日建連『人材確保・育成提言』の実現/優良職長手当を再要請(建設通信新聞)よりH24.05.02紹介
【「第2土曜」は統一閉所日】
日本建設業連合会は1日、『建設技能者の人材確保・育成に関する提言』(2009年4月発表)の実現に向けて、会員企業144社に優良職長手当制度の導入や下請次数の目標設定などに努めるよう通知した。優良職長手当制度は、旧日本建設業団体連合会会員企業48社のうち、11年度から新たに3社が導入し、計12社に増えたものの、取り組みに慎重な会員企業も多く、改めて協力を要請。作業所の土曜50%閉所を目指し、新たに12年度から毎月第2土曜日を統一土曜閉所日に設定した。
通知は、井上舜三労働委員長名で「昨今の建設技能者の不足は一段と深刻さを増しており、建設産業の将来を見据えると、提言実現に向けた取り組みの重要性をまさに痛感している」と指摘し、▽賃金の向上▽建設業退職金共済(建退共)制度の普及▽重層下請構造の改善▽労働環境の改善▽社会保険未加入問題への取り組み――の5項目で各社の状況に応じた取り組みを推進するよう要請している。
日建連が旧日建連会員48社の提言に対する取り組み状況(12年3月時点)を調査した結果、優良職長手当制度は、前年同月に比べて、新たに西松建設、竹中工務店、三井住友建設の3社が導入し、計12社に増加。手当支給の前提となる「優秀な職長を評価・認定する制度」は9社増の28社、下請次数の目標設定は10社増の19社など各取り組み項目に一定の進展が見られた。このうち、優良職長手当制度は、提言に掲げた優良技能者の標準目標年収600万円以上を実現するための足掛かりというべき取り組みで、戸田建設、清水建設、大林組、ピーエス三菱、大成建設、鹿島、東急建設、前田建設などがそれぞれ独自の制度を導入済み。
新たに導入した3社のうち、西松建設は経験年数や無事故年数など一定の要件を満たした職長に加え、同社協力会(Nネット)所属企業であれば、日建連加盟他社の認定者も上級職長として認め、日額500円(上限年額12万円)支給する「上級職長制度」を構築。上級職長のうち、特に優秀で同社への貢献度が高い人に年額18万円を追加支給する「西松マイスター制度」と合わせ、11年7月から全社展開した。
竹中工務店が12年1月から全社展開した「竹中優良職長制度」は、登録基幹技能者資格を保有し、一定以上の評価を受けた職長をマイスター、さらにマイスターとして3年間、同社に顕著な貢献をした人をシニアマイスターに認定し、それぞれ日額2000円、3000円を支給。初年度は大工、鉄筋工、とび工、土工、左官工の5職種が対象で、今後拡大する予定だ。
また、三井住友建設は、PC(プレストレストコンクリート)技能者を対象とした橋梁マイスター制度を拡充し、業種・職種問わず、優秀な職長を認定する「コンストラクション・マイスター制度」を12年3月から全社展開。登録基幹技能者資格を保有または同等以上と認めた職長に日額1000円を支給している。
こうした導入に積極的な会員企業がいる一方、日建連によると、「今後も導入する予定はない」と答えた会員企業が16社おり、「制度導入の検討に経営トップが参加していない」または「検討機会が少ない」との回答は21社に上っており、取り組みに慎重な会員企業も多かった。
このため、通知では、制度モデル、先行事例を参考に導入に努めるとともに、既に導入された会員企業は、その展開範囲、内容などの拡充に努めるよう要請。12年度からの新たな取り組みでは、毎月第2土曜日の統一土曜閉所日に加え、社会保険未加入問題に対して、日建連社会保険加入促進計画(4月策定)に基づいた対応を要請している。
国交省/基幹技能者の更新、1年前から手続き可能に/登録機関に規定見直し要請(日刊建設工業新聞)よりH24.03.22紹介
