13.『波と笛と』


「夜が明ける、覚悟は良いな。」

この物語の最終回は、拝一刀のこの言葉で壮絶に幕を開けたといってもいいだろう。

斬る!取る!折る!投げる!刺さる!爆発!!爆発!!

「柳生即ち草、草即ち柳生」という合い言葉のもと、拝一刀の愛刀胴太貫を折るべく、残る忍び草達が総力をあげて襲い掛かる。

受ける一刀、スピード感と気魄溢れる大立ち回りで斬って斬って斬りまくる

しかし斬られると体内の火薬が爆発するという、草達の余りにも悲愴な「カミカゼ」攻撃や、大五郎を気に掛けながらの危険極まる肉弾戦、あの手この手で次々と襲い掛かる草の来襲に、さしもの一刀も予想外の事体に見舞われる事に…。

なんと、石をも斬れる胴太貫が!
…折れた。
その刹那、あの拝一刀が!
…斬られた。

まだ大本命の烈堂と戦ってないのに、こんなに深手を負う一刀に大ショックを受けてしまった。

自らの死期を悟る一刀。
それを敏感に感じながらも、励まし続ける大五郎。
弱った身体のまま最終決戦を目前に控え、大五郎を膝に抱き、河原に佇む一刀は一子大五郎に、全ての思いを伝えるのです。

心の奥から絞り出すように言葉を紡いでいく錦之介さんの語りは、胸の芯が痛くなるような感動がこみ上がってきます。
その言葉を静かに聞く大五郎の眼差しは、幼子なのに物わかりが良い分、あまりに悲痛だ。

悲しむベし士道を歩むもの。悲しむべし忍びの道を歩むもの。共に人たるに変わりなきものを…。

そう、悲しいのです。互いにズタズタになりながらも、なお戦い続ける人達。

武士道の権化、大いに結構。忍びの権化、大いに結構である。
このプロフェッショナルな生き方に、妥協や甘さは一切無い。見る者はこの悲しさや厳しさから生まれるカタルシスに酔ってしまうのだから…。

そして拝一刀親子悲願の大一番。
満を持して登場する宿敵「柳生烈堂」との生死を賭けた一騎討ちが、ついに、ついに始まるのである。('03.10)