか見られるのに対し、進化論の情報を得ることができるページ、特に進化論と創造論の両方を取り上げたページは少ないようです。それなら作ろうというのがこのページの趣旨です。科学を名乗っていますが、創造「科学」は科学ではありません。疑似科学です。創造論を信じることそれ自体はさほど害はありませんが、科学と疑似科学を区別できないことは非常に危険なことです。創造論と進化論のどちらが正しいか迷っている方、進化論をより深く知りたいと思っている方の役に立てれば幸いです。


進化論と創造論 番外編


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Q.創造論って何ですか?

A.地球上の生物の由来についてはいろいろな考え方があります。創造論とは「地球上の生物はそれぞれ個別に、創造主によって創られた」という主張です。


Q.進化って何ですか?

A.このページでは進化を「少数の単純な生物が長時間かけてさまざまな生物に変化すること」と定義します。どのようなメカニズムにせよ、進化が起こったと考えている人は進化論者です。


Q.ダーウィンの進化論は学会で公式に否定されたのではないのですか?

A.いいえ、ダーウィンの進化論が学会で公式に否定されたことはありません。「学会で否定された」というのは創造論者の誤解に基づく神話にすぎません。


Q.自然選択説ってなんですか?

A.生存に有利な変異が何世代にもわたって選択されることにより進化が起こるという説です。進化のメカニズムについての説ですね。ダーウィン説、ダーウィニズムと呼ばれることもあります。自然選択説を支持する人をダーウィニストと言います。広く受け入れられている説ですが、自然選択説について批判的な科学者もいます。自然選択説に対しての批判を、あたかも進化そのものに反対している科学者がいるかように、創造論者が不適切に引用することはしばしばあります。


Q.偶然の積み重ねでは、進化は確率論的に説明困難ではないでしょうか?

A.分子レベルの進化に関しては偶然に左右される進化が起こっています。適応的な進化に関しては、ダーウィニストは変異を供給する突然変異が偶然であるといっているだけで、自然選択は偶然であるとは言っていません。「進化論者は偶然に生物が進化したと主張している。生物は精巧に作られており、偶然にできたなどとは考えられない。」という主張がしばしばなされますが、創造論者の手段「論敵の主張をねじまげたうえで否定する」の典型的な例です。


Q.進化は熱力学第二法則に反しているので間違いではないでしょうか?

A.熱力学第二法則は、エネルギーも物質も出入りしない孤立系でのみ成立します。地球はエネルギーの出入りがありますので孤立系ではありません。よって熱力学第二法則は地球には適用できません。生物進化と熱力学第二法則は矛盾しません。熱力学第二法則を正しく理解しているのであれば、進化は熱力学第二法則に反しているという主張は誤りであることがわかるでしょう。


Q.進化の証拠は化石だけではないのですか?

A.いいえ。進化の証拠が化石だけに過ぎないと誤解している人もいますが、まったく進化のことを理解していないと言わざるをえません。化石は進化を支持する強力な証拠ですが、もし化石がまったく残っていなかったとしても人類は進化の事実に気付いたでしょう。種分化がおこりつつあるのを観察できますし、種の地理的分布は進化を仮定しないと説明困難です。また、生物の構造には、進化という歴史に由来する不完全性が見られます。あるいは、種間を比較することによって特定のグループが共通の祖先を持つことがわかります。最近の分子生物学の発展によって、DNAの配列を調べて種の類縁関係を推定することもできます。


Q.進化は実験で再現できないから科学ではないのでは?

A.いいえ、科学です。実験で再現できないものを科学ではないとすれば、進化論のみならず天文学や地質学などの歴史を扱う分野はみな科学ではなくなってしまいます。実験室で地球が太陽の周りを回っていることを示す実験はありませんが、地動説は確からしい科学的仮説とみなされています。なぜでしょうか。それは地動説はニュートン力学と結びつき、検証可能な予測ができるからです。例えば、日食のおこる時間を正確に予測できれば地動説は確からしいと認めることができるでしょう。地動説と同様に進化論は検証可能な予測をします。地球の年齢について、ある地層に発見される化石について、ある生物と生物のDNAがどのくらい似ているかについて、検証可能な予測ができますし、実際に検証されてきたので進化が起こったという仮説は科学的に正しいとされているのです。


Q.進化論は反証不可能なので科学ではないのでは?

A.例えば先カンブリア紀の地層から大量の石器が発見されれば進化論に対する強力な反証になります。進化論が科学ではないと思いたいために「進化論は反証不可能である」と主張する創造論者もいますが、原理的に反証不可能であることと、反証の証拠が見つからないことを混同すべきではありません。進化論は原理的に反証可能ですが、現在のところ反証されていません。[2000.4.11]


Q.進化が正しいとすると、神さまはいないのでしょうか?

A.いるともいないとも言えません。進化が正しいからといって、必ずしも神を否定する事はできません。進化論と信仰を両立させている科学者はたくさんいます。


Q.創造論はオカルトではありません。創造論とオカルトの区別がつかないのですか?

A.このサイトで創造論と低級なオカルトがごっちゃになっているように見えるとしたら、まさに(創造論そのものではなく)創造科学が低級オカルト的な要素を持っているからです。例えば、間違った知識で定説を否定すること、無知から強引なこじつけを行うことなどです。このサイトでは創造論が間違いであると言っているのではなく、「創造論は科学的にも正しい」「進化論は科学的にも正しくない」という主張が間違っていると言っているのです。ニセの証拠を挙げてまで創造論をむりやり科学の一分野にしようする輩は、あたかも創造論が低級なオカルトの一つであるかのような印象を与えるので、真摯な創造論者にとっても有害であると思うのですが。[2000.4.11]


Q.創造論者の子どもには信仰の自由がある。進化論を学校で教えるのは特定の価値観を押し付けることになるので問題なのでは?

A.科学教育の目的は、科学的な知識と方法を教えることです。進化論が科学でないのであれば、科学教育から取り除くべきでしょう。しかし、進化論が科学でないという主張は、このページで指摘したように誤りです。進化論教育を問題にする人は、単に自分の信仰するの宗教のドグマにそぐわないからという理由で進化論教育に反対しているだけです。もし「大地は平らである」という教義の宗教があったとしたら、その信者の子どもの信仰の自由を守るために、科学の時間に地球は球型であると教えるのを止めるべきでしょうか?ある宗教の教義に沿うかどうかで、教えるべき科学的仮説を選ぶべきではありません。科学の時間には、地球は球形であること、生物が進化してきたこと、そしてなぜ科学者がそう考えるようになったのか、その過程や方法論を教えるべきです。


Q.なぜ日本の学校では進化論のみを教え、創造論を教えないのでしょうか?

A.進化論は十分に確立された科学上の学説であるのに対し、創造論は宗教であるからです。日本に限らず、創造科学の本場のアメリカ合衆国ですら、公立学校では進化論のみ教え、創造論は教えていません。アメリカ合衆国の一部の州で成立していた創造科学と進化論とを同じ時間だけ教えることを義務付けた法律は、違憲と判断されました。[2001.4.17]


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