国土交通省は、各専門工事業団体(民間登録機関)が行う登録基幹技能者の登録手続きなどを定めた「登録基幹技能者講習の事務取り扱い」の内容を見直す。12年度から民間登録機関で順次更新作業が始まるのを控え、講習修了証の有効期限が切れる1年前から更新手続きを開始できることなどを各登録機関の事務規程に盛り込むよう求める。近く各登録機関に関連通知を出す。「講習の事務取り扱い」は、登録機関がそれぞれに作成する基幹技能者の申請・登録時の事務内容(講習、試験など)を定めたもので、国交省は今回、登録時以外に更新時の内容を追加し、各登録機関にもこれに沿って事務規程を見直すよう通知する。
追加される内容は、▽各基幹技能者が更新時に提出する書類▽更新手続きの内容−の2点。特に更新手続きについては、更新機会を確保するために各登録機関は1年前から手続きを開始できると規定。更新講習を実施する場合の講義の科目や内容などに関する事項も事務規程に盛り込むよう求める。さらに講習修了証の有効期限が切れた場合、半年以内に限って更新を認めるようにするほか、半年を超えた場合も一年以内に限って講義の受講(試験は実施)を免除することも規定するよう要請。更新時の手数料は各団体に加入する会員と、加入しない非会員を同一の料金とすることも求める。
更新時に行う講習については、国交省が2月末に公表した実施方針で、単なる事務手続きによる更新ではなく、基幹技能者が備える能力を担保するための講習、または関係法令の情報などを伝える措置(専門テキストの配布など)を講じるよう各登録機関に要請済みだ。
登録基幹技能者制度は、08年度から国交相の認定を受けた民間登録機関(各団体)が申請した技術者に対して講習と試験を行った上で登録(講習修了証を発行)している。12年1月現在で28職種36団体が認定を行っているが、各団体には運用開始から5年に1度、登録した基幹技能者の更新を行うことが義務付けられており、08年度内に登録機関に認定され、登録講習を行った団体が12年度から更新手続きに入る。最も早く更新を行う必要があるのは日本電設工業協会で、遅くとも今年7月には更新に入る予定だ。
国交省/基幹技能者更新講習で実施方針/各団体に能力担保の措置要請(日刊建設工業新聞)よりH24.02.28紹介
国土交通省は、登録基幹技能者の登録更新時に民間登録機関(各専門工事業団体)が行う更新講習に関する実施方針を作成した。方針では単なる事務手続きによる更新ではなく、基幹技能者が備える能力を担保する措置を更新時に講じるよう求める。3月初旬に各団体に通知する予定。
登録基幹技能者制度は08年にスタート。12年2月27日現在で28職種36団体が認定を行っている。各団体は、5年に1度の更新時に、基幹技能者が備えるべき能力を担保するための講習などを行うとしているところも多いが、対応を示していない団体もあるため、実施方針を作成した。各団体に講習または講習に準ずる措置を講じるよう求める。講習に準じる措置では工程や品質、安全の管理に関するポイントや最新の工法、関係法令の情報提供などを挙げた。
実施方針では、多額の受講料を徴収する講習では技能者の更新意欲を損ねかねないとして受講料への留意も要請。更新講習の実施時期は13年度だが、受講機会確保のために1年前から手続きを開始できるとした。
優秀職長の処遇改善拡大/ゼネコン・設備で制度続々/運用課題に企業間連携(日刊建設工業新聞)よりH24.02.09紹介
工事現場の優秀な職長を優遇する報奨制度の導入に建設業界が本腰を入れ始めた。手当を新設したり、従来制度を改善したりといった動きがゼネコンで拡大。設備工事業界でも団体や企業単位での制度導入に向けた積極姿勢が目立つ。企業間、業種間で制度の整合をどう取っていくのかなど運用面を中心に課題はあるが多くの企業が制度を前向きにとらえ、取り組みが加速することは、建設業界全体の人材確保などに好影響をもたらしそうだ。
