3.大五郎
『どぅあいごろぉ〜!(大五郎ー!)』
両手を広げながら、猛ダッシュで大五郎に駆け寄り、放すものかとひしと抱き締める一刀をもう何度も観た気がする。
普段感情が抑えられている分、ここ一番という時の感情の発露は半端ではない。
が、今回は錦之介さんの鬼気迫る入り込み演技についての感想はひとまず置いといて…。言いたいのは、大五郎(西川和孝)の驚くべき冥府魔道ぶりなのだ。
私が個人的に思ってる「名」子役っていうのは、あんまり上手すぎないこと。
よくあるのは、やたらと滑舌の効いたセリフ回しと、妙に大人ぶった芝居で、上手くやることに気が行き過ぎて子供を演じていることを忘れてしまっている子役。この頃しきりとTVで流されている、かの国の子供達を見るような違和感を感じる。
私はかえってセリフなんか愚図つく位がちょうどいいとすら思う。要は雰囲気があればいいのです。
その点この西川君のちょっとぎこちない演技と子供らしい動作が、子連れ狼の大五郎というキャラクターにぴったり合っていると思う。始めこそ木偶のようにウンともスンとも言わないお飾り的存在だったように思うが、アッと言う間にこの劇中に自分のポジションを確立してしまった。
特に「ちゃん」とのテレパシーは凄い!敵と対峙する時なんて以心伝心と言うより一心同体と言うべきか。次に「ちゃん」が何をするのかよーく分かってる。まさに一刀の懐刀なのだ。何より私が好きなのは、「ちゃん」との平和なひとときである。
一刀が無邪気に遊ぶ大五郎を見る時など、恐い顏しながらも、いつもほんの少ーし笑うのだが、それに呼応して笑う大五郎の笑顔が凄い。可愛いんだけど、般若っぽいのだ。
決してニコッではない。ギュ〜って笑うのだ。さすが冥府魔道に生きる親子である。異様な空気をつくりだし、心通わす笑顔すら普通の親子とはひと味違う。そして、「ちゃん」から待てと言われれば、一人で何日だって待っている我慢強い良い子なのだが、他人からあんまり理不尽な扱いを受けると、父親譲りの水鴎流で相手に斬り掛かったりします。
なにせ「ちゃん」がザクザク斬り殺していく様をいつも目の前で見ているのでさもありなんと言う感じですが…。しかし後年、現実社会で本当に冥府魔道に足を踏み入れてしまったというオチは全く頂けません。非常に残念です。それでもやっぱり大五郎はブスッと不機嫌そうな西川君が一番はまってると思うのだ。(03.8)
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