国交省/海外インフラ展開推進策具体化へ/有識者懇が初会合、6月に中間まとめ(日刊建設工業新聞)よりH24.05.25紹介
海外でのパッケージ型インフラ展開の推進方策を検討する国土交通省の有識者懇談会の初会合が24日、省内で開かれた=写真。海外建設協会の竹中統一会長や不動産協会の木村惠司理事長など建設・不動産・運輸系の関連団体幹部らが出席。官民連携によって海外事業を拡大するための課題や今後の戦略などについて意見を交わした。6月4日の次回会合で具体的な施策について議論し、同月13日の会合で中間まとめを行う。
冒頭のあいさつで、前田武志国交相は「優れた技術だからと日本流のやり方を単に示すだけでなく、関連する多分野でコンソーシアムを組んで新たな価値を付け、プロジェクトをいかにマネジメントできるかが重要だ」と指摘。参加メンバーに対し「日本の成長戦略の柱の一つであるパッケージ型インフラ海外展開でそれぞれの分野から知恵を出していただきたい」と求めた。座長を務める家田仁東大大学院教授は「日本の社会資本整備が、造るところから安全に運営・管理するまで優れていることは言うまでもない。ただ、海外展開では海外の仕事の仕方や、国際市場でのスタンダードを学ぶ必要がある。相手の立場を考え、柔軟でクレバーな対応が求められている」ことを強調した。
初会合では、これまでの官民双方の海外展開の取り組みを総括し、今後の施策の前提となる基本的論点を整理。主な施策の検討事項として「競争力を強化するためのパッケージ化によるインフラ海外展開の推進」「川上から川下までの受注に向けた体制の強化・プレーヤーの競争力強化」「新たなフロンティアとしての『防災パッケージ』、ハードと組み合わせた『ソフトインフラ』の海外展開」などを挙げた。
参加者からは「オールジャパンにこだわらず、現地人材とニーズを取り込みながら、結果として日本がイニシアチブを取ることが重要だ」「期限を守って良いものを造る技術力・信用力を日本ブランドと見る傾向が強いが、技術への過信には問題がある」「内外問わずモデルケースを作り、まず日本でモデルプロジェクトをやって見せることが必要だ」などの意見が出された。
3年ぶり1兆円台回復/アジア中心に全地域増加 /海建協48社11年度実績(建設通信新聞)よりH24.05.24紹介
海外建設協会(竹中統一会長)が会員企業48社を対象に調査した2011年度海外建設受注実績によると、受注総額は前年度比48.8%増の1兆3503億円だった。円高などの影響で国内製造業の工場を中心に海外移転が進んだ結果、受注総額の7割強を占めるアジアを始め、全地域で増加し、3年ぶりに1兆円台に回復した。
受注総額の内訳を法人別に見ると、本邦法人が55.4%増の7082億円、現地法人が42.2%増の6421億円。本邦法人は、アジア、中東、大洋州、中南米などの順で受注が増加し、北米、東欧で減少した。現地法人は、アジア、北米、中南米などで好調だった一方、大洋州が振るわなかった。
地域別では、主力市場のアジアが40.7%増の9863億円と好調を維持。円高などで日系企業の設備投資が加速したことに加え、タイの大洪水で被災した工場の復旧関連も寄与し、民間が45.5%増の7406億円と大きく伸びたほか、公共機関も64.0%増の2457億円と上向いた。
北米は、民間が24.7%増の802億円、公共機関が13.7%増の441億円とともに伸びた結果、全体では20.6%増の1243億円となり、中東は、民間が62.7%減の68億円と大幅に落ち込んだものの、公共機関が前年度に比べて12倍増の1096億円と大幅に伸び、全体では4倍の1164億円となった。
欧州、東欧はともに民間のみの受注で、それぞれ3倍増の98億円、2.8%増の176億円だった。中南米は、公共機関が23.1%減の41億円だった一方、民間が3倍弱の179億円と大きく伸び、全体では2倍の338億円となり、アフリカは28.6%増の84億円、大洋州は2倍の245億円だった。
無償資金案件は14.3%減の460億円で中東と大洋州は増えたが、アフリカやアジア、中南米で減った。円借款工事は、STEP(本邦技術活用条件)案件が24倍増の1113億円と大幅に伸びた結果、全体でも10倍増の1395億円となった。国際金融機関もトルコ共和国のイズミット湾横断橋建設工事の大型案件により、73倍増の884億円と前年度を大きく上回った。
工事別では、建築案件が33.2%増の9245億円、土木案件が99.7%増の4258億円。国別の受注は、1位がシンガポールで19.5%減の2526億円と落ち込んだものの、前年度と同じ結果を示した。2位は、前年度3位だったタイで、40.1%増の1198億円、3位は、前年度7位だったベトナムで、3倍増の1039億円だった。4位は米国(前年度2位)、5位は中国(同4位)となり、以下、トルコ、インドネシア、香港、台湾、インドと続く。
国交省/インフラ海外展開へ有識者懇談会発足/6月にも中間まとめ(日刊建設工業新聞)よりH24.05.23紹介
国土交通省は、海外の旺盛なインフラ需要を戦略的に取り込むため、官民連携によるインフラ海外展開の推進方策を議論する有識者懇談会を発足させる。これまでのインフラ海外展開の取り組みを総括し、今後の施策や制度改正の方向、13年度の予算要求などについて検討する。24日に初会合を開き、6月中にも中間まとめを行う見通しだ。
国内のインフラ需要が中長期的に減少傾向にある中、インフラ関連産業の持続的発展に向け、官民連携による海外展開の動きが活発化している。ただ、競争環境は国内以上に厳しく、日本が強みを持つ分野で付加価値を高める事業戦略が一段と重要になっている。
国交省はこうした現状を踏まえ、建設・不動産・運輸分野の関係団体や海外インフラ展開を推進する官民連携組織の幹部、学識者らでによる懇談会を設置。海外市場での競争力向上など、諸外国のインフラプロジェクトに日本企業が積極参画するための推進方策を練る。懇談会の検討成果については、政府が今夏に策定する「日本再生戦略」に盛り込まれるパッケージ型インフラ輸出での取り組みにも反映させていく方針だ。
懇談会のメンバーは次の通り。▽家田仁東大大学院工学系研究科教授=座長▽大橋忠晴日本鉄道車両輸出組合理事長(川崎重工業会長)▽小澤一雅東大大学院工学系研究科教授▽木村惠司不動産協会理事長(三菱地所会長)▽小林栄三海外港湾物流プロジェクト協議会座長(伊藤忠商事会長)▽住川雅晴海外水循環システム協議会理事長(日立プラントテクノロジー会長)▽清野智海外鉄道推進協議会会長代行(東日本旅客鉄道会長)▽竹中統一海外建設協会会長(竹中工務店社長)。
国交省/ベトナムでローカル人材育成/両国が協力確認、スキーム具体化へ(日刊建設工業新聞)よりH24.05.22紹介
日本式の建設生産システムを熟知したローカル人材育成に向け、国土交通省は14〜17日の日程でベトナムに調査団を派遣して現地の政府関係機関の高官らと会談し、人材育成の分野で協力していくことを確認した。併せて、11月に第4回の日越建設会議をハノイで実施することも確認。人材育成を会議の主要テーマに位置付け、ベトナム側が今後設置する準備委員会などと連携し、育成スキームを具体化させる。
インフラ需要が旺盛なベトナムで日本の建設会社が事業展開しやすい環境を整備する一環で、国交省は官民連携で現地技術者・技能者を継続的に育成・活用できるスキームを構築したい考え。調査団と会談したベトナム建設省のカイン副大臣らは、両国間で取り組む職業訓練プロジェクトに積極的に協力する方針を表明。ベトナム側も準備委員会を中心に、労働省や交通・運輸省、建設会社など関係者らと具体的な協議を進める方針が示された。