優れた技能や統率力を持つ職長の処遇を改善しようという動きは、09年4月に日本建設業団体連合会(現日本建設業連合会)が発表した「建設技能者の人材確保・育成に関する提言」をきっかけに本格化した。優良職長の年収目標を打ち出したこの提言を受け、戸田建設が優良技能者手当を10年4月に開始。協力会社が支払う給与に日額500円を上乗せする方法で制度を運用している。11年度に入ると、清水建設や大林組が年度当初から全国規模で手当支給制度を導入。西松建設や竹中工務店も取り組みを始めた。三井住友建設は橋梁分野でマイスター制度を運用中。今後、建築系職種でも優遇制度を実施する予定だ。「スーパー職長」と呼ばれる優良技能者に日額2000〜3000円を支給している大林組は、その効果を「職人自身の技能向上と人材育成に対する協力会社の意欲がより高まった」と分析、手応えを感じている。
設備業界では、日本電設工業協会(電設協、林喬会長)が昨秋、登録電気工事基幹技能者の処遇改善を検討するよう会員の大手企業に要請。日本電設工業が職務手当を加算する制度の導入を具体化するなど、業界内の動きは活発化している。空調工事会社でも、高砂熱学工業が09年度から優れた技能者を報酬面で厚遇する制度を運用。ダイダンは11年度にマイスター制度を開始した。優秀な職長には後進の育成や技能伝承でも中心的役割を果たしてもらえるよう、インセンティブを付与する措置を講じている。
こうした優秀職長の処遇を改善する取り組みはさらに活発化する傾向にあるが、優秀職長の認定条件や手当の内容など、制度の中身は各社でそれぞれ異なる。09年の日建連の提言では、業界内で制度の共通化を図ることも将来の目標として掲げている。
11月の建設労働需給/8職種とも不足傾向/国交省(日刊建設工業新聞)よりH23.12.27紹介
国土交通省が発表した建設労働需給調査(実施期間11月10〜20日)によると、主要8職種すべての技能労働者が全国的に不足傾向にあり、特に型枠工(建築)、鉄筋工(同)の不足率が高いことが明らかになった。新規募集でも8職種合計の不足率が18カ月連続で前年同月を上回り、労働者不足が深刻化している。
8職種全体の不足率は1・6%と前月からは0・4ポイント不足幅が縮小した。ただ、電工と配管工を除いた主要6職種では2・3%と不足感が依然として強く、特に建築の型枠工が3・6%、建築の鉄筋工が3・5%、土木の鉄筋工が2・6%と不足率が高い。東日本大震災の被災地である東北地域の8職種の不足率は前月から1・1ポイント低い1・8%。8職種のうち左官を除いた7職種は不足傾向が続き、特に配管工の不足率が4・2%と大きくなっている。
今後の労働者確保の見通しでは、全国・東北地域ともに一部地域・職種を除いて「普通」との見方が大半を占める。来年1、2月で労働者確保が「やや困難」「困難」としているのは、関東の型枠工(建築)と鉄筋工(同)、中部の左官、北陸の鉄筋工(土木)となっている。
11年度補正予算に盛り込まれた被災地の復旧・復興事業が来年に入って順次発注されることから、技能労働者の不足傾向は年度末から来年度以降も続く見通し。既に建設会社では作業員の確保や労務単価の上昇などへの対応に苦慮しており、国や自治体など行政側に支援を求める声が高まっている。
基幹技能者−国・自治体工事で活用拡大/加点評価や入札参加要件に/国交省(日刊建設工業新聞)よりH23.12.16紹介
国土交通省や地方自治体の工事発注で、基幹技能者の現場配置を入札時に加点評価したり、入札参加要件にしたりする取り組みが拡大している。国交省の調査では、基幹技能者の配置に加点を行う総合評価方式の入札の試行・実施件数が、10年度は前年度に比べ国の工事で3倍以上、自治体発注工事でほぼ4倍へと急増した。工事現場で基幹技能者を積極活用し、生産性の向上や施工品質・安全の確保につなげようという意識が発注者の間で強まっていることをうかがわせている。
国交省の調査によると、09年度時点で入札時に基幹技能者の現場配置に対する加点措置を行っていたのは、国の機関では国交省北海道開発局(実施=建築13件)、自治体では長野県(同=建築7件)、島根県(同=土木5件)、長崎県(試行=土木83件、建築12件)の3機関(107工事)だった。10年度になると、国の機関では、北海道開発局に加え、国交省の5地方整備局(東北、関東、近畿、中国、九州)が試行を開始。実施・試行件数は45件に増えた。各機関の実施・試行件数は、北海道開発局が建築5件、東北整備局が土木8件、関東整備局が土木2件、近畿整備局が土木10件・建築7件、中国整備局が土木2件、九州整備局が土木11件。11年度には内閣府の沖縄総合事務局も加わり、7機関が実施・試行中となっている。
