G-NET 最新厳選災害防災特集: 

2007年能登半島地震

 

 

  2007年能登半島地震

阪神大震災上まわる加速度。その情報を整理、特集した!


 1.地震の概要
1)日時:25日午前9時42分ごろ
2)震源:能登半島沖(北緯37.3 度、東経136.5 度)
3)深さ:約50キロ
4)規模:M7・1
5)震度
■震度5弱以上を観測した市町村は次の通り。
 〈石川県〉
 震度6強=七尾市、輪島市、穴水町
 震度6弱=志賀町、中能登町、能登町 
 震度5強=珠洲市
 震度5弱=羽咋市、宝達志水町、かほく市
 〈新潟県〉
 震度5弱=刈羽村
 〈富山県〉
 震度5弱=富山市、滑川市、舟橋村、氷見市、小矢部市、射水市
■震度4と3を観測した主な地域は次の通り。
 震度4  新潟県上越 新潟県下越 新潟県佐渡 
 震度5弱 富山県東部 富山県西部  
 震度4  福井県嶺北   
 震度3  福井県嶺南   
 震度4  長野県北部 長野県中部  
 震度3  長野県南部   
 震度4  岐阜県飛騨   
 震度3  岐阜県美濃東部 岐阜県美濃中西部  
 震度3  静岡県西部   
 震度3  愛知県西部
6)被害 1人死亡、191人けが、2500人避難、488戸損壊


 2.地震発生のメカニズム
 太平洋側から沈みこむ海のプレートに押されている陸のプレート(ユーラシアプレート、北米プレート、日本列島を載せる)は、絶えず東西に圧縮される力が働いている。日本列島は、圧縮され続ける陸のプレートの上に載るより柔らかいもの。だから、もろにひずみが伝わる。歪に耐え切れなくなると弱い部分が壊れてずれる。それが今回のような内陸部で起きた地震のメカニズムだ。今回はそれが、日本海の沿岸部でおきた。いわゆる活断層に当たるものだ。海底活断層と呼ばれ、陸にある場合に比べると見つけ難い。2年前の福岡沖地震も、それまで存在が知られていなかった海底活断層が引き起こした。

 3.地震断層のタイプとずれ
 国土地理院によると、北東から南西に向かう長さ約21キロの断層が、南東側が北西側に乗り上げるように約1.4メートルずれ、地震が起きたと推定いている。
 専門的にいうと「右横ずれ成分の多い逆断層」となりそうだ。これは、東西から圧縮される地表近くで起き易いタイプの地震断層にあたる。

 4.津波との関係
 気象庁は地震発生直後の午前9時43分、石川県に津波注意報を出した。50センチ程度の津波を予想していたが、実際に観測された津波は20センチと小さく、目立った被害はなかった。注意報は同11時30分に解除された。
 地震によって海底が隆起または陥没し、上にある海水が持ち上げられたり、引き下げられたりすると津波が起きる。気象庁は、今回の地震が海溝型の巨大地震 ではなかったことに加え、海底下の断層が横方向にずれる動きが大きかったことが、津波による大きな被害がなかった要因とみている。

 5.志賀原発への影響
 北陸電力志賀原発は、25日に発生した能登半島沖地震の震源域から約20キロしか離れていない。原発の近くで起きた地震としては過去最大規模となった。原発に異常は確認されていないが、設計で想定した地震規模を上回った可能性もある。
 北陸電力によると、今回の地震では、志賀原発1号機の原子炉建屋地下2階で地震の加速度が226ガル(ガルは加速度の単位)、震度5弱を記録。1号機は190ガル以上、2号機は185ガル以上で自動停止する設定になっている。1号機は現在、99年の臨界事故隠しで経済産業省原子力安全・保安院から運転停止の行政指導を受けて停止中。2号機も定期検査で停止中だった。
 原発の耐震性に詳しい石橋克彦・神戸大都市安全研究センター教授(地震学)は「原子炉の圧力容器や建屋にひびが入るようなことはないはずだが、配管や機器などに損傷が生じて重大事故につながる恐れはある。もっと原発に近い場所で起きることも考えられ、今回を警鐘とすべきだ」と訴える。志賀原発2号機差し止め訴訟の原告団代表で同町議、堂下健一さん(52)は「1、2号機とも運転停止中に地震が起きたことは不幸中の幸い。原発と防災の視点をどう盛り込むのか、注視しなければ」と語った。

 6.震源断層の確認
 震源近くに長さ約20キロの活断層とみられる地形が、産業技術総合研究所(茨城県つくば市)の活断層研究センターが1988年に実施した調査で見つかっていた。
 同センター海溝型地震履歴研究チームの岡村行信さんによると、船上から音波をあてて能登沖の地層のずれなどを調べたところ、今回の地震の震源付近を北東―南西方向に走る活断層のような地形を確認した。最新の活動履歴は、180万〜160万年前以降とみられるという。
 しかし、場所が海域であるため、これ以上の追跡調査が困難で、活断層での地震発生確率を求めた政府の「地震動予測地図」にも記載されていない。岡村さんは「今回の地震の余震域ともほぼ一致しており、この活断層が動いた可能性がある」と話している。