既に日本側は国交省と関連団体・企業などで組織する準備委員会が先月発足し、11月の日越建設会議に提案する内容などの検討に着手。今回の調査団の成果のほか、委員会メンバーへのアンケートの結果を踏まえて同会議に提案する素案をまとめ、7月上旬の次回会合に提示する予定だ。ローカル人材の育成・活用について、企業側の取り組みを促すため、基幹技能者制度の海外版など、資格制度のあり方も検討課題に挙げている。
調査団は今回の訪越で現地で職業訓練を行う政府系機関・企業などを視察。大成建設などが合弁事業で実施しているノイバイ空港第2旅客ターミナルビルの新築工事作業所も訪問し、ローカル技術者育成の必要性などについて意見交換した。
JAPIC戦略委/アジア都市投資ファンド創設を提案/プロジェクト輸出推進(日刊建設工業新聞)よりH24.05.21紹介
日本プロジェクト産業協議会(JAPIC)の「ヒト・モノ・カネ呼び込み戦略委員会」(委員長・山本和彦森ビル副社長)は、アジア諸国で増加が見込まれるインフラ整備や都市開発などのプロジェクトへの投資需要を取り込む「アジアプロジェクトセンターTOKYO立地構想」の具体化に乗りだした。18日の初会合で今後の活動の方向性を示すとともに、都市開発分野でのプロジェクト輸出の推進策として「アジア都市投資ファンド」の創設を提案した。
アジア各国で旺盛なインフラ需要を取り込むため、同戦略委では東京に集積しているインフラ・都市機能を最大限に生かした活用方策を検討。同構想を主要テーマに設定し、プロジェクトの具体化に取り組む。相手国のニーズに合わせたプロジェクト輸出を目標に、設計・エンジニアリングや機械・部材、建築・土木、維持・運営、ビジネスサービス、民間・政策金融などさまざまな主体による官民連携体制を構築。総合的なプロジェクトマネジメント力を強化し、インフラ・都市開発事業の輸出を想定した社会実験特区(規制の特例措置など)でモデル事業を実施することを計画している。
プロジェクト輸出のうち、都市開発分野では国内で培ったノウハウの活用と併せ、政府資金などを主要原資とするアジア都市投資ファンドの創設を提案。東京をアジアの都市開発プロジェクトの形成拠点とするため、官民連携の中核組織として株式会社組織の「(仮称)都市革新機構」を設立し、国内のモデル事業や海外で展開する都市輸出プロジェクトなどへの資金供給の円滑化を図る考えだ。同機構にはデベロッパーや建設、設計、コンサルタントなど関連分野の人材・技術を集めてプロジェクト形成を支援する。
政府が今年半ばをめどに策定する日本再生戦略を踏まえ、同機構設立に向けた設置根拠法案の作成作業に入るよう国土交通省に要請する。来年の通常国会での成立を前提に、13年4月の設立を目指す。山本委員長は「オールジャパンに縛られず、世界各国と連携しながら、アジアのインフラ・都市開発プロジェクトのスタンダードを作っていきたい」と話している。
貿易保険法を改正/経産省/インフラ輸出へ支援対応(建設通信新聞)よりH24.05.11紹介
経済産業省は、海外子会社による取引や債券発行など新たな資金調達手法、外国金融機関による資金提供、国内で外国企業に技術・役務を提供する取引などに対し貿易保険を付保できるよう、貿易保険法を改正する方針を打ち出した。改正法案は2013年の通常国会に提出する。10日に開かれた産業構造審議会(経産相の諮問機関)のインフラ・システム輸出部会で提示した。
貿易保険法は、ビジネス取引形態の多様化や金融手法の高度化への対応、各国とのイコールフィッティングなど、企業のインフラ・システム輸出促進の観点で改正する。経産省によると「十数年ぶりの改正になる」(貿易経済協力局)という。
改正は、インフラ輸出への支援対応に加え、貿易再保険特別会計を廃止し、NEXI(日本貿易保険)に継承させるとともに、NEXIを特殊会社化する。あわせて、新たにNEXIの借入に対して政府が保証することや、保険金支払い債務の確実な履行のため政府が追加出資するなどの措置も創設する。
資金協力では、都市開発など長期案件への対応や第三国の企業と連携して受注する案件の促進など、技術協力では日本の若手人材を海外インフラ現場に数多く送りこむことなどを今後の方向性として示した。
同日の部会では、インフラ輸出を支援する貿易保険や資金協力、技術協力の今後の方向性を議論した。今後、6月15日の会合で、日本企業のインフラ・システム輸出競争力強化策をまとめる。強化策は、「日本再生の基本戦略」で策定が盛り込まれた『国際競争力強化プログラム』に反映させる。9月以降も3回部会を開いて水や都市開発・工業団地など主要11分野ごとに今後の方向性などを議論し、11月をめどに報告書をまとめる。
サンテック/ミャンマー・ヤンゴン支店の営業再開/日系投資案件の受注狙う(日刊建設工業新聞)よりH24.05.08紹介
サンテックは、01年から休止していたミャンマー・ヤンゴン支店の営業活動を再開した。米国の経済制裁解除が予想される状況を踏まえ、体制を早期に整えて政府開発援助(ODA)案件、日系などの企業投資案件の受注を狙う。シンガポールなど海外での勤務経験がある技術者を中心に組織を作り、現地採用のスタッフを教育しながら、体制の充実を図る。3年後をめどに電気・機械設備工事を柱に5億円の受注を目指す。
同社は96年、ヤンゴンに支店を開設し同国での事業活動を始動させた。工事実績はバルーチャンダム変電所工事(契約先=鹿島)、ゴールデンヒルタワー電気工事(同=三井建設〈現三井住友建設〉)、全日空ヤンゴン事務所内装・電気工事(同=全日空)など。98年までの約3年弱、営業活動を行った後、政情不安などを理由に営業活動を休止し、支店は休眠状態となっていた。
ヤンゴン支店は3月から営業活動を再開。西雅之執行役員国際事業部国際営業部長が支店長を兼務しているが、いずれは現地駐在の支店長を任命する。副支店長は現地スタッフが務めており、シンガポールで勤務経験があるスタッフ2人も配置している。体制を整えるため、技術系社員の採用活動を現地で行っており、日本やシンガポールでの研修を通じ、レベルアップを図る。将来的には現地スタッフだけでの支店運営を目指している。
ターゲットとする案件は日本のODAのほか、日本、シンガポール、マレーシアなどの民間投資。ODAは電力通信や給排水、港湾、ダムなどのインフラ関連、医療・病院・福祉施設、学校関連施設などが、民間案件は工場、ホテル、高級コンドミニアムなどがターゲットとなる。同社の海外事業はここ数年、受注高、売上高ともに100億円規模で推移している。シンガポールと台湾、ミャンマーに支店を構え、ブルネイ、マレーシア、中国、ベトナム、タイの5カ国に現地法人を持つ。同社は日系の設備工事会社で唯一、ミャンマーに支店を有している。ゼネコンでは鹿島が拠点を残しており、ほかにも複数の企業が拠点開設に向け、申請手続きなど準備に入っているという。
国交省/インドのインフラ整備で政府間協議本格化/物流改善策で対話の場設置へ(日刊建設工業新聞)よりH24.05.08紹介
国土交通省は、日本のインフラ関連企業の海外展開支援の一環で、インフラ整備需要が高まっているインドとの政府間協議を本格化させる。4月末からの大型連休中に奥田建副大臣をはじめ同省担当部局の幹部らが訪印し、閣僚級経済対話を開催。政府要人らとの会談も行い、高速道路や高速鉄道、都市開発、港湾整備といったインフラプロジェクトへの今後の対応方針などを確認した。物流全般の改善策の具体化に向け、両国で新たに対話の場を設ける方針だ。