一方、自治体では長野県と長崎県が取り組みを継続。新たに北海道(試行)が加わり、実施・試行件数は3道県で418件に増加した。各道県の実施・試行件数は、北海道が土木288件・建築13件、長野県が建築3件、長崎県が土木89件・建築25件。このほかに東京都が基幹技能者の配置を入札参加要件にした造園工事を1件試行した。11年度には大阪府と京都府が建築工事で実施しているという。
加点は発注機関によって0・2〜6点と少しずつ異なる。加点の対象についても、国交相の認定登録機関の講習を修了した「登録基幹技能者」としている機関と、単に基幹技能者としている機関がある。国交省は、基幹技能者の役割の重要性を認識する発注機関が徐々に増えつつあり、取り組みの形態は違っても、多方面で工事の品質確保や安全性の向上を重視する意識が広がってきていると評価している。
日建大協/雇用実態調査結果/型枠大工1割減少、賃金水準の向上不可欠(日刊建設工業新聞)よりH23.11.25紹介
日本建設大工工事業協会(日建大協、三野輪賢二会長)は24日、型枠大工の雇用実態調査報告を発表した。それによると、職長と技能工を合わせた就労者数(8月末時点)は1万0373人で、前回調査(10年9月末時点)との比較で10・9%減少。24歳以下の割合が低下する一方、55〜64歳の割合は24%(前回22%)に上昇し、就労者の減少と高齢化が進展していることがあらためて浮き彫りになった。21年の就労者は14%減の8911人にまで減少すると予想。若年入職者の確保に向け、賃金をはじめ処遇の改善を国や関係団体に強く求めていく方針だ。
調査は昨年に続き2回目。今回は9月15日〜10月21日に調査票を回収。調査には非会員2社を含む187社が回答した。調査項目は▽就業者数▽標準的賃金▽型枠大工の過不足と労務の需要予測▽東日本大震災の影響−など。調査結果によると、就労者は職長が前回より1・9%減の2596人、技能工が13・4%減の7777人。震災復旧・復興関連の求人が増え、転職・引き抜きが増えているという。地域別では近畿の就労者が14・4%減少した。
賃金は、職長の1日当たりの全国平均工賃(交通費、諸経費含む)が1万3296円、技能工が1万1514円。労務のひっ迫から職長は2%、技能工は3%上昇した。ただ、交通費や諸経費(36万円)を控除すると、職長レベルの年収は275万円にとどまる。型枠技能工の需要は53%が「大変ひっ迫」とし、12年2月末には「大変ひっ迫」と「多少ひっ迫」とみる社が計60%に達した。
報告書は、賃金水準が入職を阻害していると分析。高齢化に歯止めが掛からない現状を「5年、10年後の技能・技術伝承の途絶に向かってひた走っている」と指摘。需給ひっ迫による単価の暴騰や不良不適格業者の参入に警鐘を鳴らした。調査結果を受けて日建大協は、ダンピング受注の排除や他職種との連携による課題解決を検討していく方針だ。
全国建設産業教育訓練協会/成長分野の技能労働者育成へ/検討委が初会合(日刊建設工業新聞)よりH23.10.28紹介
全国建設産業教育訓練協会(才賀清二郎会長)は、国土交通省から受託した「建設技能労働者の成長分野への対応促進に関する業務」の一環として、リフォーム・メンテナンスと環境・エネルギーの二つの分野に関する検討委員会を設置し、27日に都内で初会合を開いた=写真。需要低迷が続く建設産業の中でも成長が期待されるこれらの分野の建設技能労働者を育成するため、効果的な研修カリキュラムとテキストを作成することなどが狙い。両委員会とも委員長に浦江真人東洋大理工学建築学科准教授、副委員長に加藤直樹浅野工学専門学校教授が選任された。