 7.揺れの規模
 防災科学技術研究所によると、能登半島沖の地震で記録された揺れの最大加速度は、午前9時42分に石川県志賀町で945ガルを観測している。
 945ガルは1995年1月の阪神大震災の際、神戸海洋気象台での観測値から算出された891ガルを上回る。
 近年の大きな地震では、2005年10月の新潟県中越地震の際に、同県川口町で2515ガルを記録。00年10月の鳥取県西部地震では、同県日野町で1584ガルの最大加速度が観測されている。
 ガルは地震の強さを示す目安の一つとして使われるが、あくまでも加速度だけを表現しており、揺れの継続時間は反映していないため、被害の大きさと直接結びつくわけではない。

 

 8.隆起

 3月26〜31日、志賀町から輪島市にかけて約50キロの海岸の15地点で上下変動を調べた結果、隆起が最大だったのは門前町剣地付近で、地震前の海面の指標となる岩ガキの分布などを比較したところ、約40センチの隆起が確認できた。
 満潮時には水面下に隠れていた岩場(波食棚)も、地震後、広く露出したままになっていた。一方、北側の門前町深見付近では約10センチ沈降していた。海岸では地表に現れた断層は確認できず、調査をした産業技術総合研究所活断層研究センターの遠田晋次主任研究員は「主要な断層の動きは地下にとどまっている」とみている。

 

 9.初期破壊

 能登半島地震の約0・5秒前に、マグニチュード(M)6・9の本震を引き起こすきっかけとなった「初期破壊」が起きていたことが10日、東京大学地震研究所の解析でわかった。
 本震の震源よりも500メートル程度深い場所で初期破壊が起きたことで、横にずれやすかった今回の本震の断層が、縦方向にもずれる要因になったと考えられる。
 地震計の記録を解析した結果、M4・4の初期破壊が発生したことがわかった。初期破壊で生まれたひずみで、本震の断層を押し上げる力が生まれ、横から圧縮する力と合わせて本震につながったとみられる。
 初期破壊は2000年の鳥取県西部地震や05年の福岡県西方沖地震でも見られ、地震発生メカニズムを理解するのに大切なようだ。

 

10.土木学会と地盤工学会の速報

 土木学会と地盤工学会の合同調査団による能登半島地震の速報会が3月29日,東京・四谷で開かれ,各地の地震動の特徴や被害の全容が明らかになった。
 土木関係の被害は,能登半島中央の山間地を縦断する能登有料道路と海岸沿いを通る国道249号に集中。能登有料道路では,かつての谷地形を盛り土した個所ばかりが崩壊した。中央大学土木工学科の國生剛治教授の調査によれば,深いすべり破壊を起こし,崩土が100m近くも流れ出た個所がある。飽和した流動性の高い地盤だったとみられる。同様の被害は,2004年10月に発生した新潟県中越地震でも起きている。
 盛り土被害に対し,自然斜面の崩壊は国道249号沿いに点在するが,軽微だった。新潟県中越地震と同程度の大きな地震動だったうえ,同じように中山間地を襲った地震だった割に地盤被害は大きくない,というのが専門家の一致した見解だ。國生教授は,「能登半島の地質が中越地方ほど脆弱ではなかった」ことを理由に挙げる。加えて,「地震動は大きかったものの,卓越周期が短周期だったので,地盤に加わる力が弱かったのではないか」とみている。

 11.政府の危機管理能力
 発生を受け安倍晋三首相は、情報収集などの指示を連発。政府は、首相官邸に直ちに対策室を設置。また、調査団を現地に派遣するなど迅速な対応に努めた。緊急時対応のマニュアル化が進み、とりあえず混乱なく乗り切った。
 前日夜から東京・富ケ谷の私邸にいた首相は午前9時43分、秘書官から一報を受け、被害状況の確認と住民の安全確保に万全を期すよう指示。官邸に隣接する公邸に移った後も、被災地入りした溝手顕正防災担当相らに、「地元自治体との連携」などの指示を繰り出した。

 12.最後に
 今回の地震は、次のような「不幸中の幸い」が多く重なり、被害が最小限度に留まった。
1)津波を小さくする横ずれ成分の大きな地震断層だった。また、地震を起こした海底も浅った。
2)最寄の志賀原発は一号機、二号機共に運転停止中で、放射能漏れなどの問題が発生しなかった。
3)発生日時が、日曜日の午前9時42分ということで、落石・斜面崩壊などに巻き込まれる車両が少なかった。
4)能登半島は第三紀層という軟岩が広く分布し、軟弱層が厚く分布する箇所が少なかったので、建物への被害が比較的少なかった。
 でも、これらの要素が少しでもずれていれば、大きな災害になっていた可能性は否定できない。