奥田副大臣らは4月29日〜5月2日の日程でインドを訪問。日印閣僚級経済対話ではデリー〜ムンバイ間の産業大動脈構想(DMIC)、チェンナイ〜バンガロール間の統合開発マスタープラン、貨物専用鉄道計画(DFC)、高速鉄道計画構想などを中心に協議を行った。高速鉄道ではインド側から日本の新幹線技術の導入に高い関心が示され、次官級会議の早期開催をはじめ、鉄道全般にわたって協力関係を深めていくことを確認した。
関係省庁の首脳との会談では、道路交通省のプラサダ閣外大臣が日本の高速道路を視察する考えを表明。デリー近郊での高架道路の整備手法をはじめ、ITを活用した交通安全対策や渋滞対策などについて強い関心を示した。都市開発については、毎年開かれている日印交流会議を通じて協力関係を継続的に強化していく方針を確認。インド側からは特に高度道路交通システム(ITS)や都市モノレール整備への関心が示されたという。海運省のシンハ次官との会談では、インド南部の港湾整備などで意見交換を行ったほか、同国の物流全般の改善策について、両者が合同で検討する場を設けることを確認した。
国交省/インドネシアに耐震・免制震技術を売り込み/パイロット事業で需要喚起(日刊建設工業新聞)よりH24.05.07紹介
国土交通省は、日本と同様に世界有数の地震国であるインドネシアで、日本の建設会社などが持つ耐震・免制震技術を売り込むための市場調査を行った。建築物への免制震技術の採用に向けた動きは低調だったものの、一部地域では、行政が主導して重要施設への免震技術の導入を義務付ける制度が創設されるなど、今後は一定の需要増が期待できると分析している。調査結果から国交省は、日本側は関連技術情報を積極的に発信し、制度や基準類の整備への協力や、コスト競争力の高い工法開発などにも継続的に取り組むことが必要だと指摘している。
今回の調査では、インドネシアの新耐震基準や、免震技術の採用実績・動向、市場ニーズなどを中心に実態を探り、日本の耐震・免制震技術を売り込むための戦略を検討した。調査結果によると、地震の規模を判断する指標(震度、マグニチュードなど)は、現地では一般的には知られておらず、ビルのオーナーやマンションの購入者が免制震などのメリットを理解したり、意識したりするのは難しいのが実情だった。このため、免制震技術の採用は単純な追加費用として認識される傾向が強かった。
一方、インドネシアの中でも大地震の発生確率が高いスマトラ島西部に位置するパダン市では、近年の地震被害を受け、病院など社会的重要度の高い一部施設には免震技術の採用を標準化することを決定。政府庁舎や病院などへの免震技術の導入に着手している。地震の発生確率が相対的に低いジャカルタでも、免震技術が採用されたケースは出てきているという。
国交省はこうした動向を踏まえ、今後はインドネシア全土に免制震技術の採用機運が広がる可能性もあると予想。日本から関連情報を積極的に発信することが重要だとみている。具体的には、日本の免制震技術を導入したパイロット事業を関係者に見学してもらい、これを呼び水に技術導入を働き掛ける手法が有効だとして、地震防災センターの役割を持つ公共建築物を政府開発援助(ODA)の対象案件とすることを提案している。パイロット事業の候補地には、一般建築との被害の差を分かりやすく示すため、スマトラやジョクジャカルタなど近年大地震が発生している地域を挙げた。
日越建設会議準備委が初会合/日本式技能者育成へ方策/国交省(建設通信新聞)よりH24.05.01紹介
国土交通省は、「日ベトナム建設会議準備委員会」の初会合を開いた。ベトナムで、日本式の施工に対応できる建設技術・技能者を確保・育成する方策を検討する。11月に開催予定の第4回日越建設会議で提示するため、10月にも取り組み案をまとめる予定だ。=関連2面
初会合では、日本式の優れた施工能力・品質などを確保するためのベトナムにおける技術・技能者の育成・確保に向けた取組方策を中心に意見交換した。大手建設会社や専門工事会社がそれぞれ、現地の人材確保のために現在、取り組んでいる内容を紹介。検討課題について提案や意見を6月の会合で提示するよう各委員に求めた。また、日本とベトナムの建設業所管官庁の協力のあり方などについても議論した。
今後、5月には現地視察調査を予定しており、6月の会合で各委員からの提案・意見を踏まえ、技術・技能者の育成と建設業の政府・業界間の交流についての取組素案を提示する予定だ。9月の会合でさらに意見交換し、10月の会合で取り組み案としてまとめる考え。
ベトナムは、建設業界にとって海外展開する市場になり得るとみられており、ベトナム建設業界との連携協力関係を構築するため「日越建設会議」を設置してビジネス機会の拡大などを進めている。同会議で、日本で実習を受けたベトナム人の技術・技能者が帰国後にも活用できる方策を提案する予定だ。
日ベトナム建設会議準備委員会の委員は次のとおり(敬称略)。
▽青木一郎(三井住友建設国際支店土木営業部長)▽浅香泰三(東洋建設国際支店営業部部長)▽入江強(りんかい日産建設土木事業部土木部部長)▽梅田巖(全国基礎工業協同組合連合会長)▽枝川真弓(建設業振興基金構造改善センター研究部長)▽遠藤芳郎(全国道路標識・標示業協会長)▽隠塚功一郎(ピーエス三菱土木本部海外部海外グループリーダー)▽川内哲(大林組海外支店土木営業部副部長)▽斎藤茂夫(東急建設国際事業部事業推進部部長)▽酒井喜市郎(鉄建土木本部海外事業部長)▽佐藤隆彦(ヤマコン社長)▽志村康久(清水建設建築事業本部調達総合センター海外調達推進部長)▽田中嗣人(ミヤマエ取締役)▽遠澤眞人(五洋建設国際事業部長)▽道用光春(建設産業専門団体連合会常務理事)▽利根川実(IHIインフラシステム営業本部副本部長)▽内藤徹(海外建設協会常務理事)▽永井仁一(建設業振興基金理事)▽西野達郎(鴻池組海外事業部営業部部長)▽西村正(戸田建設国際支店土木部長)▽馬場千尋(横河ブリッジ取締役海外事業部長)▽比嘉俊浩(沖縄基礎工業協同組合副理事長)▽保坂益男(日本機械土工協会常務理事)▽松野由紀夫(大成建設執行役員国際支店副支店長)▽丸山公彦(鹿島海外土木支店営業部営業部長)▽向井敏雄(日本機械土工協会長)▽武藤重信(清水建設国際支店営業部長)▽森戸和美(厚生労働省職業能力開発局海外協力課外国人研修推進室長)。
海外売上3割超で経営の現地化急務/野村総研/グローバル本社あり方調査(建設通信新聞)よりH24.04.25紹介
野村総合研究所は「グローバル本社機能のあり方に関するアンケート調査」を実施した。海外売上比率が3割を超えると、経営の現地化が急務とし、現地に対する権限移譲や多面的な業績管理が欠かせないと指摘した。現地採用人材を本社の執行役員クラスまで登用したいと考えている企業が2割を超えており、海外売上比率が5割以上の企業に限定すると、その比率は64.2%に達した。
調査は日本に本社を置く製造業、建設業、運輸業を中心とした連結売上高500億円以上の企業を対象とし、145社が回答した。地域統括会社・組織(RHQ)の設置状況を聞いたところ、海外売上比率が1−3割の企業は31.0%に対して、3−5割は60.0%、5割以上は82.1%が設置していた。RHQが管轄する地域は北米、中国、西欧が多かった。
RHQが今後保有すべき機能では、間接機能では法務・知財、監査、企画(地域・事業)が、直接機能では広告・マーケティング、開発、物流・ロジスティクスが上位を占めた。また、海外売上比率が高まるにつれて中期戦略・計画策定の本社による関与が減り、現地側に権限委譲されていることが分かった。現地採用社員の登用について聞いたところ、現状は現地オペレーションのマネジャーにまで登用しているが多かったが、今後は本社の執行役員クラスにまで登用すべきとの回答が最多だった。