今回の受託業務では、リフォーム・メンテナンスと環境・エネルギーの二つの分野を対象とし、顧客ニーズに的確に対応するとともに、効果的に工事などを行える建設技能労働者の確保と育成を図るための人材育成プログラムを構築する。具体的な市場動向やニーズの調査、必要な工種の絞り込みなどを行った上で、分野別研修カリキュラムとテキストを作成。これらを基に実証研修も行い、来年3月に事業実施報告書をまとめる予定だ。
新たに設置された検討委は、研修カリキュラムとテキストの作成に当たっての方針や内容について専門的な見地から検討・助言を行う。今後の検討方針によると、リフォーム・メンテナンス分野検討委は、マンションの天井や壁、床といった内装仕上げを手掛けられる多能工の育成を目標とする。一方、環境・エネルギー検討委は、オフィスビルやマンション、公共施設など大規模建築物への太陽光発電装置の設置に携わるソーラーパネル設置技能工の確保と育成を目的に検討していく。
電設協/年収650万円以上に目標設定/上級職長の処遇改善へ、大手が先導(日刊建設工業新聞)よりH23.10.14紹介
日本電設工業協会(電設協、林喬会長)は、登録電気工事基幹技能者(上級職長)の処遇改善に向けた取り組みを加速させる。「50歳の平均年収を現状から50万円引き上げ650万円以上にする」との目標を掲げ、まずは大手企業から仕組み作りに着手する。具体策として職務手当の支給などを想定している。
電設協は昨年度、人材委員会(菅沼敬行委員長)に基幹技能者処遇改善検討ワーキンググループ(WG)を設置し、処遇改善の具体策や効果などを検討してきた。会員企業へのヒアリングで、基幹技能者を配置して施工した場合、▽配置技術者の人数が減らせ人件費が抑えられた▽工程や安全などの管理が行き届き手直し工事が少なくなった―などの効果があったことを確認。電気工事の現場で統括的な責任を果たす上級職長の社会的な地位を高めるためにも処遇改善が必要との結論に至った。人材委の検討結果を踏まえ、電設協は「平均年収で650万円以上を目指す」との目標を設定。経営基盤や財務状況を踏まえ、大手の会員企業から具体的な仕組み作りに着手するよう求めることにした。
処遇改善が企業経営と密接に関わることから、「各社の判断に基づき実現可能な方策を検討する」よう要請。同WGの検討成果として、職務手当の支給を方法の一つとして提案した。提案内容によると、職務手当の支給対象は職長の中でも登録電気工事基幹技能者の有資格者とし、現場への出勤状況に応じて支給。手当相当額を請負代金の一部として協力会社に支払うとした。手当が確実に支払われるよう、会員企業は工事発注書に基幹技能者の手当相当額を、協力会社は工事見積書に職務内容と金額をそれぞれ明記する案を示した。
電設協が昨年度実施した「電気技能者(電工)労務費調査」で、50歳の電工の平均年収は602万円。建設技能者の賃金は他産業に比べても低く、若年者の入職減や定着率低下につながっているとされる。国土交通省も基幹技能者の評価を高め、活用を促進する策として「基幹技能者の処遇改善」に業界全体で取り組む必要があるとの立場を取っている。電設協が認定している電工の上級職長は昨年度末時点で約4900人。大手の会員企業が先導する形で基幹技能者の地位向上と処遇改善に本腰を入れる考えだ。
国交省/成長分野に的、技能労働者の就労支援/カリキュラムと教材開発へ(日刊建設工業新聞)よりH23.08.04紹介
国土交通省は、建設技能労働者の就労支援策の一環で、既存施設のリフォーム・メンテナンスや、太陽光発電設備設置工事など今後の需要拡大が見込める成長分野への参入を後押しする。環境・エネルギーやリフォーム関連工事に対応できる技能を習得してもらうための講習カリキュラムやテキストを作成する計画で、学識経験者や専門工事業者で構成する検討会を設け、詳細を詰める。本年度中に対象分野の講習会を開催したい考えだ。
