6.刺客依頼

第二シーズンも佳境に入り、極端に短くなってきた一刀の言葉にキレが出てきました。

「断わる。」

金も無いのに情に訴え頼みこむ依頼人には冷たい一言で、まさに一刀両断。
散々長話をさせて、これは引き受けざるを得ないだろうという雰囲気まで引っ張って、引っ張って玉砕ですから、これは痛い。色々なバリエーションで良く使われるセリフで、相手を怒らせるのにもっとも有効。只今一押しのセリフです。

「カネ。」

この一言は大抵の場合相手に誤解を与え、金の亡者だと思われて嫌われます。

「大五郎。」

一子大五郎との意思疎通は大抵この一言で済みます。

このように必要最低限の言葉以外、言い訳や無駄口は一切たたかない一刀ですので、急に多弁になる時は要注意です。
必ず良からぬことを企んでいます(笑)。言葉尻に含みを持たせて、その相手にとっての究極の選択を迫ります。多くの場合、それは相手の死に繋がる選択なのですが…

そんな時の策士一刀は何故かちょっぴり楽しそう。私も楽しいです。

500両一括前払いでないと、刺客は絶対引き受けない一刀だが、武士道を貫き、死を覚悟して、武士の命である刀を質種に刺客依頼してくるようなシンパシーを感じる依頼人にはかなり甘い。
そして、金払いの良い、藩のお偉方の都合の良い依頼は必ずと言っていい程、宿敵烈堂の息が掛かっているので、だまし討ちには細心の注意が必要なのです。

何はともあれ、どんな依頼人も、取りあえず子連れ狼とコンタクトをとらなければなりません。地獄の番卒、牛頭馬頭の絵柄を描いた紙が刺客依頼の目印。それを見た一刀が小石で標す道中陣(字ちがう?)によって落ち合う場所を指定するのであるが、この前私は珍風景を見た。

子連れの一刀は「まだ」良いとしても、凧上げで遊ぶ子供達に紛れて、いい大人の侍二人組が真剣に凧上げで一刀と刺客依頼の交信をしている。しかも結構近距離で…。もう会って頼んじゃってはどうでしょうか?(笑)
一刀の方もノリノリで、ずいぶんと不用心な返信の凧を上げてるものだから、この目立ち過ぎるやり取りが、旅の岡っ引き風情にまで見破られる始末です。こんなんで本当にいいのか拝一刀!?まあ面白いから別に良いですけどね。

安請け合いはしないが、一度引き受けた依頼は意地でも果たす一刀。
そんな父を見てきた大五郎も三歳児とは思えぬ頑固さで、叩かれても脅されても決して約定を破らぬ性根の据わった強い子に育ちました。
刺客道を歩む我ら、信じられるのは約束だけ。と言い放つその凛とした姿に、冥府魔道と言いつつも、裏切り行為を侮蔑し、人間としての芯を捨て切れない一刀親子のアンビバレンツな魅力を感じるのです。('03.9)