調査を担当した経営情報コンサルティング部の国井勝則グループマネージャーは「海外売上比率3割が今回の調査のポイントになった。また、グローバル人材育成の重要性を認識しているが、取り組みは着手できていない企業も目立った。日本人経営幹部候補をグローバル化することだけでなく、外国人人材を日本化することも必要だ」と指摘した。
電源開発、ウガンダの水力発電所整備準備調査のコンサルタント業務をJICAから受託(nikkei BPnet)よりH24.04.23紹介
電源開発(Jパワー)は、ウガンダの水力発電所整備準備調査に関するコンサルタント業務を独立行政法人
国際協力機構(JICA)から受託し、現地で調査を始めた。事業実施、運営・維持管理体制の確認や、環境配慮の検討などを2014年3月まで24カ月間行う。電気設備など建設技術コンサルティングの日本工営と共同で手掛ける。
Jパワーと日本工営は受託に先立ち、2009〜2011年にJICAの委託でウガンダの水力開発マスタープラン策定支援プロジェクトを担当し、複数の有望地の中からアヤゴと呼ぶ地点の優先度が高いことを確認し、事前の事業可能性調査を行った。今回のコンサルタント業務はそれを受け、最適規模の600MW(60万kW)と段階的な開発の妥当性確認に加え、第1期の100MW(10万kW)を調査する。
円借款案件の形成を目的にし、事業の必要性・電力需要などの背景、事業範囲、実施、運営・維持管理体制を確認するほか、プロジェクトの評価、自然条件、環境配慮、投資計画の検討を行う。アヤゴはアフリカ最大の湖、ビクトリア湖を水源にしたビクトリアナイル川水系にあり、流れ込み式での水力発電所開発プロジェクトが計画されている。
ウガンダは東アフリカの赤道直下にある内陸国で、電力は水力とディーゼル火力発電などで構成。2010年のピーク電力391MW(39万1000MW)のうち水力は200MW(20万kW)を賄うだけで、水力の不足分はコストの高いディーゼル火力発電に頼っている。予想される年率平均約8%の電力需要の伸びに対応するため、ウガンダ政府は水力資源の活用を優先課題に挙げている。
東アで具体案件続々/インフラ輸出/国交省、民主に26事業提示(建設通信新聞)よりH24.04.16紹介
日本の成長戦略の一つとして打ち出している「パッケージ型インフラ海外展開」が、東アジアの各国で案件として数多く浮上している。外務、財務、文部科学、経済産業、国土交通の各省は13日、民主党の経済財政・社会調査会、成長戦略・経済対策プロジェクトチーム、外務部門合同会議で、メコン地域を中心とした東アジアとの連結性支援の現状と今後の見通しについて、具体的事業案件を提示し説明した。建設産業界も注目するメコン地域のインフラ案件など国交省関連分だけで、26案件に上っている。
日本はこれまで2009年の東アジアサミットで東アジアでの広域インフラ開発を提案。11年の首脳会合では、日本提案に基づいて策定された「アジア総合開発計画」をベースに、インドからメコン、インドネシアまでの連結性マスタープラン・プラスを検討していくことで合意している。
ことし1月には新興市場のインドと一大生産拠点のメコン流域を結ぶ産業大動脈の重要国として、枝野経産相がインド、タイ、ミャンマーを訪問するなど、インフラ整備やビジネス環境整備を通じて連結性強化を加速させていた。
13日の民主党の会合には、国交省がアジア・メコン地域のインフラ案件としてベトナムで13件、タイ2件、ラオス3件、カンボジア4件、ミャンマー4件の26事業を提示した。
◆文科省はベトナム国際大学構想など
また、文部科学省は東アジア主要国への協力として、▽マレーシア日本国際工科院▽ベトナム国際大学設立構想――のほか、4件のソフト支援事業を示した。このうちベトナム国際大学設立構想は、ハノイ、ホーチミン、ダナン、カントーの4地域に国際レベルの大学を設置し、25年までに世界上位200大学以内を目指す構想。ベトナムは日本にカントーへの支援要請をしており、現在、国際協力機構(JICA)が人材育成分野の基礎調査を行っている。
日本が目指す東アジアの連結性強化は、インド国内の「デリームンバイ産業大動脈」「インド南部中核拠点開発構想」のほか、「メコン・インド産業大動脈」「日メコン経済産業協力イニシアティブ」「インドネシア経済回廊」「ジャカルタ首都圏投資促進地域構想」が対象。
このうちジャカルタ首都圏投資促進地域構想は、既に10年、11年と2年連続して日本・インドネシア両国の閣僚間で、インフラ、工業団地などの整備によって日本企業の進出環境整備の推進が合意。具体的には、国際空港拡張や港湾改良・拡張、首都圏水供給、都市高速鉄道、石炭火力発電所など8事業が浮上している。
日本・トルコ、中東インフラ共同受注 中韓に対抗(NIKKEI NET)よりH24.04.16紹介
日本とトルコの両政府は連携し、中東地域のインフラ建設受注に乗り出す。協力の大枠を固める閣僚級協議の立ち上げで5月にも合意し、7月に両国の企業を含めて共同受注の具体的な枠組みを議論する。日本企業の資金・技術とトルコが持つ情報網を組み合わせ、先行する中国や韓国に対抗する。まずイラクの電力施設や都市鉄道などの建設の受注を目指す。
両国政府は閣僚級の合同委員会を設置することで5月にも大筋合意する。日本からの資金・技術供与や政府間協力の枠組みを固め、両国の企業が連携しやすい体制をつくる。
2国間連携の第1弾はイラクを念頭に置いている。7月上旬に両国企業が参加するビジネス会議をイスタンブールで開く。日本のゼネコンや商社、重電メーカーなどが参加、トルコからは建設関連企業が出席する。
戦後復興の需要が見込めるイラクの電力施設や道路、病院など具体的な案件を洗い出し、両国企業による具体的な協力の手法を検討する。トルコ側は比較的安価な労働力をイラクに派遣する姿勢を示している。日本の技術力と組み合わせることで、同国のインフラ受注で優位に立てるとみる。
イラクのインフラ建設の1案件ごとの受注規模は、1000億〜2000億円に上るとされる。住友商事はバグダッド市内で浄水設備を昨年完成した。石油関連施設の受注も見込まれ、日本の石油開発会社も「世界有数の潜在力がある」(石油資源開発の渡辺修社長)と期待する。
まずイラクで共同受注を獲得し、中東全体で売り込みをかける。国際機関の試算によると、中東・北アフリカ地域のインフラ投資は2030年までに8700億ドル(約70兆円)を超す見通しだ。日本の中東地域でのインフラ受注額は02年には3位だったが、10年は6位に後退した。かわって韓国が2位、中国が3位に浮上している。
資金支援は当面、円借款を軸に対応する。イラク政府は原油収入を元手に民間企業の債務を保証する仕組みを検討している。こうした枠組みができれば、国際協力銀行(JBIC)や邦銀による現地企業への融資が増えるとの期待がある。
トルコは3期目のエルドアン首相のもとで政権が安定し、昨年の実質経済成長率は8.5%に達した。日本とは今年3月に原子力発電所を輸出する前提となる原子力協定で実質合意した。経団連はトルコと早期に自由貿易協定(FTA)交渉を始めるよう求めている。
国交省/海外進出支援へ情報提供強化/システム構築、中小の進出意欲喚起(日刊建設工業新聞)よりH24.04.12紹介
国土交通省は、建設業の海外進出支援の一環で、海外の市場動向や法制度などの詳しい情報を発信する基盤整備に乗りだす。企業への調査で、政府の支援策として「相手国情報の提供」を求める声が最も多かったことを踏まえ、情報提供システムを構築する検討に入る。今後、提供情報のニーズを調査し、システムの枠組みなど詳細を詰める。併せて、同省のホームページ(HP)にある海外関連サイトのリニューアルも進めていく方針だ。
