5.冥府魔道の錦之介錦之介さん、いよいよメイクに力が入ってきましたね。女の私も使いこなせない、あのスカイブルーのシャドー使いなどは、私の中では笑いの域をとうに通り越してしまっている。(良い意味です。)
一刀の体調に合わせて自在に変わる極悪メイクに、紙一重のライン上すれすれに悠然と立つ錦之介さんの情念を見る思いがします。錦之介の時代劇役者(武芸者を演じる者)としての難点で付いて回るのが、身体の細さである。エー太ってるじゃん。って思った人は機会があったら全身のシルエットをもう一度見て欲しいのだが、顔の割にちらりと覗く足首、きゅっと帯を絞めた腰が細いのね〜。でも私はあの流線形のシルエットがかなりお気に入りなんですけどね。
錦之介さんは梨園のサラブレットですが、四男坊であったがゆえに思うような役が付かず、年功序列の因習を嫌い映画界に飛び込んだ方です。弟の嘉葎雄さんもそういう傾向を感じるのだが、女形家系の伝統が意志を持って彼等をそうさせたのか?!生まれ持った女形体型とでも言おうか、なにしろ肉の付方が女っぽい。
どう鍛えても筋肉質にはなれないようで、若い頃は恰幅が良くなるように、タバコを止めたり、アルコールはビールを飲むようにしたりと、華奢な体型を結構気にしていたようですね。ただしその分の栄養は首から上に付いてしまったようですが…。でもそんな事、別にいいんです。
それを問題にしない存在感と有無を言わさぬ演技で役者として充分表現し切っているんですから。
第二シーズンに入って一層寡黙になり、危ない妖気を漂わせている一刀。錦之介が表情を消して「〜つかまつる」とか「〜申し受ける」とか、様式がかった言い回しをすると、片言の言葉にやけに凄みがでるんです。
観ていると、食事のシーンがとても多いんですが、汚い格好でも錦之介さん、すごい上品に召し上がりますね…一刀がただの無頼では無く、きちんとした躾を受けて育った武家の男であることが、感じられてなかなか素敵に見えますよ。一刀は相変わらず強いが、病気や怪我も絶えず、不安定な生活ぶりに大五郎まで体調を崩す始末ですが、二人の絆は一層強く、時に大五郎を食べちゃうんじゃ無いかと思う程親密でドキドキします(笑)。
武士のプライドも何も「人の道」すらとっくに捨てている一刀ですので、悪者もビックリの奇襲攻撃で相変わらず何を仕出かすか分かったもんじゃありません。例えば、立会いにおける武士の魂は初太刀で表すらしいのだが、この方、かなりの頻度で初太刀はぶん投げます。敵は「し、しょだちを投げるとは…」って断末魔にいつも驚いてくれます。さらに人数多くてめんどくさい時は箱車に搭載された機関銃で一網打尽にやっつけちゃいます。なにしろ「我ら親子は人に非ず、冥府魔道に生きるもの…」ですから何でもありです。
「錦ちゃん」から「錦之介」に役者として完全に脱皮を遂げたと言われている本作。錦之介の作品にかける並々ならぬ意気込みと情熱、強烈なストーリー展開は留まる事を知らない。まさに冥府魔道の旅はまだまだ終わらないのである。('03.9)
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