【アフター・ケア(事件のあとに)】

7.アット・ホーム・ウィズ・フォーチュン(たからもの)

-Written by MIYA-


 

 

 

 

 

 

カチャ。

 

そろぉ〜……。

 

「ただいまぁ…」

「ま・り・な・さ・ん」

「(ギクッ)…あ、た、ただいま!」

「ただいま、じゃないわよ。んもぉ、今日は何日だと思ってるの」

「ええと、確か…15日?」

「…18日です」

「あ、あはは…そうだったっけ」

「で?約束してた日は、何日だったか覚えてる」

「え、ええとぉ…それは」

「じーっ」

「…15日。ごめんなさい」

「遅れるなら遅れるで、連絡をしてくれれば…」

「ごめん。その…時間がなくて」

「言い訳はききたくない」

「あーん、ごめんなさいっ、ね、この通りっ!」

「知らない」

「そうだっ、明日、レストランに食事しにいきましょ。この前、おいしいって言ってたところ」

「私、毎日、夕食準備して待ってたのよ」

「…じゃあじゃあ、一緒にショッピングっていうのはどお?ほら、欲しい服があるって言ってたじゃない。ね、ね?」

「どうしようかなぁ」

「ほら、欲しがってたスケスケのあっはーん、うっふーんな下着も買ってあげるから」

「な…、欲しがってません、そんなのっ」

「この間、カタログ見ながら物欲しそうな顔してたじゃない」

「してませんっ」

「あーん、だから、何でも好きなもの買ってあげるからぁ」

「ふーん…まりなさん、品物でごまかそうっていうんだ、ふーん」

「もう、そんなにいじめないでよ。ホント、心の底から反省してます。…ああん、こんなに誠心誠意謝っているのに許してくれないなんて…いつからそんなに冷たい子になったの。まりな、悲しいっ」

「なによ、それ…」

「ねえ〜(うるうる)」

「もぉ、わかったわよぉ!」

「ホント?!」

「許してあげるわ…もう」

「やった!だから好きなの」

「本当に現金なんだから…まりなさんは」

「でも、なんだか嬉しそうよ?」

「そんなことないわ」

「あ、わかった。もう、いじましいんだから。私に好きって言われて照れちゃったんでしょう」

「べ、別に」

「もうっ、照れ屋さんなんだからっ」

「違いますっ」

「う…」

「…??」

「じゃあ、キライ?」

「…は?」

「しくしく…私のコト、キライになったのね、ぐすん」

「だから違うって…もぉ、どうしてこうなるのよぉ」

「じゃあ、好き?」

「えっ」

「ねぇねぇ、私のコト、好き?(うるうる)」

「もぉ…まるで子供だわ」

「(うるうる)」

「………」

「(うるうるうる)」

「だ、たから…」

「(うるうるうるうる)」

「好きよ、好きっ、これでいいでしょっ」

「うれしいっ、やっぱり私のこと愛してるのねっ」

「あ、愛っ?!」

「二人の愛は永遠のものなの…」

「はぁ…頭が痛くなってくるわ」

「…機嫌、直った?」

「疲れたわ。もう、なんだかペースにはまりっぱなし…」

「あはは」

「ふう…」

「留守中、どうだった。学校の方は?」

「順調よ。おかげさまで」

「なにかトゲがあるわね」

「そう?気のせいでしょ」

「分かったわ。大学裏で放課後のアバンチュールを愉しんだ相手がヘタだったのね。それで機嫌が悪いんだわ、きっと」

「違いますっ!何言ってるのよ」

「それでもって、早かったのね」

「まりなさんっ!」

「やーね、冗談よ。赤くなっちゃって。…想像しちゃった?」

「な、何をよ…」

「ま、お下品」

「ば、バカなこと言ってないで、早く手を洗ってきてちょうだい!せっかくのお料理が冷めちゃうわ。ちゃんと、まりなさんの好きなものばかり作ったんだから」

「わっ、嬉しい!最近、すごく料理の腕が上がったものね」

「お世辞はいいから」

「お世辞じゃないわ。この調子なら、きっといいお嫁さんになれるわね」

「もうっ、そんなことばっかり。ほら、早く!」

「はーい…うふふっ」

「なに?」

「ううん、なんでもないの」

「ヘンなまりなさん…」

「うふふっ…」

 

 

微笑む彼女を見やって、まりなは幸せそうに笑った。

 

 

 

 

…パタン。

 

二人の背後で、静かにドアが閉じた。

 

 

(Fin)