同省は、建設産業の海外展開動向を把握するため、10年度に続き地方・中小、専門工事業者を含む建設会社と設計・コンサルタント会社計6533社を対象に昨年12月から今年2月にかけてアンケートを実施。982社から回答があった(回収率15・0%)。調査項目のうち、政府に求める海外進出支援については「相手国情報の提供」が25・9%と最多で、前回調査よりも数ポイント高かった。一部企業からは、現地の会社登録、会計、税制、賃金などに関する情報提供を求める意見も出された。
回答者の中から海外建設協会(海建協)の会員企業を除いた941社のうち、海外建設事業を請け負いたいと回答した企業は前回調査と同じ1割程度だった。国交省は、こうした企業側の支援ニーズへの対応と、大手より下のクラスの企業の海外進出意欲を喚起することを重視。その具体策として情報提供の拡充に一段と力を入れる。昨年6月に同省の「建設産業戦略会議」がまとめた提言にも、業界団体と連携して幅広い情報ネットワークを構築し、主要国の関連情報を収集・提供する仕組みを構築することが盛り込まれている。
構築する情報提供システムについては、海外事業を急拡大させている韓国の海外建設協会がHP上に整備した関連サイト「海外建設総合情報サービス」を参考に具体的な検討を進める方針。韓国のHPは150カ国以上のプロジェクトや市場動向などを紹介。ユーザーは10万人を超え、大手から中小まで幅広い分野の企業が利用しているという。国交省は情報量と多様さが自国企業の海外進出を強力に後押ししているとみて参考にする。海建協などが中心になって情報システムを構築し、継続して情報の質と量を高める仕組みを整える形を想定している。
鋼構造建築技術−シンガポールに売り込みへ/産学官研究会、5月に現地セミナー(日刊建設工業新聞)よりH24.04.10紹介
日本の鋼構造建築技術を都市開発が活発なシンガポールに売り込む産学官連携プロジェクトが動きだす。日本の鉄鋼メーカーとゼネコンを中心とする研究会が同国で来月、技術普及セミナーを初開催する。日本の建設業の海外での存在感を高める一環で国土交通省も開催を支援。講師には日本建築学会の和田章会長、京大防災研究所の中島正愛所長、建築家の伊東豊雄氏らを招き、鋼構造建築の優位性や日本の高度な技術力について積極的に情報発信する。
インフラ整備や都市開発が継続的に進められているシンガポールは、日本の建設会社の進出も多く、今後有望な海外建設市場の一つにもなっている。ただ、鋼構造建築物の施工例は少なく、日本の技術を生かせる新市場としてニーズの掘り起こしが各社の事業戦略上の課題になっていた。こうした現状を踏まえ、日本の鉄鋼メーカーとゼネコンなどが中心となって「鋼構造による高層建築物普及に向けた研究会」が昨年11月に発足した。シンガポールに鋼構造の高層建築を普及させることを目的に日本の建設関連企業を幅広く募り、市場拡大に向けた取り組みを展開する。
研究会には、日本の鉄鋼メーカーやゼネコン・マリコン、デベロッパー、商社、関連業界団体など数十の企業・団体が参加。現地からもシンガポール大、南洋工科大の教授、有力ファブリケーターなどが発起人として参画している。当面はシンガポールを中心に活動を展開。コンクリート構造と比較した鋼構造建築のメリットや、鋼構造化を進展させるための課題を整理する。これらの成果を同国政府や関係機関、デベロッパー、関連企業に発信。政策提言も行っていく。
初のセミナーは5月10、11の両日開催。国交省からは佐々木基建設流通政策審議官や関係部局の担当者らが出席する予定。会員企業などによるプレゼンテーションのほか、建築構造の権威である和田、中島両氏や、現地で多くの建築物件を手掛ける伊東氏が講演を行い、鋼構造建築のニーズを喚起したい考えだ。普及活動の進展度合いを見ながら、日本企業の進出や現地関連企業の育成などを支援していく計画。シンガポールでの活動成果を踏まえ、他の東南アジア各国にも同様の取り組みを展開していく方針だ。
国交省/防災パッケージ海外展開、タイと本格協議へ/民間関連技術も収集(日刊建設工業新聞)よりH24.04.09紹介
国土交通省は、防災分野で日本が持つ技術・ノウハウを一括して提供する「防災パッケージ」の海外展開で、昨年、大規模な洪水被害が発生したタイとの本格協議に乗りだす。タイ政府の洪水対策を一元的に指揮する組織が固まったのを受け、防災パッケージによる具体的な支援のあり方や枠組みなどを詰める。国交省は国土の防災力アップにつながる民間のハード・ソフト技術の情報収集も進めており、技術提案資料として積極的に活用する考えだ。
防災パッケージでは、自然災害が頻発する日本国内で培ったインフラ関連のハード技術や、予測・監視システムといったソフト対策のほか、人材・資機材、都市計画や法制度に関する政策ノウハウなどを統合。災害リスクが高く、防災機能がぜい弱な東南アジアなどに提供して、利用を促す仕組み。日本の優れた技術力を生かす海外インフラ輸出の一環で、国交省をはじめ関係省庁や民間企業、大学などの産学官連携で取り組みを本格化させている。
タイ政府は、昨年の洪水被害を受け、首相をトップに学識経験者を中心とする組織を昨年11月に設置。今後の治水対策の検討に着手した。今年2月28日には、政策立案や予算と水管理関連施策への勧告などを行う「国家水・洪水政策委員会」(NWFPC)を新設。その下に洪水対策の実質的な推進組織として「水・洪水管理委員会」(WFMC)を置いた。WFMCは、河川の工事・管理、気象・洪水情報の提供、水防対策・被災者救助、防災政策の立案など、水・洪水管理関係の政府系機関を統括。多様な施策を戦略的に実施することになる。
3月上旬にタイのインラック首相が来日した際の共同声明では、閣僚レベルでの防災当局者会合の立ち上げなど洪水対策などで両国が関係を一段と強化することを確認した。タイ側の窓口が固まったことを受け、国交省は防災パッケージの初弾モデルの提供に向けた本格的な協議を開始する。本格協議に合わせ、国交省は日本の民間企業などが持つ防災インフラ技術やシステム、関連資機材などの情報を収集。プレゼンテーション用の技術資料を作成する。これまでに80社程度から情報が寄せられており、現地ニーズに合致する円滑な技術提案と日本企業のプレゼンス向上に役立てる。
ゼネコン、信頼の技術力 シンガポールで病院など相次ぎ受注(FujiSankei)よりH24.04.07紹介
ゼネコン大手が、シンガポールで存在感を高めている。清水建設と鹿島が病院などを建設中で、順調に工事を進めている。ゼネコン各社は3年前の“ドバイ・ショック”で海外展開を手控えていたが、都市開発などが順調に進むシンガポールでは技術力を武器に受注を続ける。韓国や中国勢などとの競争もある中で、日本勢は強みをどう発揮しているのか、現地でみた。
◆来年5月完成目指す
「難しい建築物だが、工期は2年と通常より5カ月ほど早い完成を求められている」。シンガポール中心部近くの国立総合病院エリアに、心臓病の専門医療施設「ナショナルハートセンター」の建設を手がける清水建設の牛頭(ごず)豊・国際支店副支店長は、噴き出す汗をぬぐいながらこう語る。
受注額は約112億円。地上9階・地下3階建て、延べ床面積約6万平方メートルという大規模な開発現場では同社にとって同国で初の大規模病院受注とあって、日本人7人と通常よりも多く配置。これを含む約40人の現地要員が作業管理にあたり、来年5月の完成を目指して早朝から夜間まで工事が続く。