建設技能労働者の教育訓練はこれまで、実際の工事現場で技能を体得するOJTが中心で、外部施設でOff−JTを行う機会は資格取得時などにほぼ限られていた。ただ、建設投資の縮小で工事量の減少傾向が続く中、OJTで技能を磨く現場の数も減少。個々の専門工事業者も自前で教育訓練を行う余裕が乏しくなってきている。同省の有識者会議「建設技能労働者の人材確保のあり方検討会」(座長・蟹沢宏剛芝浦工大教授)が7月にまとめた最終提言の中でも、工事量の減少傾向を踏まえてOff−JT重視の教育訓練を充実させる必要性を指摘。特に今後はリフォーム・メンテナンス工事などのニーズが高まるとして、行政側に対し、ニーズに対応したOff−JTカリキュラムの開発支援などを求めていた。
国交省は、その対応策として、リフォーム・メンテナンスや環境・エネルギーなど成長分野での建設技能者育成を支援。老朽化したインフラの機能更新や環境に優しい住宅・建築物整備の関連市場が急速に拡大していることから、技能労働者がこうした現場で働くのに必要な知識・技術・技能を習得できる環境整備に取り組む。
今後、専門工事業団体などにヒアリングを行った上で、検討会で対象とする技能を選定し、技能習得カリキュラムとテキストの作成方針を決定。学習時間や内容(工法、資機材の扱い方、施工上の注意点)、使用教材、教授方法などを体系的に整理する。リフォーム・メンテナンス分野の対象技能では内装リフォームの作業に必要な技能、多能工化に向けた関連技能の習得など、環境・エネルギー分野ではオフィスビルや公共施設へのソーラーパネル取り付け技能などを想定している。
国交省検討会/技能者確保で最終提言/保険未加入企業の排除徹底(日刊建設工業新聞)よりH23.07.28紹介
国土交通省の有識者会議「建設技能労働者の人材確保のあり方検討会」(座長・蟹澤宏剛芝浦工大教授)は27日、最終提言をまとめた。長期・安定的に人材育成を行う企業が競争で不利にならないような環境を確保する必要があると指摘。企業と行政が一体となって保険未加入企業の排除策などを実施するよう求めた。将来の中核技能者の育成・確保の観点からキャリアパスの作成や工事量減少を勘案したOJTからOFF−JT重視への教育訓練の移行も提案した。
提言では、建設投資の減少で労働環境が悪化し、収入の低さや福利厚生の未整備などを理由に、将来の建設業を支える若手技能者の入職離れが懸念されると指摘。労働環境対策と人材確保・育成策が不可欠だと訴えた。労働環境対策の柱は、保険未加入企業の排除と重層下請構造の是正。保険未加入企業への対策では、行政が建設業許可更新時や経営事項審査時などに保険加入状況の確認を強化。元請企業は施工体制台帳などを使った下請企業の保険加入状況のチェック(建設業法で規定する特定建設業者の下請負人指導努力義務の中で保険加入を明示)、下請企業も専門工事業団体によるITを活用した保険加入状況の効率的なチェックなどを行うよう求めた。こうした対策の実施から5年後をめどに、加入義務のある建設業許可業者については加入率100%を目指すとした。
重層下請構造の是正に向けては、行政による一律の次数制限という規制手法は取らず、契約当事者の建設業者が施工力のある下請企業の選定などを推進するよう提案。技術者データベースや施工体制台帳に基づく一括下請負の確認強化など建設業の請負と雇用のルールを徹底することも求めた。
人材確保・育成策では、若手の入職促進のために各専門工事業団体が入職後の経験年数に応じた職位、責任、年収などを明示したキャリアパスの作成に取り組むよう提案。技能を磨く現場が減少しているため、外部研修施設で研修するOFF−JT重視の教育訓練に移行し、その費用を業界全体で負担する仕組みの検討も課題に挙げた。
大林組、林友会連合会/初のスーパー職長に75人認定(日刊建設工業新聞)よりH23.07.11紹介