<参考資料>
1)石川県能登地方で震度6強 女性1人死亡、けが人多数(asahi.com)よりH19.03.25
2)沿岸の活断層で発生か 能登地震(asahi.com)よりH19.03.26紹介 
3)朝日新聞 H19.03.26 朝刊 3面総合 南西へ25センチ 志賀町移動 国土地理院
4)横ずれ、浅い海 小さな津波に 気象庁や専門家(asahi.com)よりH19.03.26
5)能登沖地震:原発付近で最大級?(MSN-MainichiINTERACTIVE)よりH19.03.26
6)能登沖地震、震源近くに活断層の跡(Yomiuri.On-line)よりH19.03.26
7)能登沖地震、揺れの加速度が阪神大震災上回る(Yomiuri.On-line)よりH19.03.26
8)災害初ケースで指示連発=能登地震で安倍首相−「週末私邸」に疑問の声も (時事通信社)

9)能登半島地震、輪島市の海岸で40センチの隆起(Yomiuri.On-line)よりH19.04.04

10)【能登半島地震】地質が中越ほど弱くなかったことが幸い、土木学会と地盤工学会の速報会(KENPlatz)よりH19.04.08

11)能登沖地震の0・5秒前、本震の“予兆”…東大研が解析(Yomiuri.On-line)よりH19.04.11
 


 

 


 

サーチする:

Amazon.co.jp のロゴ

  

<首都直下地震対策大綱>

 大綱は、最大の被害が予想される東京湾北部を震源とする地震(M7.3)を想定してまとめたものです。その目的は首都の中枢機能を維持するためです。次のようなことを国や自治体、企業に求め、具体策も示しています。
1)建物の耐震化
 建物倒壊は15万棟が想定され、火災が起きる要因となるため、住宅の耐震化に向けて、改修工事への補助制度、優遇税制の導入と共に、安全な建物に対しては認定マークの交付といった環境整備も示しています。 徐々に耐震化へのムード作りを図っていこうという戦術のようです。周りの目を気にさせる雰囲気を醸し出すわけです。如何にも官僚らしいやり方です。
2)非常電源 食料確保
 街の機能を回復させるには、緊急なものでも3日は要するという専門家の判断に基づき、最低3日間分の非常用電源や食料を(各機関、事業所ごとに)確保することを求めています。
 これは、意外と大変です。3日間の電源を確保するとなると、製造工場などは本当に大変でしょう。
3)事業継続計画(BCP)の策定
 想定される大規模な地震が事業所を襲ったときに、どう対処して、事業を継続しつづけるか。その時になって慌てふためくのではなく、事前に具体的な計画を立てて、いつでも来いの状態にしておけば、想定内の地震にあっても会社を潰すような事態にならずに済むというわけです。
 大変だと思われるかもしれませんが、起こったあとで、事業再開を図ることを考えれば、楽なものではないでしょうか。従業員も含め、皆で準備して行動できるようになるわけですから。
 なお、これの家庭版も必要でしょう。大げさなものである必要はないのですが、家庭をパニックに落とし入れないためにも、検討してみては如何でしょうか。
4)定期的な訓練
 BCPを作っただけでは、その場の実行が伴いませんので、黙って行動できるように繰り返し訓練する必要があります。ムダと思うか、有益と思うかは所属長の判断ですが、私は会社や社会を守り、そして自分自身や家族を守るために是非行ってほしいと思います。これもまた、家庭でもやる必要があるでしょう。恥ずかしがっている場合でないことは、地震の可能性に関して情報を持っている国の機関が慌てていることで感じ取るべきです。
5)金融決済機能の復旧
 東京には金融機関が集中していますので、その機能が止まると日本経済に壊滅的な影響を及ぼしますので、データや情報のバックアップ を事前に進め、金融決済機能をその日のうちに回復させることを目指すとしています。ハード・ソフト・人材の面でカバーする必要があり、日頃から手当てができるようなIT業界との協働が必要になるように思えます。これで、別な面での1極集中が生まれるように思われます。
6)その他
(1)避難所生活者
 避難所生活者は400万〜460万人に上るとみられ、阪神大震災(30万人)の10倍以上になるそうです。そこで、避難所の確保だけでなく、都内で約67万戸あるという空き家や空き部屋の活用、ホテルの利用などを挙げました。
 さらに、避難所に入る人を大幅に減らすため、住民の疎開や帰省、児童・生徒の学校単位での疎開なども盛り込みました。
 合理的なやり方に慣れている米国でも、ハリケーン「カトリーナ」や「リタ」では大変な混乱を今も続けています。ありとあらゆる具体的な手段を用いて、避難先を確保しておくことは本当に賢いやり方だと思います。
(2)帰宅困難者
 帰宅困難者は、最悪で650万人とも想定されています。これだけ多くの人が食料 そして休むべき場所を求めて彷徨うのです。当然、トイレ も必要になることでしょう。
 駅周辺や路上にあふれると、救急活動の妨げになるので「むやみに移動を開始しない 」という基本原則を周知・徹底するように大綱は求めています。企業や学校には、従業員や職員・児童生徒らが一定期間、施設内で過ごせるよう、食料の備蓄や家族への安否確認態勢を図るとしています。