シンガポールでは、3棟の高層タワーの頂上を庭園とプールでつなぐ奇抜なデザインで有名になった「マリーナベイサンズホテル」や、セントーサ島の「リゾート・ワールド」などの大型開発案件が続出。建設経済研究所によると、同国の建設投資額は2010年で約200億ドル(約1兆6500億円)と、100億ドル以上が続く安定した市場だ。
シンガポール進出から42年を迎える鹿島は、近く完成する大型複合施設「マリーナベイ金融センター・タワー3」など8件の開発案件が進行中。なかでも国立病院施設内の新病理学棟は「高気密実験室なども備え、技術力が問われる工事」(杉本弘治・鹿島オーバーシーズアジア工事部長)として力が入る。
大林組も米大手映画会社の現地拠点を受注し、来年中の完成を目指している。
◆内外実績で逆転落札
シンガポールで日本のゼネコンが目立つのは、技術力が評価されているためだ。実は、清水建設が受注した病院の応札では、同社は外国企業に次ぐ“2番札”だった。だが、発注者である同国政府機関がこれまでの同国での実績や、日本国内での豊富な病院建築などを加点する応札方式を採用したことで、逆転受注につながった。
価格勝負よりも技術や実績が重視されたことは、日本勢にとって追い風だ。
こうした現地政府の姿勢もあって、ゼネコン大手の海外事業にとってシンガポールの重みは増している。清水建設の場合「11年度の連結海外受注の約半分はシンガポール」(牛頭氏)だ。鹿島も「アジア地域を統括する鹿島オーバーシーズアジアの建築受注の6割を占める」(高橋広平・鹿島オーバーシーズアジア工事管理部長)ほど。
大林組も今後の受注増をにらみ、今回の映画施設建設の現場監督にはシンガポール人を起用。優秀な現地スタッフを育成し「現在の建築中心から、土木案件も受注していきたい」(長谷川仁・アジア統括事務所長)と意気込む。
■現地企業との連携・コスト競争力がカギ
ゼネコン各社は2009年、UAE(アラブ首長国連邦)ドバイの金融危機に伴う工事中止などで多額の損失を出した苦い経験もあり、その後は海外展開に慎重になった。そうした中でも、シンガポールは国土が東京23区程度と狭いが、政府が主導して民間、公共工事を繰り返す形で開発計画を打ち出すため、建設投資は底堅い。現在約500万の人口を600万に拡大する計画も打ち出しており、今後も安定した建設需要が見込める。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の水谷敏也シニアアナリストも「人工貯水場など水の確保に向けたインフラ整備や拡張が必要な空港整備など、日本のゼネコンが得意とする開発案件が今後も期待できる」と分析する。
各社ともシンガポールで人材育成を含めた実績を積み上げ、地理的にも近いタイやマレーシア、さらにはインフラ整備が進むカンボジアやミャンマーなどの需要も視野に入れる。
ただ、懸念されるのは海外勢との戦いだ。シンガポールではすでに韓国勢が大型受注を重ね、競争は激化している。なかでも、「本国の建設案件を抱え、他国での受注を控えている中国勢が再び攻めてくれば、非常に厳しい戦いを強いられる」(清水建設の牛頭氏)。
国内各社がシンガポールなどアジアで活躍するためには技術力だけでなく、現地企業との連携などでコスト競争力向上も求められそうだ。
経産省/産構審インフラ・システム輸出部会を再開/11月に報告書取りまとめ(日刊建設工業新聞)よりH24.04.06紹介
経済産業省は5日、産業構造審議会(産構審、経産相の諮問機関)貿易経済協力分科会のインフラ・システム輸出部会(浦田秀次郎部会長)の議論を再開した。10年8月の初会合以来の開催で、枝野幸男経産相の指示を受けて6月の中間整理までは海外でのコスト競争力強化に向けた議論を行う。原子力を含む個別テーマの議論は9月以降の会合で取り上げる。11月の報告書取りまとめを予定している。
部会では今後、▽オールジャパンの体制でいいのか▽国内事業でのコスト競争力をいかに上げるか▽ライフ・サイクル・コストの安さをいかにPRするか▽ファイナンスの力をどう受注に結び付けるか▽地域開発にどう参画していくべきか−などのテーマを中心に話し合う。個別の議題については、実務者レベルの検討会を設けて議論する。実務者レベル検討会はコスト競争力の不足や、都市開発インフラで開発全体をデザインする主体の不在などの課題について話し合う。13日に初会合を開く。
部会では中間整理後、主要11分野ごとの取り組みの現状と今後の方向性について議論する。主要11分野は10年6月に政府が決めた新成長戦略の中に位置付けられた▽水▽石炭火力発電・石炭ガス化プラント▽送配電▽原子力▽鉄道▽リサイクル▽宇宙産業▽スマートグリッド・スマートコミュニティー▽再生可能エネルギー▽情報通信▽都市開発・工業団地−だが、類似テーマもあることから、今後、見直す可能性もあるという。
5日の部会では、インフラ・システム輸出の現状や、海外の競争での日本企業の地位などについて情報交換した。10年の大型案件(受注金額10億ドル以上)の受注は日本企業の3件に対して、韓国企業14件、中国企業10件などと、日本企業の地位が相対的に下がり、中国や韓国の企業が優位に立っている現状が報告された。金融セクターでは日系金融機関が世界のトップクラス。中東の案件は、スポンサーに日本企業が関与しているほど受注に結び付いている状況も紹介された。
鹿島/中国・インドで建築フィービジネス積極展開/都市計画コンサルやCM業務(日刊建設工業新聞)よりH24.04.04紹介
鹿島は、中国とインドで建築技術や都市計画のコンサルティング、建築プロジェクトのCM(コンストラクションマネジメント)業務を積極展開する。主に米国で培ったこうしたフィービジネスのノウハウを経済成長著しい両国にも導入し、新たな収益源に育てる。工事の請負を前提としない新たな海外進出のあり方として注目されそうだ。
同社は中国東北部の瀋陽市で、地元建築産業の近代化を後押しするため、09年に同市政府などと技術協力に関する基本協定を締結。寒冷地の同市でも通年で工事ができるよう、プレキャスト部材で建築物の構造体を構築する技術を提供している。10年8月には現地法人の「鹿島建設(瀋陽)技術諮詢有限公司」を設立。ほぼ同時期に5700ヘクタールを対象とした都市開発の基本構想作成を受託したほか、同区域内に建設される行政施設の設計なども手掛けている。
インドでは昨年7月に現地法人を立ち上げ、第1弾の大型案件としてフォードインディア社の第2工場(総投資額10億ドル)の設計とCM業務を受注した。施工については「価格面で顧客のメリットになるとは必ずしも言えない場合があり、この案件では設計・CM業務が最も付加価値を提供できる部分と判断した」(越島啓介常務執行役員海外事業本部長)という。
同社の海外建築部門ではこれまで、建設関連サービスの提供や都市開発コンサルなどの大型案件を特に米国で長く手掛けてきた。施工の請負を前提とせずにサービスを提供し、手数料を得る事業手法で、都市開発事業に関しては、事業主体として取り組む不動産事業などを含めて業界トップクラスの実績を持つ。今後、こうした先進国で培った手法を、急速な経済発展に伴って成長を続ける中印両国の建設・都市開発市場にも持ち込み、事業の拡大を図る。越島本部長は「現在、建築事業全体の連結売上高に占める海外の割合は20%程度で、中期的には30%程度まで高めていきたい」とする一方、「重要なのは利益額で、フィービジネスなどで利益を上げていく」とし、海外でのフィービジネスに一段と力を入れていく方針だ。
振興基金/海外実習生の帰国後活用を支援/ベトナム・モンゴルで先行(日刊建設工業新聞)よりH24.04.04紹介