大林組と協力会社組織の林友会連合会は8日、優れた職長を対象とする「大林組認定基幹職長(通称・スーパー職長)制度」の運用を始め、初年度に75人を認定したと発表した。優秀な職長の賃金を上げることで、建設産業の魅力を高め、若手建設技能者の入職・定着率の向上につなげるのが狙い。認定者には日額2000円または3000円を支給する。7日、東京都港区の大林組本社で11年度スーパー職長認定式が行われ、認定証が渡された。
認定は、同社の現場に従事している職長のうち、品質や安全の確保などに貢献し、的確なマネジメント能力を発揮する優秀な人が対象。同社現場の職長として通算7年以上の経験を持つことや登録基幹技能者であるなど、年齢制限(60歳未満)も含めた七つの基準を満たすことが条件となる。スーパー職長に対する1日当たりの支給額は、同社現場での職長経験7〜15年が2000円、16年以上が3000円で、同社が毎月振り込む。初年度は五つの職種に対象を絞り、とび19人、型枠18人、鉄筋17人、左官7人、土工(重機土工含む)11人、坑内作業員3人を認定した。平均年齢は46・5歳だった。
スーパー職長制度の運用は、日本建設業団体連合会(現日本建設業連合会)が09年4月に公表した「建設技能者の人材確保・育成に関する提言」にも即した取り組みの一環となる。スーパー職長の収入を上積みすることで、この提言で優良技能者の標準目標年収として設定されている600万円を達成できるという。同社らは今後、対象職種の拡大や地域性を踏まえた認定基準のあり方などを検討していく方針だ。
今後の展開について同社は「建設業界で働く人たちのステータスとなり、それによって全体の底上げになってほしい」(本谷淳大林組建築本部本部長室部長)と期待を表明。協力会社組織も「職長のレベルアップをしていくステータスシンボル的なものとなる」(山本正憲林友会連合会会長)、「職長の待遇を改善するところに意義がある」(石沢正弘東京林友会会長)としている。
国交省検討会/技能者確保へ提言案/社会保険加入5年で100%に(日刊建設工業新聞)よりH23.07.01紹介
国土交通省の有識者会議「建設技能労働者の人材確保のあり方検討会」(座長・蟹澤宏剛芝浦工大教授)は6月30日の会合で提言案をまとめた。社会保険未加入企業について、排除方策の全体像を示した上で1年程度の周知期間を設け、行政、元請・下請企業が一体となって監督・指導を強化。実施から5年後をめどに、加入義務のある建設業許可業者で加入率100%を目指すとした。同検討会は7月下旬に開く会合で最終提言をまとめる。
提言案は、労働環境の改善に向けて保険加入企業の排除や重層下請構造の是正などが必要だと指摘。保険未加入企業の排除については、行政と元請・下請企業がそれぞれ保険加入の取り組みを強化するよう求めた。具体策として建設産業行政の担当部局が社会保険担当部局と連携。建設業許可更新時、公共事業労務調査時、経営事項審査時、立ち入り審査時など保険加入状況の指導監督を行うべきだとした。元請企業は、施工体制台帳や作業員名簿などによって下請や建設現場の各労働者の保険加入状況をチェック・指導する一方、下請企業は再下請通知書を活用して請負関係にある者の保険加入状況をチェックするよう求めた。
重層下請構造の是正に関しては、個々の企業の経済的合理性などから下請契約を行っていると、その必要性を認めた上で、行政による一律の次数制限という規制手法ではなく、企業の自主的な取り組みによる是正が望ましいと指摘。技術者データーベースや施工体制台帳に基づく一括下請負の確認強化、主任技術者の配置徹底、請負・派遣の判断基準の周知徹底などを通じて請負と雇用関係の適正化に取り組む必要性を示した。
中核的な建設技能労働者の確保策と育成・評価・活用策については、専門工事業団体で入職後の経験年数に応じた職位、年収などを記載したキャリアパスを作成・提示するよう提案した。育成・評価・活用策としては、建設現場が減少していることなどを勘案。現場で技能を体得するOJTを補完する観点から、資格取得時に外部施設で研修するOFF−JTの充実が必要だと指摘し、OFF−JT費用の業界全体での負担システムやOFF−JTカリキュラムの開発支援などに取り組むよう求めた。