建設業振興基金は、日本の建設会社が海外で事業を展開するための環境整備の一環で、現地技術者の人材育成に戦略的に取り組む。インフラ需要が活発なベトナムやモンゴルなどを中心に建設技能・技術者を日本に受け入れ、日本の建設生産システムを熟知した人材を養成。実習を経て自国に戻った人材を日本企業が相手国での建設プロジェクトで活用できるようにする。3月に協定を結んだベトナムの関係機関との具体的な協議を先行して進め、7月ごろに実習生の受け入れを開始する予定だ。
建設技術・技能者の派遣と受け入れ・技能実習事業を展開している振興基金では、中国、ミャンマーなど数カ国の関係機関と協定を締結。相手国側の要請を受けて人材養成に取り組んできた。ただ、日本で実習を受けて自国に戻った人材を、日本企業が現地で活用することは少なかった。日本の建設市場は、東日本大震災の復興による一時的な需要増を除けば長期的には縮小が避けられない情勢。建設業者の海外進出意欲は高まりつつある。振興基金はこうした状況を踏まえ、日本企業が海外に進出して工事を行う際に不可欠となるローカル人材を戦略的に育成する取り組みを推進する。
現地での事前研修や、日本での実習を経て自国に戻った後の活用策など川上と川下の取り組みを検討。国や関係団体・企業などと協力し、日本の建設会社がローカル人材を円滑に活用できるようにするスキームを構築していく考えだ。3月には、振興基金とベトナムの関連企業「公共施設開発建設」「国際人材供給建設」との間で、建設技能・技術者の派遣・受け入れについて協定が締結された。今後、教育訓練・教材の内容や派遣時期・場所などの詳細を詰め、覚書を交わす予定だ。
現地から派遣される技術者らの第1陣は7月ごろの入国を予定している。第1陣は向井建設が既に現地で育成しているローカル人材(10人弱)が対象で、今秋にも第2陣として約30人を受け入れる計画だ。ベトナムのほか、同様な取り組みをモンゴルでも展開する計画。既に昨年12月に同国の政府機関と協定を締結しており、6月に現地で行われる国政選挙後に具体的な協議に入る見通しだ。モンゴルからの実習生の受け入れは初めてとなる。同国に日本企業が本格進出する際の足掛かりとして期待が集まりそうだ。
中堅ゼネコンの大日本土木、「人づくり」でアフリカに活路(NIKKEI NET)よりH24.04.03紹介
道路舗装大手NIPPOの子会社で、中堅ゼネコン(総合建設会社)の大日本土木はアフリカなど世界の途上国で、浄水場の建設などを手掛けている。大手ゼネコンが尻込みするような治安の悪い国にまで進出し、工事を次々に成功させている。その強さの秘密は、長期的な視野に立った日本的な人材育成により“強い現場”を築いてきたことにある。
ガシャン、ガシャン――。アフリカ西部のシエラレオネで、首都フリータウンから車で約4時間の町カンビア。赤土の大地が広がる人口約1万人の小さな町で、ブルドーザーで土を掘削する音が鳴り響く。昨秋、河川の水や井戸水を浄化して飲料水や農業水に活用する浄水場の建設が始まった。今年12月に完工予定の工事を進めているのが大日本土木だ。工事部の古谷明彦課長は昨年末に2カ月間、カンビアに滞在している。「30度を超える暑さで、電気も水道も満足になかった」と現地の生活環境を振り返るが、その表情には百戦錬磨のたくましさがある。
過酷な地での高い施工力こそが大日本土木の真骨頂だ。「我々はどんなに条件の厳しい土地でも工事をこなせるノウハウがある」と工事部の新庄光男部長は胸を張る。例えば、現場事務所として仮設のコンテナハウスを建設し、軽油で動かす小型発電機や簡易型の浄水槽を設置している。砂漠や丘陵地帯などでも、ほんの短い期間で工事のための拠点となる基地を作り上げることができる。
社員の住居棟にはシャワー室やキッチンに加えて、衛星放送が映るテレビやカラオケ設備を設置したり、日本食をつくれる料理人を派遣したりする。1案件の工期は1〜2年かかるため、日本人社員に負担がかからないように配慮している。
大日本土木は30年前からアフリカを中心に、30カ国超の途上国で工事実績を持つ。エジプトのナイル川流域の灌漑(かんがい)設備、アフガニスタンの道路や空港建設、カメルーンの学校建設、ブータンの橋梁工事などを成功させてきた。
「アジアの都市部などで日系企業から受注する建設工事は大手ゼネコンが得意としており、差異化を図るために発展途上国に進出した」と新庄部長。途上国での工事実績では日本のゼネコンの中でトップクラスだという。
同社の売上高は11年3月期が754億円で、そのうち1割強を海外事業が占める。浄水場の建設工事は現在、東ティモールやコンゴ、タジキスタンやパキスタンなど8カ国で進行中。工事の受注高は都市部の浄水場は20〜30億円、農村向けは5〜6億円だ。
「1つの国で工事を手掛けたら、その国で継続して受注することが多い」(新庄部長)。浄水場や道路の建設など、住民に喜ばれるインフラ工事に面白さとやりがいを見いだし、10〜20年以上も海外駐在を続ける社員も多いという。
同社の海外事業は日本の政府開発援助(ODA)の無償資金協力による。同制度は日本政府が工事費を支払うため、代金回収を巡る不安はないが、工期が伸びても追加費用を請求できないデメリットがある。
そうした中、同社の強みは現地の下請け工事会社を使わず、直接雇用の熟練技術者を抱えていることだ。1案件当たりの日本人駐在員は3〜5人だが、建機の操作や配管敷設などを担う数十人の技術者が必要になる。同社は30年間をかけて育てた約100人のエジプト人やフィリピン人を案件ごとに雇用し、工事受注国に派遣している。
下請けの工事会社に発注する場合、工期が遅れると追加費用がかかるほか、土地勘のない途上国で下請け業者を確保できるのかは不透明だ。一方で、自社で育てた熟練技術者なら安定した施工レベルを保ちやすく、施工費も計画段階から計算しやすい。
建機や資材の調達でも、初めて工事を受注した国では体制に不安があるため、近隣諸国から移送することも多い。「30年間の経験から、適正価格で一定の品質の機材を調達できる国を熟知している」と新庄部長。例えばシエラレオネの工事では、近隣のマリから機材を送り込んでいる。
ただ、日本政府が財政問題から、ODAへの拠出額を減らしていることは悩みの種となっている。そのため、現地政府に工事代金を貸し付けるODAの有償資金協力や、日系企業の海外進出に伴う建設工事、現地政府からの工事受注など、対象工事の拡大に乗り出している。
日本のゼネコンにとって、ODAの無償案件では工事代金を安定して回収できるが、有償案件や現地政府からの受注では回収リスクが常につきまとう。例えば、鹿島はアルジェリアでの高速道路建設を巡り、工事の遅れによる工事費の追加負担で、現地政府との交渉が難航。鹿島や大成建設などゼネコン4社は11年3月期決算で約800億円の損失処理を迫られた。
大日本土木は「リスクを取ってでも、ODA以外の案件を開拓する」(総務部の遠藤久高部長)と新市場に挑む構えだ。回収のリスクを回避するため、契約書の書き方や工事費の算定、為替動向の分析方法を磨きながら、未知なる事業領域で成長を目指す。
日本は官民一体となってインフラ輸出の拡大を狙っている。ただ、途上国では土木工事を含めるようなインフラ案件では中国企業が圧倒的に強い。リスクを背負ってでも未開の市場に深く入り込む気概も、政府による支援もあるからだ。日本としても、手をこまねいてはいられない。大日本土木のように、途上国で活躍できる人材を育て、巧みなマネジメントで厳しい環境下でも次々に工事を成功させられるかが重要になる。日本の多くの企業にとって、大日本土木の戦略には参考にすべき教訓がいくつも隠されていると言えそうだ。
東洋建設:インドネシアで大型港湾工事を受注(財経新聞)よりH24.03.27紹介
海洋土木の東洋建設は23日、インドネシアで大型港湾工事を受注していたことを発表。
■受注金額は約78億円、工事期間は900日
海洋土木の東洋建設 <1890> は23日、インドネシアで大型港湾工事を受注していたことを発表。
同社は、インドネシア共和国運輸省開運総局発注のタンジュンプリオク港緊急リハビリ事業のなかの、「ロット1:航路・泊地改善工事」を現地国営大手アディ・カリア社との共同で受注し、2月に契約していた。
受注金額は、約78億円、工事期間は900日。今回の受注は、ケニア共和国の「モンバサ港建設工事」に続き2件目の海外大型港湾工事の受注となる。
タンジュンプリオク港は、首都ジャカルタ北部に位置し、コンテナ貨物では全国の約半数近くを取扱う、インドネシア最大の国際貿易港だが、100年以上前の旧オランダ統治時代の建設のままであり、防波堤に囲まれた狭い水域がネックとなり、港湾の航路は原則片面通航となっている。そのため、沖合いで多数の待船が常態化するなど、コンテナ船の円滑な入出港が困難な状況にあり、緊急的対応の必要性からも改良が望まれていた。
■片面通航125mから両面通航300mへの航路拡幅
今回の事業は、タンジュンプリオク港において、航路拡幅や増深等を行うことにより、船舶交通の効率化を図り、今後の需要増大に対応させ、国際的ハブ港としての機能を拡充することを目的としている。
具体的には既設の防波堤を撤去し、沖合いへ新設することによる船舶の回頭水域の確保、片面通航125mから両面通航300mへの航路拡幅、更に大型船への対応のため航路・泊地水深14mへの増深等を行う。
【工事概要】
・既設防波堤撤去工 総延長 約1,863m ・防波堤新設工 総延長 約1,660m ・航路・泊地浚渫工 約8,100,000m3
・航行援助標識等据付・移設工 一式
TPP交渉/政府調達に地方含める動き/基準額でも主張・提案交錯(日刊建設工業新聞)よりH24.03.23紹介
環太平洋経済連携協定(TPP)に関する交渉の分野別状況について、関係府省が交渉参加を視野に入れた米国など関係国との協議内容の最新状況をまとめた。建設業界に直接的影響を及ぼすと見られる政府調達では、対象機関を中央政府に集中する形で協議を進めているが、地方政府やその他機関も含めることを目指している国もあることを報告。調達基準額についても一部からさまざまな主張、提案が出されているようだ。
関税の原則撤廃などアジア・太平洋地域の貿易自由化を目指すTPPについては、昨年11月に野田佳彦首相が交渉参加に向け関係国との協議を開始する方針を表明。その後、省庁横断で対応する専門チームを設置し、事前協議に向けた各国との調整を進めている。TPP交渉の最新の分野別状況は、22日に開かれた民主党の経済連携プロジェクトチーム(PT)の会合で提示された。昨年10月時点の前回内容と今回の改定内容を対比しながら説明している。
政府調達では、前回と同様に世界貿易機関(WTO)の政府調達協定(GPA)をベースに、GPA並みの規定とするか、それを上回る水準にするかが交渉のメーンテーマとなっている。対象機関について現時点では議論が中央政府に集中しているものの、前回時点では取り上げられていなかった地方政府など他の機関を対象に加えようとする動きも一部の国で出てきた。調達の基準額については、GPAと同じく建設サービス、物品、サービスに分けて議論。ただ、一部では「参加国に共通に適用される単一のものとすべきだ」という主張や、具体的な額でさまざまな提案が出ているもようだ。入札公告での外国語の使用条件では、GPA並みの義務(英語での概要告示など)が課せられるとの情報も寄せられている。
政府調達以外の分野を見ると、「越境サービス」での交渉項目の一つである「他国の資格・免許の相互承認」は個別の議論には至っていない。「労働」では▽貿易・投資の促進を目的とした労働基準の緩和の禁止▽国際的に認められた労働者の権利保護▽各国間の協力・協調を確保するためのメカニズム−などについて議論が行われている。
327億の円借款決定/カイロ地下鉄4号線にエジプト初のSTEP/JICA(建設通信新聞)よりH24.03.22紹介
国際協力機構(JICA)は、エジプトの「カイロ地下鉄四号線第一期整備事業」に対し、327億1700万円を限度とする円借款供与を決定した。19日に貸付契約を結んだ。同国で初めて本邦技術活用条件(STEP)を適用する。貸付資金は地下鉄の土木工事や駅舎、車両基地・工場の建設工事などに充当する。事業実施機関はエジプト運輸省トンネル公団。本体工事の入札時期は詳細設計と並行して検討するが、施工監理などコンサルティング・サービスの招請状は2012年第2四半期に送付する予定だ。
カイロ地下鉄4号線(全長約27km)のフェーズ1区間は、首都カイロの中心部とピラミッド地区を結ぶ延長17.7km。16駅を設置する計画で、20年の開業を目指している。
大カイロ都市圏は現在約1700万の人口を擁し、今後も人口は増え続け、22年には2000万人に達すると推測されている。自動車交通量の急増に道路整備も追いついておらず、慢性的な交通渋滞が問題になっている。
地下鉄建設は渋滞緩和だけでなく、観光路線としても大きく期待されている。開業年には1日約135万人、50年には約250万人の利用を見込む。
今回のプロジェクトは11年のエジプト革命後、初の円借款事業となる。同国政府の要請に基づき、STEPを適用し、日本の鉄道技術を総合的に生かす。貸付資金はトンネルや駅舎の土木・建築工事のほか、電気・機械設備、信号・通信設備、車両などの調達に活用。入札補助や施工監理といったコンサルサービスにも充てる。
対象区間の技術基準調査や詳細設計は、日本工営・海外鉄道技術協力協会・日本シビックコンサルタントJVが担当している。入札図書案の作成などを含め、7月下旬をめどに業務を完了する予定だ。調達スケジュールなどの問い合わせは、JICAエジプト事務所で受け付ける。
JOBが支援フォーラム設立/若者の海外経験後押し/建築界 国際化遅れに危ぐ(建設通信新聞)よりH24.03.19紹介
UIA2011東京大会日本組織委員会(JOB、小倉善明会長)は、建築界の国際化に対応できる次世代の専門家を育成するため、UIA(国際建築家連合)大会の追加的事業として人材育成活動支援を始める。3月中に一般財団法人を設立し、建築技術者の海外実務経験や学生の海外留学などを支援する。同大会には海外から多くの参加者を得たが、国内の若者の参加は少なく、国際化が遅れていることが浮き彫りとなっていた。 =関連2面
非営利の一般財団法人「国際建築活動支援フォーラム(仮称)」は、建築家・建築技術者に対する海外実務経験や、学生の海外留学など国際的活動を支援する目的で設立する。
2月に開催した日本建築学会、日本建築士会連合会、日本建築士事務所協会連合会、日本建築家協会(JIA)、日本建設業連合会の5会会長会で合意を得て設立が決まった。
JOBの副会長は新法人の役員となり、当面の財源はJOBからの寄付金とする。財源は、約4500万円になるとみられる。
16日に開いた会合で小倉会長は「早急に成果を上げる必要があり、2、3年で財源を使いたい。その後、賛同を得られれば、引き続き活動をしていきたい」と考えを示した。
2011年9月に開催した「UIA2011東京大会」には海外1868人、国内3227人が参加し、目標を上回った。しかし、そのうち学生の参加者(有料登録者)は、海外261人に対して国内254人と少なく、日本の若者の“非国際化”が浮き彫りとなっていた。